45 / 91
45
しおりを挟む
結局噂程度でしか貴族スキャンダルを耳にしていなかったディアナ。だがエリサの事を考えたらいろいろな事がつじつま合わせのように繋げられていく。
「もしエリサさんが今噂の家出中の貴族様だとして、あながち間違いでもなさそうなのよね」
出会った時の服装や所作、家事など何一つとして出来ないところなど、大切に育てられたお嬢さんだとわかる。だがディアナの中にある疑問はここからだ。
「エリサさんが言われているレーエンスブル家の夫人だとしたら……」
貴族間で出回る噂が市民に流れるとしてもごく一部の内容だ。だが確信として持てる内容もいくつかはある。
新聞自体は読まないが、話として聞いたのはレーエンスブル家の抱える事業のいくつかが民間にうつり、当主交代、新しい当主の屋敷は売りに出された。実質名ばかりの貴族となったと言うのは知っている。
「あの人の働いていた取引先の大口もたしかレーエンスブル家だった気も……」
かつて夫が働いていた配管工の取引先はそんな名前だったような気もする。その時ふとフリークの顔が思い浮かんだ。
見るからに貴族という感じの彼だが、下の名前までは知らないが、どこかディアナに対して後ろめたさも感じているようにも感じられた。
「もし仮にフリーク様がレーエンスブル家の現当主として、エリサさんがそこ奥さんだったとしたら?」
なんとなく糸が繋がっていく気がした。確信的な根拠はない。だがそんな気もした。そうなるとエリサかどうかは置いおいて、貴族娘が家出をしたり、駆け落ちをしたという噂が本当だとした場合、一体どうしてそんな事をしたのかと疑問を抱いた。
「無理に問いただすのは嫌だけど……」
どうしてま心の中がモヤモヤして晴れない。確認の為にも今夜聞いてみよう。そう思ったディアナは仕事を終えて帰宅する。
ディアナが働きに出てから家にはエリサがいてくれているので、マルタの事も任せっきりでつい遅くなってしまう。
一緒にいる時間が減った事で、寂しい思いをさせているのはわかっているが、働いて賃金は稼がないといけない。毎度申し訳なさを感じながらも家に入った。
「ただいま。マルタ、エリサさん夕食の準備をしま……す……」
ディアナはそこにいた人物を見て驚いた。
「マルタは帰ってから疲れていたのか、今は寝ている」
「フリーク様……どうして?」
この数ヶ月会う事がなかった相手の突然の訪問に驚いた。だが直ぐにハッとなって家の中を見渡した。
「ディアナ!どうしたんだ」
「エリサさんは?エリサさんは知りませんか?」
「エリサ?どうしてディアナがエリサを知ってるんだ?」
「えっ?どういう事?」
なんだか話の辻褄が合わない。しかし本人がいるならはっきりとさせようと思った。
「貴方はレーエンスブル家の現当主なのですか?」
その問いにフリークはしばらくして「あぁ」と答えた。
「それじゃあ、エリサさんは貴方の奥さんですか?」
「……ああ。今のところは……」
それを聞いてなんだかスッキリした。もしフリークが来た事でエリサがまたいなくなったのだと思った。しかしその気配はない。だとしたら何故。
「ここに貴方の奥さんがいたの。けど貴方が来たからいなくなったかと思って……」
「エリサがここにいた?」
「はい。でもどうして?もう臨月だって言うのに……」
その言葉に今度はフリークがディアナに疑問をぶつけた。
「臨月?どう言う事だ?」
「もしエリサさんが今噂の家出中の貴族様だとして、あながち間違いでもなさそうなのよね」
出会った時の服装や所作、家事など何一つとして出来ないところなど、大切に育てられたお嬢さんだとわかる。だがディアナの中にある疑問はここからだ。
「エリサさんが言われているレーエンスブル家の夫人だとしたら……」
貴族間で出回る噂が市民に流れるとしてもごく一部の内容だ。だが確信として持てる内容もいくつかはある。
新聞自体は読まないが、話として聞いたのはレーエンスブル家の抱える事業のいくつかが民間にうつり、当主交代、新しい当主の屋敷は売りに出された。実質名ばかりの貴族となったと言うのは知っている。
「あの人の働いていた取引先の大口もたしかレーエンスブル家だった気も……」
かつて夫が働いていた配管工の取引先はそんな名前だったような気もする。その時ふとフリークの顔が思い浮かんだ。
見るからに貴族という感じの彼だが、下の名前までは知らないが、どこかディアナに対して後ろめたさも感じているようにも感じられた。
「もし仮にフリーク様がレーエンスブル家の現当主として、エリサさんがそこ奥さんだったとしたら?」
なんとなく糸が繋がっていく気がした。確信的な根拠はない。だがそんな気もした。そうなるとエリサかどうかは置いおいて、貴族娘が家出をしたり、駆け落ちをしたという噂が本当だとした場合、一体どうしてそんな事をしたのかと疑問を抱いた。
「無理に問いただすのは嫌だけど……」
どうしてま心の中がモヤモヤして晴れない。確認の為にも今夜聞いてみよう。そう思ったディアナは仕事を終えて帰宅する。
ディアナが働きに出てから家にはエリサがいてくれているので、マルタの事も任せっきりでつい遅くなってしまう。
一緒にいる時間が減った事で、寂しい思いをさせているのはわかっているが、働いて賃金は稼がないといけない。毎度申し訳なさを感じながらも家に入った。
「ただいま。マルタ、エリサさん夕食の準備をしま……す……」
ディアナはそこにいた人物を見て驚いた。
「マルタは帰ってから疲れていたのか、今は寝ている」
「フリーク様……どうして?」
この数ヶ月会う事がなかった相手の突然の訪問に驚いた。だが直ぐにハッとなって家の中を見渡した。
「ディアナ!どうしたんだ」
「エリサさんは?エリサさんは知りませんか?」
「エリサ?どうしてディアナがエリサを知ってるんだ?」
「えっ?どういう事?」
なんだか話の辻褄が合わない。しかし本人がいるならはっきりとさせようと思った。
「貴方はレーエンスブル家の現当主なのですか?」
その問いにフリークはしばらくして「あぁ」と答えた。
「それじゃあ、エリサさんは貴方の奥さんですか?」
「……ああ。今のところは……」
それを聞いてなんだかスッキリした。もしフリークが来た事でエリサがまたいなくなったのだと思った。しかしその気配はない。だとしたら何故。
「ここに貴方の奥さんがいたの。けど貴方が来たからいなくなったかと思って……」
「エリサがここにいた?」
「はい。でもどうして?もう臨月だって言うのに……」
その言葉に今度はフリークがディアナに疑問をぶつけた。
「臨月?どう言う事だ?」
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ナタリーの騎士 ~婚約者の彼女が突然聖女の力に目覚めました~
りつ
恋愛
リアンは幼馴染のナタリーに昔から淡い恋心を抱いていた。それは彼が成長して、王女殿下の護衛騎士となっても変わりはしなかった。両親や王女に反対されても、ナタリーと結婚したい、ずっと一緒にいたい……そう願い続けた彼の望みはようやく叶い、ナタリーと婚約することができた。あと少しで彼女は自分の妻となる。そう思っていたリアンだが、ある日ナタリーが王女に呼ばれ……
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
姉の婚約者と結婚しました。
黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。
式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。
今さら式を中止にするとは言えない。
そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか!
姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。
これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。
それどころか指一本触れてこない。
「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」
ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。
2022/4/8
番外編完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる