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1.この姿で気に入られても困りますから……!
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「そこまで無理無理言うなよ。さすがの俺も傷つく」
そして本郷さんは、ぶんぶんと全力で首を振ってお断りする私の頭の後ろに大きな手を添えると、私の耳に口元を近づけて、囁くように言った。
「すぐにとは言わねぇよ。でも、近い将来、お前を俺のものにしてみせる」
勝手なことを言われているのに、甘美な声色に思わずびくりと身体を跳ねさせてしまう。
「行くぞ」
私から離れると、本郷さんは私の手首を引いた。
「行く、って、どこに……!?」
「駅に決まってんだろ? お前、方角からしても駅に向かってたんじゃなかったの?」
「そ、そうですけど……」
「それとも、ラブホにでも連れて行かれると思ったか?」
「そ、そそそそんなこと、思うわけないじゃないですか!」
「ハハっ。そんなムキになるなよな」
再びお腹を抱えて、本郷さんはおかしそうに笑い出す。
これ、絶対、私で楽しんでるよ……!
「まぁ、いずれな。お楽しみはとっておきたい派なんでね」
ちょ……っ!
私が目をぱちくりとさせてる間にも、本郷さんは私の手を引いて駅の方へと連れていく。
「次のお前の空いてる日は、いつだ?」
「? 今週の木曜日です」
仕事のお休みの日を聞かれてるんだよね?
「その次は?」
「来週の火曜日です」
私の勤めているドラッグストアでは、基本的に年中無休のため、土日は特に休みづらい。
「バラバラだな」
「……すみません」
「仕方ねぇか。そういう俺も小売りで働いてるから、基本的にはバラバラだしな、休み。美容師も土日は休めねぇもんな」
そうだった……!
何気なく私自身のお休みの日をこたえてたけど、今の私は、梨緒だ。
「じゃあ、来週の月曜の夜、お前の仕事終わりは何時だ?」
「十八時、ですけど……」
でも、梨緒の姿とはいっても中身は私なんだし、ここは適当に私の予定をこたえておいたら良いのかな……?
梨緒の予定まで正確に覚えてないし。
「じゃあ、来週の月曜の十九時にこの駅のこの場所、来れるか?」
「来れないことも、ないですけど……」
え、一体、どういうこと……?
「来れるんだな? じゃあ、来週の月曜の十九時にここで待ってる」
「へ……?」
月曜の十九時に、ここで、待ってる……?
「えぇえっ!? そ、それはちょっと……」
「なんだよ、今来れるって言っただろ?」
「い、言いましたけど……」
何気なく誘導尋問にこたえるように、そう言ってしまった私も悪いけどさ……。
自分のバカさ加減に泣けてくる。
「どうせその次の日は休みなんだから、ちょっと付き合え」
「で、でも……」
「くれぐれも忘れるなよ、じゃあな」
私が今更のように断ろうとしても、本郷さんは全く聞く耳を持ってくれない。
本郷さんは一人でそう決めてしまうと、私が利用する方とは違う方の改札口の中へと消えていってしまった。
ここの駅は、二つの路線が乗り換えられる駅になっているんだ。
ど、どうしよう……。
だって、あんな約束を取り付けられてしまって、私、来週も梨緒にならないといけないってことなんだよね……?
そんなの、無理だよ……!
慌ててカバンからスマホを取り出すけれど、思い返してみても私は本郷さんと連絡先を交換した覚えはない。
もちろん、山口さんや菊地さんとも交換していないのだけれど。
でもこれじゃあ、本郷さんと全く連絡が取れないじゃない!
白鳥さんや澤田さんは聞いたのかもしれないけれど、わざわざ梨緒に聞いてもらうのもな……。
今日の二人を見る感じ、何となく二人は梨緒をおとしめようとしていたように見えたし、それは避けたかった。
特にあの二人の目当てが本郷さんだっただけに。
ああ、もう、どうしよう。
本郷さん、もしかしなくても、山口さんや菊地さん以上に厄介かもしれない……。
もう本郷さんの姿は見えないけれど、私は彼の消えていった改札口をしばらく呆然と眺めていた。
そして本郷さんは、ぶんぶんと全力で首を振ってお断りする私の頭の後ろに大きな手を添えると、私の耳に口元を近づけて、囁くように言った。
「すぐにとは言わねぇよ。でも、近い将来、お前を俺のものにしてみせる」
勝手なことを言われているのに、甘美な声色に思わずびくりと身体を跳ねさせてしまう。
「行くぞ」
私から離れると、本郷さんは私の手首を引いた。
「行く、って、どこに……!?」
「駅に決まってんだろ? お前、方角からしても駅に向かってたんじゃなかったの?」
「そ、そうですけど……」
「それとも、ラブホにでも連れて行かれると思ったか?」
「そ、そそそそんなこと、思うわけないじゃないですか!」
「ハハっ。そんなムキになるなよな」
再びお腹を抱えて、本郷さんはおかしそうに笑い出す。
これ、絶対、私で楽しんでるよ……!
「まぁ、いずれな。お楽しみはとっておきたい派なんでね」
ちょ……っ!
私が目をぱちくりとさせてる間にも、本郷さんは私の手を引いて駅の方へと連れていく。
「次のお前の空いてる日は、いつだ?」
「? 今週の木曜日です」
仕事のお休みの日を聞かれてるんだよね?
「その次は?」
「来週の火曜日です」
私の勤めているドラッグストアでは、基本的に年中無休のため、土日は特に休みづらい。
「バラバラだな」
「……すみません」
「仕方ねぇか。そういう俺も小売りで働いてるから、基本的にはバラバラだしな、休み。美容師も土日は休めねぇもんな」
そうだった……!
何気なく私自身のお休みの日をこたえてたけど、今の私は、梨緒だ。
「じゃあ、来週の月曜の夜、お前の仕事終わりは何時だ?」
「十八時、ですけど……」
でも、梨緒の姿とはいっても中身は私なんだし、ここは適当に私の予定をこたえておいたら良いのかな……?
梨緒の予定まで正確に覚えてないし。
「じゃあ、来週の月曜の十九時にこの駅のこの場所、来れるか?」
「来れないことも、ないですけど……」
え、一体、どういうこと……?
「来れるんだな? じゃあ、来週の月曜の十九時にここで待ってる」
「へ……?」
月曜の十九時に、ここで、待ってる……?
「えぇえっ!? そ、それはちょっと……」
「なんだよ、今来れるって言っただろ?」
「い、言いましたけど……」
何気なく誘導尋問にこたえるように、そう言ってしまった私も悪いけどさ……。
自分のバカさ加減に泣けてくる。
「どうせその次の日は休みなんだから、ちょっと付き合え」
「で、でも……」
「くれぐれも忘れるなよ、じゃあな」
私が今更のように断ろうとしても、本郷さんは全く聞く耳を持ってくれない。
本郷さんは一人でそう決めてしまうと、私が利用する方とは違う方の改札口の中へと消えていってしまった。
ここの駅は、二つの路線が乗り換えられる駅になっているんだ。
ど、どうしよう……。
だって、あんな約束を取り付けられてしまって、私、来週も梨緒にならないといけないってことなんだよね……?
そんなの、無理だよ……!
慌ててカバンからスマホを取り出すけれど、思い返してみても私は本郷さんと連絡先を交換した覚えはない。
もちろん、山口さんや菊地さんとも交換していないのだけれど。
でもこれじゃあ、本郷さんと全く連絡が取れないじゃない!
白鳥さんや澤田さんは聞いたのかもしれないけれど、わざわざ梨緒に聞いてもらうのもな……。
今日の二人を見る感じ、何となく二人は梨緒をおとしめようとしていたように見えたし、それは避けたかった。
特にあの二人の目当てが本郷さんだっただけに。
ああ、もう、どうしよう。
本郷さん、もしかしなくても、山口さんや菊地さん以上に厄介かもしれない……。
もう本郷さんの姿は見えないけれど、私は彼の消えていった改札口をしばらく呆然と眺めていた。
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