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第31話 皇女の悪だくみ
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ラヴィーネは真面目だった。
真剣な眼差しで皆に提案する。
「あやつは、アマンスを救うためなら協力をしてくれるはずだ!」
だが、誰もがポカンとしていた。
そして……
「いやいやいやいやいや!」
「それはありえねーっす!」
銀翼隊から一斉にツッコミが入った。
だが、ラヴィーネはさらに言葉を重ねる。
「私は騎士としての誇りにかけて、アマンスのために協力するように頼む!」
「「「「「頼むッて!」」」」」
全員が声を揃えた。
「いやいやいやいやいや、そんなん無理だって!」
「そもそも、ソロールはあなたのことが大嫌いなんですよ? そんな相手を前にして素直に協力してくれるわけがないでしょう!」
「しかも、あいつらが隠密で潜入しているのは、俺たちの誰一人にも悟られていないってことでしょう? そんな奴らにどうやって声を掛けるんすか!? それに、アマンスのために何を協力してくれるんっすか!?」
「ッ……」
ラヴィーネは一瞬口ごもったが、すぐに言葉を返した。
「とにかく! 私は彼女に直接会って話すつもりだ!」
そう言って、彼女は席を立つ。
そして、そのままドアへと向かう。
「ちょ、ちょっと隊長!」
「どこに行くんすか!?」
「ソロールを探しに出る!」
「「「いやいやいやいやいやいや!」」」
「どっちにしても、どこにいるか分かんないですよ!」
「それでも探す!」
そう言って、彼女は扉に手をかける。
だが、その前にセラフィナの声が響いた。
「やめなさい、ラヴィーネ」
「ッ……」
ラヴィーネは立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
「あなたらしくないわね。冷静沈着、智と武を兼ね備えたあなたが随分と脳筋なアイディアと行動を取ろうとしているものね」
「ッ、そ、それは……」
「それに、先ほど言ったとおり、彼女の兄の仇であるあなたに対して素直に話を聞いてくれるとは思えませんわ」
「…………」
「それに、騎士の誇りにかけて説得する? どの口が言うのかしら。騎士の誇りを穢した者たちの言葉は、余計にその女を激昂させるだけだわ。おばかさん」
「うっ、つ、ひ、姫様……」
流石のラヴィーネもセラフィナに言われてしまえば引き下がらざるを得ない。
だが、それでもラヴィーネの目にはまだ強い決意が宿っていた。
するとセラフィナは優しく微笑みながら……
「だから、こういうのはどうかしら? 話をするのも、説得をすることも不可能……ならば……交換条件での交渉をするのはいかがかしら?」
「「「「えっ……」」」」
セラフィナのその言葉にラヴィーネたちは何のことか分からず首を傾げる。
さらに……
「それと、ソロールを探す必要もありませんわ」
セラフィナの表情はゾッとするほどの悪だくみの笑みで……
「探さず……餌を巻いて誘き寄せればいい。ただそれだけですわ」
「「「「ッッ……」」」」
セラフィナのその笑みにラヴィーネたち銀翼隊は背筋を凍らせた。
そして、帝都の大通りで、馬車に乗ったセラフィナがまるでパレードをしているかのようにド派手に声を上げる。
「おーっほっほっほ、今日こそ倒しますわ、王国の騎士アマンスを! 戦紋盤の腕前ならば王国随一とのこと! なればこそ、天下において無双の強さを誇る私の相手に不足ありませんわ! さあ、馬車よ、アマンスが収容されている東地区の軍事施設までこの皇女セラフィナを乗せて行きなさい!」
「「「「……………」」」」
セラフィナのパレードに人々が何事かと目を向ける。
「見て見て、セラフィナ様よ」
「ああ、今日もお美しい」
「しかし、相変わらず派手な……」
「それにしても、アマンスって、この間ラヴィーネ様が討った王国の騎士だろ?」
「そうそう、捕虜になって牢屋に入ってるんだよな」
「それがどうしてまたセラフィナ様が?」
「さあ、でもセラフィナ様が言ってるんだから、何かあるんじゃない?」
「まあ、セラフィナ様だしな」
そう、帝都の民はセラフィナの破天荒っぷりに慣れ切っており、セラフィナが何か言っていればそういうものだと思い込むようにしていた。
そんな民衆たちを尻目にセラフィナは馬車の窓から身を乗り出して更に声を張り上げた。
そんな中で銀翼隊の面々は苦笑しながら、その馬車を守るように周囲を歩いた。
そして、その後方で馬車を引く馬に乗りながら、ラヴィーネは呆れた様子でため息をついた。
だが、一方でこの作戦は確かに効果的ではあるということも感じていた。
(……餌にするにも限度があるだろう……姫様……まさか、アマンスの捕らわれている牢の場所を大々的に宣言するとは……だが、これで流石にアマンスの腹心たちの耳に入るはず……少々わざとらしいかもしれないが、セラフィナ皇女という御方ならば、こういうことをすることもあり得る御方ということで……きっと信じるはず)
そう考えて、ラヴィーネは苦笑を浮かべた。
「あとは、待つだけ……人通りも少ない夜に、奴らは現れるはず」
ラヴィーネは静かに夜を待ち、そしてその夜に東地区の軍事施設にてセラフィナを送り届ける。
真剣な眼差しで皆に提案する。
「あやつは、アマンスを救うためなら協力をしてくれるはずだ!」
だが、誰もがポカンとしていた。
そして……
「いやいやいやいやいや!」
「それはありえねーっす!」
銀翼隊から一斉にツッコミが入った。
だが、ラヴィーネはさらに言葉を重ねる。
「私は騎士としての誇りにかけて、アマンスのために協力するように頼む!」
「「「「「頼むッて!」」」」」
全員が声を揃えた。
「いやいやいやいやいや、そんなん無理だって!」
「そもそも、ソロールはあなたのことが大嫌いなんですよ? そんな相手を前にして素直に協力してくれるわけがないでしょう!」
「しかも、あいつらが隠密で潜入しているのは、俺たちの誰一人にも悟られていないってことでしょう? そんな奴らにどうやって声を掛けるんすか!? それに、アマンスのために何を協力してくれるんっすか!?」
「ッ……」
ラヴィーネは一瞬口ごもったが、すぐに言葉を返した。
「とにかく! 私は彼女に直接会って話すつもりだ!」
そう言って、彼女は席を立つ。
そして、そのままドアへと向かう。
「ちょ、ちょっと隊長!」
「どこに行くんすか!?」
「ソロールを探しに出る!」
「「「いやいやいやいやいやいや!」」」
「どっちにしても、どこにいるか分かんないですよ!」
「それでも探す!」
そう言って、彼女は扉に手をかける。
だが、その前にセラフィナの声が響いた。
「やめなさい、ラヴィーネ」
「ッ……」
ラヴィーネは立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
「あなたらしくないわね。冷静沈着、智と武を兼ね備えたあなたが随分と脳筋なアイディアと行動を取ろうとしているものね」
「ッ、そ、それは……」
「それに、先ほど言ったとおり、彼女の兄の仇であるあなたに対して素直に話を聞いてくれるとは思えませんわ」
「…………」
「それに、騎士の誇りにかけて説得する? どの口が言うのかしら。騎士の誇りを穢した者たちの言葉は、余計にその女を激昂させるだけだわ。おばかさん」
「うっ、つ、ひ、姫様……」
流石のラヴィーネもセラフィナに言われてしまえば引き下がらざるを得ない。
だが、それでもラヴィーネの目にはまだ強い決意が宿っていた。
するとセラフィナは優しく微笑みながら……
「だから、こういうのはどうかしら? 話をするのも、説得をすることも不可能……ならば……交換条件での交渉をするのはいかがかしら?」
「「「「えっ……」」」」
セラフィナのその言葉にラヴィーネたちは何のことか分からず首を傾げる。
さらに……
「それと、ソロールを探す必要もありませんわ」
セラフィナの表情はゾッとするほどの悪だくみの笑みで……
「探さず……餌を巻いて誘き寄せればいい。ただそれだけですわ」
「「「「ッッ……」」」」
セラフィナのその笑みにラヴィーネたち銀翼隊は背筋を凍らせた。
そして、帝都の大通りで、馬車に乗ったセラフィナがまるでパレードをしているかのようにド派手に声を上げる。
「おーっほっほっほ、今日こそ倒しますわ、王国の騎士アマンスを! 戦紋盤の腕前ならば王国随一とのこと! なればこそ、天下において無双の強さを誇る私の相手に不足ありませんわ! さあ、馬車よ、アマンスが収容されている東地区の軍事施設までこの皇女セラフィナを乗せて行きなさい!」
「「「「……………」」」」
セラフィナのパレードに人々が何事かと目を向ける。
「見て見て、セラフィナ様よ」
「ああ、今日もお美しい」
「しかし、相変わらず派手な……」
「それにしても、アマンスって、この間ラヴィーネ様が討った王国の騎士だろ?」
「そうそう、捕虜になって牢屋に入ってるんだよな」
「それがどうしてまたセラフィナ様が?」
「さあ、でもセラフィナ様が言ってるんだから、何かあるんじゃない?」
「まあ、セラフィナ様だしな」
そう、帝都の民はセラフィナの破天荒っぷりに慣れ切っており、セラフィナが何か言っていればそういうものだと思い込むようにしていた。
そんな民衆たちを尻目にセラフィナは馬車の窓から身を乗り出して更に声を張り上げた。
そんな中で銀翼隊の面々は苦笑しながら、その馬車を守るように周囲を歩いた。
そして、その後方で馬車を引く馬に乗りながら、ラヴィーネは呆れた様子でため息をついた。
だが、一方でこの作戦は確かに効果的ではあるということも感じていた。
(……餌にするにも限度があるだろう……姫様……まさか、アマンスの捕らわれている牢の場所を大々的に宣言するとは……だが、これで流石にアマンスの腹心たちの耳に入るはず……少々わざとらしいかもしれないが、セラフィナ皇女という御方ならば、こういうことをすることもあり得る御方ということで……きっと信じるはず)
そう考えて、ラヴィーネは苦笑を浮かべた。
「あとは、待つだけ……人通りも少ない夜に、奴らは現れるはず」
ラヴィーネは静かに夜を待ち、そしてその夜に東地区の軍事施設にてセラフィナを送り届ける。
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