心を閉ざした財閥令嬢と話し相手になった庶民?の俺が婚約する話 作者 半魚人

半魚人

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第一章

第6話 北条一家と朝食

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 "……ン"



 「……ま?」



 "…コン"



 「…様」



 どこからか聞こえる物音によって修はうなされゴロゴロと寝返りを打つ。



 "コンコン"



 「如月様?朝食のお時間なのですが?」



 眠りが浅くなってきていた所にさらに追い討ちをかけられた修の意識は眠りの園から引き戻された。



 意識がはっきりして、ようやくメイドさんが起こしに来てくれたことに気づいた。



  「はい。おはようございます」

  「おはようございます。修様。朝食のご用意が出来ました。準備が終わりましたら食堂にいらしてください」

 「はい、すぐ行きます」



 起こしに来てくれたメイドさんに挨拶をしてから、歯磨きと洗顔を済ませ、見苦しくない格好に着替えてから食堂に向かった。



 食堂の飛びの前にはメイドさんが立っていて扉を開けてくれた。



 中に入ると昨日と同じ所に克人さん達がすでに座っているのが見えた。



 「おはようございます。お待たせしてすみません」

 「おはよう。大丈夫だよ。さぁ座って」



 挨拶をしてから待たせてしまったことを謝ると、克人さんから座るように勧められた。



 「おはよう」

 「……」



 克人さんから座るように勧められて、昨日と同じ、すなわち北条さんの隣の席に座る前に北条さんに挨拶したのだが、当の北条さんはと言うと…本を読んでいて無視された。



 めげずにこれから毎日続けようということを決意しながら座り、克人さんが合図を出してメイドさんが持ってきた朝食を食べた。



  「修くん、今日は何か予定あるの?」



 朝食を食べている途中で翔子さんから聞かれた。



 「いえ、特に何もありませんが」



 それもそうだ。昨日この家に来たばかりで、外出する予定も金もないし、中学校を卒業したから、宿題もない。



  「そうね。じゃあ今日はこの家の中でも見て回ってくださいな」

  「はい」

  「あっ、梓さん修くんを案内してあげてね」

  「はい。かしこまりました奥様」



 今日は屋敷を梓さんの案内で回ることになった。



 「あっ、あと修くん」

  「はい」

  「お金が必要な時は遠慮せずに言ってね。いつでもあげるから」

  「え、いや、さすがにそれは」

  「でも、お金が必要な時どうするの?」

  「え、それはバイトとかで…」

  「それはダメだ!」

  「克人さん?」



 俺がお金はさすがに貰う訳にはいかず、バイトすると言った時、勢いよく却下したのは翔子さんではなく、克人さんだった。



 「そんなこと君にさせたら、あいつに弱みを握られる。だからやめてくれ!欲しいものは何でもあげるから!」

 「は、はい!」



 克人さんの見たことない勢いに気圧されて、つい了解してしまった。

 翔子さんも克人さんの勢いに驚いている。

 隣をチラッと見ると北条さんも自分の父親の勢いに一瞬驚いていたがすぐに朝食に戻った



 と言うか父さん。一体何をして克人さんをこんなに恐れさせたのさ。は~。



 自分の父親の今も昔も変わらぬ性格の悪さに呆れ、さっさと朝食を済ませるのであった。



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