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4.ドキドキさせるようなことばかりしないでください!
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本郷店長に梨緒のお店の傍まで来られた騒動から、一週間が経つ。
当たり前だけど、梨緒の姿で会ってる本郷店長のシフトは、私も知ってる店舗のシフト通りだ。
お互いに同じ店舗で働いてるだけあって、ほとんどお休みの日が被っていることなんてない。
そのため、毎日とまではいかなくても、時々仕事終わりに会おうという話になったのだ。
また梨緒のお店に行かれても困るしね……。
私の仕事休みの日は、完全に高倉奈緒と一致すると怪しまれるかもしれない。
だから、お休みが被ってる日以外は、本郷店長のお休みとは被らないように適当にずらして教えた。
何だかウソばっかりになってきて、胸が痛む。
だけど、付き合ってみてからじゃないと返事は要らないと言われてしまった以上、こうするしか方法がないように思う。
だって、本郷店長、ものすごく強引なんだもん……。
でもそのこと自体、本郷店長を騙していることを除けば、不思議と嫌だと思っていないのも事実だったりする。
この日はお昼過ぎ、二時間メインのレジに入ったあと、一旦事務室に戻って商品のPOPを作成していた。
「高倉さん、それ終わったら、この什器を組み立ててくれないか?」
すると、倉庫の方から事務室に入ってきた本郷店長が、事務室の壁にビニールに入った什器のセットを立てかける。
「はい」
ここでいう什器とは、POP広告も兼ねた、店舗で商品を陳列するための紙製の棚。
各メーカーから什器の組み立てキットが送られてきて、一緒に入っている組み立て方の説明を見ながら設置することが多い。
私は一通りPOPを書き終えると、什器のセットを手に取った。
「風邪薬の什器ですか?」
「ああ。そこの風邪薬、パッケージのデザインが変更になったらしい。春になってきたとはいえ、気候の変化で風邪薬をお買い求めになるお客様も、うちの店舗も減ってないからな。お客様への宣伝も兼ねて、今回売り場も少しリニューアルしようかと思ってるんだ」
店長机で作業をしていた本郷店長は、視線は机の方に落としたまま、そうこたえてくれる。
私が什器のセットの入ったビニールの袋を開けて、組み立て方の説明の書かれた紙を見ていると、さっきの作業が一段落ついたのか、本郷店長がこちらに来た。
「まぁ知ってるとは思うけど、この風邪薬がうちの会社としての推奨品になる。だけど、推奨品だからといって風邪だったら誰にでもこの薬をすすめて良いわけじゃないからな?」
「え、そうなんですか!?」
本郷店長の言う通り、会社の推奨品であるこの風邪薬は、風邪の全般的な症状に良く効くお薬だと私は聞いている。
そういった意味で、毎年多くのお客様がこの商品を選んで買っていかれる。
さらに会社の推奨品になっているのには理由があって、売った場合に生まれる利益も大きいのだ。だから会社としてもお客様としてもオイシイお薬だと、私は思っていた。
「おいおい、しっかりしてくれよ。確かにこの薬は、熱にも咳にも鼻水にも喉の痛みにも効く成分が入ってる。だけど、例えば、咳がものすごく酷いけれど、咳しか症状がないお客様の場合は、咳に特化した薬の方が良いこともある」
言われてみれば、そうかもしれない……。
「それに、例えばインフルエンザの疑いがある人の場合なら、こんなの売ってる場合じゃなく、即病院に行って診てもらうようにすすめる必要も出てくる」
「……そうですね」
「もちろん売り上げや利益なんかも大切だし、会社のためにはそこも考えないといけない。だけどそれ以前に、お客様の視点を無視して売りたい商品だけ売ってたら、それは押し売りになるんじゃないかと、俺は思うんだ」
「ですよね……。き、気を付けます……」
「まぁ、いきなりは無理だと思う。でも、いずれ登販の資格を取るなら、薬のことも少しずつ勉強していったほうがいい」
登販とは、登録販売者のこと。
うちの会社では、一般の正社員はある程度の年数が経ったら、ほとんどの人が登録販売者の資格を取る。
だから本郷店長はそう言ってくれてるんだろうけど、残念ながらこれまでの私には、登録販売者の資格を取ろうなんて気は、さらさらなかった。
当たり前だけど、梨緒の姿で会ってる本郷店長のシフトは、私も知ってる店舗のシフト通りだ。
お互いに同じ店舗で働いてるだけあって、ほとんどお休みの日が被っていることなんてない。
そのため、毎日とまではいかなくても、時々仕事終わりに会おうという話になったのだ。
また梨緒のお店に行かれても困るしね……。
私の仕事休みの日は、完全に高倉奈緒と一致すると怪しまれるかもしれない。
だから、お休みが被ってる日以外は、本郷店長のお休みとは被らないように適当にずらして教えた。
何だかウソばっかりになってきて、胸が痛む。
だけど、付き合ってみてからじゃないと返事は要らないと言われてしまった以上、こうするしか方法がないように思う。
だって、本郷店長、ものすごく強引なんだもん……。
でもそのこと自体、本郷店長を騙していることを除けば、不思議と嫌だと思っていないのも事実だったりする。
この日はお昼過ぎ、二時間メインのレジに入ったあと、一旦事務室に戻って商品のPOPを作成していた。
「高倉さん、それ終わったら、この什器を組み立ててくれないか?」
すると、倉庫の方から事務室に入ってきた本郷店長が、事務室の壁にビニールに入った什器のセットを立てかける。
「はい」
ここでいう什器とは、POP広告も兼ねた、店舗で商品を陳列するための紙製の棚。
各メーカーから什器の組み立てキットが送られてきて、一緒に入っている組み立て方の説明を見ながら設置することが多い。
私は一通りPOPを書き終えると、什器のセットを手に取った。
「風邪薬の什器ですか?」
「ああ。そこの風邪薬、パッケージのデザインが変更になったらしい。春になってきたとはいえ、気候の変化で風邪薬をお買い求めになるお客様も、うちの店舗も減ってないからな。お客様への宣伝も兼ねて、今回売り場も少しリニューアルしようかと思ってるんだ」
店長机で作業をしていた本郷店長は、視線は机の方に落としたまま、そうこたえてくれる。
私が什器のセットの入ったビニールの袋を開けて、組み立て方の説明の書かれた紙を見ていると、さっきの作業が一段落ついたのか、本郷店長がこちらに来た。
「まぁ知ってるとは思うけど、この風邪薬がうちの会社としての推奨品になる。だけど、推奨品だからといって風邪だったら誰にでもこの薬をすすめて良いわけじゃないからな?」
「え、そうなんですか!?」
本郷店長の言う通り、会社の推奨品であるこの風邪薬は、風邪の全般的な症状に良く効くお薬だと私は聞いている。
そういった意味で、毎年多くのお客様がこの商品を選んで買っていかれる。
さらに会社の推奨品になっているのには理由があって、売った場合に生まれる利益も大きいのだ。だから会社としてもお客様としてもオイシイお薬だと、私は思っていた。
「おいおい、しっかりしてくれよ。確かにこの薬は、熱にも咳にも鼻水にも喉の痛みにも効く成分が入ってる。だけど、例えば、咳がものすごく酷いけれど、咳しか症状がないお客様の場合は、咳に特化した薬の方が良いこともある」
言われてみれば、そうかもしれない……。
「それに、例えばインフルエンザの疑いがある人の場合なら、こんなの売ってる場合じゃなく、即病院に行って診てもらうようにすすめる必要も出てくる」
「……そうですね」
「もちろん売り上げや利益なんかも大切だし、会社のためにはそこも考えないといけない。だけどそれ以前に、お客様の視点を無視して売りたい商品だけ売ってたら、それは押し売りになるんじゃないかと、俺は思うんだ」
「ですよね……。き、気を付けます……」
「まぁ、いきなりは無理だと思う。でも、いずれ登販の資格を取るなら、薬のことも少しずつ勉強していったほうがいい」
登販とは、登録販売者のこと。
うちの会社では、一般の正社員はある程度の年数が経ったら、ほとんどの人が登録販売者の資格を取る。
だから本郷店長はそう言ってくれてるんだろうけど、残念ながらこれまでの私には、登録販売者の資格を取ろうなんて気は、さらさらなかった。
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