汝、玉を秘めしモノよ

空夜時音

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宿るモノ

芽生えた小さな芽

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姫はその出来事が次々と襲いかかる中で、ある決断をしたのです。

「この出来事の根源は我が心。
ならば、私は心を逃しましょう。
そしていづれ訪れるモノを迎える為に私は雲り無き眼で人を見つめましょう。」


そういうと、姫は多数の玉に己の心を封じ込め。


静かに死んでしまったのだそうだ。







その話を聞き終わると祖父母は言った。

「可愛い孫や、お前はもしかしたら姫様の様に全てを見極める為に生まれたのかも知れない。
だから、お前はお前のままでいいんだよ。」

その心からの言葉は私のない筈と胸にトクンと響いた。


まるで泉に小さな石が投げ込まれた様に。


この変化が私を少しだが変えた。


今まで興味もなかった。

私自身。

私はその時初めて心を認識した。


小さな芽の心を。
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