今日も私は体を重ねる

おぜいくと

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大学生 21歳

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「マジでいいんすか」

 性欲が服を着て歩いているような男の子が目の前に立っている。もっとも、いまは全裸で性欲をより一層吐き出している。

「もちろんよ。そのためについて来たんでしょう?」

私はソファーの隅に下着を無造作に投げた。このホテルは実家のような安心感がある。

ホテル『ルナティック』は歓楽街から道を一本外れた場所に建っている。最も近い駅まで行くのに徒歩で20分はかかる。この付近を通りかかるのは、終電を逃して朝まで散歩しようとする人間か、泥酔してしまい気付いたらホテルの近くにいたか、だ。彼は後者だった。

「うわあ、やべえ」

酒臭い息をまき散らしながら胸を揉みしだいてくる。

「普段はもっと優しくしてるんじゃないの?」

「いや、我慢できなくて」

「素直でよろしい」

可愛いところもあるんだなと思った。彼はそのままベッドへ近寄っていく。私は抵抗せずにふたりでベッドに倒れ込む。

彼の指が私のへそを通り、既に濡れている私の中心を素通りして太腿に移動する。

「寄り道しなくていいのよ」

彼の手を取り、私の中心へ連れて行ってやる。

「ちゃんと前戯しないとと思って……」

「貴方のお好きなようにどうぞ」

そう言うと、彼は途端に獣の部分を見せてきた。私の足を乱暴に広げ、彼の本体を押し付けてくる。しかし、門を突破するにはその槍は貧弱すぎた。

「あれ、駄目だ……」

彼は情けない声を上げる。

「酒のせいかな」

「しょうがないわねえ」

私は彼の本体を両手で優しく包み込み、先端へキスをした。口に含み圧を加える。

「あっ!」

彼の声が漏れる。反応は示すがサイズに変化は見られない。

「今日はダメっぽい」

そう言われて私は急激に意欲が失せた。価値が無いと言われたように感じた。

彼はしばらく呆然としていたが、青ざめた顔でトイレに駆け込んだ。激流の音が聞こえてくる。

「飲み過ぎたのね」

私はため息を吐いた後下着を身に着けた。

しばらく待っても彼が戻ってこないので様子を見に行くと、トイレのドアを中途半端に開けたままで便器を枕に眠り込んでいた。

私は何も見なかったことにしてベッドに戻った。

今日は失敗だった。満たされなかった体を自分で慰める。眠っている彼を起こすくらいのボリュームでわざとらしく喘ぐ。背徳感が全身を駆け巡り感度を上昇させる。しかしホンモノとは比べ物にならない。

「若い体を味わいたかったのにな」

私は窓にかかっている分厚いカーテンを捲った。所々にある高速道路の照明が星のように見える。

「私を満たしてくれる人は何処にいるの」

私は夜の街へ向かって呟いた。
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