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*第3章*
聖なる夜の誓い(4)
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「やっと、笑ったな」
私を後ろから抱きしめてきた健を見上げると、優しく微笑む健の瞳と目が合う。
「ありがとう、連れて来てくれて」
「気に入ってくれたならよかったよ」
そのとき、首もとに冷たい感触が走りビクリと肩を揺らす。
「た、健!?」
さらには私の肩下くらいまで伸ばした髪を少し上げられて、何事かと声を出した。
「メリークリスマス」
だけど、健はしてやったりの表情でそう言って笑ったのだ。
「ちょ、な、何? 何したの?」
思わず手を違和感の残る首元にやると、金属の繊細な線に触れる。
「……え?」
観覧車のデザインの照明と、外の明かりだけで照らされた薄暗いゴンドラ内。
首元で反射して光るものを手にとって見ると、シルバーのハートと小さな羽をかたどったチャームだった。
「俺から未夢に。クリスマスプレゼント」
「え!? あ、ありがとう。すごく可愛い」
「気に入ってくれたならよかった。よく似合ってる」
「でも、すごい偶然」
クリスマスプレゼントがネックレスという点も、そのネックレスが羽をモチーフとしたデザインだという点も、健と被るなんて驚いた。
「偶然って?」
「見たらわかるよ。これは私から」
私もこのタイミングで、カバンに忍ばせておいた健へのクリスマスプレゼントを渡す。
「マジで!? 未夢からとか、すごく嬉しいんだけど!」
「そんな大袈裟な。プレゼントなら今まででも何回もあげたことあるじゃん」
今までのクリスマスは、四人でプレゼント交換をしてたから、健に私の選んだプレゼントが渡った年もあったし、誕生日には、毎年大したものではなくても、何かしらプレゼントをあげていた。
「意味が違うんだよ、意味が! わっ、いいじゃん。俺、こういうのすごく好みだよ」
紙袋からネックレスを取り出すなり、さらに嬉しそうにしてくれる健を見て、一先ずホッとする。
「それなら良かったよ」
「ありがとな。俺が選んだプレゼントも未夢が選んでくれたプレゼントも、何となく似てて、ペアのネックレスみたいに見えるよな。ほんとすごい偶然」
俺ら、気が合うのな。と健は興奮気味に何度も私の首もとのネックレスと健の手に渡ったネックレスを見比べる。
そして、健に渡したネックレスを私に差し出してくる。
「ねぇ、これ、未夢がつけて?」
「え? 私が?」
「未夢のは俺がつけたじゃん」
「それは健が勝手に……」
だけど、キラキラとした瞳でこちらを見つめる健に抗えなかった。
健の手から、私からのプレゼントのネックレスを受けとる。
背の高い健はゴンドラの椅子に腰かけて、いいよ、と言ってくる。
コートのボタンを開けて、さらにはその下に着ていた服のボタンも二つくらい開けて、健の綺麗な鎖骨が露になる。
なんだかこういうの、すごく緊張するな……。
ドクドクと大きく脈打つ心音を聞きながら、健の首もとにネックレスを持った両手を伸ばす。
指先から健の熱を感じて、異様にドキドキした。
すでにそこには、シルバーのネックレスが別にしてあるみたいだったから、それに重ねるように私からのネックレスをつけた。
「ついたよ! 健も似合ってる、……わっ」
健の首もとに私の選んだ羽が光ったとき、私は引っ張られるがままに健の隣に座らされた。そして、一瞬にして健に抱きしめられていた。
「健……?」
いつもと違う雰囲気に落ち着かなくて、さりげなく窓の外に視線を動かす。すると、かなり頂上に近づいて来てるのか高度の上昇は緩やかになっていて、いつの間にかクリスマスツリーの華やかな明かりもさっきよりもずっと下の位置に見えていた。
「ヤバい。未夢のこと、好きすぎておかしくなりそう……」
ようやく口を開いた健からは、いつもと違う繊細な声で言葉が紡れて、さらに私の心拍数を上昇させる。
「え、そんな、オーバーな」
「オーバーじゃないってば! 子どもの頃からずっと好きだった未夢と、こうしてクリスマスを一緒に過ごせてるんだよ? そりゃおかしくもなりそうになるって!」
照れたようにそっぽ向く健が、可愛い。
だけど、すぐに健は再び私へと視線を戻して、私の方へと顔を近づけてくる。
あまりに近づいた距離に思わずキュッと目をつむると、フッと小さく笑う健の声が聞こえてくる。
「大丈夫、唇にはしないから」
次の瞬間、私の頬には健の柔らかい唇の感触が触れた。
まるで私の頬を撫でるように唇で触れたあと、健は元の位置へと戻っていく。
目が合うと、健は幸せそうに笑った。
だけど、やっぱりどこかその表情は憂いを帯びているように見えて仕方なかった。
胸が痛い。
健はこんなにまっすぐに私に想いをぶつけてくれている。
それなのに健に唇にはしないだなんて悲しいことを言わせてるのも、憂いを帯びた表情をさせているのも、私だ。
私が、いつまでも中途半端なままだから。
こんな私でも好きだと言ってくれる健。
必死で私を支えようとしてくれている健。
そんな健には、心から幸せそうに笑っててほしいよ……。
健の気持ちに、ちゃんと応えたい。
私を後ろから抱きしめてきた健を見上げると、優しく微笑む健の瞳と目が合う。
「ありがとう、連れて来てくれて」
「気に入ってくれたならよかったよ」
そのとき、首もとに冷たい感触が走りビクリと肩を揺らす。
「た、健!?」
さらには私の肩下くらいまで伸ばした髪を少し上げられて、何事かと声を出した。
「メリークリスマス」
だけど、健はしてやったりの表情でそう言って笑ったのだ。
「ちょ、な、何? 何したの?」
思わず手を違和感の残る首元にやると、金属の繊細な線に触れる。
「……え?」
観覧車のデザインの照明と、外の明かりだけで照らされた薄暗いゴンドラ内。
首元で反射して光るものを手にとって見ると、シルバーのハートと小さな羽をかたどったチャームだった。
「俺から未夢に。クリスマスプレゼント」
「え!? あ、ありがとう。すごく可愛い」
「気に入ってくれたならよかった。よく似合ってる」
「でも、すごい偶然」
クリスマスプレゼントがネックレスという点も、そのネックレスが羽をモチーフとしたデザインだという点も、健と被るなんて驚いた。
「偶然って?」
「見たらわかるよ。これは私から」
私もこのタイミングで、カバンに忍ばせておいた健へのクリスマスプレゼントを渡す。
「マジで!? 未夢からとか、すごく嬉しいんだけど!」
「そんな大袈裟な。プレゼントなら今まででも何回もあげたことあるじゃん」
今までのクリスマスは、四人でプレゼント交換をしてたから、健に私の選んだプレゼントが渡った年もあったし、誕生日には、毎年大したものではなくても、何かしらプレゼントをあげていた。
「意味が違うんだよ、意味が! わっ、いいじゃん。俺、こういうのすごく好みだよ」
紙袋からネックレスを取り出すなり、さらに嬉しそうにしてくれる健を見て、一先ずホッとする。
「それなら良かったよ」
「ありがとな。俺が選んだプレゼントも未夢が選んでくれたプレゼントも、何となく似てて、ペアのネックレスみたいに見えるよな。ほんとすごい偶然」
俺ら、気が合うのな。と健は興奮気味に何度も私の首もとのネックレスと健の手に渡ったネックレスを見比べる。
そして、健に渡したネックレスを私に差し出してくる。
「ねぇ、これ、未夢がつけて?」
「え? 私が?」
「未夢のは俺がつけたじゃん」
「それは健が勝手に……」
だけど、キラキラとした瞳でこちらを見つめる健に抗えなかった。
健の手から、私からのプレゼントのネックレスを受けとる。
背の高い健はゴンドラの椅子に腰かけて、いいよ、と言ってくる。
コートのボタンを開けて、さらにはその下に着ていた服のボタンも二つくらい開けて、健の綺麗な鎖骨が露になる。
なんだかこういうの、すごく緊張するな……。
ドクドクと大きく脈打つ心音を聞きながら、健の首もとにネックレスを持った両手を伸ばす。
指先から健の熱を感じて、異様にドキドキした。
すでにそこには、シルバーのネックレスが別にしてあるみたいだったから、それに重ねるように私からのネックレスをつけた。
「ついたよ! 健も似合ってる、……わっ」
健の首もとに私の選んだ羽が光ったとき、私は引っ張られるがままに健の隣に座らされた。そして、一瞬にして健に抱きしめられていた。
「健……?」
いつもと違う雰囲気に落ち着かなくて、さりげなく窓の外に視線を動かす。すると、かなり頂上に近づいて来てるのか高度の上昇は緩やかになっていて、いつの間にかクリスマスツリーの華やかな明かりもさっきよりもずっと下の位置に見えていた。
「ヤバい。未夢のこと、好きすぎておかしくなりそう……」
ようやく口を開いた健からは、いつもと違う繊細な声で言葉が紡れて、さらに私の心拍数を上昇させる。
「え、そんな、オーバーな」
「オーバーじゃないってば! 子どもの頃からずっと好きだった未夢と、こうしてクリスマスを一緒に過ごせてるんだよ? そりゃおかしくもなりそうになるって!」
照れたようにそっぽ向く健が、可愛い。
だけど、すぐに健は再び私へと視線を戻して、私の方へと顔を近づけてくる。
あまりに近づいた距離に思わずキュッと目をつむると、フッと小さく笑う健の声が聞こえてくる。
「大丈夫、唇にはしないから」
次の瞬間、私の頬には健の柔らかい唇の感触が触れた。
まるで私の頬を撫でるように唇で触れたあと、健は元の位置へと戻っていく。
目が合うと、健は幸せそうに笑った。
だけど、やっぱりどこかその表情は憂いを帯びているように見えて仕方なかった。
胸が痛い。
健はこんなにまっすぐに私に想いをぶつけてくれている。
それなのに健に唇にはしないだなんて悲しいことを言わせてるのも、憂いを帯びた表情をさせているのも、私だ。
私が、いつまでも中途半端なままだから。
こんな私でも好きだと言ってくれる健。
必死で私を支えようとしてくれている健。
そんな健には、心から幸せそうに笑っててほしいよ……。
健の気持ちに、ちゃんと応えたい。
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