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さて、大宴会も宴もたけなわの中終わり、陽菜達は帰宅の途に着くわけだが……
「まぁ、この時間ならおじいちゃんも寝てるだろうから、明日ね」
母親としても寅吉と陽菜達が顔を合わせる時が心配のようだ。
「もしアレだったら、私とアレンは今からホテルとってそっちに泊まるよ」
「何言ってるの?そんな事しなくてもいいわよ」
「でももしおじいちゃんとアレンがいきなり顔合わせたら……」
「なんとかなるって言いたいところだけど、ここは運任せにするしかないわね」
運に託していいのかと思ってしまったが、今からホテルを取るにしても隣の市まで行かなくてはいけない。とりあえず何事もない事を願うだけだった。
母親の言っていたように、帰宅した時間には寅吉は寝ていたようで、玄関の電気だけが着いている状態だった。
「アレンの寝起きする部屋はここね」
「ヒナの部屋じゃないの?」
「何言ってるのよ。マンションじゃないんだから。それにアレンはお客様だからね。お部屋はこっち」
客間にアレンを案内した陽菜は、風呂トイレなどの場所を一通り説明した。
「ちょこちょこ聞いていたかどうかわからないけど、今日の宴会とか顔を出さなかった私の祖父がいるんだけど……」
「ヒナのグランドファザー?」
「そう。なんて言うか……かなりの強者だから覚悟しておいてね」
明日以降どうなるのかはわからない。だが陽菜が助けたあげられる事はほとんどない。後はどうやって攻略するかはアレン次第だ。
「大丈夫だよ。僕の家にもイザベラと言う大叔母がいるから」
あっ、やはり大叔母は難敵なのかと納得出来た。
とりあえず後は母親の言ったように運任せだ。
「それじゃおやすみ」
「ヒナ」
部屋を後にしようとした時、名を呼ばれ振り返ると、アレンに抱きしめられキスをされた。
「おやすみ」
「もう、ここ私の実家なんだから!」
カァッと顔を火照らせた陽菜は文句を言いつつ部屋を後にした。
問題は明日以降とタカを括っていたが、その問題は翌朝すぐに起きる事となった。
「何だお前はーーー!」
雷が落ちたかなような大きな声で目を覚ました陽菜。
「えっ?何?」
驚いた陽菜は部屋を出て声のした場所を探す。
時刻は朝五時。母親はもう目を覚ましていたが、父親も陽菜と同じように目が覚めて部屋から出てきた。
声のした場所は洗面所。そこに母親もいた。
「お義父さん落ち着いて。昨日話していた陽菜の旦那さんになる人ですよ!」
「何を言うとる!わしは認めてないぞ!何で敷居を跨がせる!」
どうやらこの洗面所で祖父寅吉とアレンが鉢合わせしたようだ。しかしアレンはけろっとした態度だ。
「Oh!ヒナのグランドファザー?いきなり失礼。僕はアレン。アレン・フリード・ヒースルーです。よろしくお願いします」
「なっ?ぐらん?何を言っとるかわからんわ!」
「僕の日本語おかしいかな?」
そう言う問題ではないが、寅吉の威嚇的な声にも動じないアレンはある意味凄い。だがここまでだ。この先は陽菜も入らなくては収集がつかないと思った。
「まぁ、この時間ならおじいちゃんも寝てるだろうから、明日ね」
母親としても寅吉と陽菜達が顔を合わせる時が心配のようだ。
「もしアレだったら、私とアレンは今からホテルとってそっちに泊まるよ」
「何言ってるの?そんな事しなくてもいいわよ」
「でももしおじいちゃんとアレンがいきなり顔合わせたら……」
「なんとかなるって言いたいところだけど、ここは運任せにするしかないわね」
運に託していいのかと思ってしまったが、今からホテルを取るにしても隣の市まで行かなくてはいけない。とりあえず何事もない事を願うだけだった。
母親の言っていたように、帰宅した時間には寅吉は寝ていたようで、玄関の電気だけが着いている状態だった。
「アレンの寝起きする部屋はここね」
「ヒナの部屋じゃないの?」
「何言ってるのよ。マンションじゃないんだから。それにアレンはお客様だからね。お部屋はこっち」
客間にアレンを案内した陽菜は、風呂トイレなどの場所を一通り説明した。
「ちょこちょこ聞いていたかどうかわからないけど、今日の宴会とか顔を出さなかった私の祖父がいるんだけど……」
「ヒナのグランドファザー?」
「そう。なんて言うか……かなりの強者だから覚悟しておいてね」
明日以降どうなるのかはわからない。だが陽菜が助けたあげられる事はほとんどない。後はどうやって攻略するかはアレン次第だ。
「大丈夫だよ。僕の家にもイザベラと言う大叔母がいるから」
あっ、やはり大叔母は難敵なのかと納得出来た。
とりあえず後は母親の言ったように運任せだ。
「それじゃおやすみ」
「ヒナ」
部屋を後にしようとした時、名を呼ばれ振り返ると、アレンに抱きしめられキスをされた。
「おやすみ」
「もう、ここ私の実家なんだから!」
カァッと顔を火照らせた陽菜は文句を言いつつ部屋を後にした。
問題は明日以降とタカを括っていたが、その問題は翌朝すぐに起きる事となった。
「何だお前はーーー!」
雷が落ちたかなような大きな声で目を覚ました陽菜。
「えっ?何?」
驚いた陽菜は部屋を出て声のした場所を探す。
時刻は朝五時。母親はもう目を覚ましていたが、父親も陽菜と同じように目が覚めて部屋から出てきた。
声のした場所は洗面所。そこに母親もいた。
「お義父さん落ち着いて。昨日話していた陽菜の旦那さんになる人ですよ!」
「何を言うとる!わしは認めてないぞ!何で敷居を跨がせる!」
どうやらこの洗面所で祖父寅吉とアレンが鉢合わせしたようだ。しかしアレンはけろっとした態度だ。
「Oh!ヒナのグランドファザー?いきなり失礼。僕はアレン。アレン・フリード・ヒースルーです。よろしくお願いします」
「なっ?ぐらん?何を言っとるかわからんわ!」
「僕の日本語おかしいかな?」
そう言う問題ではないが、寅吉の威嚇的な声にも動じないアレンはある意味凄い。だがここまでだ。この先は陽菜も入らなくては収集がつかないと思った。
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