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「他意はないです。ただ投資家として助言を差し上げているまでです」
どうにも胡散臭い。そんな風にフリークはマルディアスを見ていた。だが当のマルディアスはあくまでも紳士然としている。
「まぁ、一言だけ申すなら、エリサ様にお願いされたから、でしょうか?」
「何だって……」
「事業の事を知って、エリサ様は大変嘆いておられました」
「それで泣きついた先が貴様か。話にならない……」
そう言ってフリークはマルディアスから渡された書類を机の上に投げ出した。
「ですがこのままでは事業は尽く倒産してしまいますよ。レーエンスブル家の資産もそれによって底をつく可能性もある」
レーエンスブル家の一族は名家との婚姻を結ぶ事が多いが、そのほとんどがレーエンスブル家への投資目的もある。
しかし赤字が続き、倒産も相次げばその投資も得られない。次第にレーエンスブル家は衰弱し、貴族の名を返納しなくてはいけないだろう。
「一族総出で露頭に迷うのは結構です。ですが倒産により露頭に迷う市民は、職を失い、明日の食べるものさえ困難になります。事業者は雇用を守る責任もあるのですよ」
下々の事など関係ない。どうでもいいと貴族達は言うだろう。だがその基盤を支えているのはその下々の者達だ。結局貴族などその基盤の上に成り立つのだ。そこが崩れれば貴族は貴族でいられなくなる。
「何故私がそこまで申すのかは、フリーク氏はその下々の事を考える事が出来ると思ったからです。これまでの経営を貫き通すか、フリーク氏が上に立ち再生を図るかはフリーク氏次第です」
それだけ言うとマルディアスは事業に関しての口を閉ざした。代わりに開いたのはエリサについてだ。
「さて、仕事の話はここまで。貴方に伺いたいのは、エリサ様についてです」
「…………」
「貴方はエリサ様の事は家同士の繋がり、資金援助の相手としか思っていないのですよね?」
隠す事なくはっきりと聞いたマルディアスに、フリークは大きなため息を漏らす。
「それ以外にこの婚姻は何の意味がある?我々は貴族だ。そうして繋がる事で家は強くなるものだ」
「成程……エリサ様と離縁はしないという事ですね?」
「まぁ、貴様の言うように私が家督を継ぎ、事業安定すれば考えなくもないがな」
全ては名誉と地位、お金なのだ。その為にエリサは窮屈な思いをしなくてはいけない。
「ならば貴方の元にエリサ様をお返し出来ませんね」
「返す気などないのだろ?」
「逆に返せとは言わないのですよね?」
その言葉にフリークは黙り込んだ。欲しいのはエデンワースからの資金。もし今のままならわいつかはエデンワース側から援助を切られる。そしてエリサは不要になるのだろうが、それまで待たせる事をどう思うのか。
「もし、一欠片でもエリサ様への気持ちがあるなら、全ては変わったかもしれませんね」
「ど言う意味だ……」
「言葉のままです。もう貴方の元へエリサ様が戻る事はないでしょう」
話す事はない。立ち上がったマルディアスは、「では」と言ってその場を後にした。
どうにも胡散臭い。そんな風にフリークはマルディアスを見ていた。だが当のマルディアスはあくまでも紳士然としている。
「まぁ、一言だけ申すなら、エリサ様にお願いされたから、でしょうか?」
「何だって……」
「事業の事を知って、エリサ様は大変嘆いておられました」
「それで泣きついた先が貴様か。話にならない……」
そう言ってフリークはマルディアスから渡された書類を机の上に投げ出した。
「ですがこのままでは事業は尽く倒産してしまいますよ。レーエンスブル家の資産もそれによって底をつく可能性もある」
レーエンスブル家の一族は名家との婚姻を結ぶ事が多いが、そのほとんどがレーエンスブル家への投資目的もある。
しかし赤字が続き、倒産も相次げばその投資も得られない。次第にレーエンスブル家は衰弱し、貴族の名を返納しなくてはいけないだろう。
「一族総出で露頭に迷うのは結構です。ですが倒産により露頭に迷う市民は、職を失い、明日の食べるものさえ困難になります。事業者は雇用を守る責任もあるのですよ」
下々の事など関係ない。どうでもいいと貴族達は言うだろう。だがその基盤を支えているのはその下々の者達だ。結局貴族などその基盤の上に成り立つのだ。そこが崩れれば貴族は貴族でいられなくなる。
「何故私がそこまで申すのかは、フリーク氏はその下々の事を考える事が出来ると思ったからです。これまでの経営を貫き通すか、フリーク氏が上に立ち再生を図るかはフリーク氏次第です」
それだけ言うとマルディアスは事業に関しての口を閉ざした。代わりに開いたのはエリサについてだ。
「さて、仕事の話はここまで。貴方に伺いたいのは、エリサ様についてです」
「…………」
「貴方はエリサ様の事は家同士の繋がり、資金援助の相手としか思っていないのですよね?」
隠す事なくはっきりと聞いたマルディアスに、フリークは大きなため息を漏らす。
「それ以外にこの婚姻は何の意味がある?我々は貴族だ。そうして繋がる事で家は強くなるものだ」
「成程……エリサ様と離縁はしないという事ですね?」
「まぁ、貴様の言うように私が家督を継ぎ、事業安定すれば考えなくもないがな」
全ては名誉と地位、お金なのだ。その為にエリサは窮屈な思いをしなくてはいけない。
「ならば貴方の元にエリサ様をお返し出来ませんね」
「返す気などないのだろ?」
「逆に返せとは言わないのですよね?」
その言葉にフリークは黙り込んだ。欲しいのはエデンワースからの資金。もし今のままならわいつかはエデンワース側から援助を切られる。そしてエリサは不要になるのだろうが、それまで待たせる事をどう思うのか。
「もし、一欠片でもエリサ様への気持ちがあるなら、全ては変わったかもしれませんね」
「ど言う意味だ……」
「言葉のままです。もう貴方の元へエリサ様が戻る事はないでしょう」
話す事はない。立ち上がったマルディアスは、「では」と言ってその場を後にした。
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