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フリークの後にエリサの事。一難去ってまた一難な状況だが、マルディアスとしても全てをそちらに割ける程の暇はない。
マルディアスは一枚の写真を手にした。そこに写ったのは自分と両親だ。だが両親との関係は決して円満だったとは言えない。今では貴族の中でもごく一部にしか知られていない秘密。ほとんどの人間が知らないその秘密があったからこそ、どこかよそよそしい関係だった。とはいえ表面的にもいい家族だったので、マルディアス自身両親を恨んでいる事はない。
恨むとしたら貴族と名の付く者達だ。この者達は自分達が富を持っている事に胡坐をかいている。その富は結局市民の力があって成り立っている。それを知らずに市民を虐げる貴族には反吐が出るのだ。差し当たって一番嫌悪するのは王族だ。マルディアスの秘密の原因となった者がいる。
「しかしこれはもう時効だ。恨んだところでどうする事も出来ないのだがな」
全てを忘れ、自分の道を進めばいいのだろうが、そうできない自分がいる。心のどこかで引っかかりがあるのだろう。だがエリサに出会いそれも救われるような気がしていた。
「あの方はとても健気だ。その心を理解出来ないフリーク氏には勿体ない方だ」
だがフリークとエリサは離婚の渦中にいる。肩書はまだ貴族ではあるが、事実上破産により名前だけが残った状態のフリーク。自由の身となった彼はエリサを解放した。しかしエリサはその離婚を自ら放置しているのだ。
「きっとあの方は自分を選ばない」
エリサと別れて以後の彼女の行動がそう思わせる。いや、それよりも前からエリサの中で自分を選ぶという選択肢が薄れていたのかもしれない。それまでのエリサは自分に惚れているのが感じ取れた。だがそれを感じられなかったのだ。
「まさか自分がここまで女々しい存在だったとはな。エリサ様の出す答えがどうあれ、私自身の為にも、答えを聞かなくてはいけないだろうな」
だがそれが今ではない。もう少し時間を置くしかないのだと思った。
貴族社会から身を離れ、庶民の暮らしを体感しているエリサは、思いのほかその生活が居心地が良いものだと感じていた。
「エリサ早く!」
「待って!」
マルタが公園でエリサを手招きする。だが子供を宿した身では思う存分動くことは出来ない。この時エリサはまだディアナに自分が妊娠している身だと伝えていなかった。しかし異変というものは案外すぐに気が付くものだ。
その日の晩。マルタを寝かした後、エリサはディアナに呼ばれリビングに向かう。
「ねぇエリサさん。あなた妊娠してるんじゃない?」
「えっ?どうして……」
「わかるわよ。何かするにしても若干躊躇しているし、やたらお腹の辺りをさすっているのだから」
別に意図として言わなかったわけではないが、言う機会がなかったのも事実だ。
「もしかして家出の原因はお腹の子が関係しているの?」
「…………」
「そう……とりあえず何も言わないわ。その代わり、ここを出るにしても子供を無事出産してからね。後、無茶をしない。何かあったら言う。いいわね」
事情は聞かなかったが、そう約束事を取り付けたディアナに「わかったわ」と一言だけエリサは言った。
マルディアスは一枚の写真を手にした。そこに写ったのは自分と両親だ。だが両親との関係は決して円満だったとは言えない。今では貴族の中でもごく一部にしか知られていない秘密。ほとんどの人間が知らないその秘密があったからこそ、どこかよそよそしい関係だった。とはいえ表面的にもいい家族だったので、マルディアス自身両親を恨んでいる事はない。
恨むとしたら貴族と名の付く者達だ。この者達は自分達が富を持っている事に胡坐をかいている。その富は結局市民の力があって成り立っている。それを知らずに市民を虐げる貴族には反吐が出るのだ。差し当たって一番嫌悪するのは王族だ。マルディアスの秘密の原因となった者がいる。
「しかしこれはもう時効だ。恨んだところでどうする事も出来ないのだがな」
全てを忘れ、自分の道を進めばいいのだろうが、そうできない自分がいる。心のどこかで引っかかりがあるのだろう。だがエリサに出会いそれも救われるような気がしていた。
「あの方はとても健気だ。その心を理解出来ないフリーク氏には勿体ない方だ」
だがフリークとエリサは離婚の渦中にいる。肩書はまだ貴族ではあるが、事実上破産により名前だけが残った状態のフリーク。自由の身となった彼はエリサを解放した。しかしエリサはその離婚を自ら放置しているのだ。
「きっとあの方は自分を選ばない」
エリサと別れて以後の彼女の行動がそう思わせる。いや、それよりも前からエリサの中で自分を選ぶという選択肢が薄れていたのかもしれない。それまでのエリサは自分に惚れているのが感じ取れた。だがそれを感じられなかったのだ。
「まさか自分がここまで女々しい存在だったとはな。エリサ様の出す答えがどうあれ、私自身の為にも、答えを聞かなくてはいけないだろうな」
だがそれが今ではない。もう少し時間を置くしかないのだと思った。
貴族社会から身を離れ、庶民の暮らしを体感しているエリサは、思いのほかその生活が居心地が良いものだと感じていた。
「エリサ早く!」
「待って!」
マルタが公園でエリサを手招きする。だが子供を宿した身では思う存分動くことは出来ない。この時エリサはまだディアナに自分が妊娠している身だと伝えていなかった。しかし異変というものは案外すぐに気が付くものだ。
その日の晩。マルタを寝かした後、エリサはディアナに呼ばれリビングに向かう。
「ねぇエリサさん。あなた妊娠してるんじゃない?」
「えっ?どうして……」
「わかるわよ。何かするにしても若干躊躇しているし、やたらお腹の辺りをさすっているのだから」
別に意図として言わなかったわけではないが、言う機会がなかったのも事実だ。
「もしかして家出の原因はお腹の子が関係しているの?」
「…………」
「そう……とりあえず何も言わないわ。その代わり、ここを出るにしても子供を無事出産してからね。後、無茶をしない。何かあったら言う。いいわね」
事情は聞かなかったが、そう約束事を取り付けたディアナに「わかったわ」と一言だけエリサは言った。
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