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一頻り泣きじゃくって落ち着くと、気落ちしていても手は動く。その日は予定通りに仕事を片付けた。
貰った食品を腹に詰め込み、普段よりも早い時間に気絶するように眠り込んだ。
翌日は、泣き疲れたのか、昼過ぎに目を覚ました。
明らかに寝坊だ。その日の予定も達成できるものではなく、もういい、と術式の書かれた紙を机に放り投げた。荷物を床に投げ落としたソファの上で、丸まって視線を部屋の隅に向ける。
彼になんと言えばいいのかも分からなかったし、元に戻れるかどうか、先が見えなかった。謝るのは経緯を黙っていた僕であるべきだし、全ての切っ掛けを作ったのだって僕だ。
ごろり、と寝返りを打ち、少しずつ変化しているであろう匂いを吸い込む。
「謝りに行くのだって、この時期に行くべきじゃ……」
もし彼を発情期に引き込んでしまったら、互いに泥沼だ。打つ手がない。全ての道が塞がれて、僕はただ寝転がるしかなかった。
窓の外は明るく、鳥の囀りは美しいままなのに、僕はそれらの全てから取り残されている。
「…………お腹空いた」
起き上がり、昨日届けられた紙袋を開いた。
普段買わないようなパン、ごろりとした果物、少し高くて買おうとしない菓子。目に付いた物を開いて、口に放り込んだ。甘ったるい味がどっと襲ってくる。
次から次に口に放り込むが、そこまで食べ進めないうちにお腹がいっぱいになった。熱量がたんまり詰め込まれた生地は、僕の脆弱な腹には重たすぎたらしい。
くく、と声が漏れ、なんにも面白くないのにけらけらと泣き笑いの声を上げた。
「甘くて美味い。…………────謝りに行くか」
好き勝手に生きていい、と背中を押したのはあの男だ。方針を変えた後の道筋を、一緒に歩んで貰わねば割に合わなかった。
昨日と同じように準備を整え、ローブから埃を払った。日持ちしない食材は保管庫に放り込んでおく。髪をゆるく編むときに、首筋を撫でた。誰も歯を立てたことのない滑らかな肌は、譲り渡してしまうつもりだ。
院内の事務には休みに入ると伝え、発情期の休暇に入る形にしてもらった。これからは連絡は受けられないかも、と言い添えておく。
病院の前に馬車を呼んで、人のいない道を通って馬車を待った。僕たちのようなオメガ相手に商売をしている馬車は気密性の高い造りで、番持ちの御者が扉を開く。
場所を告げ、金を払うと、馬車はくるくると車輪を回し始めた。速度はゆっくりと上がり、カタン、カタン、と軽快に道を駆けていく。視線を窓辺から外に投げる。明るい陽光はまだ僕にとって眩しすぎるが、いずれ変わっていくんだろう。
レナードの家に辿り着き、馬車が遠ざからないうちに合鍵で家に上がり込む。予想通り家主は仕事中のようで、家の中は静かだった。
彼の本棚から初心者向けの料理本を数冊持ち出し、ソファに沈み込んだ。読み込む余裕があるとは思えなかったが、家主が帰ってくるまでの数時間は途方もなく長い。
天頂近くだった陽がやがて水平線へ向かって傾き、色味を変えていく。それまでの間、ただ僕は文字に目を滑らせながら、感情を整理していた。
かちゃり、と玄関から音が響いてきたのは、日も落ちきって更に数時間経った頃だ。光が灯っていることを不思議に思ったのか、音は普段よりも荒い。本を閉じ、ソファから立ち上がった。
そろそろと廊下を歩いて玄関に向かうと、扉を開けた彼と鉢合った。視線の先で、レナードの目が見開かれる。
「あ。そこで一旦止まってくれ」
「……は?」
「発情期が近いんだ。事故が起きたら辛いのはレナードだと思う」
駆け寄らんばかりの空気が萎んだのを確認すると、僕は口元に笑みを浮かべた。
「話したいことがある。距離を空けて、付いてきてくれ」
踵を返して廊下を戻り、さっきまで過ごしていたソファに腰掛ける。彼は律儀に僕と距離を取り、踏み台を兼ねた椅子を持ち出して向かいに腰を下ろした。
座ってなお呆然とした表情は、僕の勢いに呑まれた時のままだ。
「……謝りに来た。神殿で会った時にレナードの誤解を正さなかったのは、紐解く手間を面倒がったからだ。申し訳なかった、と思っている」
震える声音を堪えながらほぼ一息で言い切って、伝えたいことはこれではないと気づく。髪に指先を絡めて、息と共に解いた。
視線を合わせ、感情が見えない瞳の奥を見つめる。
「初めて会った時、……レナードに不満はなかった。いずれ番になれたら、と思う気持ちはあるが、身体のこともある。急がせたり押し付けたいとは思わない。ただ、今までのように、会って。話がしたい」
泣き出しそうになるのを堪えて、何度も考えた言葉を口に出す。上手く言えているかさえ分からなかったが、必死に言葉は続けた。
指先が震えるのを握り込んで殺し、表情を押さえつける。
「レナードと会えて、僕は……幸運だった。許してくれるのなら、これからも傍に置いてくれないか」
言葉が途切れて、沈黙が下りた。
目の前にあった瞼が伏せられ、彼の唇が震える。掌は身体の前で組まれていた。血管が浮き、変に力が籠もっているのがわかった。
夜も深まる時間の外は静かで、迫る闇のようにひたひたと不安が肩にのし掛かってくる。目の前の男が、僅かに口を開いた。
「……君が心を開いてくれている事は、分かっていた筈なのにね。なんで、信じ切れなかったんだろう」
彼は椅子から立ち上がり、何もかもを放り投げるように僕の隣に腰を下ろした。回った腕に肩を引き寄せられ、そのまま抱き込まれる。
空気に飲まれて抱かれていたが、慌てて腕の中から逃れる。
「レナード……! 発情期が近いんだって……」
「構わない。君に発情期に引き込まれて勃たないんなら、もう治らないよ」
「投薬と魔術の行使で治るに決まってるだろ……! 離せってば……」
ばたばたと腕の中で暴れるのだが、上手いこといなして抱かれ続ける。近くでアルファの匂いを受けたら発情期は早まるに決まっているのに、腕の中から逃がそうとはしなかった。
魔力の境界は綻んで、一日働いて魔力が減っているレナードの方へと流れていく。綻びの端を閉じようとしても、上手く扱えなくなっていた。
「何か……これ、ニッセの魔力?」
「そうだ。悪い……制御が効かなくなっていて、そっちに流れ込んでしまっている」
ふぅん、と彼は手元を見つめると、ぎゅ、と握り込んだ。
次第に混ざっていく魔力の中で、感じ取れていた妙な波が、僕の形に変わっているのが分かる。魔力量が多い所為で、大波がレナードの歪んだ波を押し流している形だ。
僕は、唇に手を当てる。
「レナードは、どういうものを見たら勃起する?」
「…………は? なに、突然」
「いま、魔力がいい形で流れているんだ。ここで精神的な興奮があればと……」
「ああ、そういう話か。でも、君には言わない」
恥ずかしがっているのは分かるのだが、ちょうど魔力の波が整っている状況なのだ。ここで元通りに勃てば、彼の場合、一度を身体が覚えて再現できるようになるはずだった。
彼の服を握り込んで、逸らされた視線を見つめる。
「言わない、とは?」
「………………」
無言で天を仰ぐ様子に、ぐいぐいと服を引く。話せ、と目を細めて促すと、彼は諦めたようにようやく口を開いた。
「君、……が、淫らな格好をしている、とか。体勢をしている、とか」
「ああ。なるほど、本人相手に言いづらかったと」
そういうことなら、と上着の裾を捲り上げる。持ち上げた裾の下からは、陽光を知らない、真白い腹が覗いていた。
固まったまま反応は返ってこない。違うのだろうか、と首を傾げ、シャツの釦を外す。鎖骨が見える位置まで外し終えたところで、制止するように指先が割って入った。
「ニッセ……!」
「興奮しないか? 下がいいか」
下の服に手を掛けると、それも割って入られた。頭を抱えるように肩が丸まり、ぐい、と僕の身体が引き離される。
落ちきった視線の先を辿ると、彼の股間が大きく下から持ち上がっていた。
「……頚飾も外して、紛らわすための匂いを落として、フェロモンを強めてもいいか? そうしたら、このまま発情期に引き摺り込んでしまうが」
試すように顔を寄せると、首筋に彼の手が掛かった。ぐい、と引き寄せられて唇が重なる。噛み付くような口付けは、軽く唇に歯を立てて離れた。
見慣れた色の筈なのに、瞳の奥にはぞっとするような欲が覗き見える。アルファが欲を吐き出す術なく薪を重ね続け、僕はその根元に火を点けたらしい。
「誘ってるの、分かってる?」
「項を噛みやすくしようとしている時点で、自覚はある」
力の緩んだ腕から抜け出し、首元の留め具を外した。髪さえ上げてしまえば項は露わになってしまう。
机の上に頚飾を置いて、浴室へと向かった。装置を使って湯を張りつつ、服を脱ぎ落とす。
廊下から足音が響いてきた。近寄ってきた音は、扉の前で止まる。扉を開いて、顔を覗かせた。
「まだ身体を洗い終わっていないが?」
「……生殺しにも程があるよ」
彼の視線は、僕の身体に向けられている。こくん、と唾を飲み込んだのが分かった。
「じゃあ、洗ってくれるか……?」
そう言って唇を持ち上げると、情けない声が上がった。僕が手招きするように浴室へ向かうと、後を追うように脱衣所で衣擦れの音がした。
頭から湯を被り、アルファの嗅覚に干渉する香水を擦り落とす。鼻先を擦り付けて何の匂いもしなくなったことを確認して、身体に手早く泡を纏わせた。
バン、と叩き付けるように浴室の扉が開く。
「遅かったな。もう洗い終わってしまうぞ」
立ち上がって彼の胸元に飛び込むと、触れた場所から泡が移った。ぼたぼたと泡の塊が床に落ち、迷う指先には白いものが纏わり付く。
ややあって、その掌は背に回された。ぬる、と滑りを借りて撫で下ろす。
「…………ン、う」
腰を撫でた手が、尻に回って鷲掴む。僕の中ではまだ肉感的な部位だが、やせっぽちの身体に興奮できるのだろうか。
そう思って視線を下ろせば、形を変えた雄とかち合った。見上げると、ちゅ、と唇を盗まれる。
「……興奮してくれているな。持続できるといいんだが」
「縁起でもないこと言わないでよ」
「触ろうか?」
「後でね」
泡を纏った指先が胸元へと這う。周囲を撫でられた感触で尖ったそこを、ぐりぐりと押し潰した。
泡の付いた先端は、温度に色を変えている。
「…………ん、ぁ、……っふ」
浴室に響いた声が耳に届くと、かっと頬が染まった。唇を閉じ、声が漏れぬように力を込める。
僕の様子に気づいた男の指は、更に執拗に普段は隠れている場所を苛める。
「…………も、い……だろ」
押し退けるように入らない力を込めると、相手は不自然なほど素直に引いた。僕の身体に湯を掛け、自らの身体にも泡を纏わせて洗い流す。
ぽたぽたと水滴を垂らしながら、僕は慣れないことに視線を彷徨わせた。
「行こっか」
浴室から出ると、レナードの手ずから全身の水分を拭い取られる。僕は髪を乾かすと同時に、こっそりと褥で使う魔術式を混ぜて発動しておいた。身体の奥を傷付けない程度に留め、交合を楽しむような類のものは省いておく。
彼はいちおう寝間着を着ていたが、上は羽織る程度に留めている。
僕も脱いだ下着をまた身に着けることは許されず、寝間着の上だけを渡された。手近にあったレナードの寝間着で、腕の裾は振り回せるほど余る。困りながら先の方を折っていると、でれ、と崩れた表情のまま見守るアルファがいた。
頼りない指先で、彼の掌に手を伸ばす。
「僕は、……僕の本心を尊重して、僕を大事にする。その為に、レナードと、番になりたい」
「俺だって、番になりたいのは君とだけだよ」
指先を絡め合って、縺れそうになる脚を動かしながら寝室に雪崩れ込んだ。
扉が閉まる瞬間、腰に回った腕に身体ごと引き上げられる。大きな身体が覆い被さり、開いた唇から舌が潜り込んだ。
「……ん、ぁ……ッふ、っく」
縮こまった舌は掬い上げられ、ちゅくちゅくと唾液を混ぜながら口づけを重ねる。皮膚で触れ合うよりも、粘膜同士の接触には境界が無い。周囲はアルファの匂いでいっぱいだ。息を吸い込む度に匂いを呑み込んだ。
は、と唇が離れた瞬間に息を吸う。
「一気に匂いが強くなったね」
「いま噛んだら、番になれるか?」
「試してみようか」
こくん、と頷き、導かれるままに寝台に腰掛ける。肩に掛かるばかりだった服は容易く落とされ、ただ僕だけの匂いがする身体がその場に残された。
ちゅ、とまず頬に触れた唇が、首筋を伝うように伝い落ちる。軽く歯が当たると、そのまま項まで噛まれるようでぞくぞくした。覆い被さる身体を受け止め、後頭部を撫でる。
唇は、さっき指先で嬲られた場所に辿り着く。まだ名残がある粒が、舌先に捕らわれた。
「────っ、ぁ!」
輪を描くように舌が伝うと、唇を窄め、ぢゅう、と吸われる。ざりざりと舌先は粘膜を擦り、知らない刺激を与えてきた。唇が胸の肉を食み、口内で弄ばれる度に、新しい感覚に目眩がする。
「……っ、う、……っ、ぁッ…………」
空いている側も指先で捏ね、丸い爪の先を食い込ませる。指の腹が先端を押し潰し、背を使って跳ねさせた。ふる、と余韻に揺れるそこは、見知った色形をしていない。
怖くなって、彼の唇の前に指を差し入れる。
「……ッ、今日、……は、そのくらいで、いい……」
「……まあいいか。これも後で、ね」
眼前でにっこりと念押しする顔立ちには、愉悦が浮かんでいた。こく、と頷くと、ようやく彼の指が乳首から離れる。
掌は胸から腹に下りた。肉付きは薄く、摘まんで引かれても皮ばかりだ。腰から尻に掛けてだけは丸く、ここ最近食べさせられてきたこともあって柔らかさが増している。
腹を撫でていた手は腰を経由し、股へと向かう。茂りを一房つまみ上げて、髪にするように撫で付ける。さわさわとした微細な刺激がもどかしかった。
「……すこし待って」
寝台の横に置かれた小机の引き出しが開かれ、中から小さな瓶が出てくる。まだたっぷりと中身が残ったその瓶は、開封されて間もない。
彼は瓶の中身を手に広げる。匂いもない液体は、ただ潤滑のためだけにあるかのようだった。
レナードは濡れた指先で茂みに分け入る。液体に濡れた部分から蔦のように指に絡み付いた。
中心に辿り着いた指が、それを引き上げる。
「良かった、感じているみたいだ」
長い指は根元に伸び、すり、と指の腹で軽く擦った。
「ひッ────!」
発情期には幾度となく自らの指で慰めてきた場所だったが、他者の違う指で触れられるのは全く違う感覚だった。ごつごつした指は浮き出た骨がよく分かり、大きな掌は覆うように広い範囲を扱く。
「あ……、ゃ、……っ、ぁあッ……!」
指先が鈴口に食い込んだ。こぷり、と溢れたものを掻き出すように促され、だらだらと涎を零す。唇は閉じることを許されず、ただ、言葉にならない声を上げ続けた。
造りの違う手が、思いも掛けない動きで這い回る。絶頂に登り切らない位置で留められ、じわりじわりと時間が伸びるほど身体を苛んだ。
指先が離れた時には、浮いたような感覚のまま彼を見上げる。
「物欲しげな顔……。もうすぐ、あげるからね」
瓶の中身が股に垂らされる。腰を支えたまま肩を押され、寝台に倒れ込んだ。追う形で視界に入るレナードは、安心させるように額にキスを落とした。
彼の手で、脚が割り開かれる。隠していられた場所が他者の視界の先に晒されている。
溝を伝って落ちる液体に添って指は背後に回り、辿り着いた窪みの縁をなぞった。反応するようにひくりと動いたその中央に、指先が突き立てられる。
「────うぁ、あ……!」
一気に輪を潜った違和感に、きゅ、と引き絞った。あやすように肉を捏ね、ぬめりを纏った太い指が奥へと潜る。傷付けないような慎重さはあれど、引かれる様子もなかった。
くい、と内部で指が曲がる度、身体の中から押し上げられる。何処かを探っているだけのようだったが、意図が見えない怯えに爪先を丸めた。
「あ……ここ?」
「────え? ぁ、ひ……ぁあああッ!」
指の腹でそこが押されると、ずぐりと響くような快楽が起きた。内部を明け渡している不安に縮こまっていた分身が形を変える。
ぬるぬると滑る指が、僅かに膨らんだ場所を撫でさする。身体を揺らし、悦びを得ていることを示して尚、彼は拓く行動を止めない。
男根で突き入る動きのように、滑りを使って洞を前後する。撫でていた場所をぐり、と押し込む感触は、あまりにも深く重かった。
「悦い、……ん、だろうね。涎が零れてる」
光差す部屋では、青空のようだ、と思った瞳が僅かに光量の落とされた照明の下にある。いまは水底に似た色で、淀みがなくとも恐ろしかった。
いくら優しくとも、寄り添えようとも。項を噛むのはあちら側だ。
「……ぁあ、あッ……、く。あっ、ぁ、あ…………!」
それなのに、番になるために明け渡す場所はもっと奥。指で突かれる場所ごと巨きなものを受け入れることになる。
怯えばかりであるはずなのに、胸はどくどくと高鳴っていた。怯えながら身体を差し出す行為を、この躰は嬉しがってもいる。
────あのアルファを、僕自身が選んだからか。
「ぁ、あ、ひぁ、……ッ、ぁあ────」
声が濁りかけて来たころ、ようやく後腔から指が抜かれる。べっとりと濡れた場所が空気に当たり、ぞわりと背が粟立った。
目の前で軽く羽織っていただけの服が落ち、その先に動くことに慣れた筋肉が覗く。続けて、剥ぐように下の服も脱ぎ落とした。
ようやく長い拘束から解放されたように、その砲身はぶるりと震えて持ち上がる。ぱくぱくと鈴口は呼吸し、亀頭はびっしょりと濡れていた。
「項、見せて」
身体を反転させ、後頭部の中央で髪を割る。髪の先を胸元に流すと、無防備な首の後ろにアルファの唇が当たった。柔らかく触れるだけの接触の後、軽く歯を立てられた。
シーツの上に肘を突き、項ごと身体を晒す。やんわりと指が腰に絡みつき、掌全体で掴んだ。
腰が持ち上げられ、後ろの輪に濡れたものが引っ掛かる。くち、と濡れた音が糸を引いて、招かれるままに、ちゅう、と押し付ける。
縁は膨らんで綻び、軽く食めば嬉しげに絡み付く。啄むようなそれを何度か繰り返し、一層つよく腰が引かれた。
「────ァ! …………ひ。ぁあ」
痛みはなかったが、圧迫感が酷かった。
指よりも質量のあるものが、狭い孔を押し拡げていく。喉を開いて、嬌声なのか呻き声なのか自覚できないまま、呼吸を荒げて受け入れる。
「ぁ、ひ。……うぁ、あ、あ、ぁッ」
持ち上げられている腰の感覚は次第に薄くなり、腰が押し付けられる度に視界の端で髪が揺れる。僅かに抜いて、押し込んでを繰り返しているうちに、何度繰り返されたのか分からなくなった。互いの呼吸音の合間に、結合部から立つ水音が混じる。
ぱん、と残りを埋め込むための強い打ち付けで、ようやく尻たぶに相手の腰が当たった。指で届かなかった奥に届いてしまった先端は、膨らんだままその場所を押し上げている。
「分かる? ここ」
「……ぃ、ひッ。わか、な……────!?」
どす、と感覚を教え込むように強く突き入られた。がくがくと身が震え、奥に居座る雄を食い締める。
「君との体格差だったら、ここ、届くかな、って思ってたんだ」
「ぁ、あ、うぁ、……ひ、ぐ」
「ここ……、やっぱり、入ったら先っぽが填まっちゃうね。で、抜くと──」
ぐぽ、と身体の奥の弱い処が膨らんだ先端に拡げられる。
「やっ……ぁああ。ぁ、ぁは。────ぁああッ!」
「……っ、は。悦い、でしょう。発情期の間に、ここ、……もっと慣らそうね」
もっと重い快楽がある、との予告に怯えて首を振る。拒否を聞いてなどいないかのように、はは、と態とらしい笑い声が上がった。
奥を苛めるのに飽きたのか、限界が近付いたからなのか、彼の腕が腰を強く掴んだ。ぐっと引かれ、尻の肉を押し潰すように叩き付ける。
「────あ!」
「でも、まずは番になること、……かな」
散々慣らして勝手を掴んだのか、抽送は最初から大振りだった。膨らみで捉えた部分を抉るように、身体の重さを使って押し上げられる。身体の中では先端から滲み出た魔力がだらだらと漏れ出ており、子種ごと含まされているのは分かっていた。
憎たらしいほど滑りは良く、肉芯は容易く奥まで潜り込む。
「も、や……。……ぁ、あ、あ、あぁっ!」
「……っ、いや?」
「お、なか。おく、……ぐりって、……ぁ、も、イっ。ぐ、う」
絶頂の縁で、あと少し、というところで雄が引いた。このままでは、何度も同じ寸止めが続くのだろう。
ぐすぐすと滲み出る涙をシーツで拭って、背後を振り返る。
「く、くび……噛んで」
「噛んで。それで?」
「……おなか、なか、だして。欲し……ッ!」
がくん、と腕から力が抜けて肩ごとシーツに倒れ込む。
満足げに、ごくん、と唾を飲み込む音さえ聞こえるようだった。離れた首筋を追い詰め、アルファの牙が項に当たる。
腰が抱え直され、大振りに引かれた筈の肉棒が叩き付けられる。重たい打ち付けに、こふ、と一時、息が詰まった。
「────ぁああン! ……ひっ、ぐ。ぁああぁぁぁあぁあッ!」
がぶり、と容赦なく歯が皮膚に食い込む。痛みよりも、熱だった。強く牙が突き立てられた後で、埋まった雄から子種がぶち蒔けられる。
狭い虚を堰き止め、奥に流し込もうとするように、腰は尻肉を潰したまま固定する。雪崩れ込んでくる魔力が止まっても尚、ぐりぐりと丹念に押し付けた。
絶頂で引いた波が、圧迫されていることでじわりとまた動きを始める。僅かに体内の男根が動く度に、ゆるい快楽が与えられ続けた。
「……ひ、く……、……う、ぇ」
逃げられない刺激に啜り泣いても、彼の手は僕の中心に掛かって扱く。もういい、と訴えると、ようやくレナードは言葉で返事をした。
「治ったら、今度は足りなくて」
身体の中にあるそれは、次第に硬さを取り戻し始めている。いくら発情期といえど、あれだけ弄って貪っておいて、まだ前菜だとでも言いたげだ。
ずるずると寝台を這って抜け出そうとしたが、後を追った身体が、どちゅ、と僅かに抜けた部分を突き上げる。嬌声を喉で殺して、シーツに倒れ込んだ。
「ぁ……ぁ、ひ、……っく」
「……だいたい一年分、かな。付き合わせちゃって悪いな」
悪い、と思っていないような浮かれた声音で、レナードは僕の身体を抱き込んだ。溜まりに溜まったアルファの欲は、これから僕の身体に突っ込まれるらしい。
交合の快楽によるものではない涙が、浮かんでいるのは気のせいか。
周囲に彼の匂いしか感じなくなった身体を恨めしく思いながら、せいいっぱい身体を伸ばし、眠りから覚めたばかりの雄から逃れる。けれど、逃げる距離以上に押し付けられ、身体の中で形を変えていく感触を味わわされた。
「……ン、っく。…………ぁ、や」
「長引かないように頑張るから、ね」
ちゅ、と彼の噛み痕が残った項にキスが落ちる。
僕は都合のいいようにのたまうアルファの腕に捕らわれたまま、番と過ごすには長い発情期の始まりをちょっぴり憂うのだった。
僕はそれまで通り、レナードの家に通う日々が続いている。泊まりが増えたことで仕事道具以外の荷物を色々と持ち込み始め、生活の拠点は移りつつあった。
今日の僕の担当作業は終わり、ちょろちょろと彼の周辺をうろつきながら、出来上がっていく食事を眺める。
「────今日は帰りが早かったね。俺もだけど」
普段よりも帰宅が早かった彼は、番が待っているなら、と副店長に帰らされたらしい。僕もまた、今日は仕事の進みが良く、切り上げる時間が早かった。
数種類の刻んだ野菜を煮詰めた、甘酸っぱい匂いが台所中に漂っている。くん、と鼻を動かして、出来上がりへの期待を高めた。
「仕事を詰め込んでもいいんだけどな。手紙で母にも心配されてしまったし、すこし、ゆっくりしようと思っただけだ」
「そっか。一緒に過ごせる時間が増えて嬉しいよ」
出来上がった料理を慎重に盛り付け、最後に飾り用の葉をてっぺんに添えた。できた、と宣言された料理を、両手で持ち上げ、小走りで新品の食卓に運んでいく。短い間隔で、軽快な音が床を叩いた。
背後から付いてきたレナードは、愉快そうな声を上げながら残りの皿を両手に持ってくる。
「ニッセの顔色が戻って良かった」
皿を食卓に置き、まだ座らずに待っている僕の頬をふに、と軽くつまむ。頬を膨らませて彼の指から逃れるのだが、今度は両手で頬を挟み込まれた。
大きな掌に、指先を引っ掛ける。
「食べさせる誰かがいないと、すぐ悪くなると思う」
言葉に含まれた分かりづらい愛情表現を捉え、彼はくく、と笑った。近付いてきた唇を、避けないまま受け止める。
ちゅ、と音を立て、鼻先が掠める距離にある顔と視線を合わせた。
「じゃあ、ずっと一緒にいないとね」
「そういうことだ。…………愛してる」
躊躇いと共に添えた言葉に、彼は眩しそうに目を細めた。だらしなく崩れきった顔立ちを、折角の男前なのに、と残念な気持ちで見返す。
「……甘いものに甘いものを足されると、こんな味になるのかなぁ」
もう一回、と近付いてきた唇を受け止め、今度は料理が冷めない程度に長く味わった。
番ができたことは、たくさんの人に伝えることになった。負い目を感じていた母にもだ。
『番ができた』こと。『近いうちに紹介に行こうと思っている』こと。
人生を振り返る中で、母が病床に伏せる原因を作ったことを『おそらく望まないだろうが』と前置いて、『ずっと謝りたかった』と綴った。手紙は、レナードの書いた便箋を同封して送った。
父母からの返事は、彼らの使用人の手で二人分の花束と共に届けられた。
便箋には、番ができたことを祝福する言葉と、『レナードへすぐにでも会いたい』という彼の手紙への返事。
そして、僕の謝罪への言葉もあった。
『私はもうずっと前から、すっかり元気なのにね。
こうやって手紙をしたためている間にも、ニッセが誰かを治している事を、貴方が携わった魔術が誰かを治している事を想うことがあります。そして貴方がいたから、助かったのであろう人たちを想像することも。
そのたび、誰かを想う気持ちが巡っていく事は幸せなことだ、と。まだちいさかった貴方の笑顔を思い出すのです。
だから、償いではなくて……─────』
丁寧な字で綴られた文字はまだ続いていたが、目の前が滲んでとても読めたものではない。僕を横から抱き寄せたレナードは、黙って頭を撫で、崩れ落ちる肩を支えていた。
よれてしまった便箋は、今は綺麗にたたみ直して保管している。
貰った食品を腹に詰め込み、普段よりも早い時間に気絶するように眠り込んだ。
翌日は、泣き疲れたのか、昼過ぎに目を覚ました。
明らかに寝坊だ。その日の予定も達成できるものではなく、もういい、と術式の書かれた紙を机に放り投げた。荷物を床に投げ落としたソファの上で、丸まって視線を部屋の隅に向ける。
彼になんと言えばいいのかも分からなかったし、元に戻れるかどうか、先が見えなかった。謝るのは経緯を黙っていた僕であるべきだし、全ての切っ掛けを作ったのだって僕だ。
ごろり、と寝返りを打ち、少しずつ変化しているであろう匂いを吸い込む。
「謝りに行くのだって、この時期に行くべきじゃ……」
もし彼を発情期に引き込んでしまったら、互いに泥沼だ。打つ手がない。全ての道が塞がれて、僕はただ寝転がるしかなかった。
窓の外は明るく、鳥の囀りは美しいままなのに、僕はそれらの全てから取り残されている。
「…………お腹空いた」
起き上がり、昨日届けられた紙袋を開いた。
普段買わないようなパン、ごろりとした果物、少し高くて買おうとしない菓子。目に付いた物を開いて、口に放り込んだ。甘ったるい味がどっと襲ってくる。
次から次に口に放り込むが、そこまで食べ進めないうちにお腹がいっぱいになった。熱量がたんまり詰め込まれた生地は、僕の脆弱な腹には重たすぎたらしい。
くく、と声が漏れ、なんにも面白くないのにけらけらと泣き笑いの声を上げた。
「甘くて美味い。…………────謝りに行くか」
好き勝手に生きていい、と背中を押したのはあの男だ。方針を変えた後の道筋を、一緒に歩んで貰わねば割に合わなかった。
昨日と同じように準備を整え、ローブから埃を払った。日持ちしない食材は保管庫に放り込んでおく。髪をゆるく編むときに、首筋を撫でた。誰も歯を立てたことのない滑らかな肌は、譲り渡してしまうつもりだ。
院内の事務には休みに入ると伝え、発情期の休暇に入る形にしてもらった。これからは連絡は受けられないかも、と言い添えておく。
病院の前に馬車を呼んで、人のいない道を通って馬車を待った。僕たちのようなオメガ相手に商売をしている馬車は気密性の高い造りで、番持ちの御者が扉を開く。
場所を告げ、金を払うと、馬車はくるくると車輪を回し始めた。速度はゆっくりと上がり、カタン、カタン、と軽快に道を駆けていく。視線を窓辺から外に投げる。明るい陽光はまだ僕にとって眩しすぎるが、いずれ変わっていくんだろう。
レナードの家に辿り着き、馬車が遠ざからないうちに合鍵で家に上がり込む。予想通り家主は仕事中のようで、家の中は静かだった。
彼の本棚から初心者向けの料理本を数冊持ち出し、ソファに沈み込んだ。読み込む余裕があるとは思えなかったが、家主が帰ってくるまでの数時間は途方もなく長い。
天頂近くだった陽がやがて水平線へ向かって傾き、色味を変えていく。それまでの間、ただ僕は文字に目を滑らせながら、感情を整理していた。
かちゃり、と玄関から音が響いてきたのは、日も落ちきって更に数時間経った頃だ。光が灯っていることを不思議に思ったのか、音は普段よりも荒い。本を閉じ、ソファから立ち上がった。
そろそろと廊下を歩いて玄関に向かうと、扉を開けた彼と鉢合った。視線の先で、レナードの目が見開かれる。
「あ。そこで一旦止まってくれ」
「……は?」
「発情期が近いんだ。事故が起きたら辛いのはレナードだと思う」
駆け寄らんばかりの空気が萎んだのを確認すると、僕は口元に笑みを浮かべた。
「話したいことがある。距離を空けて、付いてきてくれ」
踵を返して廊下を戻り、さっきまで過ごしていたソファに腰掛ける。彼は律儀に僕と距離を取り、踏み台を兼ねた椅子を持ち出して向かいに腰を下ろした。
座ってなお呆然とした表情は、僕の勢いに呑まれた時のままだ。
「……謝りに来た。神殿で会った時にレナードの誤解を正さなかったのは、紐解く手間を面倒がったからだ。申し訳なかった、と思っている」
震える声音を堪えながらほぼ一息で言い切って、伝えたいことはこれではないと気づく。髪に指先を絡めて、息と共に解いた。
視線を合わせ、感情が見えない瞳の奥を見つめる。
「初めて会った時、……レナードに不満はなかった。いずれ番になれたら、と思う気持ちはあるが、身体のこともある。急がせたり押し付けたいとは思わない。ただ、今までのように、会って。話がしたい」
泣き出しそうになるのを堪えて、何度も考えた言葉を口に出す。上手く言えているかさえ分からなかったが、必死に言葉は続けた。
指先が震えるのを握り込んで殺し、表情を押さえつける。
「レナードと会えて、僕は……幸運だった。許してくれるのなら、これからも傍に置いてくれないか」
言葉が途切れて、沈黙が下りた。
目の前にあった瞼が伏せられ、彼の唇が震える。掌は身体の前で組まれていた。血管が浮き、変に力が籠もっているのがわかった。
夜も深まる時間の外は静かで、迫る闇のようにひたひたと不安が肩にのし掛かってくる。目の前の男が、僅かに口を開いた。
「……君が心を開いてくれている事は、分かっていた筈なのにね。なんで、信じ切れなかったんだろう」
彼は椅子から立ち上がり、何もかもを放り投げるように僕の隣に腰を下ろした。回った腕に肩を引き寄せられ、そのまま抱き込まれる。
空気に飲まれて抱かれていたが、慌てて腕の中から逃れる。
「レナード……! 発情期が近いんだって……」
「構わない。君に発情期に引き込まれて勃たないんなら、もう治らないよ」
「投薬と魔術の行使で治るに決まってるだろ……! 離せってば……」
ばたばたと腕の中で暴れるのだが、上手いこといなして抱かれ続ける。近くでアルファの匂いを受けたら発情期は早まるに決まっているのに、腕の中から逃がそうとはしなかった。
魔力の境界は綻んで、一日働いて魔力が減っているレナードの方へと流れていく。綻びの端を閉じようとしても、上手く扱えなくなっていた。
「何か……これ、ニッセの魔力?」
「そうだ。悪い……制御が効かなくなっていて、そっちに流れ込んでしまっている」
ふぅん、と彼は手元を見つめると、ぎゅ、と握り込んだ。
次第に混ざっていく魔力の中で、感じ取れていた妙な波が、僕の形に変わっているのが分かる。魔力量が多い所為で、大波がレナードの歪んだ波を押し流している形だ。
僕は、唇に手を当てる。
「レナードは、どういうものを見たら勃起する?」
「…………は? なに、突然」
「いま、魔力がいい形で流れているんだ。ここで精神的な興奮があればと……」
「ああ、そういう話か。でも、君には言わない」
恥ずかしがっているのは分かるのだが、ちょうど魔力の波が整っている状況なのだ。ここで元通りに勃てば、彼の場合、一度を身体が覚えて再現できるようになるはずだった。
彼の服を握り込んで、逸らされた視線を見つめる。
「言わない、とは?」
「………………」
無言で天を仰ぐ様子に、ぐいぐいと服を引く。話せ、と目を細めて促すと、彼は諦めたようにようやく口を開いた。
「君、……が、淫らな格好をしている、とか。体勢をしている、とか」
「ああ。なるほど、本人相手に言いづらかったと」
そういうことなら、と上着の裾を捲り上げる。持ち上げた裾の下からは、陽光を知らない、真白い腹が覗いていた。
固まったまま反応は返ってこない。違うのだろうか、と首を傾げ、シャツの釦を外す。鎖骨が見える位置まで外し終えたところで、制止するように指先が割って入った。
「ニッセ……!」
「興奮しないか? 下がいいか」
下の服に手を掛けると、それも割って入られた。頭を抱えるように肩が丸まり、ぐい、と僕の身体が引き離される。
落ちきった視線の先を辿ると、彼の股間が大きく下から持ち上がっていた。
「……頚飾も外して、紛らわすための匂いを落として、フェロモンを強めてもいいか? そうしたら、このまま発情期に引き摺り込んでしまうが」
試すように顔を寄せると、首筋に彼の手が掛かった。ぐい、と引き寄せられて唇が重なる。噛み付くような口付けは、軽く唇に歯を立てて離れた。
見慣れた色の筈なのに、瞳の奥にはぞっとするような欲が覗き見える。アルファが欲を吐き出す術なく薪を重ね続け、僕はその根元に火を点けたらしい。
「誘ってるの、分かってる?」
「項を噛みやすくしようとしている時点で、自覚はある」
力の緩んだ腕から抜け出し、首元の留め具を外した。髪さえ上げてしまえば項は露わになってしまう。
机の上に頚飾を置いて、浴室へと向かった。装置を使って湯を張りつつ、服を脱ぎ落とす。
廊下から足音が響いてきた。近寄ってきた音は、扉の前で止まる。扉を開いて、顔を覗かせた。
「まだ身体を洗い終わっていないが?」
「……生殺しにも程があるよ」
彼の視線は、僕の身体に向けられている。こくん、と唾を飲み込んだのが分かった。
「じゃあ、洗ってくれるか……?」
そう言って唇を持ち上げると、情けない声が上がった。僕が手招きするように浴室へ向かうと、後を追うように脱衣所で衣擦れの音がした。
頭から湯を被り、アルファの嗅覚に干渉する香水を擦り落とす。鼻先を擦り付けて何の匂いもしなくなったことを確認して、身体に手早く泡を纏わせた。
バン、と叩き付けるように浴室の扉が開く。
「遅かったな。もう洗い終わってしまうぞ」
立ち上がって彼の胸元に飛び込むと、触れた場所から泡が移った。ぼたぼたと泡の塊が床に落ち、迷う指先には白いものが纏わり付く。
ややあって、その掌は背に回された。ぬる、と滑りを借りて撫で下ろす。
「…………ン、う」
腰を撫でた手が、尻に回って鷲掴む。僕の中ではまだ肉感的な部位だが、やせっぽちの身体に興奮できるのだろうか。
そう思って視線を下ろせば、形を変えた雄とかち合った。見上げると、ちゅ、と唇を盗まれる。
「……興奮してくれているな。持続できるといいんだが」
「縁起でもないこと言わないでよ」
「触ろうか?」
「後でね」
泡を纏った指先が胸元へと這う。周囲を撫でられた感触で尖ったそこを、ぐりぐりと押し潰した。
泡の付いた先端は、温度に色を変えている。
「…………ん、ぁ、……っふ」
浴室に響いた声が耳に届くと、かっと頬が染まった。唇を閉じ、声が漏れぬように力を込める。
僕の様子に気づいた男の指は、更に執拗に普段は隠れている場所を苛める。
「…………も、い……だろ」
押し退けるように入らない力を込めると、相手は不自然なほど素直に引いた。僕の身体に湯を掛け、自らの身体にも泡を纏わせて洗い流す。
ぽたぽたと水滴を垂らしながら、僕は慣れないことに視線を彷徨わせた。
「行こっか」
浴室から出ると、レナードの手ずから全身の水分を拭い取られる。僕は髪を乾かすと同時に、こっそりと褥で使う魔術式を混ぜて発動しておいた。身体の奥を傷付けない程度に留め、交合を楽しむような類のものは省いておく。
彼はいちおう寝間着を着ていたが、上は羽織る程度に留めている。
僕も脱いだ下着をまた身に着けることは許されず、寝間着の上だけを渡された。手近にあったレナードの寝間着で、腕の裾は振り回せるほど余る。困りながら先の方を折っていると、でれ、と崩れた表情のまま見守るアルファがいた。
頼りない指先で、彼の掌に手を伸ばす。
「僕は、……僕の本心を尊重して、僕を大事にする。その為に、レナードと、番になりたい」
「俺だって、番になりたいのは君とだけだよ」
指先を絡め合って、縺れそうになる脚を動かしながら寝室に雪崩れ込んだ。
扉が閉まる瞬間、腰に回った腕に身体ごと引き上げられる。大きな身体が覆い被さり、開いた唇から舌が潜り込んだ。
「……ん、ぁ……ッふ、っく」
縮こまった舌は掬い上げられ、ちゅくちゅくと唾液を混ぜながら口づけを重ねる。皮膚で触れ合うよりも、粘膜同士の接触には境界が無い。周囲はアルファの匂いでいっぱいだ。息を吸い込む度に匂いを呑み込んだ。
は、と唇が離れた瞬間に息を吸う。
「一気に匂いが強くなったね」
「いま噛んだら、番になれるか?」
「試してみようか」
こくん、と頷き、導かれるままに寝台に腰掛ける。肩に掛かるばかりだった服は容易く落とされ、ただ僕だけの匂いがする身体がその場に残された。
ちゅ、とまず頬に触れた唇が、首筋を伝うように伝い落ちる。軽く歯が当たると、そのまま項まで噛まれるようでぞくぞくした。覆い被さる身体を受け止め、後頭部を撫でる。
唇は、さっき指先で嬲られた場所に辿り着く。まだ名残がある粒が、舌先に捕らわれた。
「────っ、ぁ!」
輪を描くように舌が伝うと、唇を窄め、ぢゅう、と吸われる。ざりざりと舌先は粘膜を擦り、知らない刺激を与えてきた。唇が胸の肉を食み、口内で弄ばれる度に、新しい感覚に目眩がする。
「……っ、う、……っ、ぁッ…………」
空いている側も指先で捏ね、丸い爪の先を食い込ませる。指の腹が先端を押し潰し、背を使って跳ねさせた。ふる、と余韻に揺れるそこは、見知った色形をしていない。
怖くなって、彼の唇の前に指を差し入れる。
「……ッ、今日、……は、そのくらいで、いい……」
「……まあいいか。これも後で、ね」
眼前でにっこりと念押しする顔立ちには、愉悦が浮かんでいた。こく、と頷くと、ようやく彼の指が乳首から離れる。
掌は胸から腹に下りた。肉付きは薄く、摘まんで引かれても皮ばかりだ。腰から尻に掛けてだけは丸く、ここ最近食べさせられてきたこともあって柔らかさが増している。
腹を撫でていた手は腰を経由し、股へと向かう。茂りを一房つまみ上げて、髪にするように撫で付ける。さわさわとした微細な刺激がもどかしかった。
「……すこし待って」
寝台の横に置かれた小机の引き出しが開かれ、中から小さな瓶が出てくる。まだたっぷりと中身が残ったその瓶は、開封されて間もない。
彼は瓶の中身を手に広げる。匂いもない液体は、ただ潤滑のためだけにあるかのようだった。
レナードは濡れた指先で茂みに分け入る。液体に濡れた部分から蔦のように指に絡み付いた。
中心に辿り着いた指が、それを引き上げる。
「良かった、感じているみたいだ」
長い指は根元に伸び、すり、と指の腹で軽く擦った。
「ひッ────!」
発情期には幾度となく自らの指で慰めてきた場所だったが、他者の違う指で触れられるのは全く違う感覚だった。ごつごつした指は浮き出た骨がよく分かり、大きな掌は覆うように広い範囲を扱く。
「あ……、ゃ、……っ、ぁあッ……!」
指先が鈴口に食い込んだ。こぷり、と溢れたものを掻き出すように促され、だらだらと涎を零す。唇は閉じることを許されず、ただ、言葉にならない声を上げ続けた。
造りの違う手が、思いも掛けない動きで這い回る。絶頂に登り切らない位置で留められ、じわりじわりと時間が伸びるほど身体を苛んだ。
指先が離れた時には、浮いたような感覚のまま彼を見上げる。
「物欲しげな顔……。もうすぐ、あげるからね」
瓶の中身が股に垂らされる。腰を支えたまま肩を押され、寝台に倒れ込んだ。追う形で視界に入るレナードは、安心させるように額にキスを落とした。
彼の手で、脚が割り開かれる。隠していられた場所が他者の視界の先に晒されている。
溝を伝って落ちる液体に添って指は背後に回り、辿り着いた窪みの縁をなぞった。反応するようにひくりと動いたその中央に、指先が突き立てられる。
「────うぁ、あ……!」
一気に輪を潜った違和感に、きゅ、と引き絞った。あやすように肉を捏ね、ぬめりを纏った太い指が奥へと潜る。傷付けないような慎重さはあれど、引かれる様子もなかった。
くい、と内部で指が曲がる度、身体の中から押し上げられる。何処かを探っているだけのようだったが、意図が見えない怯えに爪先を丸めた。
「あ……ここ?」
「────え? ぁ、ひ……ぁあああッ!」
指の腹でそこが押されると、ずぐりと響くような快楽が起きた。内部を明け渡している不安に縮こまっていた分身が形を変える。
ぬるぬると滑る指が、僅かに膨らんだ場所を撫でさする。身体を揺らし、悦びを得ていることを示して尚、彼は拓く行動を止めない。
男根で突き入る動きのように、滑りを使って洞を前後する。撫でていた場所をぐり、と押し込む感触は、あまりにも深く重かった。
「悦い、……ん、だろうね。涎が零れてる」
光差す部屋では、青空のようだ、と思った瞳が僅かに光量の落とされた照明の下にある。いまは水底に似た色で、淀みがなくとも恐ろしかった。
いくら優しくとも、寄り添えようとも。項を噛むのはあちら側だ。
「……ぁあ、あッ……、く。あっ、ぁ、あ…………!」
それなのに、番になるために明け渡す場所はもっと奥。指で突かれる場所ごと巨きなものを受け入れることになる。
怯えばかりであるはずなのに、胸はどくどくと高鳴っていた。怯えながら身体を差し出す行為を、この躰は嬉しがってもいる。
────あのアルファを、僕自身が選んだからか。
「ぁ、あ、ひぁ、……ッ、ぁあ────」
声が濁りかけて来たころ、ようやく後腔から指が抜かれる。べっとりと濡れた場所が空気に当たり、ぞわりと背が粟立った。
目の前で軽く羽織っていただけの服が落ち、その先に動くことに慣れた筋肉が覗く。続けて、剥ぐように下の服も脱ぎ落とした。
ようやく長い拘束から解放されたように、その砲身はぶるりと震えて持ち上がる。ぱくぱくと鈴口は呼吸し、亀頭はびっしょりと濡れていた。
「項、見せて」
身体を反転させ、後頭部の中央で髪を割る。髪の先を胸元に流すと、無防備な首の後ろにアルファの唇が当たった。柔らかく触れるだけの接触の後、軽く歯を立てられた。
シーツの上に肘を突き、項ごと身体を晒す。やんわりと指が腰に絡みつき、掌全体で掴んだ。
腰が持ち上げられ、後ろの輪に濡れたものが引っ掛かる。くち、と濡れた音が糸を引いて、招かれるままに、ちゅう、と押し付ける。
縁は膨らんで綻び、軽く食めば嬉しげに絡み付く。啄むようなそれを何度か繰り返し、一層つよく腰が引かれた。
「────ァ! …………ひ。ぁあ」
痛みはなかったが、圧迫感が酷かった。
指よりも質量のあるものが、狭い孔を押し拡げていく。喉を開いて、嬌声なのか呻き声なのか自覚できないまま、呼吸を荒げて受け入れる。
「ぁ、ひ。……うぁ、あ、あ、ぁッ」
持ち上げられている腰の感覚は次第に薄くなり、腰が押し付けられる度に視界の端で髪が揺れる。僅かに抜いて、押し込んでを繰り返しているうちに、何度繰り返されたのか分からなくなった。互いの呼吸音の合間に、結合部から立つ水音が混じる。
ぱん、と残りを埋め込むための強い打ち付けで、ようやく尻たぶに相手の腰が当たった。指で届かなかった奥に届いてしまった先端は、膨らんだままその場所を押し上げている。
「分かる? ここ」
「……ぃ、ひッ。わか、な……────!?」
どす、と感覚を教え込むように強く突き入られた。がくがくと身が震え、奥に居座る雄を食い締める。
「君との体格差だったら、ここ、届くかな、って思ってたんだ」
「ぁ、あ、うぁ、……ひ、ぐ」
「ここ……、やっぱり、入ったら先っぽが填まっちゃうね。で、抜くと──」
ぐぽ、と身体の奥の弱い処が膨らんだ先端に拡げられる。
「やっ……ぁああ。ぁ、ぁは。────ぁああッ!」
「……っ、は。悦い、でしょう。発情期の間に、ここ、……もっと慣らそうね」
もっと重い快楽がある、との予告に怯えて首を振る。拒否を聞いてなどいないかのように、はは、と態とらしい笑い声が上がった。
奥を苛めるのに飽きたのか、限界が近付いたからなのか、彼の腕が腰を強く掴んだ。ぐっと引かれ、尻の肉を押し潰すように叩き付ける。
「────あ!」
「でも、まずは番になること、……かな」
散々慣らして勝手を掴んだのか、抽送は最初から大振りだった。膨らみで捉えた部分を抉るように、身体の重さを使って押し上げられる。身体の中では先端から滲み出た魔力がだらだらと漏れ出ており、子種ごと含まされているのは分かっていた。
憎たらしいほど滑りは良く、肉芯は容易く奥まで潜り込む。
「も、や……。……ぁ、あ、あ、あぁっ!」
「……っ、いや?」
「お、なか。おく、……ぐりって、……ぁ、も、イっ。ぐ、う」
絶頂の縁で、あと少し、というところで雄が引いた。このままでは、何度も同じ寸止めが続くのだろう。
ぐすぐすと滲み出る涙をシーツで拭って、背後を振り返る。
「く、くび……噛んで」
「噛んで。それで?」
「……おなか、なか、だして。欲し……ッ!」
がくん、と腕から力が抜けて肩ごとシーツに倒れ込む。
満足げに、ごくん、と唾を飲み込む音さえ聞こえるようだった。離れた首筋を追い詰め、アルファの牙が項に当たる。
腰が抱え直され、大振りに引かれた筈の肉棒が叩き付けられる。重たい打ち付けに、こふ、と一時、息が詰まった。
「────ぁああン! ……ひっ、ぐ。ぁああぁぁぁあぁあッ!」
がぶり、と容赦なく歯が皮膚に食い込む。痛みよりも、熱だった。強く牙が突き立てられた後で、埋まった雄から子種がぶち蒔けられる。
狭い虚を堰き止め、奥に流し込もうとするように、腰は尻肉を潰したまま固定する。雪崩れ込んでくる魔力が止まっても尚、ぐりぐりと丹念に押し付けた。
絶頂で引いた波が、圧迫されていることでじわりとまた動きを始める。僅かに体内の男根が動く度に、ゆるい快楽が与えられ続けた。
「……ひ、く……、……う、ぇ」
逃げられない刺激に啜り泣いても、彼の手は僕の中心に掛かって扱く。もういい、と訴えると、ようやくレナードは言葉で返事をした。
「治ったら、今度は足りなくて」
身体の中にあるそれは、次第に硬さを取り戻し始めている。いくら発情期といえど、あれだけ弄って貪っておいて、まだ前菜だとでも言いたげだ。
ずるずると寝台を這って抜け出そうとしたが、後を追った身体が、どちゅ、と僅かに抜けた部分を突き上げる。嬌声を喉で殺して、シーツに倒れ込んだ。
「ぁ……ぁ、ひ、……っく」
「……だいたい一年分、かな。付き合わせちゃって悪いな」
悪い、と思っていないような浮かれた声音で、レナードは僕の身体を抱き込んだ。溜まりに溜まったアルファの欲は、これから僕の身体に突っ込まれるらしい。
交合の快楽によるものではない涙が、浮かんでいるのは気のせいか。
周囲に彼の匂いしか感じなくなった身体を恨めしく思いながら、せいいっぱい身体を伸ばし、眠りから覚めたばかりの雄から逃れる。けれど、逃げる距離以上に押し付けられ、身体の中で形を変えていく感触を味わわされた。
「……ン、っく。…………ぁ、や」
「長引かないように頑張るから、ね」
ちゅ、と彼の噛み痕が残った項にキスが落ちる。
僕は都合のいいようにのたまうアルファの腕に捕らわれたまま、番と過ごすには長い発情期の始まりをちょっぴり憂うのだった。
僕はそれまで通り、レナードの家に通う日々が続いている。泊まりが増えたことで仕事道具以外の荷物を色々と持ち込み始め、生活の拠点は移りつつあった。
今日の僕の担当作業は終わり、ちょろちょろと彼の周辺をうろつきながら、出来上がっていく食事を眺める。
「────今日は帰りが早かったね。俺もだけど」
普段よりも帰宅が早かった彼は、番が待っているなら、と副店長に帰らされたらしい。僕もまた、今日は仕事の進みが良く、切り上げる時間が早かった。
数種類の刻んだ野菜を煮詰めた、甘酸っぱい匂いが台所中に漂っている。くん、と鼻を動かして、出来上がりへの期待を高めた。
「仕事を詰め込んでもいいんだけどな。手紙で母にも心配されてしまったし、すこし、ゆっくりしようと思っただけだ」
「そっか。一緒に過ごせる時間が増えて嬉しいよ」
出来上がった料理を慎重に盛り付け、最後に飾り用の葉をてっぺんに添えた。できた、と宣言された料理を、両手で持ち上げ、小走りで新品の食卓に運んでいく。短い間隔で、軽快な音が床を叩いた。
背後から付いてきたレナードは、愉快そうな声を上げながら残りの皿を両手に持ってくる。
「ニッセの顔色が戻って良かった」
皿を食卓に置き、まだ座らずに待っている僕の頬をふに、と軽くつまむ。頬を膨らませて彼の指から逃れるのだが、今度は両手で頬を挟み込まれた。
大きな掌に、指先を引っ掛ける。
「食べさせる誰かがいないと、すぐ悪くなると思う」
言葉に含まれた分かりづらい愛情表現を捉え、彼はくく、と笑った。近付いてきた唇を、避けないまま受け止める。
ちゅ、と音を立て、鼻先が掠める距離にある顔と視線を合わせた。
「じゃあ、ずっと一緒にいないとね」
「そういうことだ。…………愛してる」
躊躇いと共に添えた言葉に、彼は眩しそうに目を細めた。だらしなく崩れきった顔立ちを、折角の男前なのに、と残念な気持ちで見返す。
「……甘いものに甘いものを足されると、こんな味になるのかなぁ」
もう一回、と近付いてきた唇を受け止め、今度は料理が冷めない程度に長く味わった。
番ができたことは、たくさんの人に伝えることになった。負い目を感じていた母にもだ。
『番ができた』こと。『近いうちに紹介に行こうと思っている』こと。
人生を振り返る中で、母が病床に伏せる原因を作ったことを『おそらく望まないだろうが』と前置いて、『ずっと謝りたかった』と綴った。手紙は、レナードの書いた便箋を同封して送った。
父母からの返事は、彼らの使用人の手で二人分の花束と共に届けられた。
便箋には、番ができたことを祝福する言葉と、『レナードへすぐにでも会いたい』という彼の手紙への返事。
そして、僕の謝罪への言葉もあった。
『私はもうずっと前から、すっかり元気なのにね。
こうやって手紙をしたためている間にも、ニッセが誰かを治している事を、貴方が携わった魔術が誰かを治している事を想うことがあります。そして貴方がいたから、助かったのであろう人たちを想像することも。
そのたび、誰かを想う気持ちが巡っていく事は幸せなことだ、と。まだちいさかった貴方の笑顔を思い出すのです。
だから、償いではなくて……─────』
丁寧な字で綴られた文字はまだ続いていたが、目の前が滲んでとても読めたものではない。僕を横から抱き寄せたレナードは、黙って頭を撫で、崩れ落ちる肩を支えていた。
よれてしまった便箋は、今は綺麗にたたみ直して保管している。
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愛を称えて
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
シリウスは地味で平凡なオメガである。人に胸を張れることといえば、家族仲がいいことくらい。それでも優秀な婚約者と肩を並べても恥ずかしくない何かを手に入れたくて、得意の薬学を極めることにした。学園に認められゼミ入りをし、今度は国に認められた。嬉しくて、早くこのことを伝えたくて、婚約者の元へと駆けた。けれど聞こえてきた声は冷たいものであった。
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