ショートショート 恋重ね

真朱マロ

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光恋

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光 あれ

そんな言葉を思い出すほど
突然の出会いだった

桜並木の下に
僕と同じ学校の制服を着た
君がいた

淡いピンク色の花びらは
風に舞い散り
そっと追いかける細い指

サラリと背に流された
長い髪

視線を伏せた瞬間に
風が髪を巻きあげ
ほんの少し見えた
白いうなじ

まぶしいほどに
君は輝いている

風があんまり強いから
寒くない? と問いかけてみると
跳ね上がった視線が
僕を見つけて戸惑い
不安に揺れる大きな瞳

初めましてと挨拶して
ためらいがちに交わす会話

また会える? 
問いかけてみると
御縁があればと
小さな返事

彼女のカバンは真新しくて
新品の制服で
同じ学年に違いないから
確かな約束をしなくても
大丈夫そうだと
僕は微笑む

御縁はあるよ
きっときっと
他の誰よりも 
きっと

空もまた微笑んで
おひさまと共に
僕たちを祝福している
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