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第5話 『裏』の依頼・1
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これまで所内を眩しく照らしていた夕日は、ゆっくり沈み始めていた。
しんと静まり返った空気の中、優海が話し出す。
「最近、私の身の回りでおかしなことが起きていて……」
「おかしなこと?」
継は組んでいた足を組み替えると、興味を持ったのか少し前のめり気味になり、優海を見た。
「はい。先月くらいから何だか変な感じがするんです」
「先月ってことは九月だね。変な感じって、具体的には?」
優海が話した内容をノートに書き込んでいく継を見ながら、柊也も熱心に話を聞く。
優海は頷いて、さらに続けた。
「たとえば、夜に一人で歩いている時に背後に人の気配を感じることがあったりするんです。他にも肩が重いとか。最近は体調も悪くて」
話を聞きながら、柊也は優海を最初に見た時に「顔色が悪い」と思ったことを振り返る。
(だからか……)
今さらながらに納得した。
継は特段驚くこともなく、ノートにペンを走らせている。
「なるほど、心霊現象みたいってことかな。体調のことで病院には?」
「病院にも行ったんですが、原因がわからなくて。それで大学の友人に相談してみたら、ここの噂を教えてくれたんです」
「噂? そんなのあるんですか?」
これまで黙って聞いていた柊也が驚いた声を上げ、優海に視線を向けた。
普段は口の悪い柊也だが、他人の前できちんと敬語を使うことくらいはできる。ちなみに継に対しては論外だ。
「『表』は『何でも屋』だけど、『裏』では『祓い屋』をやってるってやつだよね。今までいくつか受けてきた依頼があるから、その辺りから広まってるみたいだよ」
手を止めた継が端的に教えてくれた。優海も無言で頷く。
「へえー」
これまで知らなかった事実に、柊也は思わず声を漏らした。
柊也がアルバイトとして雇われてから約半年、『祓い屋』としての依頼は受けたことがなかったので、そのような噂があることも知らなかったのだ。
そこで、継が一つ咳払いをする。
「でも、僕のところは慈善事業じゃないから、『裏』の依頼料は高いよ?」
継の真剣な言葉に、柊也は周りの空気が一気に冷えた気がした。きっとそれは優海も同じだっただろう。
優海はまっすぐに継の顔を見つめる。
「わかってます。何年かかってもきちんと払いますから、お願いします。もし何もなければ『たまたまだったんだ』って安心できますから」
緊張の滲んだ声でそう紡ぎ、膝の上に置いた両手をぐっと強く握りしめた。
「それは確かにわかるよ。もし病気だったとしても、病名や原因がはっきりしないとすっきりしないからね」
継の同意に、柊也も隣で納得しながら頷く。
原因がわからないものは対処のしようがなく、一番困るものだ。
「そうなんです。だからどうかお願いします!」
優海が深々と頭を下げる。
「まあ、だったらいいよ。本当に『裏』かどうかは実際に調査してみないとわからないけど」
「ありがとうございます!」
継が発した了承の言葉に、顔を上げた優海の表情がぱっと明るくなった。
しんと静まり返った空気の中、優海が話し出す。
「最近、私の身の回りでおかしなことが起きていて……」
「おかしなこと?」
継は組んでいた足を組み替えると、興味を持ったのか少し前のめり気味になり、優海を見た。
「はい。先月くらいから何だか変な感じがするんです」
「先月ってことは九月だね。変な感じって、具体的には?」
優海が話した内容をノートに書き込んでいく継を見ながら、柊也も熱心に話を聞く。
優海は頷いて、さらに続けた。
「たとえば、夜に一人で歩いている時に背後に人の気配を感じることがあったりするんです。他にも肩が重いとか。最近は体調も悪くて」
話を聞きながら、柊也は優海を最初に見た時に「顔色が悪い」と思ったことを振り返る。
(だからか……)
今さらながらに納得した。
継は特段驚くこともなく、ノートにペンを走らせている。
「なるほど、心霊現象みたいってことかな。体調のことで病院には?」
「病院にも行ったんですが、原因がわからなくて。それで大学の友人に相談してみたら、ここの噂を教えてくれたんです」
「噂? そんなのあるんですか?」
これまで黙って聞いていた柊也が驚いた声を上げ、優海に視線を向けた。
普段は口の悪い柊也だが、他人の前できちんと敬語を使うことくらいはできる。ちなみに継に対しては論外だ。
「『表』は『何でも屋』だけど、『裏』では『祓い屋』をやってるってやつだよね。今までいくつか受けてきた依頼があるから、その辺りから広まってるみたいだよ」
手を止めた継が端的に教えてくれた。優海も無言で頷く。
「へえー」
これまで知らなかった事実に、柊也は思わず声を漏らした。
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そこで、継が一つ咳払いをする。
「でも、僕のところは慈善事業じゃないから、『裏』の依頼料は高いよ?」
継の真剣な言葉に、柊也は周りの空気が一気に冷えた気がした。きっとそれは優海も同じだっただろう。
優海はまっすぐに継の顔を見つめる。
「わかってます。何年かかってもきちんと払いますから、お願いします。もし何もなければ『たまたまだったんだ』って安心できますから」
緊張の滲んだ声でそう紡ぎ、膝の上に置いた両手をぐっと強く握りしめた。
「それは確かにわかるよ。もし病気だったとしても、病名や原因がはっきりしないとすっきりしないからね」
継の同意に、柊也も隣で納得しながら頷く。
原因がわからないものは対処のしようがなく、一番困るものだ。
「そうなんです。だからどうかお願いします!」
優海が深々と頭を下げる。
「まあ、だったらいいよ。本当に『裏』かどうかは実際に調査してみないとわからないけど」
「ありがとうございます!」
継が発した了承の言葉に、顔を上げた優海の表情がぱっと明るくなった。
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