聖女陥落〜この恋は罪ですか?〜

まぁ

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「マルディアス様!マルディアス様!」
 いつ現れたのか。どうして自分をかばったりしたのか。一瞬の事で頭が混乱したエリサは、マルディアスを抱きとめる。幸いなのかわからないが、マルディアスはナイフを背中から受けている。おそらく前からだったらと、想像した瞬間恐怖に襲われた。
「どうして……どうしてマルディアスが……」
 混乱しているのはフェリシアも同じのようだ。
 するとどこからか声が聞こえて来た。ようやく迎えの馬車が来たのだろう。数人の男が慌ててやって来る。中には警官らしき人物も含まれている。
「エリサ様!ご無事ですか?」
「それよりもマルディアス様を!早く病院に連れて行って!」
 馬夫は慌てるエリサに対し「了解しました」と言って、辛うじて意識のあるマルディアスを連れてその場を後にした。


 閉園後に起きた事件は翌日大きな話題となる。もちろん園はしばらくの間は休園となった。そしてフェリシアはそのまま殺人容疑などで逮捕された。精神異常なども見られる事から、病院で検査などをするそうだ。
 事件を聞いたフェリシアの両親は大変ショックを受けているようだ。離婚の悲劇から一転。娘が殺人犯になったのだ。これでフェリシアの家が没落するのは目に見える。
 そしてエリサはあの後、警察の聴取などを受けた後にすぐに病院へ向かった。
 やはり背中から刺されただけあって、命には別状はないようだ。エリサが向かった時には麻酔で眠っていた。その日は側にいたマルディアスの秘書と少し話をしたくらいだ。
「とりあえず、エリサさんに何もなくてよかったわ」
 エデンワースの屋敷に招かれていたディアナ。外に出るにはまだマスコミや情報屋などの目もある。姉セリカに許可をもらいディアナを屋敷に連れて来たのだ。
「本当……あの日はいろいろとありすぎて寿命が縮まったわ」
「それは自分が殺さるかもしれないとなればそうなるでしょ。でもなんとも呆気ない幕引きになったわね」
 客間で話す二人の前に出された紅茶。それを手にしたディアナは「あ、これ美味しい」などと言って、いつもと変わらない姿を見せてくれた。それだけでもエリサは日常に戻ったのだと思った。
「けど、これで本当に良かったかと思ってます」
「どうして?」
「誰かが傷つく結末があるなんて想像も出来なかったし……それに」
「ねぇエリサさん。私思うのだけど、遅かれ早かれこうなるんじゃなかったかしら?相手の女性はちょっとおかしくなってたんでしょ?ならいつ起こってもおかしくなかったと私は思うわ」
 そこにマルディアスが入り込むかどうか別にして、フェリシアが行動に移すのは必然だったのだとディアナは言う。それを聞いてエリサは大きく息を飲んだ。
「もしそうだとしても……他に方法はなかったのかしら?」
「それこそ難しいんじゃない?相手の目的はエリサさんの殺害なわけだし、それを遂行するまで、彼女の心は満たされないはずよ」
 起きてしまった事を悔やんでも仕方ない。だが今回起きた事件でエリサ自身の心にある事が定まっていた。
「ディアナさん……私、やはりマルディアス様の事を今も愛しています」
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