モブだった私、今日からヒロインです!

まぁ

文字の大きさ
38 / 85

p37

しおりを挟む
 超高級マンションには家具家電などの設備は問題なかった。ある一つの事を除いては……
「な、な……なんでこれだけ部屋数あってベッドが一つ?」
 部屋数は全部で四つ。内二つはアレンと陽菜の個人部屋。一つはアレンが仕事などにもつかえる様にと書斎。そして二人の寝室の構成になっている。しかもそこに置いてあるベッドの大きさが見た事もない。クイーンなのかキングなのか……
「個人部屋があるなら二人の寝室っていらなくない?」
「いや必要だよヒナ。僕達が愛を営む為には」
「そうじゃなくて!なら個人部屋の意味は?」
「それは山下さんにもアレン様にもプライベートな時間が必要でしょうと思い、私が勝手に配置させてもらいました」
 プライベートルームと寝室は普通にわけるものなのか?なんだかセレブ達の感覚がいまいちわからない陽菜は、これ以上の抵抗がバカバカしく感じられた。
「さて、今日中にする事はあります。アレン様も私がいるのですから、山下さんといちゃつかないで下さいよ」
 そう言って一旦このマンションから離れ、次に向かったのはこれまで住んでいたマンションの方だ。


「アレン様の荷物はこちらでどうにかしますが、山下さんの荷物はさすがに勝手な事は出来ませんですからね。いるものといらないのものの選別をお願いします」
「えっ?この勢いだと今日中にお引越しって事ですか?」
「そうですよ。あぁ、荷物の運び出しや処分などはこちらでやりますので、山下さんは選別だけして下さい」
 あれよあれよと物事が決まって行く中、陽菜は渋々と荷物整理をする事になった。
 急だったのもありまだ実感が沸かないのだが、伊澄曰く「ここはパパラッチに見つかってますからね」と言われ、要はこれ以上のスキャンダルを避ける為なのだ。
(何も悪い事してないのに……なんだか逃げるみたいな感じだなぁ……)
 少なくとも数年間ここで暮らしていたのだ。愛着があるのを急に捨てるとなると寂しい。そんな干渉に陽菜が浸っていると、外から騒がしく声が聞こえて来た。


「兄さんがいなくなるならオレも引っ越す!」
 チラッと外を覗くと、アンリがアレンにそう言って迫っている。だがそのアンリの隣にはアンリよりも背が高い男がいた。その男はどこかで見た事があるのだが、誰だろうと陽菜は首を傾げた。
「残念だがあのマンションには今、空き部屋はない。我慢しなさい。それにお前にはカズがいるんだからいいだろう?」
「なんでこいつがいる事と我慢する事が繋がるんだよ!」
「おいアンリ。どうせお前の事だ。広い部屋に行ってもどうせ部屋の無駄ならここにいろ」
「うるさいな!お前は口を出すな!」
 ぎゃーぎゃーと騒ぐ中で、陽菜はアンリと一緒にいる男が誰かわかった。いつもは髪をオールバックにしているのもあってわからなかったが、アレンがカズと呼んだその人物がある人物の面差しが一緒なのに気が付いた。
「東宮寺さん?」
「あぁ、秘書課の山下さんでしたね。どうもこんにちわ」
 にこりと微笑む東宮寺を見てアンリはつまらなさそうな顔を見せた。
「お前のその身の変わりよう……本当に不気味だな」
「失礼な事言うな。本当の俺を知っているのはアンリだけでいいんじゃないか?」
「はぁ?そんな事どうでもいいし!」
 何やら親しいを超えた雰囲気を二人から感じて陽菜は首をかしげるばかりだ。するとアレンが陽菜に耳打ちした。
「アンリとカズはラバーだよ」
「ラバ……えぇ!付き合ってるんですか?」
「つ、付き合ってなんかない!」
「残念ながらまだなんですよ。現在進行形でアンリを口説き中です」
「ふざけるな!絶対お前なんか好きにならないからな!てかどうして兄さんが……」
 二人の関係に驚きつつも、アンリも満更ではなさそうな雰囲気に陽菜は言葉が出てこなかった。すると買い出しに出ていた伊澄が戻って来た。
「山下さん。選別は終わりましたか?」
「ひぃ!すみません!まだです!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

国宝級イケメンとのキスは、最上級に甘いドルチェみたいに私をとろけさせます♡ 〈Dulcisシリーズ〉

はなたろう
恋愛
人気アイドルとの秘密の恋愛♡コウキは俳優やモデルとしても活躍するアイドル。クールで優しいけど、ベッドでは少し意地悪でやきもちやき。彼女の美咲を溺愛し、他の男に取られないかと不安になることも。出会いから交際を経て、甘いキスで溶ける日々の物語。 ★みなさまの心にいる、推しを思いながら読んでください ◆出会い編あらすじ 毎日同じ、変わらない。都会の片隅にある植物園で働く美咲。 そこに毎週やってくる、おしゃれで長身の男性。カメラが趣味らい。この日は初めて会話をしたけど、ちょっと変わった人だなーと思っていた。 まさか、その彼が人気アイドル、dulcis〈ドゥルキス〉のメンバーだとは気づきもしなかった。 毎日同じだと思っていた日常、ついに変わるときがきた。 ◆登場人物 佐倉 美咲(25) 公園の管理運営企業に勤める。植物園のスタッフから本社の企画営業部へ異動 天見 光季(27) 人気アイドルグループ、dulcis(ドゥルキス)のメンバー。俳優業で活躍中、自然の写真を撮るのが趣味 お読みいただきありがとうございます! ★番外編はこちらに集約してます。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/693947517 ★最年少、甘えん坊ケイタとバツイチ×アラサーの恋愛はじめました。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/408954279

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...