107 / 231
4章 港湾都市アイラ編
173話 クレイス
──17年前、全てを奪われた。
第4都市群の領主である父は開明的な人物で、シーラッドの現体制を快く思っていなかった。
国家ではない故の国家に負けない団結を促す政策、それを可能にする為の生活必需6品目の各都市群の独占製造販売、歪な政治体制であると父は嘆き、俺も子供心に父と同じ感想を抱いていた。
不安を背景に強いる団結、独占流通による価格の高止まり、だからこそ父は秘密裏に行動した。
内地で密かに他都市の5品目を製造させ、政都の方で買い取った後に少しずつ価格を下げてゆく。
同時に各都市群の村々にも「他の都市群でも他品目を作り出したらしい」との偽情報を流し、それに触発された農民達が各地で製造する事で6都市群の垣根を取り払い、価格と流通を官制主導ではなく民生主導に置き換えるように画策していった。
──が、計画は失敗した。他ならぬ農民達の手によって。
偽情報を流す時、「他所でも作るようになったせいでコレの価格が下がる、だからウチも他の5品目の生産に手を出して対抗しよう」と競争を煽ったのが不味かったのか、農民達はそれを上に直訴してしまった。
そしてそんな他都市群の動きにいち早く反応し、父一人に全ての責を押し付けることで己の保身を図ったのが誰あろう、第4都市群現領主、フラッド=ヒューバート。
父は反逆の咎で極刑に処され、母はアイツの温情で俺達ともども追放処分、その後、生前父に世話になったという男に、母のオマケという事で俺とアイラは屋敷に引き取られた。
男の好意で高等教育を受けられたが、ソイツに媚を売らざるを得ない母の姿を見たくなくて、飛び級で履修を終えた俺は12歳の時、屋敷を逃げるように飛び出す。その時からロイスという人間はこの世から消え、クレイスという男の人生が始まった。
年若いながら高等教育を終えているという事で、とある中規模の商会に住み込みで雇われた俺は必死で働き、3年後にはその商会をその街で1・2を争う大店に成長さた。
給金も増え、母と妹をあの男から取り戻そうと3年ぶりに屋敷に足を運ぶと──そこは既に別の人間が住んでいた。1年前に盗賊に押し入られ住人は全て惨殺されたそうだ。
俺は泣いた──そして、全ての原因を作ったあの男、フラッド=ヒューバートを破滅させる事を誓った。
商会のコネを使ってシーラッドへ、そして第4政都の行政府に職員として働き、領主の目に留まるまで2年、そこから5年間、己の復讐心を押し殺したまま有能な部下を演じてきた。それこそあの男の手足となって──。
──そんな時、転機が起きた。
あの男の長男であるアリオスが父の跡を継ぐ事を放棄し、連合防衛隊に入隊したのだ。
困ったアイツは、万一に備えて領主としての教育を受けさせていた長女を、実践での経験を積ませるために港湾都市アイラの執政官に任命し、その補佐としてあろう事か俺を抜擢した。
──千載一遇のチャンスだった。
いきなり行政機関のトップに就けられ不安な彼女を、言葉巧みに俺の政治理念に誘導し、篭絡するのにそう時間はかからなかった。
女性の扱いに長けている訳ではなかったが、幸い彼女もその方面には疎いようで、父の背中ばかりを見ていた彼女に、あの男のやり方の欠点を並べ、俺の──父から受け継いだ教えを彼女に刷り込む事に見事成功した。
そう、フラッド、あの男をいつか追い落とすため、彼女を俺の人形に作り変えた。
彼女が主導する形で父の理念を再現する中、確かに困難ではあるものの、いや、困難であるほど俺とタレイアは理想の為に手を取り合って問題に向き合って行った。
掲げた理想に向かって力を尽くす、思えばあの時だけは復讐を忘れ、自分を信じるタレイアと2人、幸せだったのかもしれない。
──そんな幸せは偽りでしかなかった。
それは偶然──もしくは運命だったのかもしれない、たまたま農村地帯を巡察中に盗賊の襲撃を受けそれを撃退、その時偶然捕らえた女盗賊は、死んだとばかり思っていた俺の妹、アイラだった。
第4都市群の中において最も交易が盛んで活気にあふれる街、そんな風に活力に富み、多くの人と良き出会いをと願ってその街と同じ名前をつけられた妹は、俺以上の憎悪と復讐心を胸に、社会の底辺で生き延びていた。
妹が歩んできた人生を聞いた俺は、心の片隅に追いやられていた復讐心が燃え盛るのを感じた。
全てを滅茶苦茶に!
フラッド=ヒューバート、アレに関わるもの全てに災いを!
俺はアイラと連絡を取り合い、やがて「黒狼団」の頭目を殺して妹が頭目の座に付く、妹の手下を使って各地の盗賊団に誘いをかけ、今回の第4都市群への襲撃計画を練った。そして今年のうちに計画は実行されるはずだった。
妹が死んだ。
政都の第2守備隊が討伐したと言う事だが嘘だ、黒狼団の規模を知っている俺には彼等で討伐、しかも被害0などあるはずが無い。
そこに偶然居合わせたとされる男、シン──この男が何かしたに決まっている。
その男がノコノコとアイラの財政再建に手を貸しにやって来るという……いいだろう、キサマにも報いを受けてもらう。
始めは恥を、そして不名誉な死を! キサマにはくれてやる──。
──────────────
──────────────
「それを持っていると言う事は、やはり──」
「ん? あの馬鹿女を殺したのが俺かって話か? そうだぞ、俺が殺した……いや、違うか?」
「馬鹿女……? 違う……?」
訝しげに顔を顰めるクレイスに向かってシンはケラケラと笑いながら語りだす。
「あの馬鹿女、絶体絶命の状況に追い込まれておきながら、それでもまだ俺相手に交渉を持ちかける図太い女でよ、しかも交渉材料がどこぞの権力者のコネと、盗賊どもと散々よろしくした後の自分の身体ときたもんだ。誰がそんなお下がりと、盗賊と取引するような小者のコネなんざ欲しがるかよ! なあ、クレイス、いや、ロイスお兄ちゃん?」
「き……き……キサマア──!!」
ゴスッ──!!
怒りに燃える瞳で襲い掛かるクレイスを、シンは再度カウンターの蹴りで吹き飛ばす。
そして今度は床に倒れこんだクレイスの背中を足で踏みつけ、そのまま這い蹲らせる。
「……はて、お前が激怒する理由がわからんな? 犯罪に手を染めた妹なんぞ権力者に媚びる男には不要だろ、始末してくれて感謝いたしますじゃねえのか?」
「きさっ! ふざ──グフッ!」
「せめて意味のある言葉を喋れ」
「~~~~~~~~~!!」
ダンッ──!
クレイスの訴えはシンが足に体重をかけることで中断され、治まらないクレイスは代わりに両の拳を床にバンバンと叩きつける。
「色小姓のごとく権力者の娘に取り入って甘い汁を吸うでなく、領主の元で何年も仕事をしておきながら、都市運営では真逆の政策で足を引っ張る。なんともお粗末な立ち回りだな。オマエ、一体何がしたいんだ?」
「何が、だと!? 領主への復讐に決まっているだろうが──!!」
怒りにより目を血走らせたクレイスは、必死の形相でシンに向かってこれまでの自分の人生、そして妹と出会ったことで企てた今回の計画を。
すでに潰えたのだとしても、誰かに話さずには入られなかった、自分の今までの歩みを、恨みの大きさを、誰にも知られずに終わる事だけは許されないと。
「お前さえ! お前さえアイラを殺さなければ! 全てが俺の思い通りになったんだ!!」
「そんな訳が無いだろう」
「なにっ!?」
「お前が一体どれほどの天才だって言うんだ? せいぜい秀才がいいとこの凡夫の分際で、描いた夢だけは無駄に壮大……大体、綿密な計画ってのは一ヶ所崩れた時点で失敗するのが見えてんだ。上が立てた計画を成功に導くのは現場の対応力だって教わらなかったのか?」
人が動く以上、計画通り完璧に物事が進むことなどありえない。だからこそ不測の事態に対応すべく次善の策とそれを可能とする「現場責任者」なる者が幾人も存在するのである。
クレイスの計画において、現場責任者はそれこそ女頭目ただ一人が担っていたのであり、彼女がシンに討たれた時点で計画は失敗する事が約束されていたと言ってよい。その点を挙げれば、確かにシンさえいなければと言うクレイスの言葉も一応の納得は出来るか。
「そもそも、お前とアイラの繋がりは初めからフラッドには筒抜けだったぞ?」
「!? なぜ……?」
「本気で気付いていなかったのか? フラッド曰く「若い頃の父親にそっくり」だそうだ、髭を生やせば瓜二つだそうだぞ?」
「そん……な……」
「そんな男が素性を偽り自分の下で働いている、同じく「アイラ」なんて名前の女が盗賊団の頭目として第4都市群に根を張ろうとしている、怪しまないはずが無いだろう」
「……………………」
「領主が手元に置く人物の素性を調べないなんて、よもや思っちゃいないよな? ましてや自分の娘の補佐に、だぞ?」
シンの足の下で大人しくなったクレイスは、自分が仇の掌で転がされていたと聞かされ、屈辱・恥辱、そしてそれ以上に、復讐を誓いながら手も足も出なかった己の不甲斐なさに歯を食いしばる。
そんな彼の態度にシンは最後に冷水を浴びせる。
「まあなんだ、おっさんの愛する娘を自分の思い通りに動く人形にした、その点では復讐ができたんじゃないか? やったな、色男♪」
────────!!
「人形……だと?」
「ああ、なんたって憎い仇の娘だ、オモチャにして散々遊び倒したんだろ?」
「ふざ、けるなっ!!」
クレイスはいきなり激昂する、何が彼をそうさせるのか。
「あん、どうしたいきなり?」
「誰がオモチャになど!! 俺は彼女を!! 彼女を──!!」
「………………………………」
「──愛してる!!」
クレイスの目には涙が浮かんでいた──。
第4都市群の領主である父は開明的な人物で、シーラッドの現体制を快く思っていなかった。
国家ではない故の国家に負けない団結を促す政策、それを可能にする為の生活必需6品目の各都市群の独占製造販売、歪な政治体制であると父は嘆き、俺も子供心に父と同じ感想を抱いていた。
不安を背景に強いる団結、独占流通による価格の高止まり、だからこそ父は秘密裏に行動した。
内地で密かに他都市の5品目を製造させ、政都の方で買い取った後に少しずつ価格を下げてゆく。
同時に各都市群の村々にも「他の都市群でも他品目を作り出したらしい」との偽情報を流し、それに触発された農民達が各地で製造する事で6都市群の垣根を取り払い、価格と流通を官制主導ではなく民生主導に置き換えるように画策していった。
──が、計画は失敗した。他ならぬ農民達の手によって。
偽情報を流す時、「他所でも作るようになったせいでコレの価格が下がる、だからウチも他の5品目の生産に手を出して対抗しよう」と競争を煽ったのが不味かったのか、農民達はそれを上に直訴してしまった。
そしてそんな他都市群の動きにいち早く反応し、父一人に全ての責を押し付けることで己の保身を図ったのが誰あろう、第4都市群現領主、フラッド=ヒューバート。
父は反逆の咎で極刑に処され、母はアイツの温情で俺達ともども追放処分、その後、生前父に世話になったという男に、母のオマケという事で俺とアイラは屋敷に引き取られた。
男の好意で高等教育を受けられたが、ソイツに媚を売らざるを得ない母の姿を見たくなくて、飛び級で履修を終えた俺は12歳の時、屋敷を逃げるように飛び出す。その時からロイスという人間はこの世から消え、クレイスという男の人生が始まった。
年若いながら高等教育を終えているという事で、とある中規模の商会に住み込みで雇われた俺は必死で働き、3年後にはその商会をその街で1・2を争う大店に成長さた。
給金も増え、母と妹をあの男から取り戻そうと3年ぶりに屋敷に足を運ぶと──そこは既に別の人間が住んでいた。1年前に盗賊に押し入られ住人は全て惨殺されたそうだ。
俺は泣いた──そして、全ての原因を作ったあの男、フラッド=ヒューバートを破滅させる事を誓った。
商会のコネを使ってシーラッドへ、そして第4政都の行政府に職員として働き、領主の目に留まるまで2年、そこから5年間、己の復讐心を押し殺したまま有能な部下を演じてきた。それこそあの男の手足となって──。
──そんな時、転機が起きた。
あの男の長男であるアリオスが父の跡を継ぐ事を放棄し、連合防衛隊に入隊したのだ。
困ったアイツは、万一に備えて領主としての教育を受けさせていた長女を、実践での経験を積ませるために港湾都市アイラの執政官に任命し、その補佐としてあろう事か俺を抜擢した。
──千載一遇のチャンスだった。
いきなり行政機関のトップに就けられ不安な彼女を、言葉巧みに俺の政治理念に誘導し、篭絡するのにそう時間はかからなかった。
女性の扱いに長けている訳ではなかったが、幸い彼女もその方面には疎いようで、父の背中ばかりを見ていた彼女に、あの男のやり方の欠点を並べ、俺の──父から受け継いだ教えを彼女に刷り込む事に見事成功した。
そう、フラッド、あの男をいつか追い落とすため、彼女を俺の人形に作り変えた。
彼女が主導する形で父の理念を再現する中、確かに困難ではあるものの、いや、困難であるほど俺とタレイアは理想の為に手を取り合って問題に向き合って行った。
掲げた理想に向かって力を尽くす、思えばあの時だけは復讐を忘れ、自分を信じるタレイアと2人、幸せだったのかもしれない。
──そんな幸せは偽りでしかなかった。
それは偶然──もしくは運命だったのかもしれない、たまたま農村地帯を巡察中に盗賊の襲撃を受けそれを撃退、その時偶然捕らえた女盗賊は、死んだとばかり思っていた俺の妹、アイラだった。
第4都市群の中において最も交易が盛んで活気にあふれる街、そんな風に活力に富み、多くの人と良き出会いをと願ってその街と同じ名前をつけられた妹は、俺以上の憎悪と復讐心を胸に、社会の底辺で生き延びていた。
妹が歩んできた人生を聞いた俺は、心の片隅に追いやられていた復讐心が燃え盛るのを感じた。
全てを滅茶苦茶に!
フラッド=ヒューバート、アレに関わるもの全てに災いを!
俺はアイラと連絡を取り合い、やがて「黒狼団」の頭目を殺して妹が頭目の座に付く、妹の手下を使って各地の盗賊団に誘いをかけ、今回の第4都市群への襲撃計画を練った。そして今年のうちに計画は実行されるはずだった。
妹が死んだ。
政都の第2守備隊が討伐したと言う事だが嘘だ、黒狼団の規模を知っている俺には彼等で討伐、しかも被害0などあるはずが無い。
そこに偶然居合わせたとされる男、シン──この男が何かしたに決まっている。
その男がノコノコとアイラの財政再建に手を貸しにやって来るという……いいだろう、キサマにも報いを受けてもらう。
始めは恥を、そして不名誉な死を! キサマにはくれてやる──。
──────────────
──────────────
「それを持っていると言う事は、やはり──」
「ん? あの馬鹿女を殺したのが俺かって話か? そうだぞ、俺が殺した……いや、違うか?」
「馬鹿女……? 違う……?」
訝しげに顔を顰めるクレイスに向かってシンはケラケラと笑いながら語りだす。
「あの馬鹿女、絶体絶命の状況に追い込まれておきながら、それでもまだ俺相手に交渉を持ちかける図太い女でよ、しかも交渉材料がどこぞの権力者のコネと、盗賊どもと散々よろしくした後の自分の身体ときたもんだ。誰がそんなお下がりと、盗賊と取引するような小者のコネなんざ欲しがるかよ! なあ、クレイス、いや、ロイスお兄ちゃん?」
「き……き……キサマア──!!」
ゴスッ──!!
怒りに燃える瞳で襲い掛かるクレイスを、シンは再度カウンターの蹴りで吹き飛ばす。
そして今度は床に倒れこんだクレイスの背中を足で踏みつけ、そのまま這い蹲らせる。
「……はて、お前が激怒する理由がわからんな? 犯罪に手を染めた妹なんぞ権力者に媚びる男には不要だろ、始末してくれて感謝いたしますじゃねえのか?」
「きさっ! ふざ──グフッ!」
「せめて意味のある言葉を喋れ」
「~~~~~~~~~!!」
ダンッ──!
クレイスの訴えはシンが足に体重をかけることで中断され、治まらないクレイスは代わりに両の拳を床にバンバンと叩きつける。
「色小姓のごとく権力者の娘に取り入って甘い汁を吸うでなく、領主の元で何年も仕事をしておきながら、都市運営では真逆の政策で足を引っ張る。なんともお粗末な立ち回りだな。オマエ、一体何がしたいんだ?」
「何が、だと!? 領主への復讐に決まっているだろうが──!!」
怒りにより目を血走らせたクレイスは、必死の形相でシンに向かってこれまでの自分の人生、そして妹と出会ったことで企てた今回の計画を。
すでに潰えたのだとしても、誰かに話さずには入られなかった、自分の今までの歩みを、恨みの大きさを、誰にも知られずに終わる事だけは許されないと。
「お前さえ! お前さえアイラを殺さなければ! 全てが俺の思い通りになったんだ!!」
「そんな訳が無いだろう」
「なにっ!?」
「お前が一体どれほどの天才だって言うんだ? せいぜい秀才がいいとこの凡夫の分際で、描いた夢だけは無駄に壮大……大体、綿密な計画ってのは一ヶ所崩れた時点で失敗するのが見えてんだ。上が立てた計画を成功に導くのは現場の対応力だって教わらなかったのか?」
人が動く以上、計画通り完璧に物事が進むことなどありえない。だからこそ不測の事態に対応すべく次善の策とそれを可能とする「現場責任者」なる者が幾人も存在するのである。
クレイスの計画において、現場責任者はそれこそ女頭目ただ一人が担っていたのであり、彼女がシンに討たれた時点で計画は失敗する事が約束されていたと言ってよい。その点を挙げれば、確かにシンさえいなければと言うクレイスの言葉も一応の納得は出来るか。
「そもそも、お前とアイラの繋がりは初めからフラッドには筒抜けだったぞ?」
「!? なぜ……?」
「本気で気付いていなかったのか? フラッド曰く「若い頃の父親にそっくり」だそうだ、髭を生やせば瓜二つだそうだぞ?」
「そん……な……」
「そんな男が素性を偽り自分の下で働いている、同じく「アイラ」なんて名前の女が盗賊団の頭目として第4都市群に根を張ろうとしている、怪しまないはずが無いだろう」
「……………………」
「領主が手元に置く人物の素性を調べないなんて、よもや思っちゃいないよな? ましてや自分の娘の補佐に、だぞ?」
シンの足の下で大人しくなったクレイスは、自分が仇の掌で転がされていたと聞かされ、屈辱・恥辱、そしてそれ以上に、復讐を誓いながら手も足も出なかった己の不甲斐なさに歯を食いしばる。
そんな彼の態度にシンは最後に冷水を浴びせる。
「まあなんだ、おっさんの愛する娘を自分の思い通りに動く人形にした、その点では復讐ができたんじゃないか? やったな、色男♪」
────────!!
「人形……だと?」
「ああ、なんたって憎い仇の娘だ、オモチャにして散々遊び倒したんだろ?」
「ふざ、けるなっ!!」
クレイスはいきなり激昂する、何が彼をそうさせるのか。
「あん、どうしたいきなり?」
「誰がオモチャになど!! 俺は彼女を!! 彼女を──!!」
「………………………………」
「──愛してる!!」
クレイスの目には涙が浮かんでいた──。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。