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1.この姿で気に入られても困りますから……!
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事の発端は、三月を目前とした日曜日の夜。
「奈緒! 一生のお願い!」
私の部屋で、ぱちんと手のひらを合わせて頭を下げるのは、美容師として働く私の双子の妹、高倉 梨緒。
「合コンの人数合わせなら行かないわよ」
梨緒がこの手のお願い事をしてくるときは、ほぼ9割以上は合コンの人数が足りないから補えという内容だ。
「うっ。さすが奈緒、鋭い」
「梨緒がいつも同じことばかり頼んで来るからでしょ?」
「それが、合コンとは言っても、今回はちょっと違うお願いなんだよね~」
「何よ」
「あ、やっとお願い聞いてくれる気になった?」
「そんなわけないじゃない」
どこをどう取ったら、そこまで前向きに捉えることができるのよ。
呆れて思わずハァとため息を吐き出してしまう。
「そこをどうかお願い、お姉ちゃん!」
「こんなときだけお姉ちゃんって呼ばないでよ」
明日の月曜日は、偶然にも私も梨緒も仕事が休み。
休みの前日は夜更かしする派の梨緒に対して、早く寝る派の私はベッドに潜り込むと布団を頭から被る。
「もうっ! 奈緒のケチ! そんなんだから、二十七歳になっても彼氏の一人もできないんだよ!」
「うるさいなぁ。彼氏いるのに合コンばっかり行ってる梨緒に言われたくない」
「とにかく明日、お願いね! 髪も服もメイクも私に任せてくれたらいいから!」
梨緒は念を押すように言うと、私の部屋を出ていった。
ご丁寧に、私の部屋の電灯を消して。
この感じだと、結局梨緒に言い負かされて、また私の貴重な休日が潰されちゃうのかな……。
それにしても、合コンとは言っても今回はちょっと違うって、一体どういう意味だったんだろう?
梨緒のことだから、ろくなことじゃなければいいけど……。
そんなことを考えているうちに、いつしか私は深い眠りの中へと落ちていっていた。
*
「ちょっと梨緒! 一体どういうことよ!」
翌日の夕方。私は梨緒の部屋にあるドレッサーの前に座らされていた。
ドレッサーの鏡に映るのは私自身なんだけど、どこからどう見ても梨緒の姿だ。
肩までの黒い髪には明るい栗色のウェーブのかかったロングヘアのウィッグを被せられて、メイクも普段梨緒がしているような派手なものになっている。
まつ毛なんて、ファサファサなのをつけられて、瞬きする度に音でも鳴ってそうなくらいだ。
そして服は、いつも休日はTシャツにジーパン姿の私には似合わない、控えめなフリルのついた大人可愛い白のワンピース。おまけに、ブラウンのコートまで用意してくれた。
「だからぁ、奈緒には、私の代わりに今日の合コンに参加してきてほしいの!」
「だからって、何で私が……!?」
「さっきも言ったけど、急に彼氏と会うことになっちゃったのよ。でも、私がいないと人数が足りなくなっちゃうから、断ることも出来ないし……」
何よ、その理由。
どこからどう聞いても、梨緒の不注意が招いたことじゃない!
「ま、とりあえず参加して、適当に話して帰ってきてくれたらいいから! あ、もちろん交際を申し込まれた場合は、断っといてよね!」
「はいはい。もう、なんで私が……」
だけど言ったところで、梨緒のこの性格は今に始まったことじゃない。
私は諦めてひとつため息を落とすと、仕方なしに合コン会場へと向かった。
「奈緒! 一生のお願い!」
私の部屋で、ぱちんと手のひらを合わせて頭を下げるのは、美容師として働く私の双子の妹、高倉 梨緒。
「合コンの人数合わせなら行かないわよ」
梨緒がこの手のお願い事をしてくるときは、ほぼ9割以上は合コンの人数が足りないから補えという内容だ。
「うっ。さすが奈緒、鋭い」
「梨緒がいつも同じことばかり頼んで来るからでしょ?」
「それが、合コンとは言っても、今回はちょっと違うお願いなんだよね~」
「何よ」
「あ、やっとお願い聞いてくれる気になった?」
「そんなわけないじゃない」
どこをどう取ったら、そこまで前向きに捉えることができるのよ。
呆れて思わずハァとため息を吐き出してしまう。
「そこをどうかお願い、お姉ちゃん!」
「こんなときだけお姉ちゃんって呼ばないでよ」
明日の月曜日は、偶然にも私も梨緒も仕事が休み。
休みの前日は夜更かしする派の梨緒に対して、早く寝る派の私はベッドに潜り込むと布団を頭から被る。
「もうっ! 奈緒のケチ! そんなんだから、二十七歳になっても彼氏の一人もできないんだよ!」
「うるさいなぁ。彼氏いるのに合コンばっかり行ってる梨緒に言われたくない」
「とにかく明日、お願いね! 髪も服もメイクも私に任せてくれたらいいから!」
梨緒は念を押すように言うと、私の部屋を出ていった。
ご丁寧に、私の部屋の電灯を消して。
この感じだと、結局梨緒に言い負かされて、また私の貴重な休日が潰されちゃうのかな……。
それにしても、合コンとは言っても今回はちょっと違うって、一体どういう意味だったんだろう?
梨緒のことだから、ろくなことじゃなければいいけど……。
そんなことを考えているうちに、いつしか私は深い眠りの中へと落ちていっていた。
*
「ちょっと梨緒! 一体どういうことよ!」
翌日の夕方。私は梨緒の部屋にあるドレッサーの前に座らされていた。
ドレッサーの鏡に映るのは私自身なんだけど、どこからどう見ても梨緒の姿だ。
肩までの黒い髪には明るい栗色のウェーブのかかったロングヘアのウィッグを被せられて、メイクも普段梨緒がしているような派手なものになっている。
まつ毛なんて、ファサファサなのをつけられて、瞬きする度に音でも鳴ってそうなくらいだ。
そして服は、いつも休日はTシャツにジーパン姿の私には似合わない、控えめなフリルのついた大人可愛い白のワンピース。おまけに、ブラウンのコートまで用意してくれた。
「だからぁ、奈緒には、私の代わりに今日の合コンに参加してきてほしいの!」
「だからって、何で私が……!?」
「さっきも言ったけど、急に彼氏と会うことになっちゃったのよ。でも、私がいないと人数が足りなくなっちゃうから、断ることも出来ないし……」
何よ、その理由。
どこからどう聞いても、梨緒の不注意が招いたことじゃない!
「ま、とりあえず参加して、適当に話して帰ってきてくれたらいいから! あ、もちろん交際を申し込まれた場合は、断っといてよね!」
「はいはい。もう、なんで私が……」
だけど言ったところで、梨緒のこの性格は今に始まったことじゃない。
私は諦めてひとつため息を落とすと、仕方なしに合コン会場へと向かった。
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