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おまけのおまけ
焦がれる ※
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この女のすべてが欲しいと思ったのは、いつだったか。
触れるたびにわななく身体を味わうように、軽く肌を噛み強く吸う。
上気した頬が薄紅に色付くまま淫らな甘い声を漏らせばいいのに、自身の細い指をかんで吐息ごと飲み込む姿に、煽られるよう我を忘れるほどに嬌声を上げさせたいと不埒な欲が膨らんでいく。
張りのある豊かな乳房を持ち上げて揉めば、やわやわと素直に形を変えるので美味そうだと思い、尖った頂きをなめあげ「許して」と言うまで舌で弄びながら、ついでに下腹へ手を伸ばし潤う泉に指を這わせる。
触れる前から蜜が零れ落ち、トロトロに溶けた花唇に指を差し込み、一本二本と増やしながらうごめかせれば、耐え切れなくなったようにのけぞって「あぁ」と小さな声が零れ落ちた。
声らしい声は出さない。
抱き合う間は、会話もしない。
ただその身に触れ、この身に触れさせ、限界まで淫らにあおり、耐え切れないほどに欲しがる顔を見てから、欲がおさまるまで貫き揺らす。
自分以外の熱は心地よく、簡単に終わりは見えない。
日常が慎ましく穏やかで清廉な印象が強い女だからこそ、快楽に溶け恍惚とした表情が美しいと思う。
その顔を成したのは自分で、その表情を見るのも自分だけという悦びが、さらなる劣情を煽る。
それでも、どれほど快楽に溶けようと我を忘れるほどに乱れないところもまた彼女らしくて、甘くドロドロに溶かしてやりたいと情欲の炎に変わった。
見つめれば、見つめかえしてくる透明な瞳が、艶やかに揺らいで淫らに潤む。
覗きこめば、心の奥まで見透かしていいと、感情のすべてを差し出してくる姿から伝わってくるのは、献身に似た穏やかで豊かな情愛。
かすれた声も、甘く溶けた息遣いも、ドクドクと激しく脈打つ鼓動も、自分へ向けられる愛の証明でしかない。
一つ一つを丁寧に確かめて、果てのないその愛に満足する。
零れ落ちる愛液が蜜口から指を伝ってしたたり落ち、ひくひくと小さく震え続ける内壁に思わず口角が上がった。
満たされた想いを見咎められる前に、硬く張り詰めた欲望でやわらかく温かな女の腹の奥まで貫く。
「ローさん、好き」
耐え切れなくなったように、かすれた声が名前を呼ぶ。
甘く、慈しむように、優しく確かめながら何度も呼ぶ。
それは人としての名前。
その名を得たのがほんの数年前だと知ったら、どんな顔をするだろうか。
おそらくきっと特別な感慨はもたず、キョトンとして「そうなの? これからどう呼べばいい?」で終わる気がする。
今は人だ。
かつて、獣として生きてきた。
人間らしさとは、よくわからない。
記憶にもない幼子の時分に、感情のまま暴走して村を二つ三つ吹き飛ばしたそうだ。
そのせいで、物心ついたころには、囚われ、飼われていた。
邪魔する王子殿下を主人とする苦痛と屈辱。
強硬な魔術で従属を強いられ、お前は人だと教え込まれたが、力の限り抗い、自由に恋焦がれた。
何者にも支配されず、思うがままに世界を駆けたかった。
従属から解き放たれたら、邪魔なそいつを一番に殺してやるつもりでいても、ずっと近くに居れば見えるものがある。
俺に関する全てに責任を持つのも奴で、まっとうすぎるその感性はあきれるほどで、最終的には悪くない主人でありつづけたから、十年もすれば従属に関係なく護ってやる気になった。
元より、この王子様の下僕にならなかったら討伐対象だったから、一応は命の恩人でもあるらしい。
支配してきた王子殿下はまっとうすぎて、ノコノコと俺のいないところに出かけてあっさり逝ってしまったが、看取りには間に合ったからマシなのだろう。
今際の際に従属を解き、獣ではなく「人であれ」と名前まで寄越してくるのだから、とんでもないお人よしだった。
獣ではなく、人らしくと言われても、わかりはしない。
それでも、どう行動すれば人間らしく映るかぐらいはわかる。
人間らしく正しい行動をなぞるのも面白いばかりで、特に窮屈でもないから性に合っているのだろう。
人の名を得て、自由に生きていける。
好奇心がわけば気の向くままに、何処までも駆けていける。
焦がれていた自由を、やっと手に入れた。
自由には責任が伴うのだと、人間とはどんなものかと、嫌になるぐらい繰り返し叩きこまれたので、その在り方は知っている。
在り方も正しさも行動も、自分で決める。
結局、かつての主人が大切にしていた者たちの行く末が気になって、この国に居座っている。
そうこうしているうちに、女につかまってしまうのも何の因果か。
それでもいいかと思うぐらいには、ただ一人にはまっている。
面白いとか、飽きないとか、そういう表向きの事も嘘ではないが、気付いた時にはどうしようもなかった。
まいったなぁとは思うが、手放さないという自由もあるから、それでいい。
おそらくもう、手放せない。
抱き合っている間は、互いの熱だけを感じる。
待ち焦がれるように包み込んでくる熱い蜜壁を、じらしながら緩やかに突き上げれば、熱のこもった大きな瞳がゆらゆらと揺れて、恐ろしいほど素直に自分のすべてを差し出してくる。
情欲と、慈しみと、すべてを受け入れる愛という名の献身。
獣になどその身を捧げる必要もない愛らしく小さな生き物が、可憐な声で名を呼んで、かよわい腕ですがるように身を寄せてくる。
肌と肌が触れ合っているのにまだ遠いとでも言いたげに、切なく身をよじらせる。
捕らえたのか、捕らえられたのか。
どちらであってもかまわないから、ただ、その身をむさぼるほど抱きつぶす。
根を上げるまで最奥を突き穿ち、トロトロと湧き出る愛の泉に溺れて沈む。
最奥がキュウキュウと締め付けて、その瞳や声だけでなく身体でも、言葉以上の想いを訴える。
この女は吐息ひとつ、涙の一滴まで、自分のものだから。
他の誰にも触れさせないと、夜が明けるまで抱きつぶすのも、いつものことだ。
触れ合うたびに湧き、欠落した部分に満ちる想い。
これを愛と呼ぶのも、かつて焦がれた自由なのだ。
触れるたびにわななく身体を味わうように、軽く肌を噛み強く吸う。
上気した頬が薄紅に色付くまま淫らな甘い声を漏らせばいいのに、自身の細い指をかんで吐息ごと飲み込む姿に、煽られるよう我を忘れるほどに嬌声を上げさせたいと不埒な欲が膨らんでいく。
張りのある豊かな乳房を持ち上げて揉めば、やわやわと素直に形を変えるので美味そうだと思い、尖った頂きをなめあげ「許して」と言うまで舌で弄びながら、ついでに下腹へ手を伸ばし潤う泉に指を這わせる。
触れる前から蜜が零れ落ち、トロトロに溶けた花唇に指を差し込み、一本二本と増やしながらうごめかせれば、耐え切れなくなったようにのけぞって「あぁ」と小さな声が零れ落ちた。
声らしい声は出さない。
抱き合う間は、会話もしない。
ただその身に触れ、この身に触れさせ、限界まで淫らにあおり、耐え切れないほどに欲しがる顔を見てから、欲がおさまるまで貫き揺らす。
自分以外の熱は心地よく、簡単に終わりは見えない。
日常が慎ましく穏やかで清廉な印象が強い女だからこそ、快楽に溶け恍惚とした表情が美しいと思う。
その顔を成したのは自分で、その表情を見るのも自分だけという悦びが、さらなる劣情を煽る。
それでも、どれほど快楽に溶けようと我を忘れるほどに乱れないところもまた彼女らしくて、甘くドロドロに溶かしてやりたいと情欲の炎に変わった。
見つめれば、見つめかえしてくる透明な瞳が、艶やかに揺らいで淫らに潤む。
覗きこめば、心の奥まで見透かしていいと、感情のすべてを差し出してくる姿から伝わってくるのは、献身に似た穏やかで豊かな情愛。
かすれた声も、甘く溶けた息遣いも、ドクドクと激しく脈打つ鼓動も、自分へ向けられる愛の証明でしかない。
一つ一つを丁寧に確かめて、果てのないその愛に満足する。
零れ落ちる愛液が蜜口から指を伝ってしたたり落ち、ひくひくと小さく震え続ける内壁に思わず口角が上がった。
満たされた想いを見咎められる前に、硬く張り詰めた欲望でやわらかく温かな女の腹の奥まで貫く。
「ローさん、好き」
耐え切れなくなったように、かすれた声が名前を呼ぶ。
甘く、慈しむように、優しく確かめながら何度も呼ぶ。
それは人としての名前。
その名を得たのがほんの数年前だと知ったら、どんな顔をするだろうか。
おそらくきっと特別な感慨はもたず、キョトンとして「そうなの? これからどう呼べばいい?」で終わる気がする。
今は人だ。
かつて、獣として生きてきた。
人間らしさとは、よくわからない。
記憶にもない幼子の時分に、感情のまま暴走して村を二つ三つ吹き飛ばしたそうだ。
そのせいで、物心ついたころには、囚われ、飼われていた。
邪魔する王子殿下を主人とする苦痛と屈辱。
強硬な魔術で従属を強いられ、お前は人だと教え込まれたが、力の限り抗い、自由に恋焦がれた。
何者にも支配されず、思うがままに世界を駆けたかった。
従属から解き放たれたら、邪魔なそいつを一番に殺してやるつもりでいても、ずっと近くに居れば見えるものがある。
俺に関する全てに責任を持つのも奴で、まっとうすぎるその感性はあきれるほどで、最終的には悪くない主人でありつづけたから、十年もすれば従属に関係なく護ってやる気になった。
元より、この王子様の下僕にならなかったら討伐対象だったから、一応は命の恩人でもあるらしい。
支配してきた王子殿下はまっとうすぎて、ノコノコと俺のいないところに出かけてあっさり逝ってしまったが、看取りには間に合ったからマシなのだろう。
今際の際に従属を解き、獣ではなく「人であれ」と名前まで寄越してくるのだから、とんでもないお人よしだった。
獣ではなく、人らしくと言われても、わかりはしない。
それでも、どう行動すれば人間らしく映るかぐらいはわかる。
人間らしく正しい行動をなぞるのも面白いばかりで、特に窮屈でもないから性に合っているのだろう。
人の名を得て、自由に生きていける。
好奇心がわけば気の向くままに、何処までも駆けていける。
焦がれていた自由を、やっと手に入れた。
自由には責任が伴うのだと、人間とはどんなものかと、嫌になるぐらい繰り返し叩きこまれたので、その在り方は知っている。
在り方も正しさも行動も、自分で決める。
結局、かつての主人が大切にしていた者たちの行く末が気になって、この国に居座っている。
そうこうしているうちに、女につかまってしまうのも何の因果か。
それでもいいかと思うぐらいには、ただ一人にはまっている。
面白いとか、飽きないとか、そういう表向きの事も嘘ではないが、気付いた時にはどうしようもなかった。
まいったなぁとは思うが、手放さないという自由もあるから、それでいい。
おそらくもう、手放せない。
抱き合っている間は、互いの熱だけを感じる。
待ち焦がれるように包み込んでくる熱い蜜壁を、じらしながら緩やかに突き上げれば、熱のこもった大きな瞳がゆらゆらと揺れて、恐ろしいほど素直に自分のすべてを差し出してくる。
情欲と、慈しみと、すべてを受け入れる愛という名の献身。
獣になどその身を捧げる必要もない愛らしく小さな生き物が、可憐な声で名を呼んで、かよわい腕ですがるように身を寄せてくる。
肌と肌が触れ合っているのにまだ遠いとでも言いたげに、切なく身をよじらせる。
捕らえたのか、捕らえられたのか。
どちらであってもかまわないから、ただ、その身をむさぼるほど抱きつぶす。
根を上げるまで最奥を突き穿ち、トロトロと湧き出る愛の泉に溺れて沈む。
最奥がキュウキュウと締め付けて、その瞳や声だけでなく身体でも、言葉以上の想いを訴える。
この女は吐息ひとつ、涙の一滴まで、自分のものだから。
他の誰にも触れさせないと、夜が明けるまで抱きつぶすのも、いつものことだ。
触れ合うたびに湧き、欠落した部分に満ちる想い。
これを愛と呼ぶのも、かつて焦がれた自由なのだ。
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