虐げていた姉を身代わりに嫁がせようとしましたが、やっぱりわたしが結婚することになりました

りつ

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デート当日

 初めてのデートは二人で相談し合った結果、街をぶらぶら歩くことに決まった。

(他の人たちにまじっても浮かないようにしないとね)

 髪は結婚前のように下ろして、服装もあまり派手にせず、平民の娘が着るような服を着た。護衛の数も絞って、お忍びデートという計画だ。

「本当に街を歩くだけでいいのか?」

 大通りに行くまで目立たない馬車に乗って、ミランダは熱心に外を眺めていた。そんな彼女にディオンが気づかわしげに声をかけてくる。ミランダは隣に座る彼の方を振り返り、もちろんですと満面の笑みで肯定した。

「周りにばれないように変装して出かけるなんて、とてもわくわくしますわ」
「そうか?」
「はい。本当の姿を知っているのは、お互いだけですもの。秘密めいて、ロマンチックではありませんか?」

 もちろん何かあった時のために護衛はいるが……まぁ、陰からこっそり見守っているそうなので実質的に二人だけと言っていいだろう。

「それに街を歩くだけと行っても、いろんな店を見て回る予定ですもの。あ、途中でお茶とお菓子もいただきましょう。そういえば、ディオン様は甘いものはお好きですか?」
「苦手ではない、と思う。あまり好き嫌いについて考えたことはないから、もしかするとそんなに食べられないかもしれないが……」

 ミランダは笑って十分ですと答えた。

「わたしも食べ過ぎると太ってしまうから、そんなに食べる予定はありません」
「太っている……あなたは華奢な方だと思うが。ああ、でも……」

 ディオンの視線がミランダの腰から上へとつり上げられ、胸のあたりをじっと見つめたので、ミランダは咳払いした。

「す、すまない」
「いいですよ。ディオン様はわたしの旦那様ですから、特別に許してあげます」

 他の男だったら、かかとの高い靴で思いきり踏んづけていたかもしれないが、ディオンは見逃してあげよう。

「あなたの寛大な心に感謝する」
「ふふ。その代わり、ケーキの半分交換を要求します」

 ディオンが目を瞬く。

「そんなことでいいのか?」
「ええ。美味しいものは相手にも味わわせてあげたいし、自分も味わってみたいもの」
「ミラ……ああ、ぜひ交換しよう」

 ディオンが手を軽く握ってきて、ミランダはにっこり笑った。


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