魔術師さんは爛れた関係の同居人に記憶を取り戻させたくない

さか【傘路さか】

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 やがてくすくすと笑い出し、部屋の中が温かい声で満たされていく。しばらくそうしていると、大きな掌が腰を撫でた。

 不埒な手つきに、払い落としてやろうか、と考えが頭をよぎるが、この行為が目的だったのだと思い直す。

「……今日だけ、だからな…………」

 許しを得て、指先が服の下に潜り込む。

 僅かに冷たい指が腰を撫でると、びくりと身体が震えた。僕の反応を面白がって、奥深くにまで指を伝わせる。

「つめたい」

「おまえの体温が高いんだよ」

 言葉の応酬が行き交っても、声音はただ優しい。つられて僕もふわっふわな声で返してしまって、あたりに響くのは愛を交わし合っているだけの衣擦れのような声だ。

 僕の体温で指を温めて、つい、と腹から胸元へと指先を忍ばせる。

「…………ァ」

 悪戯を仕掛ける指先が、尖りを摘まみ上げる。ひく、と喉が鳴った。

 か細い小動物のような声を聞いた目の前の獣は、愉しそうに唇を持ち上げた。くっと乳輪を広げるように親指で押し潰す。

「……ぁ、ンあ。ばか……ふぁ……ぁン…………」

 服の下ではもぞもぞと指先が動き、突起を指の腹で擦った。擽るような感覚だが、僕の身体はもう胸で快楽を拾える。

 事あるごとに、面白がってこの身体を拓いたこの男の所為だ。

「く……ふ、…………いッ……ん、うぁ」

 噛み締めようとした唇が、知らない触れ方で綻ぶ。

 混乱していると、見下ろす視線を目が合った。

「……開発したのは自分なんだろうが、色慣れしてない奴が知らない間にやらしい躰になってるってのはなァ」

「な、理不尽だぞ……ァ、ン。ゃ……ぁ、っは」

 ベイカーはの寝間着の釦を半分外し、たくし上げる。色を濃くしてつんと立った場所が露わになり、がっつくようにしゃぶり付かれた。

 舌で舐め、柔らかく転がしては歯を当てる。相手の後頭部に手を回しても、腰を捕らえ、吸い付く力は離れなかった。

 ぽす、と頭を叩くと、胸を甘噛みしていた唇が離れる。

「俺が開発したかった」

「開発したのはお前なんだが?」

 散々しゃぶられた場所は形を変え、唾液で濡れ光っている。

 ベイカーはいったん身体を離し、寝台の隙間に手を伸ばす。彼が恋人がいたのだろうと疑念を抱く元になった小瓶は、わかりやすい場所にある。

 瓶の残りを確かめている姿を見つつ、手持ち無沙汰に問い掛ける。

「寝てた相手、僕だって思ってたのか?」

「ああ。元々ちょっかいかけたくなる性格してるし、似た色の髪が落ちてたら勘づくだろ。けど、告白くらいしてると思ってたよ」

「それは残念……、だったな」

「仕切り直しできたし、良いことにしとく」

 僕の寝間着を下着ごと引き下ろすと、身体を寝台に持ち上げて脚から引き抜く。

 瓶が傾き、薄い茂りにとろりと粘り気のある液体が垂らされた。きゅ、と蓋が閉じられ、脇にある机に瓶が置かれる。

 長い指が伸び、色を変えた下の毛の隙間から陰茎が持ち上げられる。ぬめりを帯びた指は、滑らかに先端を擦った。

「あ、ひ──……ぅ、ぁ、んく…………ッ」

 鋭い刺激を与えられ、呼吸を乱す。ぬるりと粘膜の上を滑る所為で、扱き上げる手つきに容赦は無かった。

 一瞬で絶頂へと引き上げられるような手つきに、制止する余裕もない。

 くちくちと先走りと粘着質な液体が撹拌され、泡立って弾ける泡の刺激が指先で塗り広げられる。

「……ひ、うぁ、……あ、やだ……ァ、──っく!」

 軽い絶頂は、ぱっと手を離されて噴き上がらないまま終わる。

 顔を上げて彼を見ると、にた、とあくどい笑みを浮かべていた。縋るように潤んだ瞳で見たとしても、ただ愉しがるだけで望みを叶える様子はない。

 く、と唇を噛み、自らの手を半身へと伸ばそうとする。拙い指先は、別の大きな掌で遮られた。

「触ったら駄目だろ……? まだ後ろにも触ってねえのに」

「ヤ……僕、魔力が混ざってるのに……ッ! いきた────」

 両手が取られ、そのまま体重を掛けて背後に転がされる。どっとシーツの上に倒れ込み、起き上がる前に力を込められた。

 両手はまとめて縫い止められ、片方の手が両頬を鷲掴みにした。まだ絶頂が引き延ばされることを理解させるように、至近距離まで鋭い目が近付く。

「お前は後ろ、拡げられて突っ込まれて────ぎりぎりまで引き延ばされた分、ぎゅーって食い締めて達くんだ。魔力、混ぜなきゃいけないもんなァ?」

「……──や、ぁ。いらな」

「安心しろ。泡立って溢れるくらい、出してやる」

 ひくん、と喉で鳴いて、大人しく脚を開かれる。腰を持ち上げられて尻を晒し、谷間を辿った指がくっと窪みに潜り込んだ。

 魔術で準備が整った場所だが、更に快楽を拾えるように太い指が捏ねていく。

「う、あ────」

 ぐぶぐぶと一気に奥まで指が押し込まれ、内側を探るように辿っていく。弱い処はすぐに探り当てられた。

 指の先で、そのしこりを撫でさする。

「ひ────、ァ、や、やめ…………ぁぁああッ!」

 久しぶりとはいえ、それまでは散々男根で押し潰され、快楽を拾っていた場所だった。指先でその感覚を思い出させられ、啜り泣くまで捏ねられる。

 混乱にばたついた脚は押さえつけられ、ぐぐ、と更に深くまで指が含まされた。

「ぁ、あ、そこ────きら、い…………ン、ぁ、あ、あ。やだァ……!」

 逃れようとしても身体を絡み付かせ、縁が捲れ上がるほど指を前後させて褥の記憶を呼び起こされる。

 啜り泣く声と、後腔を掻き混ぜる音が不規則に響いていた。びくびくとつま先が痙攣し、シーツに指先を食い込ませては波立たせる。

 ただ、すぐに迎えられるかと思った絶頂は、適度に緩む指に押し留められた。

 弱い炎に炙られたまま、燃え上がることなく置かれる。

「ひ……っぐ。な、で。いかせて──……くれな……?」

 半分泣くように問うと、ベイカーはその問いを待っていたように、布越しの膨らんだ股間へと僕の手を導く。

 囁くように耳元に落ちる声は、魔が唆しているかのようだった。

「せっかく両思いになって強制、って訳じゃないし。触ってくれねえかなぁ、──って」

 ちゅぷ、と後腔から指を引き抜くと、自らの服で濡れた指を拭った。

 また炎は止められてしまって、ぐずぐずと僕の内は熱で煮え崩れている。ぐす、と涙を飲み込み、よろよろと身体を起こす。

 寝台に座り込んだベイカーは、何をするでもなくこちらを見守っていた。

 僕は相手の服に手を掛け、前を寛げる。下着を引き下ろすと、ぼろりと肉棒が黒い茂りの間からまろび出た。

 僅かに形を変えつつあるそれは、少し刺激を加えれば突き入るのに丁度良い硬さになりそうだ。

 身体を倒し、彼の半身の近くまで顔を寄せると、口を開けて迎え入れる。

「へぇ……。舐めてくれんの……?」

 口いっぱいに頬張りながら、こくんと頷く。丸い部分を頬に擦り付け、竿に舌を絡み付かせる。

 更に膨れつつある質量に怯えながら、じゅぷ、と顔を前後させた。口の中には独特の味が漏れ、鼻から抜けていく。

 だらりと口からは唾液が零れ、漏れている液から魔力が伝うのが分かる。彼を突き入れられている時のような快楽に、僕の分身もだらだらとシーツに涎を垂らしていた。

「ンく、……ふ、う……ん、ん」

「か、っわいいなァ……」

 しゃぶりついていた雄を口から出し、ちゅう、と先端を吸う。反応しているモノを口を開けて喉奥に擦り付け、溢れた液を飲むように喉を動かした。

 性欲が強い上に体力がある所為で長くて、曖昧に放置すれば突っ込まれた後に延々と揺さぶられることになる。喉でいちど達してくれないだろうか、と希望を込めて扱いていたが、ちょうど上り詰めるところで制止された。

 身体を引き剥がされ、けふ、と咳き込むと、口の端から色んな味が混じった液体がこぼれ落ちる。

 見下ろした場所にある欲望は、凶悪なほどに膨れ上がった上に、唾液を纏って赤黒い表面が主張するように光っていた。こぷりと露を零す鈴口からは、まだ濃い白濁が噴き上がるはずだ。

「奉仕してもらったからには、しっかり返さないとな?」

「こわ……いから、要らない」

 はは、とベイカーは笑い、脚を掴んで僕を寝台に引き倒した。

 腰が持ち上がり、指先で慣らされた場所が相手の目の前に晒される。さっきまで太い指が挿っていた所為か、輪が閉じきれずにはしたなく濡れた口を開閉している。

 自らが育てた肉棒が眼前に突きつけられ、その巨きさに身体が逃げを打つ。けれど、力は弱まることなく、丸い部分が尻の谷間をつう、と辿った。

 ゆっくりとした動作は彼の焦らしでしかなく、質量の違いを擦り付けられては体液が絡み付く。

「や……。も……挿れ、な……」

「ほんとか?」

 ぴたぴたと竿で尻たぶが叩かれる。繋がらなければ魔力は混ざらないし、記憶を取り戻したいのは僕も同じだった。

 そして、何より懐かしい感触を、躰が欲しがっていた。この身体はあの熱を知っている。

「…………ッ。あ……挿れ……て」

 言葉を言い終わる前に、ぐぷん、と孔に先端が埋まった。角度を定め、ぐぐ、と体重が掛かる。

「あ─────、ぐ、う。……ぁ、あ」

 しばらくご無沙汰だった身体は、その質量を初めて受けたかのように食い締める。上手くちからも抜けず、めりめりと押し拓く力だけで侵入を許した。

 肉襞が竿に絡み付く所為で、敏感な場所を膨れた部分が擦っていく。

「おい。本当に俺、……ッら……寝てたのか? もうちょっと、力抜けって……」

「わか、な……。まだ、最初の時……ッのが、楽だ……ぁア……」

 担ぎ上げられた太腿を叩かれ、ずっ、と軽く引き抜かれる。身体を楽にするための刺激さえも酷で、ただ快楽に震える。

 置かれていた小瓶が持ち上げられ、中身がたら、と結合部に垂らされた。滑りが良くなった場所は、容易く刺激を拾えるようになる。

 中身の無くなった瓶をシーツの上に放り、ベイカーは体勢を変えた。腰が持ち上がる姿勢は、繋がっている部分が視界に入る。

 肉槍が突き刺さった縁は赤く捲れ、垂らされた液体で色を濃くしている。くぷ、と僅かに竿が動くと輪が拡がり、そして反射的に閉じて皺を作る。

「……ぁ、あ、あぁ────……ッ」

 ほんの少しずつ奥に進んでいく度に、薄い腹を押し上げる。身体の中を預けて、ただ拓いて、その場所に他者の魔力をぶちまけることを許す。

 恋人じゃなくたって、こんな事は彼以外には許せなかった。

「…………、っく」

 ばん、と腰が尻に叩き付けられる。視界に入っていた赤黒い棒は僕の身のうちに収めきり、くっついた部位には違う色の下の毛が濡れて絡み合っている。

 もう腰から下には力が入らず、僕はただ息を吐いて、腹を撫でた。こんなに、ぜんぶ押し込まれたら彼の雄の形が手のひらで分かってしまうかもしれない。

 呼吸を落ち着けている恋人を、滲んだ視線で見返す。

「ベイ、カー……──」

 指先を伸ばしても届かないのに、身体は繋がっているのが不思議だった。

 嫌と言うほど含まされて、無くせば体調を崩すほどに馴染む魔力に頭をぐらぐらと揺さぶられる。

「僕たち、こいびと、……だな」

 視界が狭まり、ふ、と口が緩む。

 繋がってようやく、満足感が足元から湧き上がってくるようだった。ベイカーは呆気にとられたような顔になって、いつも通りの悪い笑みを浮かべた。

「ああ」

 ゆっくりと引き抜かれた雄が、ずん、と突き入る。

 目の奥がちかちかとして、滲んだ体液から伝わってくる魔力はもう溢れそうだ。身体が覚えているかのように、滑らかに抽送を繰り返す。

「んァ、あ……ッは。……ぁ、ん、あ、あ、ぁ」

「うぁ、…………く、う」

 ぐぷ、こぷ、と濡れた音が響く度、縁から零れた液体が鞍部を伝ってシーツへ落ちる。指で探り当てた弱い部分を通り過ぎ、更に奥まで亀頭が届く。

 ぐり、と奥に押し付けて、引き抜かないまま小刻みに揺らされた。

「……や。それ、────ほんと、だめ、だ……て、ァっ」

 制止しても感じているのが分かっているのか、同じ箇所を散々苛められた。今日のこれを味わってしまえば、今まではまだ手加減されていたのだと悟る。

 目の前にいる男の欲のまま、欲しがるだけ強く快楽を引き出された。

「まだ奥、いけるだろ……?」

「も、……前、も、……こんなとこ────届いたこと、な、ァ……ッ!」

「…………っく。そりゃいい」

 寝台に押し付けられ、体重が掛かる。もう奥へは入らないはずなのに、更に奥に吐精すると言わんばかりにぴたりとくっついた。

 僕の半身も、もう欲を吐き出したいと膨れ、視界で揺れている。

 身体の中で膨れる雄の形からか、それとも奥を濡らされる感触からか、彼の限界も近いことを悟る。

 脚を彼の身体に擦り付け、頂へと誘った。

「…………中に、くれ」

 指先が太腿に食い込み、引いた腰が叩き付けられる。

 ただ吐き出すことだけしか頭にない動きは、快い場所を滅茶苦茶に押し潰す。唇を開いて嬌声を漏らし、見開いた瞳から涙を零した。

 ぱん、ぱん、と皮膚が叩き付けられ、内側を押し上げられて呼吸を乱す。

「……う、ァ」

 膨らんだ欲望が、奥へと狙いを定めた。

 もう引き抜かない、と決めているように距離を詰め、呻き声と共に全体重を掛ける。

 暴力的な魔力の奔流が、ただ僕だけを追い詰めた。

「……は、ぁ。……──っ、う」

「────ひ、う。…………ぁ、ン、ぁああああぁああぁああぁッ!」

 叩き付けられた白濁を通して、別の魔力がひたひたと身体を浸していく。

 頭が痺れて、繋がっている感覚しか分からなくなった。これまでのどの交合よりも近くて、自身の境が分からない。

 既に溢れている内へと蛇口から欲望を次々と流し込まれ、ただ断続的に声を漏らす。受け止めた腹の奥が、熱を持つようだった。

「……大丈夫、か?」

 一瞬、意識でも飛ばしていたのだろうか。

 まだ後ろには銜え込んでいる感覚があり、ねっとりと内壁に絡んでいる。もぞり、と身体を動かすと、僅かに熱が燻る。

「……へい、き……だ。……けど」

 ベイカーが僕の腹に手を置き、中からずるりと肉棒を抜く。食んでいた輪の縁から濡れたものが零れ、閉じきれずにぱくぱくと開閉する。

 だらりとシーツに手足を投げ、放心したまま天井を眺める。しばらくそうして、ようやくベイカーの様子を見る。

 寝台に腰掛けたまま僕を見ている恋人は、体力差ゆえか、まだまだ余裕がありそうだ。

「……記憶、もどりそうか…………?」

 力の入らない声で問い掛けると、何かが変わった様子もなく、いつも通りの表情で唇を吊り上げる姿があった。

 ただただ飄々としていて、彼の心の内を掴むのは容易ではなさそうだ。

 彼がすでに記憶を取り戻していたとしても、僕には分からないに違いない。

「残念。……でも、ちゃんと記憶取り戻したいからさ。もうちょっと付き合ってくれよ」

 唇に浮かんでいるのは悪巧みをする時のそれで、僕はやっぱり記憶が戻っているのではないか、と訝しむ。

 指摘してやろうか、と考えて、詮無いことだと諦めた。はぁ、と息を吐いて、腕を目の上に置く。

「仕方ない。……恋人の頼みだからな」

 染まった目元は見えないようにして、ぶっきらぼうに吐き捨てる。耳にはベイカーの満足げな笑い声だけが届いていた。








 翌日になって、記憶が戻った、とにんまりしていたベイカーに、僕は怠い腰を押さえながら良かったな、とだけ伝えた。

 いつ記憶が戻ったかは彼しか知り得ないのだが、もう既に僕にはどうでもいいことだ。記憶が戻ろうが戻らなかろうが彼は僕を抱くし、その日だって記憶が戻ったから、とまた寝台に引き込まれた。

 恋人だから、と意図しない禁欲生活を取り返すように、僕は何かにつけて部屋に誘われ続けている。

「なぁ、釘取って」

 ベイカーとの同居は解消しなかったが、母と暮らしていた家はいちど見に行った。

 子どもの頃から住んでいる家ゆえ、がたが来ている部分もあるのだが、魔装技師である彼はあちこち見て回って、直すか、と言い始めた。

 基本的に物作りは好きな質のようで、僕が好むように改造したり壁紙を貼り替えたりと休みを使って補修を続けている。

 家は思ったよりもいい出来で、主に使う部屋の改修が終わったら、一緒にこちらの家で暮らそうかと話しているところだ。

「はい」

 釘の入った小箱を渡すと、彼は慣れた手つきで金槌を振るう。僕は掃除を兼ねて、細々とした家具を塗り直したり簡単な補修を担っていた。

 今の家は、ベイカーの工房だった部屋を僕が使っている。けれど、こちらの家なら、もっと広い部屋を工房に割り当てることだってできるのだ。そうすれば、大型の魔術装置の開発だってしやすくなる。

 過ごし慣れた懐かしい家が、別の色に変わっていく。

 寂しさもあるが、それよりも未来への期待の方が大きい。庭も、家も、手を掛けようと思えば何でもできるのだ。

 そして、傍らにはずっとベイカーがいる。

「…………何?」

 じいっと恋人を見入っていた僕に、視線を感じたのか、振り返った本人から声が掛かる。ふわりと唇を綻ばせて、首を横に振った。

「なんでもない」

 脚立から下りて金槌をベルトに引っ掛け、彼は僕の頭をくしゃくしゃにする。僕は背伸びをして、彼の頭にも同じ事をした。

 縺れ合っていると、視線の先の窓硝子に、ちょっかいを掛け合う僕たちが映る。

 そこには表情を崩して、満面の笑みを浮かべるひどい顔の僕たちがいた。



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