女子高校生は不良(バカ)が悶絶するまで肝臓を殴るのをやめない

未定

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副部長

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「ふうっ……」

「すご~いっ!」

 牡丹ちゃんが、感嘆し――

「がとつぜろしきって何?」

 椿ちゃんが疑問を口にする。

「えへへ、必殺技♪」

 うん、とっさに叫んじゃったけど。
 めちゃくちゃ決まったと思う。
 たまたま、動きが漫画みたいになったから叫んだだけで、必殺技でもなんでもないけどね。

「自分で言うのダサくない?」

 冷静な感じで、椿ちゃんが突っ込んでくる。

「勝ったんだから、そういう事言わないでっ!」

 もうっ! 恥ずかしくなってきたじゃないっ!

――ん? 妙に静かだな……

 さっきまで熱狂していた男子部員が静まり返っている。
 倒れた男子が、動かないからだ。
 完全に失神してる……

「……大丈夫かな。あの人……」

 心配そうに牡丹ちゃんが呟き――

「自業自得でしょ」

 椿ちゃんが冷たく言い放つ。
 そりゃ、おじぎしたところにアッパーを打つなんて不良バカを通り越して、外道クズのすることだもんね。
 おやっ? 次が上がってこない――

「次は誰?」

 あたしは、次の対戦相手を要求した。
 男子部員達の殺気だった視線が再びあたしに集中する。

「ねえさやちゃん。まだ続けるつもり?」

 牡丹ちゃんが心配そうに尋ねてくる。

「当たり前よっ!」

 あたしはそれに元気一杯で返す、心配させないために。

「でも、もう次で5人目だよ?」

「あたしは12R 戦える、まだまだ全然、余裕余裕♪」

「12R? 高校のボクシングは3R制よ?」

「えっ!? そうなの?」

「知らなかったの? 12Rなのは男子でプロボクシングでさらに世界戦の話よ?」

――そうなんだ、へえぇ~……
  師匠めっ! 恥かいたじゃない。

 椿ちゃんはボクシングに詳しそう。
 その時、明らかに顔つきが変わっている部員がいた。
 一番奥で腕を組み、強者感だしている奴。おそらく部長だろうな。
 そして、顔つきが変わったってことは、ひょっとして世界を目指しているってこと?
 その部長らしき男子部員が動こうとした時、それを遮るようにしてもう一人の部員が口を開いた。

「俺が行きます」

 そう言って、一人の部員がリングへと上がる。
 他の不良バカ感満載の部員と違って、少し知的な感じがした。
 髪の毛は染めていないし、ピアスをつけていた跡もない。
 優等生という感じで、学業もできそうな雰囲気がある。
 後で知ったけど、彼はボクシング部の副部長で名は『東村 隼人』という。

「それでは、お願いします」

 さっきの外道クズもどきと違って、礼儀正しくお辞儀してくる。

「あ、はい、お願いします」

 こちらもぺこりとお時儀。
 釣られてお時儀してしまい、一瞬、これを狙っていたのか? と不安になったが、いきなり攻撃してくるような真似はせず。
 顔を上げると、少しだけニコりと笑った。

――ほっ……よかった。まともな部員もいて。

 ゴングが鳴り、グラブとグラブを合わせて、スパーリング開始。
 相手は、ジャブを放つが明らかに本気で打ってはこない。
 師匠が言ってたけど、スパーリングにも色々あって、これは相手を傷つけない範囲で行う実践形式の練習でマススパーリングという奴に近いと思う。
 無論、相手がそういう感じでくるなら、こちらもそれに合わせるだけ。
 あたしはあたしで、マススパーリングとして臨んだ。
 互いに、倒そうとしていないため、順調に時間が経過し、3分3Rはあっという間に終わった。

「ありがとうございました」

 副部長さんは、あたしにお時儀と言葉を返し――

「ありがとうございました」

 あたしもそれに言葉とおじぎを返す。
 殺気だった空気が少し和んだようだ。

――ありがとう。知的な部員さん。
  きっと、この殺気だった空気を、少し緩和させたくて、今のスパーは互いの顔を立てるためにやったのはわかる。

 男子部員達は、少しはあたしを見直すような空気になりつつあったが。
 でもそれじゃ駄目……その戦果じゃあ、あたしは納得しない。
 そもそも、先生が女子を無くすというのは、5割は偏見だろうけど、練習場の規模の問題もある。
 部員が練習場に対して多すぎるのだ。
 だから、先生は女子を排除して、かわいい男子部員達のために少しでも練習場を確保したいといったところだろう。
 先生の考えもわかる。
 でも、だからといって、おめおめと引き下がる気はあたしにはない。

「次は誰? あたし、まだまだ全然いけるけど~?」

 再び、男子部員達の顔が険しくなってくる。
 とはいえ、知的な部員さんはこの部ではかなりの実力者らしく、スパーリングを見て、勝てない相手と悟っているのがわかった。
 誰も手を上げようとせず、沈黙が続く――
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