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後日譚・海に浮かぶ月を見る
そのなな たわむれる
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自分ではない体温に包まれて、ウトウトとまどろむ。
抱き寄せられる多幸感に満たされ、輪郭もおぼつかない幸福な夢を見ていたら、ふわりとスパイスの香りが濃くなり、意識が浮上していく。
クッキリと目覚める前に、眠りに落ちる前は側にあったぬくもりが消えていることに気付いて、ハッと本格的に覚醒して飛び起きた。
そのまま立ち上がろうとしたところで、へにゃへにゃとその場に崩れ落ちてしまった。疲れ切って眠るぐらい穿たれ、熱い余韻で身体に力が入らないのだ。
手加減を知らない人の本気の結果は、いつもこうなる。
ペションと潰れるようにベッドに横たわりながら、久しぶりに体力の限界を感じていたミントだったが、羽織っているのがローのシャツだと気が付いて両手で顔を覆って赤くなった。
確かに寝ているミントに女性用の衣服を着せるのは難しいだろうが、素肌の上に男物のシャツ一枚というのは、不思議と全裸よりも恥ずかしい。
ちゃんと袖先もミントに合わせてクルリと巻かれていたので、こういう気遣いは出来るんだと気恥ずかしさでコロコロ転がりながら悶えていたら、カチャリと寝室の扉があいた。
「よぉ、起きたか? で、何やってんだ?」
ズカズカと入ってきたローに面白そうに顔を覗き込まれてしまい、ミントは「なんでもない」と答える。
頬を赤く染めて目線をそらされ、ローは「ふーん」とあまり信じていない様子でミントを抱き上げた。
「とりあえず、飯でも食おうぜ」
「あ、ごめんなさい。私、材料買ったのに作ってない」
「腐るよーなもんはなかったし、明日で大丈夫だろ。屋台で適当に買ってきた」
長期滞在用の宿は寝室と居間の二部屋を使える。
居間には三人掛けソファーがふたつとテーブルが備え付けられているので、部屋で食事を摂るのにも困らない。
まだ温かい料理が持ち帰りの包みをほどかれてテーブルの上に並んでいたので、ローが外出して帰ってきたばかりだとわかる。
「私、どのくらい寝てた?」
「ここにあるもんじゃ足りねーって言われても、もう店は閉る頃合いだな」
どうやら夜も更けて、もう一時間もすれば日付が変わる時間帯らしい。
あっという間に明日が来そうだと思いながら、短いシャツの裾を気にして押さえていたら、口元にスプーンが運ばれてきた。
スパイシーな魚介スープの香りに「自分で食べる」と言ったけれど「このまま食うか、俺の膝の上か、どっちだ?」という選択肢の少なさに、おずおずと口を開けた。
こうして隣同士で座っていても胸がドキドキするのに、膝の上だと食事どころではなくなってしまう。
差し出されるままに口を開け、ハムハムと一生懸命に咀嚼して飲み込んでいたら、ジッとその様子を見つめていたローがしばらくしてフッと笑った。
キョトンとして見上げると、半分に割った海老饅頭の片方をミントの手に握らせ、もう半分は自分がかぶりつく。
空気が和らいだことに、ミントも海老饅頭にカプリと口にする。
小麦を発酵させたふんわりした生地を蒸した饅頭の中に、プリプリの海老で作った具がたっぷりつまっていて美味しい。
たまには屋台のご飯もいいな、と思いながら夢中で食べていたら、クシャリ、と髪をかき混ぜるように撫でられた。
「あんま、心配させんな。貴族ってだけでも厄介なのに、あの女は他国の人間だぞ。ミントなら、関わるなって意味がわかるだろ?」
「うん。わかるけど、二人とも良い人だから」
「人間なんてーのは、その時々で良かったり悪かったりするもんなんだよ。ミントだってそうだろ?」
正しすぎて、グウの音も出ない。
個人の人となりだけ見れば善性が概ねを締めていても、神の手の弟子というだけで厄介な事情持ちになってしまう自分自身を知っているから、よけいにである。
山賊事件の後に仮の夫婦としてローと旅をしている間も、関係のないローを護衛としてミントの事情に巻き込んでしまった気がして、かなり気に病んでいたぐらいだ。
出会いのきっかけはともかく、幸いローとの関係は「巻き込み事故」ではなくなったので心は軽いが、そうでなかったら今のように笑っていられなかったと思う。
個人の人柄に問題がないからと言って、それを上回るものを持っているのだから、訳ありのまま生きていくしかないけれど、他人との関わり方は制限される。
お互いに訳あり同士なら、なおさらだ。
ダンテとロザリンデの事情は分からないが、ミントの予想以上に深い内実がありそうだった。
「やっぱり、期間限定でもお友達でいることって、難しいのかな」
ポツンと落ちたつぶやきに、ローは「どーかな」と言った。
よほど楽しい会話をしたようだが、相手は海千山千の貴族の出なのだ。ミントのように純粋なお友達気分とは限らない。
それに友人として「好意的」で「親密」な意識を向こうが持ったとしても、思考回路はどこまでも貴族育ちで、お互いの「友人」の認識にズレがある。
とはいえ、どう見ても駆け落ちか家からの放逐だが、公的機関を通して治療院に勤務しているから身元証明も出来る状態にある。ならば出身国からの追跡もされていないはずで、宿を変えるほど警戒する必要も感じない。
なにより、宝月祭が近づいているからどの宿も満杯で、出立を決めれば即宿無しになるから、それは避けたかった。
何か怪しい動きがないかと数回尾行してみたが、その間にお部屋訪問してのお友達事件が起こっていたから笑えない話だ。
とりあえず今は考えても仕方のない事なので、なるようにしかならんだろ。と思考を切り替えた。
そのうちミントのお腹がだいぶ満たされた様子に、すべて平らげる勢いでローはテーブルに並んだ料理を口に運んでいく。
とはいえいつもより言葉少なで、食べている間も思考を巡らせていたけれど、肩を落としているミントの様子に葡萄を一粒つまむと、その小さな口に押し込んだ。
「こっちがどう思ってようと、この先、あちらさんはミントに絡んでくるぜ。気に入られちまったもんは仕方ねぇ。今日の様子だと、部屋に遊びに行くのを避けるのも不自然だろうよ」
瑞々しい果実を食みながら、ミントはコクンとうなずいた。
確かにそうなのだ。約束とも言えない約束もしてしまったが、反故にするには心の距離が近づいてしまったし、同じ宿の同じ階に宿泊しているうえに、ダンテとは職場が一緒なのだから理由なく避けるのも難しい。
「ローさん、ごめんね」
「なんで謝るんだ?」
「だって、最初から声なんてかけずに、宿の人を呼べばよかったと思って」
「無理だろ、そりゃ。自分で言ってたじゃねーか。ミントは医師だからほっとく訳がねぇ。ま、なんかあっても俺が居るさ」
とりあえず宿の中限定の交流なら、何とかなるだろうとローは慰める。
大きな硬い手のひらがなでてくるので、すり、とミントは泣きたい気持ちで頬をすり寄せた。
生き方が違う人なのに、ミント自身の在り方を認めてくれるのが嬉しい。
安心できるそのぬくもりが嬉しくて、スリスリと手のひらを堪能していたら、聞き捨てならない事をローが言った。
「それにしても、やることやってる夫婦もんなんだぞ。不調の理由は一つしかねーってのに、意外と治癒師でもわかんねーもんなんだな」
え? である。
そういう可能性を考えなかったわけではないけれど、軽い聞き取りでロザリンデは月の物が数カ月来ないほど不順だったというから、可能性は低いと思っていた。
それに妊娠初期は医師でもわからない。
それなのにローの口調は、迷いひとつなく確信的だった。
「治癒ってそういうものじゃないし、実際に診察しないと医者でもわからないけれど……もしかして、ローさんにはわかるの?」
「おう、わかるぜ。俺の目は特別だからな。生きてりゃ魔力が出るだろ。腹の中に居るのも見えるし、誰と誰がやったかっつーのまで見える」
あの夫婦に関しても見なくていいもんまで見えすぎて困るぐらいだ、とカラリと笑うので、ミントは言葉を失った。
それは魔眼である。
とても貴重な能力だが、この世界に数人居るかどうかといった希少性があり、生きている間に目にするのも珍しいのだ。
「俺みてぇに細かい事までわかんなくても、ジルも見るだけなら出来るんじゃねーか?」
魔法師は修行で魔力を見るが、生まれつきの魔眼は魔力の詳細を見て観測する。
似ているようで別物だから、どう返事をしていいのかわからず、ジッとローの顔を見つめていたら、カプリと耳朶をかじられた。そのまま首筋に落ちてきた熱い吐息に、ミントは慌てた。
「え? ローさん、またなの?!」
「またっつーか、食後のデザート」
素肌の上にシャツ一枚でいるミントを抱き寄せながら「いい眺め」とローは笑った。ペシペシとその腕を軽く叩きながら「明日は仕事だから、もうダメ」とジタバタする様子も楽しんでいる。
「なぁ、またあれをやれば止まるかも知んねーぞ」
「やん……あれって?」
「あの、えい! ってやつ」
「い、意地悪言わないでぇ~もう、知らない」
ムゥとむくれるその表情も可愛いので、ひとしきり笑ってローはその首筋に唇を寄せた。
明日は仕事だから無理をさせるのも良くないだろうが、見かけ以上に体力があるのは知っているので、不埒な甘さを堪能しながら戯れても大丈夫なのだ。
朝まではまだ遠いのである。
抱き寄せられる多幸感に満たされ、輪郭もおぼつかない幸福な夢を見ていたら、ふわりとスパイスの香りが濃くなり、意識が浮上していく。
クッキリと目覚める前に、眠りに落ちる前は側にあったぬくもりが消えていることに気付いて、ハッと本格的に覚醒して飛び起きた。
そのまま立ち上がろうとしたところで、へにゃへにゃとその場に崩れ落ちてしまった。疲れ切って眠るぐらい穿たれ、熱い余韻で身体に力が入らないのだ。
手加減を知らない人の本気の結果は、いつもこうなる。
ペションと潰れるようにベッドに横たわりながら、久しぶりに体力の限界を感じていたミントだったが、羽織っているのがローのシャツだと気が付いて両手で顔を覆って赤くなった。
確かに寝ているミントに女性用の衣服を着せるのは難しいだろうが、素肌の上に男物のシャツ一枚というのは、不思議と全裸よりも恥ずかしい。
ちゃんと袖先もミントに合わせてクルリと巻かれていたので、こういう気遣いは出来るんだと気恥ずかしさでコロコロ転がりながら悶えていたら、カチャリと寝室の扉があいた。
「よぉ、起きたか? で、何やってんだ?」
ズカズカと入ってきたローに面白そうに顔を覗き込まれてしまい、ミントは「なんでもない」と答える。
頬を赤く染めて目線をそらされ、ローは「ふーん」とあまり信じていない様子でミントを抱き上げた。
「とりあえず、飯でも食おうぜ」
「あ、ごめんなさい。私、材料買ったのに作ってない」
「腐るよーなもんはなかったし、明日で大丈夫だろ。屋台で適当に買ってきた」
長期滞在用の宿は寝室と居間の二部屋を使える。
居間には三人掛けソファーがふたつとテーブルが備え付けられているので、部屋で食事を摂るのにも困らない。
まだ温かい料理が持ち帰りの包みをほどかれてテーブルの上に並んでいたので、ローが外出して帰ってきたばかりだとわかる。
「私、どのくらい寝てた?」
「ここにあるもんじゃ足りねーって言われても、もう店は閉る頃合いだな」
どうやら夜も更けて、もう一時間もすれば日付が変わる時間帯らしい。
あっという間に明日が来そうだと思いながら、短いシャツの裾を気にして押さえていたら、口元にスプーンが運ばれてきた。
スパイシーな魚介スープの香りに「自分で食べる」と言ったけれど「このまま食うか、俺の膝の上か、どっちだ?」という選択肢の少なさに、おずおずと口を開けた。
こうして隣同士で座っていても胸がドキドキするのに、膝の上だと食事どころではなくなってしまう。
差し出されるままに口を開け、ハムハムと一生懸命に咀嚼して飲み込んでいたら、ジッとその様子を見つめていたローがしばらくしてフッと笑った。
キョトンとして見上げると、半分に割った海老饅頭の片方をミントの手に握らせ、もう半分は自分がかぶりつく。
空気が和らいだことに、ミントも海老饅頭にカプリと口にする。
小麦を発酵させたふんわりした生地を蒸した饅頭の中に、プリプリの海老で作った具がたっぷりつまっていて美味しい。
たまには屋台のご飯もいいな、と思いながら夢中で食べていたら、クシャリ、と髪をかき混ぜるように撫でられた。
「あんま、心配させんな。貴族ってだけでも厄介なのに、あの女は他国の人間だぞ。ミントなら、関わるなって意味がわかるだろ?」
「うん。わかるけど、二人とも良い人だから」
「人間なんてーのは、その時々で良かったり悪かったりするもんなんだよ。ミントだってそうだろ?」
正しすぎて、グウの音も出ない。
個人の人となりだけ見れば善性が概ねを締めていても、神の手の弟子というだけで厄介な事情持ちになってしまう自分自身を知っているから、よけいにである。
山賊事件の後に仮の夫婦としてローと旅をしている間も、関係のないローを護衛としてミントの事情に巻き込んでしまった気がして、かなり気に病んでいたぐらいだ。
出会いのきっかけはともかく、幸いローとの関係は「巻き込み事故」ではなくなったので心は軽いが、そうでなかったら今のように笑っていられなかったと思う。
個人の人柄に問題がないからと言って、それを上回るものを持っているのだから、訳ありのまま生きていくしかないけれど、他人との関わり方は制限される。
お互いに訳あり同士なら、なおさらだ。
ダンテとロザリンデの事情は分からないが、ミントの予想以上に深い内実がありそうだった。
「やっぱり、期間限定でもお友達でいることって、難しいのかな」
ポツンと落ちたつぶやきに、ローは「どーかな」と言った。
よほど楽しい会話をしたようだが、相手は海千山千の貴族の出なのだ。ミントのように純粋なお友達気分とは限らない。
それに友人として「好意的」で「親密」な意識を向こうが持ったとしても、思考回路はどこまでも貴族育ちで、お互いの「友人」の認識にズレがある。
とはいえ、どう見ても駆け落ちか家からの放逐だが、公的機関を通して治療院に勤務しているから身元証明も出来る状態にある。ならば出身国からの追跡もされていないはずで、宿を変えるほど警戒する必要も感じない。
なにより、宝月祭が近づいているからどの宿も満杯で、出立を決めれば即宿無しになるから、それは避けたかった。
何か怪しい動きがないかと数回尾行してみたが、その間にお部屋訪問してのお友達事件が起こっていたから笑えない話だ。
とりあえず今は考えても仕方のない事なので、なるようにしかならんだろ。と思考を切り替えた。
そのうちミントのお腹がだいぶ満たされた様子に、すべて平らげる勢いでローはテーブルに並んだ料理を口に運んでいく。
とはいえいつもより言葉少なで、食べている間も思考を巡らせていたけれど、肩を落としているミントの様子に葡萄を一粒つまむと、その小さな口に押し込んだ。
「こっちがどう思ってようと、この先、あちらさんはミントに絡んでくるぜ。気に入られちまったもんは仕方ねぇ。今日の様子だと、部屋に遊びに行くのを避けるのも不自然だろうよ」
瑞々しい果実を食みながら、ミントはコクンとうなずいた。
確かにそうなのだ。約束とも言えない約束もしてしまったが、反故にするには心の距離が近づいてしまったし、同じ宿の同じ階に宿泊しているうえに、ダンテとは職場が一緒なのだから理由なく避けるのも難しい。
「ローさん、ごめんね」
「なんで謝るんだ?」
「だって、最初から声なんてかけずに、宿の人を呼べばよかったと思って」
「無理だろ、そりゃ。自分で言ってたじゃねーか。ミントは医師だからほっとく訳がねぇ。ま、なんかあっても俺が居るさ」
とりあえず宿の中限定の交流なら、何とかなるだろうとローは慰める。
大きな硬い手のひらがなでてくるので、すり、とミントは泣きたい気持ちで頬をすり寄せた。
生き方が違う人なのに、ミント自身の在り方を認めてくれるのが嬉しい。
安心できるそのぬくもりが嬉しくて、スリスリと手のひらを堪能していたら、聞き捨てならない事をローが言った。
「それにしても、やることやってる夫婦もんなんだぞ。不調の理由は一つしかねーってのに、意外と治癒師でもわかんねーもんなんだな」
え? である。
そういう可能性を考えなかったわけではないけれど、軽い聞き取りでロザリンデは月の物が数カ月来ないほど不順だったというから、可能性は低いと思っていた。
それに妊娠初期は医師でもわからない。
それなのにローの口調は、迷いひとつなく確信的だった。
「治癒ってそういうものじゃないし、実際に診察しないと医者でもわからないけれど……もしかして、ローさんにはわかるの?」
「おう、わかるぜ。俺の目は特別だからな。生きてりゃ魔力が出るだろ。腹の中に居るのも見えるし、誰と誰がやったかっつーのまで見える」
あの夫婦に関しても見なくていいもんまで見えすぎて困るぐらいだ、とカラリと笑うので、ミントは言葉を失った。
それは魔眼である。
とても貴重な能力だが、この世界に数人居るかどうかといった希少性があり、生きている間に目にするのも珍しいのだ。
「俺みてぇに細かい事までわかんなくても、ジルも見るだけなら出来るんじゃねーか?」
魔法師は修行で魔力を見るが、生まれつきの魔眼は魔力の詳細を見て観測する。
似ているようで別物だから、どう返事をしていいのかわからず、ジッとローの顔を見つめていたら、カプリと耳朶をかじられた。そのまま首筋に落ちてきた熱い吐息に、ミントは慌てた。
「え? ローさん、またなの?!」
「またっつーか、食後のデザート」
素肌の上にシャツ一枚でいるミントを抱き寄せながら「いい眺め」とローは笑った。ペシペシとその腕を軽く叩きながら「明日は仕事だから、もうダメ」とジタバタする様子も楽しんでいる。
「なぁ、またあれをやれば止まるかも知んねーぞ」
「やん……あれって?」
「あの、えい! ってやつ」
「い、意地悪言わないでぇ~もう、知らない」
ムゥとむくれるその表情も可愛いので、ひとしきり笑ってローはその首筋に唇を寄せた。
明日は仕事だから無理をさせるのも良くないだろうが、見かけ以上に体力があるのは知っているので、不埒な甘さを堪能しながら戯れても大丈夫なのだ。
朝まではまだ遠いのである。
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