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6.敵意を向けられても困るのですが。
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わぁぁ……、綺麗な人……!
パチリと大きい瞳に、小さな鼻、ほどよい厚さの唇が、バランスよくついていて、お化粧も細かいところまでしっかりと施されている。
「その子、何? 司の新しい彼女?」
「……何でお前がここに居るんだよ。お前には関係ねぇだろ」
まるで品定めをするように私を見てくる目の前の女性に対して、本郷店長は面倒臭そうな表情を浮かべている。
「またまた~、冷たいんだから。かつては愛し合った仲じゃない」
……え?
かつては愛し合った仲って……。もしかしなくても、この人、本郷店長の元カノ……?
ちくんと胸が痛む。
口を尖らせる女性から、悪意は感じられない。本郷店長は呆れたように息を吐き出して、鬱陶しそうに口を開いた。
「……紗枝子、こいつの前で適当なこと言ってんじゃねぇよ」
「適当じゃないでしょ? 付き合ってたのは、事実じゃない」
紗枝子さんって言うんだ、この人……。
一方で、本郷店長はさらに顔をしかめた。
「とにかく、お前とはもう終わったんだ。いちいち付きまとってくるな。行くぞ」
「は、はい……」
本郷店長は私の手を強く引いて紗枝子さんに背を向けると、出口の方へと突き進む。
紗枝子さんのことが気になって、思わず後ろを振り向いて、後悔した。
だって、紗枝子さんが私のことを見ていたから。
まるで敵視するかのような瞳を向けられていて、思わず前を向き直したのは言うまでもない。
っていうか、こんなニセモノの姿の私に敵意を向けられても困るのですが……!
そのままグイグイと腕を引かれて、最寄りの駅までたどり着く。
なんとなく本郷店長の醸し出す雰囲気から話しかけられずにいたけれど、そこでようやく本郷店長から口を開いた。
「……さっきは悪かった。気分悪くしただろ」
「……え? い、いえ、大丈夫です」
もしかして、紗枝子さんのことを言ってるのかな?
「もしかして、元カノさん、でしたか?」
「まぁ……。だけど、あいつとはとうの昔に終わってる。ってなんか、俺、これじゃあ浮気の弁解してる男みたいじゃねぇか」
額に手を当てて、本郷店長はハァと深いため息をつく。
「大丈夫ですよ。それは、見ててわかりましたから」
「なら良かった。まぁ、今後あいつがお前と鉢合わせることもそうそうないと思うから、安心してくれ」
いつになく真剣で、不安そうな瞳で見つめられる。
本郷店長のこんな表情、初めて見たよ。
「わかりました。それでは、また」
「ああ、また連絡する」
私は本郷店長に背を向けて、改札の中へと入っていった。
本郷店長の前では平然を装っていたけれど、紗枝子さんと会ってから胸の痛みが止まらない。
本郷店長はもう終わってることだからとは言っていたけれど、やり場のない不安が胸を掠める。
だって、多分紗枝子さんはまだ本郷店長のことを好きだと思うから。
……私ったら、一体どうしちゃったんだろう?
ドキドキしたり胸が痛くなったり、幸せを感じたり、不安になったりを繰り返している。
まさか私、本郷店長のことを好きになってしまったとか……?
いやいやいや、本郷店長が気に入ってくれたのは、奈緒としての私じゃない。梨緒の見た目をした私。
もちろん店舗でも本郷店長に気にかけてもらってると思うけど、部下としてだ。
当たり前だけど、梨緒の姿で会ってるときとは違うように思う。
何だか、切ないな……。
きゅっと胸に沁みる想いを、今はまだ見てみぬフリをして、私は目の前に到着した電車に乗り込んだ。
パチリと大きい瞳に、小さな鼻、ほどよい厚さの唇が、バランスよくついていて、お化粧も細かいところまでしっかりと施されている。
「その子、何? 司の新しい彼女?」
「……何でお前がここに居るんだよ。お前には関係ねぇだろ」
まるで品定めをするように私を見てくる目の前の女性に対して、本郷店長は面倒臭そうな表情を浮かべている。
「またまた~、冷たいんだから。かつては愛し合った仲じゃない」
……え?
かつては愛し合った仲って……。もしかしなくても、この人、本郷店長の元カノ……?
ちくんと胸が痛む。
口を尖らせる女性から、悪意は感じられない。本郷店長は呆れたように息を吐き出して、鬱陶しそうに口を開いた。
「……紗枝子、こいつの前で適当なこと言ってんじゃねぇよ」
「適当じゃないでしょ? 付き合ってたのは、事実じゃない」
紗枝子さんって言うんだ、この人……。
一方で、本郷店長はさらに顔をしかめた。
「とにかく、お前とはもう終わったんだ。いちいち付きまとってくるな。行くぞ」
「は、はい……」
本郷店長は私の手を強く引いて紗枝子さんに背を向けると、出口の方へと突き進む。
紗枝子さんのことが気になって、思わず後ろを振り向いて、後悔した。
だって、紗枝子さんが私のことを見ていたから。
まるで敵視するかのような瞳を向けられていて、思わず前を向き直したのは言うまでもない。
っていうか、こんなニセモノの姿の私に敵意を向けられても困るのですが……!
そのままグイグイと腕を引かれて、最寄りの駅までたどり着く。
なんとなく本郷店長の醸し出す雰囲気から話しかけられずにいたけれど、そこでようやく本郷店長から口を開いた。
「……さっきは悪かった。気分悪くしただろ」
「……え? い、いえ、大丈夫です」
もしかして、紗枝子さんのことを言ってるのかな?
「もしかして、元カノさん、でしたか?」
「まぁ……。だけど、あいつとはとうの昔に終わってる。ってなんか、俺、これじゃあ浮気の弁解してる男みたいじゃねぇか」
額に手を当てて、本郷店長はハァと深いため息をつく。
「大丈夫ですよ。それは、見ててわかりましたから」
「なら良かった。まぁ、今後あいつがお前と鉢合わせることもそうそうないと思うから、安心してくれ」
いつになく真剣で、不安そうな瞳で見つめられる。
本郷店長のこんな表情、初めて見たよ。
「わかりました。それでは、また」
「ああ、また連絡する」
私は本郷店長に背を向けて、改札の中へと入っていった。
本郷店長の前では平然を装っていたけれど、紗枝子さんと会ってから胸の痛みが止まらない。
本郷店長はもう終わってることだからとは言っていたけれど、やり場のない不安が胸を掠める。
だって、多分紗枝子さんはまだ本郷店長のことを好きだと思うから。
……私ったら、一体どうしちゃったんだろう?
ドキドキしたり胸が痛くなったり、幸せを感じたり、不安になったりを繰り返している。
まさか私、本郷店長のことを好きになってしまったとか……?
いやいやいや、本郷店長が気に入ってくれたのは、奈緒としての私じゃない。梨緒の見た目をした私。
もちろん店舗でも本郷店長に気にかけてもらってると思うけど、部下としてだ。
当たり前だけど、梨緒の姿で会ってるときとは違うように思う。
何だか、切ないな……。
きゅっと胸に沁みる想いを、今はまだ見てみぬフリをして、私は目の前に到着した電車に乗り込んだ。
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