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起きたら目の前に、極上の顔立ちをした半裸の男がいる。
ぱち、と目を開いて、ぱちぱちと瞬きをした。驚きに手を突っ張らせるが、短い脚では距離を取ることさえできなかった。
男は、俺の頭を器用に枕の低い場所に乗せると、毛に頬を擦り付けたまま眠っていたようだ。苦手意識は、トラウマは、と俺が穿った見方をしてしまうのも仕方ない。
人として同衾していたのなら、何かあったと思うところだが、あいにく今の俺は犬である。白夜の腕から毛皮の滑りを使って、こっそり抜け出して服を探す。
あれ、と服がないことに気づき、部屋から出ようとドア付近に向かった。だが、空調を効かせるためかドアは閉まっている。ジャンプしてドアに前脚を掛けるが、ずるりと落ちて床に着地する。
何度か繰り返していると、低い声が床を這った。
「……あれ、友くん…………」
『ここ開けろ』
身を起こした白夜は、ふあ、と欠伸をする。酒の後で暑かったのか、パンツ一丁で寝ていたらしい男は、パンツ一丁のまま立ち上がった。
ドア近くまで歩いてきて、ちんまりした俺を見下ろす。にたり、と口が弧を描いた。ドアの前に立ち塞がる。
「そのまま戻っていいよ。人に」
『ポメラニアンの甲高い声で、朝っぱらから鳴き喚いてもいいんだぞ』
流石に現実的に困ると思ったのか、ドアを開けて前から退いた。はあ、と息を吐く。
『服どこだ』
「脱衣所。パンツ貸そうか」
『仕事前に家に帰るからいい』
時計が指す時刻は、早朝もいいところだった。アルコールの所為で、眠りが浅かったのだろう。
脱衣所に入り、寝るまでに着ていた服を身に付ける。
「散々な目に遭った……」
喉はからからで声も濁っている。背にそっと掌が添えられた。
「酒をがばがば飲んだのは友くんでしょう」
「うるせ。昨日の余り食うから出せ」
まだ半裸の男を蹴ると、男は半裸のまま冷蔵庫から昨日の余りを出してきた。テーブルに並べられた皿を前に、余ってて良かった、と胸を撫で下ろす。
酒で薄まった記憶でも、美味しかったのを覚えていた。
ソファに腰掛けて、与えられた食器で食事を始める。白夜は寝起きで胃が半覚醒なのか、コーヒーの準備を始めた。冷蔵庫を開ける音の後に、豆を挽く機械音が聞こえてくる。
咀嚼を止めて耳を澄ませていると、今度はかさかさと紙の擦れる音が届いた。戻って来た白夜は、両手にマグカップを持っている。
「この間、コーヒー飲んでたから、飲めるよね。砂糖いる?」
「……後から足すときは言う」
そう、と白夜は言うと、カップをテーブルに置き、パジャマを羽織りに行った。戻ってくると、ソファに腰掛ける。メシ食う前にわざわざ服着るの、と尋ねると、熱湯が跳ねると痛い、と言う。あまり理解できないルーチンだった。
もらったカップに口を付けると、立ち上るいい匂いがした。くん、と鼻を動かして、蒸気を食べる。
「苦みが強い豆、好きなの?」
「匂いだけで分かるんだ」
「うん。でも、コーヒーが近くにあると、そっちが強すぎてあんたの匂いが分からなくなる」
ぽろりと零した言葉だったが、白夜は丁寧に言葉を拾い上げた。
「僕の匂い、探してくれてるんだ」
「はぁ?」
「じゃあ、友くんの前ではたまにコーヒー控えようかな」
要らぬ気遣いだったが、言及すればするほど分が悪い気がして黙りこくった。貰ったカップに口を付けると、苦みの濃い液体が口に滑り込む。
味を追えば追うほど、また違う味わいに気づいた。様々な色を重ねれば、やがて黒に行き着く。ただの一色と見て気軽に脚を踏み出せば、深みに嵌まってしまう気がした。
「美味い」
「そう。良かった」
カップを持ったままの身体が傾いで、肩に擦り寄る。犬として接していたため気づかなかったが、もしかしたら彼はスキンシップが多い質なのかもしれない。
高級そうなソファにコーヒーを零さないよう気を付けながら、ちびちびと啜った。
「次はいつ来てくれる?」
「……いつが空いてるんだ?」
「三日後の夜」
「金曜? ……は、いいけど」
生憎、その日の夜は空いていた。だが、正直に返事をすることを躊躇った。白夜と付き合いを重ねることも仕事のはずなのに、言葉に出来ない怯えがある。
もぐもぐと咀嚼していても、白夜は食事に手を付けず、俺が食べる様を眺めていた。
ふと、余っていたチキンの銀紙の部分を掴む。ようやく食べる気になったのか、と食べる手を止めると、肉が付いている部分をこちらに向けた。
「どうぞ」
食べろ、ということだ。
彼の労働によって得た食物を、手ずから与える。狩りで仕留めた獲物を、巣穴に持ち込まれたような心地だった。
瞳は真剣で、茶化されている様子もない。誘われるように、口を開け、牙を覗かせた。がじ、と噛むと衣こそ水分を含んでしまっていたが、柔らかくてジューシーだ。
咀嚼して、ごくん、と胃に収める。彼の一部ごと、身体に入れてしまった気がした。
「美味い」
「……友くん。嘘を吐いたりしなさそうだよね」
感想が率直すぎたのか、白夜はそう言って食べかけのチキンを囓った。
「犬が嘘をつくイメージないだろ」
「ああ、そっちにも引っ張られるんだ」
「うん。飼い主には、特にな」
もぐ、もぐ、とお互いに咀嚼する。短い沈黙の間も、俺は毛を立てている。
「友くんには、飼い主はいるの?」
「いたら、仕事以外であんたに触らせたりしない」
「へえ。そういう、飼い主だけ、みたいなことがあるんだ」
「俺はあんまり意識したことないけど、飼い主以外の匂いが付くことが嫌になるらしい。操を立てるような感覚もあるみたいだしな」
「恋人、とか、伴侶、みたいな感じ?」
「ほとんど、飼い主と伴侶は兼ねる。指揮系統が分かれると上手くいかないから」
だから、犬相手に放任主義な恋人だと上手くいかない。多少、縛られているくらいが丁度よく感じる。
白夜のような、恋人がいても他の恋人にうつつを抜かしそうで、誰彼問わず言い寄られそうで、放任主義そうな相手だと、困ってしまう。
そもそも、犬が苦手なこの男は、飼い主には向かない相手の筈だ。
「いいなあ。そういうの」
「そうか?」
「うん。僕は、わりと縛りたがりだから」
どくりと胸が跳ねる。
へえ、と無関心そうに返事をした。声が震えたりしなかっただろうか、きちんと、彼の言葉に興味が無いような響きが作れただろうか。
「────そうは見えないけどな」
「だろうね。僕は選り好みするから、それくらい入れ込むものを持てたことは少ないんだよ。それこそ、幼い頃に噛まれた犬とか、コーヒーとか、役者である事とか。あとは……」
指を折ることもなく、悩むこともなく彼は事柄を挙げる。最後に何かを思い浮かべたようで、口を開くのだが、唇は何かを言いかけて閉じた。
指についた脂をぺろりと舐める。赤い舌先が覗いた。
「最近。また増えそうだから、増えたら教えるね」
「べつに教えてくれなくてもいいけど……、良かったな」
何も分からずに発した感想に対し、彼は、うん、と、かろやかに返事をする。
人がトラウマを治そうと努力している時に自分は楽しそうだな、と言ってやりたくなったが、嬉しそうな表情に何も言えず、食事ごと飲み下した。
ぱち、と目を開いて、ぱちぱちと瞬きをした。驚きに手を突っ張らせるが、短い脚では距離を取ることさえできなかった。
男は、俺の頭を器用に枕の低い場所に乗せると、毛に頬を擦り付けたまま眠っていたようだ。苦手意識は、トラウマは、と俺が穿った見方をしてしまうのも仕方ない。
人として同衾していたのなら、何かあったと思うところだが、あいにく今の俺は犬である。白夜の腕から毛皮の滑りを使って、こっそり抜け出して服を探す。
あれ、と服がないことに気づき、部屋から出ようとドア付近に向かった。だが、空調を効かせるためかドアは閉まっている。ジャンプしてドアに前脚を掛けるが、ずるりと落ちて床に着地する。
何度か繰り返していると、低い声が床を這った。
「……あれ、友くん…………」
『ここ開けろ』
身を起こした白夜は、ふあ、と欠伸をする。酒の後で暑かったのか、パンツ一丁で寝ていたらしい男は、パンツ一丁のまま立ち上がった。
ドア近くまで歩いてきて、ちんまりした俺を見下ろす。にたり、と口が弧を描いた。ドアの前に立ち塞がる。
「そのまま戻っていいよ。人に」
『ポメラニアンの甲高い声で、朝っぱらから鳴き喚いてもいいんだぞ』
流石に現実的に困ると思ったのか、ドアを開けて前から退いた。はあ、と息を吐く。
『服どこだ』
「脱衣所。パンツ貸そうか」
『仕事前に家に帰るからいい』
時計が指す時刻は、早朝もいいところだった。アルコールの所為で、眠りが浅かったのだろう。
脱衣所に入り、寝るまでに着ていた服を身に付ける。
「散々な目に遭った……」
喉はからからで声も濁っている。背にそっと掌が添えられた。
「酒をがばがば飲んだのは友くんでしょう」
「うるせ。昨日の余り食うから出せ」
まだ半裸の男を蹴ると、男は半裸のまま冷蔵庫から昨日の余りを出してきた。テーブルに並べられた皿を前に、余ってて良かった、と胸を撫で下ろす。
酒で薄まった記憶でも、美味しかったのを覚えていた。
ソファに腰掛けて、与えられた食器で食事を始める。白夜は寝起きで胃が半覚醒なのか、コーヒーの準備を始めた。冷蔵庫を開ける音の後に、豆を挽く機械音が聞こえてくる。
咀嚼を止めて耳を澄ませていると、今度はかさかさと紙の擦れる音が届いた。戻って来た白夜は、両手にマグカップを持っている。
「この間、コーヒー飲んでたから、飲めるよね。砂糖いる?」
「……後から足すときは言う」
そう、と白夜は言うと、カップをテーブルに置き、パジャマを羽織りに行った。戻ってくると、ソファに腰掛ける。メシ食う前にわざわざ服着るの、と尋ねると、熱湯が跳ねると痛い、と言う。あまり理解できないルーチンだった。
もらったカップに口を付けると、立ち上るいい匂いがした。くん、と鼻を動かして、蒸気を食べる。
「苦みが強い豆、好きなの?」
「匂いだけで分かるんだ」
「うん。でも、コーヒーが近くにあると、そっちが強すぎてあんたの匂いが分からなくなる」
ぽろりと零した言葉だったが、白夜は丁寧に言葉を拾い上げた。
「僕の匂い、探してくれてるんだ」
「はぁ?」
「じゃあ、友くんの前ではたまにコーヒー控えようかな」
要らぬ気遣いだったが、言及すればするほど分が悪い気がして黙りこくった。貰ったカップに口を付けると、苦みの濃い液体が口に滑り込む。
味を追えば追うほど、また違う味わいに気づいた。様々な色を重ねれば、やがて黒に行き着く。ただの一色と見て気軽に脚を踏み出せば、深みに嵌まってしまう気がした。
「美味い」
「そう。良かった」
カップを持ったままの身体が傾いで、肩に擦り寄る。犬として接していたため気づかなかったが、もしかしたら彼はスキンシップが多い質なのかもしれない。
高級そうなソファにコーヒーを零さないよう気を付けながら、ちびちびと啜った。
「次はいつ来てくれる?」
「……いつが空いてるんだ?」
「三日後の夜」
「金曜? ……は、いいけど」
生憎、その日の夜は空いていた。だが、正直に返事をすることを躊躇った。白夜と付き合いを重ねることも仕事のはずなのに、言葉に出来ない怯えがある。
もぐもぐと咀嚼していても、白夜は食事に手を付けず、俺が食べる様を眺めていた。
ふと、余っていたチキンの銀紙の部分を掴む。ようやく食べる気になったのか、と食べる手を止めると、肉が付いている部分をこちらに向けた。
「どうぞ」
食べろ、ということだ。
彼の労働によって得た食物を、手ずから与える。狩りで仕留めた獲物を、巣穴に持ち込まれたような心地だった。
瞳は真剣で、茶化されている様子もない。誘われるように、口を開け、牙を覗かせた。がじ、と噛むと衣こそ水分を含んでしまっていたが、柔らかくてジューシーだ。
咀嚼して、ごくん、と胃に収める。彼の一部ごと、身体に入れてしまった気がした。
「美味い」
「……友くん。嘘を吐いたりしなさそうだよね」
感想が率直すぎたのか、白夜はそう言って食べかけのチキンを囓った。
「犬が嘘をつくイメージないだろ」
「ああ、そっちにも引っ張られるんだ」
「うん。飼い主には、特にな」
もぐ、もぐ、とお互いに咀嚼する。短い沈黙の間も、俺は毛を立てている。
「友くんには、飼い主はいるの?」
「いたら、仕事以外であんたに触らせたりしない」
「へえ。そういう、飼い主だけ、みたいなことがあるんだ」
「俺はあんまり意識したことないけど、飼い主以外の匂いが付くことが嫌になるらしい。操を立てるような感覚もあるみたいだしな」
「恋人、とか、伴侶、みたいな感じ?」
「ほとんど、飼い主と伴侶は兼ねる。指揮系統が分かれると上手くいかないから」
だから、犬相手に放任主義な恋人だと上手くいかない。多少、縛られているくらいが丁度よく感じる。
白夜のような、恋人がいても他の恋人にうつつを抜かしそうで、誰彼問わず言い寄られそうで、放任主義そうな相手だと、困ってしまう。
そもそも、犬が苦手なこの男は、飼い主には向かない相手の筈だ。
「いいなあ。そういうの」
「そうか?」
「うん。僕は、わりと縛りたがりだから」
どくりと胸が跳ねる。
へえ、と無関心そうに返事をした。声が震えたりしなかっただろうか、きちんと、彼の言葉に興味が無いような響きが作れただろうか。
「────そうは見えないけどな」
「だろうね。僕は選り好みするから、それくらい入れ込むものを持てたことは少ないんだよ。それこそ、幼い頃に噛まれた犬とか、コーヒーとか、役者である事とか。あとは……」
指を折ることもなく、悩むこともなく彼は事柄を挙げる。最後に何かを思い浮かべたようで、口を開くのだが、唇は何かを言いかけて閉じた。
指についた脂をぺろりと舐める。赤い舌先が覗いた。
「最近。また増えそうだから、増えたら教えるね」
「べつに教えてくれなくてもいいけど……、良かったな」
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