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「ど、どうしよう……私全然習い事とかしてないけど……」
「大丈夫だよ。いつも通りの陽菜でいたら問題ないから」
サラリと、そして楽天的にアレンに言われた陽菜だが、もちろん不安の方が大きい。
(こ、これは伊澄さん達に相談しないと!)
翌日。いつ連れて行かれるかはわからないが、それまでにできる事はしておきたい。まず何をすべきなのか。伊澄の元に行き相談をした。
「成程。日程に関してはCEOから聞きますが、何をすべきかですね。まずはマナーレッスンが必要になるでしょうね。他の事は後でも大丈夫でしょうから」
「マナーですか……あのテーブルのやつとかですか?」
「そうです。後はウォーキングレッスンも必要かもしれませんね。世界的財閥のファーストレディとなれば、猫背で歩くなんてもってのほかです」
「さ、左様です……」
ファーストレディと言われて一気に現実的ではなくなった。むしろファーストレディと言えば、飛行機のタラップから大統領と一緒に出て来たり、服装がいちいち取り沙汰されるイメージしかない。
「もしかして私はとんでもない人を相手にしてるのでは?」
「今更ですか?CEOはその気になれば世界を動かす事の出来る人物の一人でもあるのですよ」
スケールが大きすぎる。だがそれ込みでアレンを受け入れたはずだ。ここで一族に気に入られなければ、アレンと一緒にいる事など出来ないはずだ。
「わかりました!私やりますよ!」
「その粋です。英語に関しては澤永さんが手厳しく見てくれるでしょうから問題ないとして、マナーとウォーキングですか。当てがなくもないですが……早急に手配しておきます」
伊澄の言う早急とは即日のようで、相談したその日の夕方には場所を指定された。
その場所へと向かった陽菜は、ドキドキしながらとある建物の中へ入った。
「ようこそ。ケイから話は伺っています。私はシェリル。よろしくね」
出迎えてくれたのはプラチナブロンドの似合う美人。
「えっと……山下陽菜です。よろしくお願いします」
「こちらこそ。さっ、こんな所で立ち話もなんだし中に入ってちょうだい」
そう言われ中へと入った陽菜。この美人さんは伊澄の奥さんで、元々マナー講師をしているようだ。
(凄い美人。そりゃ伊澄さんがメロメロになるはずだよ……)
よく考えたら今は夕方だ。こんな時間から陽菜の相手をしても大丈夫なのだろうか。双子の子供もいると言っていた。
「あ、あの、お家の事とかいいんですか?ここって自宅ですよね?」
「あぁ、その事なら気にしないで。子供はケイがお迎えに行くから。それにこの日は元々レッスン指定日で、ここもその為に借りたスタジオだから」
「わ、わかりました」
とある建物……とは低層階のマンションだったので、てっきり自宅かと思った。元々古いマンションで、ほとんどの住民は退去したので、現在は様々なスタジオが入った建物へとリノベーションされたようだ。
部屋の中へ入ると数人の生徒がいた。陽菜も末席に座る。
「それでは今日のレッスンを始めますが、まずは新しい生徒さんの紹介です」
「は、はじめまして。山下陽菜と申します」
「大丈夫だよ。いつも通りの陽菜でいたら問題ないから」
サラリと、そして楽天的にアレンに言われた陽菜だが、もちろん不安の方が大きい。
(こ、これは伊澄さん達に相談しないと!)
翌日。いつ連れて行かれるかはわからないが、それまでにできる事はしておきたい。まず何をすべきなのか。伊澄の元に行き相談をした。
「成程。日程に関してはCEOから聞きますが、何をすべきかですね。まずはマナーレッスンが必要になるでしょうね。他の事は後でも大丈夫でしょうから」
「マナーですか……あのテーブルのやつとかですか?」
「そうです。後はウォーキングレッスンも必要かもしれませんね。世界的財閥のファーストレディとなれば、猫背で歩くなんてもってのほかです」
「さ、左様です……」
ファーストレディと言われて一気に現実的ではなくなった。むしろファーストレディと言えば、飛行機のタラップから大統領と一緒に出て来たり、服装がいちいち取り沙汰されるイメージしかない。
「もしかして私はとんでもない人を相手にしてるのでは?」
「今更ですか?CEOはその気になれば世界を動かす事の出来る人物の一人でもあるのですよ」
スケールが大きすぎる。だがそれ込みでアレンを受け入れたはずだ。ここで一族に気に入られなければ、アレンと一緒にいる事など出来ないはずだ。
「わかりました!私やりますよ!」
「その粋です。英語に関しては澤永さんが手厳しく見てくれるでしょうから問題ないとして、マナーとウォーキングですか。当てがなくもないですが……早急に手配しておきます」
伊澄の言う早急とは即日のようで、相談したその日の夕方には場所を指定された。
その場所へと向かった陽菜は、ドキドキしながらとある建物の中へ入った。
「ようこそ。ケイから話は伺っています。私はシェリル。よろしくね」
出迎えてくれたのはプラチナブロンドの似合う美人。
「えっと……山下陽菜です。よろしくお願いします」
「こちらこそ。さっ、こんな所で立ち話もなんだし中に入ってちょうだい」
そう言われ中へと入った陽菜。この美人さんは伊澄の奥さんで、元々マナー講師をしているようだ。
(凄い美人。そりゃ伊澄さんがメロメロになるはずだよ……)
よく考えたら今は夕方だ。こんな時間から陽菜の相手をしても大丈夫なのだろうか。双子の子供もいると言っていた。
「あ、あの、お家の事とかいいんですか?ここって自宅ですよね?」
「あぁ、その事なら気にしないで。子供はケイがお迎えに行くから。それにこの日は元々レッスン指定日で、ここもその為に借りたスタジオだから」
「わ、わかりました」
とある建物……とは低層階のマンションだったので、てっきり自宅かと思った。元々古いマンションで、ほとんどの住民は退去したので、現在は様々なスタジオが入った建物へとリノベーションされたようだ。
部屋の中へ入ると数人の生徒がいた。陽菜も末席に座る。
「それでは今日のレッスンを始めますが、まずは新しい生徒さんの紹介です」
「は、はじめまして。山下陽菜と申します」
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