全身戦隊ゼンタイジャー

まとらまじゅつ

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ACT.8

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 ☀朝の放送──“タイツ禁止令”ふたたび

「……本日より、火災リスクの高まりを受け、校則を一部改定します。
 防災指導に基づき、化学繊維製タイツの着用を当面禁止とします。
 繰り返します──女子生徒は“タイツを脱いで”登校してください」

 その声がスピーカーから流れた瞬間、教室が凍りついた。
 タイツに包まれた何十本もの脚が、視線を避けるように震える。
 スイは、自分の青タイツを膝下で撫でた。
 まだ冷たい。燃えてなんかいない。
 だけど――

「……命令されてまで脱ぐつもりは、ない」

 🏫全校集会──布と炎と無関心

 体育館。全校生徒が並ぶ中、教師陣が順に注意を始める。

「今朝、区内の民家で衣類発火事故が発生しました。
 ナイロン素材、特に高密着のタイツやストッキングが高温で発火する事例が複数……」

 スクリーンには、黒く焼け焦げた布の写真。
 だが、ゼンタイジャーの5人は視線をそらさなかった。

「……これって、本当に偶然か?」
「誰も敵なんていないのよ。誰かが私たちを守るためって言ってるの。でも、“脱げ”って言葉は、守りじゃない。」

 🧤選択──スカートの下、何を履くか

 昼休み。生徒たちの脚元はまばらになっていた。
 生脚。ハイソックス。ジャージ下。レギンス。
 その中で、5人の脚だけが、変わらず“タイツに包まれていた”。

 ユヅキは、赤いタイツの脚で階段を登る。

「履いてるだけで、危険だって言われる。でも、脱げって言われた方がムカつく」

 ナツミはスカートの裾を押さえながら笑った。

「燃えたっていいよ!焼けるくらい、私たちの脚、誇ってんだから!」

 🔥午後の異常──黒煙の予兆

 放課後。図書室の隅で異変が起きた。

 生徒の鞄から煙が立ち上る。
 中に入っていたのは、予備の黒タイツ。
 触れた瞬間、化学反応のように熱を帯び、糸が焦げていく。

「発火……!? でも、なんで……」

 マリアが駆け寄る。
 黄色いラメ入りのタイツが陽光に反射して光る。

「これって、素材じゃなくて“意志のない布”だけが燃やされてる気がする……」

 無造作に畳まれた、履かれていないタイツが、ひとりでに発火する。
 まるで――**“履いてないタイツは、意味がない”**と言われているかのように。

 🦵ゼンタイスーツ起動──誓いの脚は、燃えない

 夕暮れの屋上。突風が吹く。
 スイは制服のスカートを押さえながら、深く息を吐く。

「誰も責めてない。敵なんていない。
 でも、“見えない圧力”って、こういうものなのね……」

 隣でレンカが呟いた。

「脱ぐか、履き続けるか。
 選ばせるフリして、“従わせる”だけ。……そんなの、正義じゃない」

 5人はゆっくりと並び、脚を前へ出す。

「全身装着――ゼンタイレッド!」
「ゼンタイブルー!」
「ゼンタイグリーン!」
「ゼンタイイエロー!」
「ゼンタイブラック!」

 脚から光が走る。
 今回、光は特に強く、炎のように揺らめいていた。

 でも――
 スーツは燃えない。
 どれだけ光に包まれても、熱に曝されても。
 それは、誓いで織られた布だから。

 🕯ラストシーン──炎の中の誓い

 図書館で燃えたタイツの残骸の前に、
 スイは自分の青タイツの脚をそっと重ねた。

「布が燃えても、私たちの脚は焼けない」

「だって、私たちは――見せるためじゃない。脱がないために履いてるんだから」
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