崖下で謎の美形アルファを拾ってしまった魔術師オメガさん【オメガバース】

さか【傘路さか】

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 その日、崖の下で男を拾ってしまった。








 深夜とも言える時間に目覚めてしまったのは、妙な違和感を覚えたからだ。寝台から身体を持ち上げると、その違和感をはっきりと理解した。

 結界が壊れている。

 意識した瞬間、布団を跳ね上げるように起き上がった。寝間着の上にローブを羽織り、縺れる脚を正しながら廊下を駆け、玄関へと辿り着く。

 昨日は雨も風も酷かった。

 今は小雨が降っている程度に落ち着いているが、地面は泥濘んでいることだろう。靴を履き、魔術で光球を点しながら外に出る。

 足を踏み出すと、ぐちゃりと柔らかい泥で靴底が汚れた。

「妖精。人の気配はあるか?」

 尋ねると、ひょい、と肩に何かが乗っかる気配があった。ローブの懐に仕舞い込んでいた眼鏡……魔術装置を着用すると、ぼんやりと像を結ぶ。

 ちんまりとした胴体、丸い頭。二等身の人形のような形状の存在が、肩に座っていた。

『たいかは?』

「飴を四つ」

 小さな手が持ち上がり、北方を指す。

『あっちだ』

 人ではない妙な響きが耳を揺らした。指された方向へと駆けていくと、早々に息が切れる。

 呼吸を整え、口を開いた。

「我が脚は雷光を運ぶが如く、この一時翼を持つ」

 魔力が足元に絡みつき、纏うように収束する。脚を動かすと、異様に軽く浮いた。

 身体強化の魔術。俺はこういった魔術を連発できる程度の魔力を持ち、魔術の知識もあった。人からは、魔術師、と呼ばれる。

 月明かりもない夜道を、フードを被ったままただ駆ける。結界が悪意ある人間の手によって破られていたのなら、追い返さねば実験小屋が危うい。

 木々が密集している場所を抜けると、崖に辿り着く。おっと、と脚を止め、肩に乗る妖精に視線をやった。

 ちいさな指先は、崖下を指している。

「下か?」

『そうだ』

 その場で軽く跳び、脚の感触を確認してから崖下を覗き込む。暗く、底は見えそうになかった。

 雨に濡れた頬に、強く風が吹き付ける。記憶にある限り、この崖は無策に飛び降りれば死にうる高さだ。

 あーあ、と息を吐いて、その場から身を躍らせる。

「風よ跳ねろ!」

 詠唱した魔術が起動し、ふわりと身体を浮かせる。魔力を持続させて着地すると、地面に倒れ伏す男の姿があった。

 結界を破壊した侵入者、という予想は外れだったらしい。先に壊れた結界を修復し、そろそろと男に歩み寄る。

 男の近くには、数カ所、焦げ跡があった。

「落雷……? 雷の当たり所が悪くて魔術結界を壊したのか? でも、落雷ごときで壊れるような結界じゃないんだが……」

 こつり、と靴のつま先が何かに当たる。拾い上げると、大きく透明な石だった。雷管石、と呼ばれる、神が落とした雷によって生まれる石だ。

 成程、と石を握り込む。

「神の手による雷が落ち、神術に近い効果を発揮したのか。魔術は神には通らないとされているが、逆ならば干渉することも容易いのかもしれない。力の痕跡を追って結界を張り直────」

『おい。たおれているにんげんは、いいのか?』

 ぺし、と妖精の手で頬をはたかれる。

 倒れている人間を忘れ、神の力の一端に興奮している姿は、妖精から見れば人でなしに見えただろうか。やれやれ、と呟いてフードを下ろす。

 零れ出た暗褐色の髪は闇に解け、暗い中で点る灯りに緑の目が浮かび上がる。もし俺以外がいれば、不気味に思う光景であろう。

 倒れている男は、武器を身につけてはいないように見える。そろそろと近寄り、身体に触れるが、確かに無防備なものだった。

「体温が低い。頭に傷、脚は折れてるかもなこりゃ……。死にかけじゃねえの。面倒だし見捨てていいか」

『ひとでなしが』

「妖精に言われちゃ世話ないな。……助けるべきか?」

 うーん、と頭を傾け、眼鏡に付いた水滴を拭う。ぴくり、と男の手が動き、俺の腕を掴んだ。

 ぎりぎり、と一瞬だけ痛いほど握り締められるが、次第に力は緩む。

「…………たす、け……」

 喉の奥から振り絞るような、僅かな声量だけが雨音を掻き消した。

 俺は肩を落とし、頬に張り付いていた髪を払い落とす。

 医療魔術を通すために魔力を流すなら、皮膚に触れる方がやりやすい。粘膜なら、尚のこと良い。

 相手が拒絶したくなるような魔力を持っていない事だけを願った。

「────王子様でなくて悪いね」

 覆い被さるように、唇を重ねる。魔力の境界を溶かし、自らの魔力を注ぎ込む。

 一番悪いのは頭の傷だ。相手の身体を自分のものとして、魔力を通して圧を掛けた。手早く治せる傷を、魔力を吹き込んで修復していく。

 長いキスの後、唇を離すと、体温が上がり、相手の呼吸が僅かに穏やかになった。はあ、と息を吐き出す。

「これで死ぬこたねえだろうが。今からこいつ抱えて帰るのか……」

『おひめさまだっこをせねばな』

「うるせ」

 相手の腕を肩に回し、よろよろと立ち上がる。おそらく、この男はアルファだ。

 魔術で強化した身体においても、体格差のある相手を移動させるのは骨が折れる。背負い、ずりずりと長い脚を引き摺るようにしながら、実験小屋へと歩を進めた。













 暖炉に薪をくべ、乾いた服へ着替えさせた男を暖める。頭には包帯を巻き、脚は添え木で固定しておいた。

 生命維持に必要な分だけ見様見真似の魔術で治したが、自然治癒に頼るに越したことはない。

 ちらり、と男の顔を見る。

 印象的なのは、泥水を拭った下にあった鮮やかな赤毛だ。髪質は良く、肌の状態を加味しても悪い暮らしはしていないように思う。

 服は布地も薄く、庶民が手に入れやすい安価な素材だ。だが、アルファであろうという予想と、顔立ちが非常に整っている事実を加味すれば、服が素性を示すかは怪しい。

 持ち物に身分を示すような品はなかったが、かえって違和感があった。この周辺に住む人間が山に立ち入ったと想定するなら、あまりに山を軽く見過ぎ……持ち物が少なすぎるのだ。

 疑問ばかりが提示されて、答えがない。男が目を覚ますのが待ち遠しかった。

「起きねえなぁ……」

『しにかけのにんげんに、むりをいうな』

 俺が男を見つめて呟くと、頭のてっぺんを、ぎゅむ、と押された。妖精を引っ掴んで暖炉に近づけると、器用に擦り抜けて手の甲を引っぱたかれる。

 無言の攻防の間にも、ぱちぱちと火の爆ぜる音が響いていた。

「なあ。妖精、こいつアルファだよな」

『たいかは?』

「毎度毎度、けちくせえ」

 近くのテーブルに置いてあった瓶を引っ掴み、蓋を開ける。カラン、と瓶が涼やかな音を立てた。

『あめよっつ、もまだだ』

「ほんと、貰う方は忘れないよな」

『はたらくほうも、わすれはせぬ』

 ひとつかみの飴を妖精に降らせてやると、全てを見事な動きで受け止められた。

 大きな飴玉を頬張るほっぺが丸く膨らむ。

『もごごもごもご』

「待て待て。いま報酬を払うな、聞き取れん」

 妖精はしばらく頬を動かすと、ごくん、と飲み込んだ。

『にんげんのことばでいう、あるふぁ、だ』

「だよなあ、面倒。回復の間は面倒を見てやりたいが、性的に事故りたくねえし」

 放り投げてあった手帳を書類の山から引っ張り出すと、紙が崩れた。妖精はぴゃっと驚いて俺の肩に乗る。

 山中の一軒家……実験小屋の居間に当たる場所は、暖炉と机、男が寝ている長椅子でいっぱいになるほどの狭さだ。その狭い居住空間を、紙と本が更に圧迫している。

 俺が雷管石への魔力的な干渉を研究したくて山に入ってから、もう一年は経っただろうか。

 稀に神の雷が落ちることがある。この山は、そんな珍しい土地だ。

 モーリッツ一族は、末席とはいえ貴族として名が知れている。この山も、別荘として建てられた実験小屋も一族の所有物で、借り受けることは容易かった。

『おまえがか?』

「事故るよ。オメガだし」

 妖精の顔に、暖炉の火の色が移った。瞳は興味深そうに揺れる炎を眺めている。

 この小さい存在は、元から実験小屋に棲み着いていたらしい。

 小さい頃から妖精の声を聞き取れた俺が言葉を返すと、面白がって付き纏うようになった。姿が見えないと悪戯をされまくる所為で、姿を見るために眼鏡型をした魔術装置を作る羽目にもなった。

 名を呼んでやりたかったが、どうやら名前は無いそうだ。妖精は個が全であり、妖精は妖精でしかないのだと言う。

『あいてにも、えらぶじゆうがあるわけで』

「お前は人間じゃないから分かりにくいんだろうが、発情期はそういうもんじゃねえの。こんなことなら、適当に番を作っておくんだったかなぁ」

 この世の中には、男女という性の他にアルファ、ベータ、そしてオメガという性がある。この男のようにアルファは体格に優れ、知性も高い個体が多い。

 オメガは生命を産む性であり、生命力、転じては魔力量にも優れている。俺と同じように、魔術師の適性を示す者も多く存在する。

 アルファとオメガの間には、番という関係が存在する。オメガは、発情期と呼ばれる時期、フェロモンで人を誘おうとしてしまう。やたらめったらに人を誘えば社会の混乱を生む。

 だが、この発情期も番関係が成立してしまえば大人しいものだ。オメガは番しか誘えなくなり、アルファも喜んで番とまぐわおうとするだけで済む。

「そういや。さっき、雷管石を拾ったんだっけ」

『くれ』

「やだ。そこら辺で拾った石とはいえ雷管石なんだから、魔力を込めて神殿に預けたら、運命の相手を探してくれるんだぞ」

 国自体も、アルファとオメガの番関係を推奨していた。

 その最たる制度に『神殿へ雷管石に魔力を込めて預ければ、神殿に所属する鑑定士が魔力的に相性のいい相手を教えてくれる』というものが存在する。

 神の雷によって生まれた石は、内部に魔力を永久的に保持する。鑑定士は神の加護を受け、魔力を目で視て、調和する魔力を探せるらしい。

 机に転がしていた雷管石を持ち上げると、透き通った存在の先に炎が揺れた。

「よし。さっさと治して、追い出そう」

『おー』

 横から髪が引っ張られた。指先で弾こうとすると、肩の上をちょろころ動き回られて困る。

 その日は眠たくなるまで、炎の立てる音を聞き、男の整った顔立ちを眺めて過ごした。







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