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魔術師である友人が父を訪ねてきたのは、よく晴れた春初の朝だった。
魔術師の名はフィーア。魔術学校で知り合ったオメガの友人で、成績も良く、とにかく実技寄りな俺と違って学問にも向いていた。卒業後は高位の貴族……ヴィリディ家に仕えることになり、順風満帆な道を歩んでいたはずだった。
フィーアと父の間の話が終わり、二人がいるはずの部屋に呼び出されたのは午後になってからだ。
午前中に領民の魔術的な相談に乗るはずだったのに、全て潰され、暇すぎて仮眠を取ってしまった。
鏡の前に立って、くしゃくしゃに絡まりやすい髪を整える。灰褐色の髪と、藍色の瞳は春の光を浴びてもどこか薄暗く、鮮やかとはいえない。
見知った二人相手だ、と程々の所で切り上げ、自室を出た。古めかしい廊下を抜けて目的の部屋に向かう。
修繕費用が捻出できない屋敷の中でも、領主の部屋は他の部屋に比べればまだ調度品なども高価な品が並んでいる。
部屋に招かれ、来客者向けの椅子に座っているフィーアの表情を見ると、造りは悪くないはずの顔立ちが憂いに満ちていた。
フィーアに挨拶をして父に勧められた椅子に腰掛け、話を聞く体勢を取る。
「セルド。お前に縁談がある」
父が放った言葉に、目を瞠る。
「急な話だな」
「ああ、私にとっても急な話だ。少し前に、国内の貴族の中で、神殿に雷管石を預けて『いない』適齢期の子息がいないか調査が入ったのを覚えているか?」
俺の性別と呼べるものには、男、と同じ並びで、オメガ、という性がつく。
アルファ、ベータ、オメガの三種の中で、アルファとオメガについては特殊な性質を持っており、国家の運営の中でも例外的な扱いを多く受ける。
オメガは生命を産む性質から魔力を多く有すが、魔術師として成功しても力や体格は育ちづらい。番ができることはオメガの保護にも繋がるため、神殿がアルファとオメガを取り持つ役目も担っていた。
神が雷によって産む石は雷管石と呼ばれ、魔力を漏らさずに内部に保持する性質を持つ。その雷管石に魔力を込めて神殿に預ければ、所属の鑑定士が預けられた雷管石を基に、番として適している相手を紹介してくれるのだ。
「少し前に急に魔力を込めろ、って言われたやつだっけ? でもあの後、特に何も言われなかったような……」
神殿に雷管石を預けるかどうかは、貴族にとっても民にとっても自由だが、雷管石に頼らずに家同士の関係性だけで番を作る者もいる。
俺はまた別、領主付きの魔術師の役目を兼ねている俺がいなくなっては困る、という理由で先送りされていた。
魔術学校の卒業後、定年退職した魔術師の代わりに屋敷や領民の魔術装置を直して回っていたところ、こんな田舎の貧乏貴族では新しい魔術師を雇えず、俺の代役が見付からないまま結構な年数が過ぎてしまったのだ。
一応、領主の息子ではあるのだが、上の兄弟もいるため領地運営はせず、普段は貴族付きの魔術師のような生活をしている。そんな生活の中では結婚、が必要とされることもなかった。
父が言ったような調査でも入らなければ、またずるずると雷管石を預ける時期は延びていただろう。
「実は、預けた雷管石を基に、魔力の相性がいい相手が見付かったんだ」
父は友人のフィーアに視線を向ける。父の言葉を引き継ぐように、フィーアが黙っていた口を開いた。
「相手は……私が仕えている主人、オルキス・ヴィリディ様だ」
その名前は、流石に貧乏貴族の俺でも聞いたことがある名だった。王族とも婚姻するような高位の貴族であるヴィリディ家、その中でも当主の息子の名である。
次に屋敷を継ぐのはオルキス・ヴィリディの兄の筈だが、領地運営の役目を免除されている俺と違って、広大な領地を持つヴィリディ家の領地運営に深く携わっている筈の人だった。
俺がげっと表情を歪ませたのを見て、父が視線で睨め付ける。
「悪い。……でも、ヴィリディの家も、俺が相手だって分かったら握り潰したりしなかったのか?」
「先代の領主ならそういった事もあったかもしれないが、現当主は会わせてみるくらいはするだろう。確かに家同士の差がありすぎるという話は挙がったようだが、それよりも急いでオルキス様の番を見つけなくてはならなくて」
そう言って、フィーアは父にすみません、と深々と頭を下げているが、父もまあまあ、と言葉を許している。
流石にうちの家……冬になると溜め息をつきながら資金繰りをするような貧乏貴族であるクラウル家と、王族とも親類で多くの豊かな領地を持つヴィリディ家では家の差は歴然としている。
フィーアは顔を上げ、出されていた茶を口に含んだ。
「他言無用でお願いしたいんだが、オルキス様の発情期がずっと終わらないんだ。彼はアルファだが、屋敷にいたオメガのフェロモンに干渉される形で発情期に入り、数ヶ月が過ぎてもずっと収まらない。まだ番を得ていないから、オメガ相手に発散もできていなくてな」
「災難だな。性的に手練れの者を宛がうとかは……?」
「元々、御本人は潔癖なほうだが、発情期で悪化してな。一度そうしようとしたら暴れられた上に自傷されて断念した」
げっと表情を歪ませたが、今度は父も似たような表情だった。フィーアの憂いも当時を思い出したのか深くなり、三人で暗い顔を突き合わせる。
フィーアは手を組み、頭を垂れる。
「神殿に石を預けてみても長年、オルキス様の該当者はいなかった。慌てて国中の貴族の子息に石を差し出させて、見付かったのがセルド、君だ」
「……有力な番候補が見付かったのは嬉しい、のかもだけど。そんな猛獣のとこに俺、放り込まれんの」
批難するつもりはなかったが、人に酷なことを言っていることに気づいているのか試した。フィーアは両膝に手を置き、深々と頭を下げる。
「当主も私も非常に申し訳なく思っている。が、元々オルキス様は魔力が非常に強い方で、発情期が終わらない症状も、魔力の振れ幅が強すぎて原因が探れない。番くらいの対策がなければ、長続きするのは目に見えている」
「フィーアは、そうしてでも助けたいと?」
彼とは学を競った昔馴染みでもあり、魔術を語り合った仲である。
主人の非であれ、こうやって几帳面に頭を下げるような男だ。そんな男が救いたいと頭を下げている相手が、病に苦しんでいる。
下げた頭の下で、彼は苦しげに声を絞り出した。
「普段は落ち着きがあって優しい方なんだ。魔術師への理解もあって、常に学ぶことを怠らない。そんな方が狂ったように呻いて、そしてもう、思考も纏まらずに長いこと本も読めない。そんな姿を見るのが苦しくて……」
「顔を上げろよ。フィーアが頭を下げることじゃないだろ」
当主を連れてこい、と言いたいところだが、大領主がこんな田舎を訪れることに対しても邪推されそうだし、フィーアが自ら来たがったのだろう。
がしがしと柔らかく絡まる髪を乱して、視線を上げたフィーアに向き合う。
「対価はあるんだろうな?」
「結納金の大幅な上乗せと、優秀な魔術師を派遣することだ」
「迷惑料としては十分か。相手もうちと縁続きになるんだしな」
父に視線を向けると、笑みと共に頷かれる。フィーア……ヴィリディ家と父の間では調整が付いたのなら、あとは俺が頷くだけなのだろう。
番に夢見た時期もあったが、こうも急に決まると趣がない。顔も分からない相手と番になることを、俺は頷いて承諾した。
「いいよ。相手が嫌がったら番にはなれないが、行くだけは行ってやる。発情期明けに振られたら、金だけ貰って忘れるさ」
こんな答えでいいか、と首を傾げると、フィーアは泣き出しそうになりながらまた深々と頭を下げた。
主人の為に頭を下げることないのに、と彼のお人好しさをからかうが、それに絆された俺も同じくお人好しなのかもしれない。
魔術師の名はフィーア。魔術学校で知り合ったオメガの友人で、成績も良く、とにかく実技寄りな俺と違って学問にも向いていた。卒業後は高位の貴族……ヴィリディ家に仕えることになり、順風満帆な道を歩んでいたはずだった。
フィーアと父の間の話が終わり、二人がいるはずの部屋に呼び出されたのは午後になってからだ。
午前中に領民の魔術的な相談に乗るはずだったのに、全て潰され、暇すぎて仮眠を取ってしまった。
鏡の前に立って、くしゃくしゃに絡まりやすい髪を整える。灰褐色の髪と、藍色の瞳は春の光を浴びてもどこか薄暗く、鮮やかとはいえない。
見知った二人相手だ、と程々の所で切り上げ、自室を出た。古めかしい廊下を抜けて目的の部屋に向かう。
修繕費用が捻出できない屋敷の中でも、領主の部屋は他の部屋に比べればまだ調度品なども高価な品が並んでいる。
部屋に招かれ、来客者向けの椅子に座っているフィーアの表情を見ると、造りは悪くないはずの顔立ちが憂いに満ちていた。
フィーアに挨拶をして父に勧められた椅子に腰掛け、話を聞く体勢を取る。
「セルド。お前に縁談がある」
父が放った言葉に、目を瞠る。
「急な話だな」
「ああ、私にとっても急な話だ。少し前に、国内の貴族の中で、神殿に雷管石を預けて『いない』適齢期の子息がいないか調査が入ったのを覚えているか?」
俺の性別と呼べるものには、男、と同じ並びで、オメガ、という性がつく。
アルファ、ベータ、オメガの三種の中で、アルファとオメガについては特殊な性質を持っており、国家の運営の中でも例外的な扱いを多く受ける。
オメガは生命を産む性質から魔力を多く有すが、魔術師として成功しても力や体格は育ちづらい。番ができることはオメガの保護にも繋がるため、神殿がアルファとオメガを取り持つ役目も担っていた。
神が雷によって産む石は雷管石と呼ばれ、魔力を漏らさずに内部に保持する性質を持つ。その雷管石に魔力を込めて神殿に預ければ、所属の鑑定士が預けられた雷管石を基に、番として適している相手を紹介してくれるのだ。
「少し前に急に魔力を込めろ、って言われたやつだっけ? でもあの後、特に何も言われなかったような……」
神殿に雷管石を預けるかどうかは、貴族にとっても民にとっても自由だが、雷管石に頼らずに家同士の関係性だけで番を作る者もいる。
俺はまた別、領主付きの魔術師の役目を兼ねている俺がいなくなっては困る、という理由で先送りされていた。
魔術学校の卒業後、定年退職した魔術師の代わりに屋敷や領民の魔術装置を直して回っていたところ、こんな田舎の貧乏貴族では新しい魔術師を雇えず、俺の代役が見付からないまま結構な年数が過ぎてしまったのだ。
一応、領主の息子ではあるのだが、上の兄弟もいるため領地運営はせず、普段は貴族付きの魔術師のような生活をしている。そんな生活の中では結婚、が必要とされることもなかった。
父が言ったような調査でも入らなければ、またずるずると雷管石を預ける時期は延びていただろう。
「実は、預けた雷管石を基に、魔力の相性がいい相手が見付かったんだ」
父は友人のフィーアに視線を向ける。父の言葉を引き継ぐように、フィーアが黙っていた口を開いた。
「相手は……私が仕えている主人、オルキス・ヴィリディ様だ」
その名前は、流石に貧乏貴族の俺でも聞いたことがある名だった。王族とも婚姻するような高位の貴族であるヴィリディ家、その中でも当主の息子の名である。
次に屋敷を継ぐのはオルキス・ヴィリディの兄の筈だが、領地運営の役目を免除されている俺と違って、広大な領地を持つヴィリディ家の領地運営に深く携わっている筈の人だった。
俺がげっと表情を歪ませたのを見て、父が視線で睨め付ける。
「悪い。……でも、ヴィリディの家も、俺が相手だって分かったら握り潰したりしなかったのか?」
「先代の領主ならそういった事もあったかもしれないが、現当主は会わせてみるくらいはするだろう。確かに家同士の差がありすぎるという話は挙がったようだが、それよりも急いでオルキス様の番を見つけなくてはならなくて」
そう言って、フィーアは父にすみません、と深々と頭を下げているが、父もまあまあ、と言葉を許している。
流石にうちの家……冬になると溜め息をつきながら資金繰りをするような貧乏貴族であるクラウル家と、王族とも親類で多くの豊かな領地を持つヴィリディ家では家の差は歴然としている。
フィーアは顔を上げ、出されていた茶を口に含んだ。
「他言無用でお願いしたいんだが、オルキス様の発情期がずっと終わらないんだ。彼はアルファだが、屋敷にいたオメガのフェロモンに干渉される形で発情期に入り、数ヶ月が過ぎてもずっと収まらない。まだ番を得ていないから、オメガ相手に発散もできていなくてな」
「災難だな。性的に手練れの者を宛がうとかは……?」
「元々、御本人は潔癖なほうだが、発情期で悪化してな。一度そうしようとしたら暴れられた上に自傷されて断念した」
げっと表情を歪ませたが、今度は父も似たような表情だった。フィーアの憂いも当時を思い出したのか深くなり、三人で暗い顔を突き合わせる。
フィーアは手を組み、頭を垂れる。
「神殿に石を預けてみても長年、オルキス様の該当者はいなかった。慌てて国中の貴族の子息に石を差し出させて、見付かったのがセルド、君だ」
「……有力な番候補が見付かったのは嬉しい、のかもだけど。そんな猛獣のとこに俺、放り込まれんの」
批難するつもりはなかったが、人に酷なことを言っていることに気づいているのか試した。フィーアは両膝に手を置き、深々と頭を下げる。
「当主も私も非常に申し訳なく思っている。が、元々オルキス様は魔力が非常に強い方で、発情期が終わらない症状も、魔力の振れ幅が強すぎて原因が探れない。番くらいの対策がなければ、長続きするのは目に見えている」
「フィーアは、そうしてでも助けたいと?」
彼とは学を競った昔馴染みでもあり、魔術を語り合った仲である。
主人の非であれ、こうやって几帳面に頭を下げるような男だ。そんな男が救いたいと頭を下げている相手が、病に苦しんでいる。
下げた頭の下で、彼は苦しげに声を絞り出した。
「普段は落ち着きがあって優しい方なんだ。魔術師への理解もあって、常に学ぶことを怠らない。そんな方が狂ったように呻いて、そしてもう、思考も纏まらずに長いこと本も読めない。そんな姿を見るのが苦しくて……」
「顔を上げろよ。フィーアが頭を下げることじゃないだろ」
当主を連れてこい、と言いたいところだが、大領主がこんな田舎を訪れることに対しても邪推されそうだし、フィーアが自ら来たがったのだろう。
がしがしと柔らかく絡まる髪を乱して、視線を上げたフィーアに向き合う。
「対価はあるんだろうな?」
「結納金の大幅な上乗せと、優秀な魔術師を派遣することだ」
「迷惑料としては十分か。相手もうちと縁続きになるんだしな」
父に視線を向けると、笑みと共に頷かれる。フィーア……ヴィリディ家と父の間では調整が付いたのなら、あとは俺が頷くだけなのだろう。
番に夢見た時期もあったが、こうも急に決まると趣がない。顔も分からない相手と番になることを、俺は頷いて承諾した。
「いいよ。相手が嫌がったら番にはなれないが、行くだけは行ってやる。発情期明けに振られたら、金だけ貰って忘れるさ」
こんな答えでいいか、と首を傾げると、フィーアは泣き出しそうになりながらまた深々と頭を下げた。
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