全身戦隊ゼンタイジャー

まとらまじゅつ

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ACT.11

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始業式──「ゼンタイ部、見直し対象へ」

 始業式の壇上、教頭が告げた。

「本校は“学校活動の合理化”の一環として、
次年度より“実技性の低い部活動”の統廃合を検討しております。
対象には、“全身タイツ部(ゼンタイ部)”も含まれております。」

 言葉は平坦。だが、生徒たちの表情はざわついていた。

「……私たち、“ただ脚を晒してる部活”って見られてるのか」
 ナツミがぽつりと呟いた。
 グリーンのタイツを履いた足が、机の下でぎゅっと指先を丸めた。

💬校内掲示板──「ゼンタイ部存続を問う」脚線投票開始

 職員会議の結果、ゼンタイ部の存続条件が決まる。

■投票内容:「ゼンタイ部は必要だと思いますか?」
■投票資格:全校生徒
■投票方式:匿名、YES/NO選択式
■結果公開日:来週金曜日

「……全部、他人の目で決まるんだ。
 “履かない人たち”が、あたしたちの布を剥がすかどうか決めるんだ」
 レンカの声が低く、怒りを噛んでいた。

👣それぞれの揺れ
🔴ユヅキ

「やっと戦える場所が見つかったと思ったのに……また、勝手に“終わり”にされるのかよ」

 赤いタイツの膝に肘を乗せ、悔しさを噛み締める。

🟨マリア

「こんな世界だからこそ、“脚線で語れる場所”は必要なのに……」

 ラメ入りタイツをゆっくり撫でながら、鏡の前で睫毛を伏せる。

🟢ナツミ

「……自分でゼンタイって叫べたの、ここだけだったのにな……!」

 グリーンのタイツのまま、部室の床に座り込んでいた。

💙スイの提案──公開パフォーマンス

「なら、“あたしたち自身が見せるしかない”」

 青タイツの脚を伸ばしながら、スイは言った。

「匿名の投票で何が残るの?
 見てもらうのが怖くて、布に誇りを包んでるのに――
 だったら、“晒す理由”をこの脚で歩いて伝えるべきよ」

🌕金曜昼──校庭での「脚線宣言」

 昼休み、特設ステージ。
 体育館の備品を生徒たちが貸し出し、グラウンドの中央に組まれた即席の台。

 そこに、ゼンタイ部の5人が立つ。
 制服ではない。スウェットでもない。
 全身ゼンタイスーツ。

 顔まで包み、脚先まで伸びる布が、昼の陽射しを浴びて色と形を強調する。
 それはもう衣装ではなく、裸よりも強烈な“存在”だった。

📢演説:ゼンタイジャー、最後の言葉

「これは、戦隊ごっこじゃない。
 羞恥を押し込んで、それでも前に出るための、布です」

「体操部のユニフォームが許されて、
 なぜタイツを着てるだけで、“解体”されなきゃいけないの?」

「この布の下には、傷がある。震えもある。
 でも、それすら包んで歩けるのが、ゼンタイなんです」

 ひとりずつ、マイクの前に立って語る。
 布越しの声は少しくぐもっていたが、誰よりもまっすぐだった。

📬投票、そして放課後

 投票はその日の夕方までに締め切られた。
 掲示板の前には列ができ、生徒たちは言葉少なに投票用紙を箱に入れていった。

 ユヅキは見送るだけだった。
 赤いタイツの脚を、校舎裏の陽だまりに伸ばして。

「選ばれるために履いてきたんじゃない。
 でも、選ばれなきゃ、脱がされる。
 それでも……履いてたこと、誇れるから」

📰翌朝の発表

■ゼンタイ部存続:YES 306票 / NO 145票

 体育館に貼り出された紙。
 生徒たちが、次々にそれを写メに撮る中。
 ゼンタイ部の5人は、屋上で静かにそれを聞いた。

「これで、“ここにいていい”って言えるね」

「ううん……最初から、あたしたちは、
 “脚にいてよかった”のよ」
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