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第一章 旅立ち
たけのこ狩り
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武器の扱いにもなれたし、そろそろ採取ではなく討伐クエストをしよう。・・・魔法使いのじいさんにたいして含むところはなにもない。もともと雨が降らなければ討伐にいくつもりだった。
シアルに討伐にいくと言ったら、いっしょにいくと返ってきた。ミーアにも出かけるさいに伝えた。心配そうな顔をされたが、腹の怪我はすっかり治っていることを話すといくぶん和らいだ。
ギルドで選んだクエストは、雨魔のたけのこという魔物の討伐だ。
雨のあとに発生するたけのこのような魔物で、本体はひとつだが地下に根をのばして分身を大量に作る。本体を倒せば分身も消える。ふつうのたけのことの違いは、突発的な成長と穂先のなかに口があること。普段は閉じているが獲物が近づくと開いて食らいつく。ランクはDだから自分でも討伐できるだろう。
いつもいく森とは違う森で雨魔のたけのこを探す。昨日の雨のせいか、森は湿気が高くてむわっとしてた。
「あれか?」
自分の膝くらいの高さのたけのこを見つけ、慎重に近づくと穂先が開いてガチガチと牙をならした。しかし、しょせんたけのこ。地面からは動かない。
「あれを使ってみようかな・・・」
「あれとな?」
定位置になった自分の肩でシアルが言う。
「ああ、火の魔法石を使う」
もらったはいいものの性能が不安で、どうしたものかと悩んでいたがこの魔物なら動けないから飛び火して周りに被害が出る危険は低い。もし自然鎮火の魔法がうまくいかなくても万一のために水の魔石を用意してあった。
いや、本音を言おう。正直試してみたかった。どんな威力なのかすごく気になる。
雨魔のたけのこから距離をとり、バックから取り出した魔法石を投げる。魔法石は雨魔のたけのこの口に入り牙にかみ割られた。一瞬間があって不発に見えたが、すぐに勢いよく火柱が上がった。かなり高く。
「ギィェェエエェ・・・」
雨魔のたけのこが断末魔をあげて消滅すると、炎は小さくなって消えた。他に飛び火するんじゃないかとはらはらしたよ。無事に消えてよかった。
「おお、けっこうすごかったな」
「うむ。見物であった」
生えていた場所にいき魔石があるか調べるが、なかった。
「分身のほうか。本体を探さなぐっ!?」
「にゃ!?」
とつぜん背中を突き飛ばされて、地面に転がった。何事かとふりかえれば、そこには自分の身長くらいのたけのこが生えていた。しかも幹の部分がうねうねと動いている。埋まっている地面からは動けないようだ。
「さっきまでなにも・・・!?」
いってるそばから周囲にニョキニョキとたけのこが生えてきた。異様な雰囲気である。
「これ雨魔のたけのこか?もしかして怒って・・・ってシアル?」
肩にいたはずのシアルがいない。まさか食われた?
「シアルっ無事か!?」
「わしは無事じゃ!」
遠く離れた場所にシアルはいた。
「わしはこのまま隠れておる!存分に戦え!」
「それ逃げてるっていわねぇか!?」
しかし、シアルがいたところで戦力にはならない。守る心配をしなくていいぶん動きやすくなる。と、頭を切り替えたところで、体の下の地面がもり上がった。あわてて飛びのいて雨魔のたけのこをよける。
「わったっうぁっふ」
つぎつぎと生える雨魔のたけのこをよけ続ける。変な声が出てしまった。
「でや!」
どうにか刀を抜いて、雨魔のたけのこにきりつけると真っ二つになって消滅した。一撃で倒せる弱さだが、矢継ぎ早に生える厄介さでランクDなのだろう。
「うおおおっ」
生えてくる雨魔のたけのこを斬りまくり、本体を倒したのは・・・数時間あとだった。
成功報酬は三〇〇〇ギル。一体の値段としては高いがあの厄介さを考えると低い。
このクエストはもうしない。二度とやるものか。
シアルに討伐にいくと言ったら、いっしょにいくと返ってきた。ミーアにも出かけるさいに伝えた。心配そうな顔をされたが、腹の怪我はすっかり治っていることを話すといくぶん和らいだ。
ギルドで選んだクエストは、雨魔のたけのこという魔物の討伐だ。
雨のあとに発生するたけのこのような魔物で、本体はひとつだが地下に根をのばして分身を大量に作る。本体を倒せば分身も消える。ふつうのたけのことの違いは、突発的な成長と穂先のなかに口があること。普段は閉じているが獲物が近づくと開いて食らいつく。ランクはDだから自分でも討伐できるだろう。
いつもいく森とは違う森で雨魔のたけのこを探す。昨日の雨のせいか、森は湿気が高くてむわっとしてた。
「あれか?」
自分の膝くらいの高さのたけのこを見つけ、慎重に近づくと穂先が開いてガチガチと牙をならした。しかし、しょせんたけのこ。地面からは動かない。
「あれを使ってみようかな・・・」
「あれとな?」
定位置になった自分の肩でシアルが言う。
「ああ、火の魔法石を使う」
もらったはいいものの性能が不安で、どうしたものかと悩んでいたがこの魔物なら動けないから飛び火して周りに被害が出る危険は低い。もし自然鎮火の魔法がうまくいかなくても万一のために水の魔石を用意してあった。
いや、本音を言おう。正直試してみたかった。どんな威力なのかすごく気になる。
雨魔のたけのこから距離をとり、バックから取り出した魔法石を投げる。魔法石は雨魔のたけのこの口に入り牙にかみ割られた。一瞬間があって不発に見えたが、すぐに勢いよく火柱が上がった。かなり高く。
「ギィェェエエェ・・・」
雨魔のたけのこが断末魔をあげて消滅すると、炎は小さくなって消えた。他に飛び火するんじゃないかとはらはらしたよ。無事に消えてよかった。
「おお、けっこうすごかったな」
「うむ。見物であった」
生えていた場所にいき魔石があるか調べるが、なかった。
「分身のほうか。本体を探さなぐっ!?」
「にゃ!?」
とつぜん背中を突き飛ばされて、地面に転がった。何事かとふりかえれば、そこには自分の身長くらいのたけのこが生えていた。しかも幹の部分がうねうねと動いている。埋まっている地面からは動けないようだ。
「さっきまでなにも・・・!?」
いってるそばから周囲にニョキニョキとたけのこが生えてきた。異様な雰囲気である。
「これ雨魔のたけのこか?もしかして怒って・・・ってシアル?」
肩にいたはずのシアルがいない。まさか食われた?
「シアルっ無事か!?」
「わしは無事じゃ!」
遠く離れた場所にシアルはいた。
「わしはこのまま隠れておる!存分に戦え!」
「それ逃げてるっていわねぇか!?」
しかし、シアルがいたところで戦力にはならない。守る心配をしなくていいぶん動きやすくなる。と、頭を切り替えたところで、体の下の地面がもり上がった。あわてて飛びのいて雨魔のたけのこをよける。
「わったっうぁっふ」
つぎつぎと生える雨魔のたけのこをよけ続ける。変な声が出てしまった。
「でや!」
どうにか刀を抜いて、雨魔のたけのこにきりつけると真っ二つになって消滅した。一撃で倒せる弱さだが、矢継ぎ早に生える厄介さでランクDなのだろう。
「うおおおっ」
生えてくる雨魔のたけのこを斬りまくり、本体を倒したのは・・・数時間あとだった。
成功報酬は三〇〇〇ギル。一体の値段としては高いがあの厄介さを考えると低い。
このクエストはもうしない。二度とやるものか。
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