聖女陥落〜この恋は罪ですか?〜

まぁ

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 夕方を過ぎた頃、その訪問者は突然やって来た。
「セリカ様。お客様がお見えになっておりますが……」
 夕食時に侍女がセリカに耳打ちしたので、一体何かと思った。
「こんな時間に?一体誰なの……」
「それが……」
 何やら言いにくそうな侍女。だがその名前を聞いてセリカは夕食を切り上げて訪問者の待つ応接室へと向かう事にした。


「一体この時間に何の用ですか?フリーク様」
 毅然とした態度はそのままだが、今までのフリークとは違い、今のフリークは事業立て直しに生を燃やす青年といった感じだが、今日のフリークからはそんな余裕すらも感じなかった。
「お前は知っていたのだろう?エリサが妊娠しているのを……」
「……突然来たと思えば、第一声はそれですか?」
 どこからその話を聞いたのかと思ったが、まさか当本人に知られたとなっては真実を話さなくてはいけないだろう。
「私は真実を聞きに来たのだ。いいから教えろ」
「人にものを聞く態度ではないですが……まぁ、貴方と一番関わりのある話ですからね。いいでしょう」
 スッと椅子に腰を落としたセリカは、侍女に茶の用意をさせた。フリークにも座る様に促し、腰を据えて話す事になった。
「簡単に言えばエリサの中にいる子供の父親は貴方です。フリーク様」
「……やはりあの時のか……」
 セリカの言葉に納得を見せたフリーク。どうやら初めからそうではないかと思っていたのだろう。
「それで?貴方は誰からその事を聞いたのですか?」
「逆に聞く。この事を知っているのは誰だ?この屋敷の人間は知っているだろうが、長女のオルカも知っているのか?」
「そうですね。まずこの事を知ったはオルカお姉様です」
 それを聞いて少々気まずそうな表情を見せるフリーク。どうやらフリークとしても厳格なオルカは苦手で、一番知られるに嫌な人物だったのだろう。
「それで?他には?」
「他は……ルディア―ス卿です……」
 何故父親である自分より先に他の男が事情を知っているのだと言わんばかりの表情を見せるフリークだが、マルディアスが知った経緯は、知ったと言うより当てられたという方が正しいのだ。
「その反応からすると、聞いたのはルディア―ス卿ではなさそうですね」
「あぁ。エリサが逗留していた先の者から聞いた」
 逗留先。つまりマルディアスが言っていた人物の家だろう。だがどうしてその家をフリークが訪ねるのか。たまたまエリサの所在を知って訪ねたわけではない。前から噂されていたフリークの想い人の家。それがエリサが逗留していた場所なのだとセリカは気が付いた。
(どうして貴女はそんな奇数な運命を辿るのかしら?)
 想い人の家に逗留した経緯は知らないが、エリサ自身がその事に気が付いていないわけではない。どんな気持ちでそこにいたのか想像も出来ない。
「それで……エリサの妊娠を確かめる為にここに来られたのですか?そうだとするとエリサは一緒ではないのですか?」
「エリサは私が行った時にはすでにいなかった。入れ違いなのか、私の前に訪ねて来た人物がいたのかもしれない」
「訪ねて来た人物……?」
 エリサが逗留している場所を知る人物はマルディアスしかいない。知らない人物が来たとしても、エリサは家主がいないからと帰すだろうが、そうせず自分も消えた。だとしたらマルディアスしかいない。それを知った瞬間にセリカの表情が曇った。
「どうやら訪ねて来た人物に心当たりがあるようだな。まぁ、私も誰か想像は出来るが……」
「えぇ……けど、その人物だとしたら、エリサが危ないわ……」
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