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第1章
08 剣戟
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「……を放せ!」
何か外で声が聞こえる。その声で俺は目を覚ました。
外で何かやってるのだろうか。
俺は布団から起き上がる。
そして、ジェイルさんに借りた服を脱ぎ、自分の服へ着替た。
と同時に、ドンという音が家に響く。
何かがこの家にぶつかった音のようだ。
……とりあえず外へ見に行ってみよう。
俺はドアを開け、外を見渡そうとしたが、途中で動きを止める。
「ジェイルさん? どうしたんです!?」
なんと、ジェイルさんが家の壁にもたれかかって倒れていたのだ。
「レヴィ……が」
レヴィ!? 俺は向かいのレヴィの家を一瞥する。
扉は開け放たれていた。
「レヴィが連れていかれてしまった……」
連れていかれた!? まさか報酬目当ての奴が……?
「そいつらはどっちに行ったんです!?」
ジェイルおじさんは東側を指さした。
ジェイルおじさんはそれっきり気を失ってしまったらしいが、俺は構わず走り出した。
人一人を連れて歩いているんだ。
そう遠くには行ってないはず。まだ急げば間に合う!
〇△〇
案の定、レヴィとレヴィを連れ去ったであろう2人組はすぐに見つかった。
二人組は切れ長の目をした細身の女、そして無精ひげを生やした40代程度のおっさんだ。
「レヴィ!!」
「な、なんで……」
レヴィは驚いた顔をしていた。
「助けに来たぞ」
「に、逃げろ! 奴らはお前が勝てるような相手じゃない!」
と、叫ぶレヴィ。
「昨日言っただろ、また助けてやるってさ」
と言い、俺はニカッと笑った。
「馬鹿が……」
と言いながら、少し頬を緩めるレヴィ。
「おいおい、ラブドラマはそこまでにしておけよ」
男の方が言い放つ。
「悪は私が排除します」
と、二人組の内、細身の女が剣を持って突撃してきた。
「悪だぁ? っておいおいいきなり、剣を人に向けるかよ」
俺も慌てて、剣を抜く。対人戦は初めてだし、こいつらのレベルもまだわからない。
だが、やるしかない、
「ふっ!」
と、女は上段切りを俺は下から剣で弾き返す。女は反動とともに、後ろに仰け反った。
が、俺には何の反動もない。
どうやら、女の力自体はそこまで強くないようだ。
「セァァァ!」
俺は気合いを迸らせつつ、再度剣を振りかぶる。
狙うは……剣だ。
カァン!
俺の狙い通り、女の剣は手から離れ……はしなかったが、さらに大きく仰け反らせることに成功した。
俺はすかさず、横っ腹めがけて剣を振りかぶる。
が、今度は俺の剣が大きく弾かれた。
見ると、男が女と俺の間に割り込んでいた。
そしてさらに驚くことに、男は何も構えてはおらず、剣は背中に刺さったままだったのだ。
見えない壁のようなものに当たったように剣は弾かれた。
「おいおい、フィーネ。こんな相手になに手こずってんだよ。お前の固有スキル使えば一発で終わりだろうがよ」
「クリストフ、あなたが同時に攻めに行かないからでしょう」
どうやら、フィーネとかいう女、攻撃系の固有スキルを持っているらしい。それも超強力な物を。
さらにこの男、クリストフというみたいだが、見えない壁のようなもので周りを覆っている。恐らくこちらも固有スキルだろう。
レヴィは不安そうな顔でこちらを見ていた。
「そんな心配そうな顔するなよ、レヴィ。大丈夫だから」
レヴィはこくっと頷いた。
「行きます!」
「おうよ! ラブコメ野郎を叩き潰してやる!」
フィーネとクリストフは同時に俺の方へ走り込んでくる。
二人同時になんて相手できるのだろうか。
しかし、クリストフはあくまで剣を抜く気配はない。
「ハァァァ!!!」
フィーネは剣を大きく振りかぶる。気を貯めているような感じだ。あまりにも隙だらけで、つい剣を横に向け、腹を狙いにいってしまった。
カァン!
クリストフは俺とフィーネの間に入り、見えない壁を発動させる。
勢いよく放った剣は壁に弾かれ、俺の剣が後ろへと引っ張られる。
「やべ……」
俺は慌てて剣を前に引き戻す。
「セァァァッッ!!!!」
気合いを迸らせたフィーネの剣が、俺の頭上に雷のごとく降り注ぐ。
──間に合え!!
ガァァン!
剣の衝突音とは思えない凄まじい音とともに俺はその場に叩きつけられる。
幸い地面は土だったので、致命傷は逃れた。が、神経が焼き切れるのではないかというほどの痛みが俺を襲う。
あの技は尋常じゃない!
まさに、最強の盾と最強の矛。
どうしようもねぇ……。
あんな固有スキル、チートじゃないか。
ん?固有スキル?チート?あっそうだ。
「いててててて……いてぇよ! あぁぁぁ!!助けてくれよぉ!」
「は?」
俺の全力の演技に呆気に取られるクリストフ。
「まぁ私の渾身の一撃を喰らったのだから当然ですが、この男、見かけ以上に強力な剣気を持っていました。その強さだけは賞賛に値します」
と、俺の身体を起こそうとするフィーネ。
へっ、ちょろいな。
ゴォダッツ!!
俺はフィーネの手の甲に触れた。
ぴろりろん!というスキル習得音が頭の中で響く。
成功だ。
「そんなに評価するほどの男かね」
と、フィーネの反対側から俺を引っ張りあげようとするクリストフ。
もういっちょ、ゴォダッツ!
さり気なくクリストフの親指に触れた。
また、同じ音が頭の中で響く。
「あぁぁぁぁ!! ん? あっすまん、気づいたら痛み消えてたわ。てことで……まぁ、ごめん」
「はぁ?」
フィーネとクリストフは、きょとんとした顔をした。
「てことで、もっかい戦わない?」
数秒の沈黙の後、フィーネは怒りを身を震わせ始める。
「……ふざけているのですか、あなたは。もう、いいです。2度と立ち上がれないようにしてあげましょう!」
……怒らせちゃった。
「ハァァァ!!」
と、フィーネはまた気を貯め始める。
でも、残念。それ使えないんだよね。
「どっせいっ!」
俺は気の抜けた声で剣を横に振る。
「馬鹿がっ!」
と、先程のようにあいだに割り込むクリストフ。
「ハヤトだめ!!」
と、レヴィが叫んだ。
ちっちっち、大丈夫なんだなぁ……。
俺は剣でクリストフの横腹をちょびっと斬り、そのままの勢いでフィーネの剣を弾き飛ばした。
「はい、おしまい」
俺はフィーネの首元に剣を突きつける。
何か外で声が聞こえる。その声で俺は目を覚ました。
外で何かやってるのだろうか。
俺は布団から起き上がる。
そして、ジェイルさんに借りた服を脱ぎ、自分の服へ着替た。
と同時に、ドンという音が家に響く。
何かがこの家にぶつかった音のようだ。
……とりあえず外へ見に行ってみよう。
俺はドアを開け、外を見渡そうとしたが、途中で動きを止める。
「ジェイルさん? どうしたんです!?」
なんと、ジェイルさんが家の壁にもたれかかって倒れていたのだ。
「レヴィ……が」
レヴィ!? 俺は向かいのレヴィの家を一瞥する。
扉は開け放たれていた。
「レヴィが連れていかれてしまった……」
連れていかれた!? まさか報酬目当ての奴が……?
「そいつらはどっちに行ったんです!?」
ジェイルおじさんは東側を指さした。
ジェイルおじさんはそれっきり気を失ってしまったらしいが、俺は構わず走り出した。
人一人を連れて歩いているんだ。
そう遠くには行ってないはず。まだ急げば間に合う!
〇△〇
案の定、レヴィとレヴィを連れ去ったであろう2人組はすぐに見つかった。
二人組は切れ長の目をした細身の女、そして無精ひげを生やした40代程度のおっさんだ。
「レヴィ!!」
「な、なんで……」
レヴィは驚いた顔をしていた。
「助けに来たぞ」
「に、逃げろ! 奴らはお前が勝てるような相手じゃない!」
と、叫ぶレヴィ。
「昨日言っただろ、また助けてやるってさ」
と言い、俺はニカッと笑った。
「馬鹿が……」
と言いながら、少し頬を緩めるレヴィ。
「おいおい、ラブドラマはそこまでにしておけよ」
男の方が言い放つ。
「悪は私が排除します」
と、二人組の内、細身の女が剣を持って突撃してきた。
「悪だぁ? っておいおいいきなり、剣を人に向けるかよ」
俺も慌てて、剣を抜く。対人戦は初めてだし、こいつらのレベルもまだわからない。
だが、やるしかない、
「ふっ!」
と、女は上段切りを俺は下から剣で弾き返す。女は反動とともに、後ろに仰け反った。
が、俺には何の反動もない。
どうやら、女の力自体はそこまで強くないようだ。
「セァァァ!」
俺は気合いを迸らせつつ、再度剣を振りかぶる。
狙うは……剣だ。
カァン!
俺の狙い通り、女の剣は手から離れ……はしなかったが、さらに大きく仰け反らせることに成功した。
俺はすかさず、横っ腹めがけて剣を振りかぶる。
が、今度は俺の剣が大きく弾かれた。
見ると、男が女と俺の間に割り込んでいた。
そしてさらに驚くことに、男は何も構えてはおらず、剣は背中に刺さったままだったのだ。
見えない壁のようなものに当たったように剣は弾かれた。
「おいおい、フィーネ。こんな相手になに手こずってんだよ。お前の固有スキル使えば一発で終わりだろうがよ」
「クリストフ、あなたが同時に攻めに行かないからでしょう」
どうやら、フィーネとかいう女、攻撃系の固有スキルを持っているらしい。それも超強力な物を。
さらにこの男、クリストフというみたいだが、見えない壁のようなもので周りを覆っている。恐らくこちらも固有スキルだろう。
レヴィは不安そうな顔でこちらを見ていた。
「そんな心配そうな顔するなよ、レヴィ。大丈夫だから」
レヴィはこくっと頷いた。
「行きます!」
「おうよ! ラブコメ野郎を叩き潰してやる!」
フィーネとクリストフは同時に俺の方へ走り込んでくる。
二人同時になんて相手できるのだろうか。
しかし、クリストフはあくまで剣を抜く気配はない。
「ハァァァ!!!」
フィーネは剣を大きく振りかぶる。気を貯めているような感じだ。あまりにも隙だらけで、つい剣を横に向け、腹を狙いにいってしまった。
カァン!
クリストフは俺とフィーネの間に入り、見えない壁を発動させる。
勢いよく放った剣は壁に弾かれ、俺の剣が後ろへと引っ張られる。
「やべ……」
俺は慌てて剣を前に引き戻す。
「セァァァッッ!!!!」
気合いを迸らせたフィーネの剣が、俺の頭上に雷のごとく降り注ぐ。
──間に合え!!
ガァァン!
剣の衝突音とは思えない凄まじい音とともに俺はその場に叩きつけられる。
幸い地面は土だったので、致命傷は逃れた。が、神経が焼き切れるのではないかというほどの痛みが俺を襲う。
あの技は尋常じゃない!
まさに、最強の盾と最強の矛。
どうしようもねぇ……。
あんな固有スキル、チートじゃないか。
ん?固有スキル?チート?あっそうだ。
「いててててて……いてぇよ! あぁぁぁ!!助けてくれよぉ!」
「は?」
俺の全力の演技に呆気に取られるクリストフ。
「まぁ私の渾身の一撃を喰らったのだから当然ですが、この男、見かけ以上に強力な剣気を持っていました。その強さだけは賞賛に値します」
と、俺の身体を起こそうとするフィーネ。
へっ、ちょろいな。
ゴォダッツ!!
俺はフィーネの手の甲に触れた。
ぴろりろん!というスキル習得音が頭の中で響く。
成功だ。
「そんなに評価するほどの男かね」
と、フィーネの反対側から俺を引っ張りあげようとするクリストフ。
もういっちょ、ゴォダッツ!
さり気なくクリストフの親指に触れた。
また、同じ音が頭の中で響く。
「あぁぁぁぁ!! ん? あっすまん、気づいたら痛み消えてたわ。てことで……まぁ、ごめん」
「はぁ?」
フィーネとクリストフは、きょとんとした顔をした。
「てことで、もっかい戦わない?」
数秒の沈黙の後、フィーネは怒りを身を震わせ始める。
「……ふざけているのですか、あなたは。もう、いいです。2度と立ち上がれないようにしてあげましょう!」
……怒らせちゃった。
「ハァァァ!!」
と、フィーネはまた気を貯め始める。
でも、残念。それ使えないんだよね。
「どっせいっ!」
俺は気の抜けた声で剣を横に振る。
「馬鹿がっ!」
と、先程のようにあいだに割り込むクリストフ。
「ハヤトだめ!!」
と、レヴィが叫んだ。
ちっちっち、大丈夫なんだなぁ……。
俺は剣でクリストフの横腹をちょびっと斬り、そのままの勢いでフィーネの剣を弾き飛ばした。
「はい、おしまい」
俺はフィーネの首元に剣を突きつける。
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退会済ユーザのコメントです
一応、ゴーダッツからゴォダッツに変えておきました。
報告ありがとうございます。
退会済ユーザのコメントです
調べたらマジっぽいですね。
名前変えよw
ご報告ありがとうございます><
今はクエスト何かより、レベルを2000以上に上げて欲しい。ていうか、勇者のスキルは何故1個しか奪わないんですか?全部奪えば良いと思うんですけど。
レベル2000……はじめはそういう案もあったのですが、痛快な主人公無双も度が過ぎると、私の作りたい話とはかけ離れてしまうため没にしました。
しかし、今後そういう展開になる可能性もあるかもしれません^^;
スキルについて。
後々、説明する予定ですが、この世界ではスキルに二種類あります。
固有スキルはそれぞれが持つ生まれ持った才能のようなもので、それは基本レベル5時に発現する物1つだけなのです。
他にも努力によって発現させることができる通常スキルもあるのですが、それは固有スキルではないため奪えなかったのです。
正直このお話、あまり構想を練りきれておらず、至らない点も多いと思いますが、これからも何卒応援よろしくお願いします><