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第10章
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抱かれたまま寝室へと移動し、ベッドに下ろされる。そのままのしかかってきた躰の重みに、うっとりと目を閉じた。
「莉音。莉音。またおまえをこうして抱けるなんて、夢のようだ」
額に口づけを落とされ、頬に手を添えて真上から覗きこまれる。端整で男らしい容貌。高貴で美しく、だれより愛おしい――
「アルフさん……」
莉音が手を差し伸べると、その掌にヴィンセントは自分の頬を擦り寄せ、顔の角度を変えて中央のくぼみに口づけをした。その指先をすぐさま口に含まれ、莉音はぴくんと反応する。たったそれだけで官能を刺激されて、身体が熱くなった。
莉音を見つめながら指を咥え、先端を舌先で舐め転がしたヴィンセントは、指から口を離し、ゆっくりと顔を近づける。莉音の口唇をベロリと舐めた直後、吐息ごと吸い上げられて下肢がジンと痺れた。
「……っん……」
薄く開いた口から舌が侵入してきて、莉音のそれを絡めとる。だが、左頬の内側にある疵を気遣って、すぐに遠慮がちに離れていこうとした。気づいた莉音が、すかさずヴィンセントの首に腕をまわして自分から口唇を押しつける。そうして積極的に舌を絡めて口づけをねだった。
「んっ、ん……っ、ふっ……んん……」
キスが気持ちいい。駆け引きをするように舌の動きを追いかけて、はぐらかして絡め合って、互いの吐息も唾液も混ぜ合い、どこまでも貪られ、くすぐられ、吸い尽くされてたちどころに息が上がっていった。
与えられる刺激に翻弄されながら夢中で味わって、こんなふうに彼にとろかしてもらえることが夢のように幸せで、嬉しかった。
「アルフさん、好き。大好きっ」
熱に浮かされたように莉音は言葉を紡ぐ。
顔中にキスの雨を降らされ、首筋を吸われ、ローブのまえをはだけた上半身へと滑り落ちた口唇が、胸の突起にたどり着いて悪戯をするように軽く挟んで引っ張りあげる。
「……あっ、ン……」
小刻みに振動させる舌先に刺激を与えられ、尖った突起を乳暈ごとじゅっと音を立てて吸われると、こらえきれない嬌声が口から漏れた。
一度の吐精では物足りず、ふたたび勃ちあがっている花芯にヴィンセントの手が伸びる。ゆるく扱かれると、それだけで達してしまいそうになって、莉音はイヤイヤをするようにかぶりを振った。
「はあっ、あ……ッ、アルフさん…っ、ア、ルフさっ……ん……」
下方へと移動したヴィンセントに、両足を開かれただけで期待に胸が高鳴った。
たったいままで手で扱かれていたそれを、口に含まれ吸引される。悦楽が強すぎて、小さな悲鳴とともに腰が跳ねた。
いつのまに用意していたのだろう。巧みな口淫に翻弄され、啼かされているあいだに後ろにはジェルが塗りこまれ、知らぬ間にヴィンセントの指を喰い締めていた。
前と中と。感じすぎるほど感じて、莉音の口から絶え間なく甘い喘ぎが漏れつづける。
嬉しくて。幸せで。自分はこんなにもヴィンセントを求めていたのだと強く実感した。
「アルフさん、お願い。も、挿、れて……。アルフさんと、はやく、ひとつになりたいっ。欲しいっ、アルフさんの熱いの。お願…い、挿れて。早く、はや、く……っ」
莉音は切なく喘ぎながら腰を揺らす。
ヴィンセントの逞しいもので一気に貫いてほしい。何度も、何度も激しく奥まで突き上げて、熱いものをたっぷりと注ぎこんでもらいたい。
想像しただけで頭が沸騰したようになり、そのことでいっぱいになる。
「お願い、早くっ。いっぱいにして……。好き、アルフさん。大好きっ、大好き…っ」
もう二度と、放さないで――
言葉にならない願いを心の中で呟いた途端、瞳から溢れた涙がこめかみを伝い、流れ落ちた。
「莉音……」
身を起こしたヴィンセントが、腕を伸ばして指の腹で目尻を拭う。そのまま身をかがめて、目尻に近い頬に口づけを落とした。
「莉音。莉音。またおまえをこうして抱けるなんて、夢のようだ」
額に口づけを落とされ、頬に手を添えて真上から覗きこまれる。端整で男らしい容貌。高貴で美しく、だれより愛おしい――
「アルフさん……」
莉音が手を差し伸べると、その掌にヴィンセントは自分の頬を擦り寄せ、顔の角度を変えて中央のくぼみに口づけをした。その指先をすぐさま口に含まれ、莉音はぴくんと反応する。たったそれだけで官能を刺激されて、身体が熱くなった。
莉音を見つめながら指を咥え、先端を舌先で舐め転がしたヴィンセントは、指から口を離し、ゆっくりと顔を近づける。莉音の口唇をベロリと舐めた直後、吐息ごと吸い上げられて下肢がジンと痺れた。
「……っん……」
薄く開いた口から舌が侵入してきて、莉音のそれを絡めとる。だが、左頬の内側にある疵を気遣って、すぐに遠慮がちに離れていこうとした。気づいた莉音が、すかさずヴィンセントの首に腕をまわして自分から口唇を押しつける。そうして積極的に舌を絡めて口づけをねだった。
「んっ、ん……っ、ふっ……んん……」
キスが気持ちいい。駆け引きをするように舌の動きを追いかけて、はぐらかして絡め合って、互いの吐息も唾液も混ぜ合い、どこまでも貪られ、くすぐられ、吸い尽くされてたちどころに息が上がっていった。
与えられる刺激に翻弄されながら夢中で味わって、こんなふうに彼にとろかしてもらえることが夢のように幸せで、嬉しかった。
「アルフさん、好き。大好きっ」
熱に浮かされたように莉音は言葉を紡ぐ。
顔中にキスの雨を降らされ、首筋を吸われ、ローブのまえをはだけた上半身へと滑り落ちた口唇が、胸の突起にたどり着いて悪戯をするように軽く挟んで引っ張りあげる。
「……あっ、ン……」
小刻みに振動させる舌先に刺激を与えられ、尖った突起を乳暈ごとじゅっと音を立てて吸われると、こらえきれない嬌声が口から漏れた。
一度の吐精では物足りず、ふたたび勃ちあがっている花芯にヴィンセントの手が伸びる。ゆるく扱かれると、それだけで達してしまいそうになって、莉音はイヤイヤをするようにかぶりを振った。
「はあっ、あ……ッ、アルフさん…っ、ア、ルフさっ……ん……」
下方へと移動したヴィンセントに、両足を開かれただけで期待に胸が高鳴った。
たったいままで手で扱かれていたそれを、口に含まれ吸引される。悦楽が強すぎて、小さな悲鳴とともに腰が跳ねた。
いつのまに用意していたのだろう。巧みな口淫に翻弄され、啼かされているあいだに後ろにはジェルが塗りこまれ、知らぬ間にヴィンセントの指を喰い締めていた。
前と中と。感じすぎるほど感じて、莉音の口から絶え間なく甘い喘ぎが漏れつづける。
嬉しくて。幸せで。自分はこんなにもヴィンセントを求めていたのだと強く実感した。
「アルフさん、お願い。も、挿、れて……。アルフさんと、はやく、ひとつになりたいっ。欲しいっ、アルフさんの熱いの。お願…い、挿れて。早く、はや、く……っ」
莉音は切なく喘ぎながら腰を揺らす。
ヴィンセントの逞しいもので一気に貫いてほしい。何度も、何度も激しく奥まで突き上げて、熱いものをたっぷりと注ぎこんでもらいたい。
想像しただけで頭が沸騰したようになり、そのことでいっぱいになる。
「お願い、早くっ。いっぱいにして……。好き、アルフさん。大好きっ、大好き…っ」
もう二度と、放さないで――
言葉にならない願いを心の中で呟いた途端、瞳から溢れた涙がこめかみを伝い、流れ落ちた。
「莉音……」
身を起こしたヴィンセントが、腕を伸ばして指の腹で目尻を拭う。そのまま身をかがめて、目尻に近い頬に口づけを落とした。
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