私が死んだからって「彼のことは私に任せて!」とか勝手に言わないでよ!?

アニッキーブラッザー

文字の大きさ
3 / 5

3

しおりを挟む

「先輩はステキな人……いつか立ち直って……新しい恋を見つけるかもしれない。でも、姉さん以外の人が隣になんて……私……嫌なの。だから……私が先輩の隣に立つから!」

 
 いや、いやいやいやいやいや? え? 
 まさかの最愛の妹からの彼氏寝取り宣言? 
 いや、私はヴェリュートくんと寝たことないけども、えええ!?
 システィアがヴェリュートくん好きだったってだけで驚いたのに、まさかの恋人になる宣言?



「姉さん、私はもう行くね。……走ればまだ先輩に追いつけるかな? 私、頑張るから! 先輩は私に任せてね!」

『いや、え、あの、ちょっと待って! いや、うん、確かにそれはそうなんだけど、まだ死にたてほやほやな私にそんなこと言われても気持ちが複雑すぎて……システィアァァァァ!!』


 そして、私がどれだけ声を上げてもシスティアに届くことはなく、システィアは走って……ん?

「あら? システィア……」
「あ……え? あ……デイレさん……」

 あ……我が親友のデイレちゃん!
 学園一の優等生にして女帝。だけど、誰にでも分け隔てなく優しくて、私の小さいころからの親友。
 いつも「デイレちゃんを見習いなさい」とかって言われてたけど、それが悔しくないくらい大好きな私の親友。

「クロミナにお花……いいかしら?」
「……はい……わざわざありがとうございます」
「……ええ……」

 そういえば、システィアにとってもデイレちゃんは幼馴染だけど、私がいないとあんま二人で一緒にいるところは見なかったかな。
 なんだか気まずそうな雰囲気……そりゃそうか……

「……あ……その、私……」
「ふふふ、いいのよ。私もちょっとクロミナと話だけして学校行くから、あなたは先に……ね?」
「……はい……」
「あなたもしっかりと……いえ、私もね……」

 嗚呼……いつも自信に満ち溢れ、威風堂々とか無敵の女王様とかそんな感じのデイレちゃんまでこんな弱々しく笑うなんて……
 なんか、私が死んじゃってから、ほんと色々な人に……

「おはよう、クロミナ。妹を泣かせて……ほんっと、お姉ちゃん失格ね、あなたは」

 システィアを見送ってから、一人になって私のお墓にデコピンするデイレちゃん。
 はい、反省です。
 でも、どうしようもないんだけどね……どうしようもなかったし……

「ヴェリュートくんのこともね……」
『うん……』

 そうだね、デイレちゃん。私もそのことを身に染みて分かっているよ。


「あなたバカよ……バカよ……この私を差し置いて、ヴェリュートくんの彼氏になったくせに……私も……あなたならって……諦められたのに……」

『うん………………ふぁ?』

「何がヴェリュートくんのことを頼むよ……あなた……私の気持ちを……私もヴェリュートくんのことを好きだってことを知っていて、あとを託したっていうの?」

『ぬわんだってええええええ!? うそおおおおおお!?』


 いやいやいやいや、ええええ!? これまで数多くの男子生徒に告白されてもことごとく迎撃した、迎撃無敵浮沈の女帝でもあるデイレちゃんが、ヴェリュートくんのこと好きだったの!?
 っていうか、デイレちゃん「も」!?


「ふざけないでよ……なんて遺言よ……それがどれだけ残酷なことだと……」

『いやいや、ほんとそんなつもりじゃなかったんだって。つか、知らなかったし! 私はただト・モ・ダ・チとしてヴェリュートくんを支えてと……』

「でも、いいわ。あなたの親友として……あなたの最後の望みを受け取ったわ。私が彼を支えるわ。悲しみの淵から救い出してみせるわ。彼を生涯に渡って幸せにしてみせるわ……新しい彼のパートナーとして!」

『なんか、メッチャ男前な発言されたけど、なんでさあああああ!?』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です

くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」 身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。 期間は卒業まで。 彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた

小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。 7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。 ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。 ※よくある話で設定はゆるいです。 誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...