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その日は朝から強い雨に見舞われていた。空はどんよりと重く、昼間でも薄暗い。こんな時に外出の予定がなくてよかったとマルディアスは思った。
「さすがにこの雨ではエリサ様も来られないだろう」
エリサとの出会いは偶然だった。だがマルディアスは一目でエリサに溺れた。既婚であったものの、夫婦仲は破綻していたようで、エリサはとても悩んでいた。初めこそは親身になってエリサの話を聞いていた。
男として、夫として、エリサにこんな顔をさせるなどと、フリーク・レーエンスブルクは最低だ。そんな風に思った。だがそう思いながら、親身になっていた所に自分自身魔が差したのだろう。弱ったエリサの心に自分が付け入るような事をして、まるで奪い取ろうとする最低な男だ。
そう、奪い取りたかったのだ。
自分ならエリサにあんな悲しい顔させない。ここにいる時のエリサはいつも笑顔だった。その笑顔を絶やしたくない。
だが現実はそう簡単なものではない。レーエンスブルク家はエリサの生家でもあるエデンワース家と並ぶ大貴族の家柄。ルディア―ス家はマルディアスの曽祖父の時代から金融業で成り上がった家で、その歴史も浅く、爵位としては下の方だ。
社交界においていくらマルディアスが声をあげようが、古株の貴族達に揉み消されてしまう。エリサを自分の元に置くにしても、フリーク自身に落ち度がないと難しいだろう。例えあの愛人の事を言っても、たかが愛人と言われて終わりかもしれない。
「どうすれば私達は共にいれるのだろう」
こればかりは慎重に頭を使わなくてはいけない。そんな風に思いながら曇天の空を窓から眺めていた時だった。
「あ、あれは……」
屋敷に向かって来る一人の女性。それはエリサだと思った。だが様子がおかしい。馬車に乗って来るでもなく、傘もささず、そして服がボロボロだ。
マルディアスは直ぐに外へと出た。
強い雨と雷が鳴り響く中、ふらふらと歩くエリサを見てマルディアスは駆けた。
「エリサ様!」
「マルディアス……様……」
グラリと体が揺れ、倒れそうになったエリサを抱きとめた。
「一体何があったのです……」
「私……私……」
気が動転しているのか、エリサは言葉が紡げないでいる。よく見ると服はあちらこちら引きちぎられたかのように見える。襟のあるはずの服は胸元近くまで割かれ、スカートもボロボロだ。それにむき出しになった肌にはいくつもの筋があり、血が滲んでいる。
「とりあえず中に……」
いつまでも雨の中にいるわけにはいかない。怪我もしているので傷の手当もしなくては。
屋敷に入ったエリサとマルディアス。エリサは侍女に付き添われながら風呂に入り、傷の手当をしてもらっている。エリサのあの様子を見る限り、レーエンスブルク家で何かあったのは一目瞭然だ。
「一体何が……エリサ様……」
「さすがにこの雨ではエリサ様も来られないだろう」
エリサとの出会いは偶然だった。だがマルディアスは一目でエリサに溺れた。既婚であったものの、夫婦仲は破綻していたようで、エリサはとても悩んでいた。初めこそは親身になってエリサの話を聞いていた。
男として、夫として、エリサにこんな顔をさせるなどと、フリーク・レーエンスブルクは最低だ。そんな風に思った。だがそう思いながら、親身になっていた所に自分自身魔が差したのだろう。弱ったエリサの心に自分が付け入るような事をして、まるで奪い取ろうとする最低な男だ。
そう、奪い取りたかったのだ。
自分ならエリサにあんな悲しい顔させない。ここにいる時のエリサはいつも笑顔だった。その笑顔を絶やしたくない。
だが現実はそう簡単なものではない。レーエンスブルク家はエリサの生家でもあるエデンワース家と並ぶ大貴族の家柄。ルディア―ス家はマルディアスの曽祖父の時代から金融業で成り上がった家で、その歴史も浅く、爵位としては下の方だ。
社交界においていくらマルディアスが声をあげようが、古株の貴族達に揉み消されてしまう。エリサを自分の元に置くにしても、フリーク自身に落ち度がないと難しいだろう。例えあの愛人の事を言っても、たかが愛人と言われて終わりかもしれない。
「どうすれば私達は共にいれるのだろう」
こればかりは慎重に頭を使わなくてはいけない。そんな風に思いながら曇天の空を窓から眺めていた時だった。
「あ、あれは……」
屋敷に向かって来る一人の女性。それはエリサだと思った。だが様子がおかしい。馬車に乗って来るでもなく、傘もささず、そして服がボロボロだ。
マルディアスは直ぐに外へと出た。
強い雨と雷が鳴り響く中、ふらふらと歩くエリサを見てマルディアスは駆けた。
「エリサ様!」
「マルディアス……様……」
グラリと体が揺れ、倒れそうになったエリサを抱きとめた。
「一体何があったのです……」
「私……私……」
気が動転しているのか、エリサは言葉が紡げないでいる。よく見ると服はあちらこちら引きちぎられたかのように見える。襟のあるはずの服は胸元近くまで割かれ、スカートもボロボロだ。それにむき出しになった肌にはいくつもの筋があり、血が滲んでいる。
「とりあえず中に……」
いつまでも雨の中にいるわけにはいかない。怪我もしているので傷の手当もしなくては。
屋敷に入ったエリサとマルディアス。エリサは侍女に付き添われながら風呂に入り、傷の手当をしてもらっている。エリサのあの様子を見る限り、レーエンスブルク家で何かあったのは一目瞭然だ。
「一体何が……エリサ様……」
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