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7.社員だなんて、聞いてないですよ!
(5)
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──ピロピロン。
『薬剤師さん、調剤コーナーでお客様がお待ちです』
そのとき、ちょうど店内に呼び出しのアナウンスが流れて、私の言葉は中断されてしまった。
「あ、すみません。行ってきます。じゃあ高倉さん、頑張ってくださいね! またお話聞かせてください」
小梅ちゃんは、まだ半分残ったお弁当をそのままにそれだけ言うと、慌てて事務室を出ていった。
「おー、行ってら~」
「行ってらっしゃい……」
はぁぁ。何でタイミング悪く呼び出されて行っちゃうかなぁ。絶対小梅ちゃん、勘違いしてるよ……。
せめて次長だけは、誤解を解いておかないと……。
「あの、次長。さっきの話なんですけど……」
「何や? 高倉ちゃんが店長を狙っとるって話か!?」
「だ、だから、違いますって!」
真っ赤になって怒る私に、次長はおかしそうに笑う。
「だって、高倉ちゃん見てたら、ほんまは気になってるんとちゃうんかなって思うこと多いねんもん。店長のこと」
「……っ」
うぅっ。
またこれも次長にとっては冗談だってわかってるのに、実は図星なだけに、どうかわしていいかわからないよ……。
よっぽど私が困った顔をしていたのだろう。
次長は、今までのおもしろかしく笑う表情を一変して、少し申し訳なさそうな表情へと変わった。
「ごめんごめん、俺も悪ノリしすぎたわ。俺からも、坂口ちゃんの誤解は解いといたるから、そんな怒らんとってな」
な? と次長は眉を下げてこちらを見てくる。
「……当然ですよ」
この人のことを憎めないのは、きっとこんなお茶目なところがあるからなんだと思う。
「ところで次長、原村さんに聞いてくるように言われてる内容なんですけど、店長の今の彼女についてご存じないですか?」
「せやな……」
次長は腕を組んで、天井を見上げて何かを考えている。
もしかして、何か思い当たることでもあるのかな……。
「前、高倉ちゃんに、店長が水族館について調べてたって話したん覚えとる?」
「……はい」
「あれ以外にもな、しょっちゅう食べ物屋とかテーマパークとか、休憩時間に調べてるの見るねん。俺も、この辺でお勧めの場所ってあるかって聞かれたことあるし」
「……はい」
「まぁ、詳しいことはわからへんねんけど、なんとなくあれは女のために調べとるんちゃうかと俺は思うねん。俺が言えるのは、とにかく店長はその女にゾッコンってことだけや」
──ガチャ。
「次長、休憩中すみません。少しお尋ねしたいことがあるのですが……」
そのとき、本郷店長の声とともに勢いよく事務室のドアが開いて、私も次長もびくりと肩を跳ねさせる。
「……どうかしましたか?」
明らかに不思議そうに私と次長とを見る本郷店長。
「いや、なんでもないですよ。どないしたんですか?」
次長は焦りながらも本郷店長に怪しまれないようにそう言って、本郷店長と二人、店長机の方へと行ってしまった。
び、びっくりした~……。
話の内容が内容だっただけに、今のは心臓に悪いですよ……。
事務室は休憩室も兼ねてるとはいえ、基本的にはここも業務で出入りしてるんだもんね。
私が、高倉奈緒として、本郷店長のことが気になってる、か……。
そして、本郷店長は梨緒の姿の私にゾッコン……。
そう思う度に、胸がきゅっと切なく苦しくなる。
だけど梨緒の姿で会えば、いけないってわかっていても幸せを感じてしまうし、元カノの紗枝子さんには不安を感じてしまう。
気づいてる。気づいてた。
だけど、気づきたくなんてなかった。
この気持ちはきっと、恋、なんだろうって。
本当のことなんて、言えやしないのにね……。
『薬剤師さん、調剤コーナーでお客様がお待ちです』
そのとき、ちょうど店内に呼び出しのアナウンスが流れて、私の言葉は中断されてしまった。
「あ、すみません。行ってきます。じゃあ高倉さん、頑張ってくださいね! またお話聞かせてください」
小梅ちゃんは、まだ半分残ったお弁当をそのままにそれだけ言うと、慌てて事務室を出ていった。
「おー、行ってら~」
「行ってらっしゃい……」
はぁぁ。何でタイミング悪く呼び出されて行っちゃうかなぁ。絶対小梅ちゃん、勘違いしてるよ……。
せめて次長だけは、誤解を解いておかないと……。
「あの、次長。さっきの話なんですけど……」
「何や? 高倉ちゃんが店長を狙っとるって話か!?」
「だ、だから、違いますって!」
真っ赤になって怒る私に、次長はおかしそうに笑う。
「だって、高倉ちゃん見てたら、ほんまは気になってるんとちゃうんかなって思うこと多いねんもん。店長のこと」
「……っ」
うぅっ。
またこれも次長にとっては冗談だってわかってるのに、実は図星なだけに、どうかわしていいかわからないよ……。
よっぽど私が困った顔をしていたのだろう。
次長は、今までのおもしろかしく笑う表情を一変して、少し申し訳なさそうな表情へと変わった。
「ごめんごめん、俺も悪ノリしすぎたわ。俺からも、坂口ちゃんの誤解は解いといたるから、そんな怒らんとってな」
な? と次長は眉を下げてこちらを見てくる。
「……当然ですよ」
この人のことを憎めないのは、きっとこんなお茶目なところがあるからなんだと思う。
「ところで次長、原村さんに聞いてくるように言われてる内容なんですけど、店長の今の彼女についてご存じないですか?」
「せやな……」
次長は腕を組んで、天井を見上げて何かを考えている。
もしかして、何か思い当たることでもあるのかな……。
「前、高倉ちゃんに、店長が水族館について調べてたって話したん覚えとる?」
「……はい」
「あれ以外にもな、しょっちゅう食べ物屋とかテーマパークとか、休憩時間に調べてるの見るねん。俺も、この辺でお勧めの場所ってあるかって聞かれたことあるし」
「……はい」
「まぁ、詳しいことはわからへんねんけど、なんとなくあれは女のために調べとるんちゃうかと俺は思うねん。俺が言えるのは、とにかく店長はその女にゾッコンってことだけや」
──ガチャ。
「次長、休憩中すみません。少しお尋ねしたいことがあるのですが……」
そのとき、本郷店長の声とともに勢いよく事務室のドアが開いて、私も次長もびくりと肩を跳ねさせる。
「……どうかしましたか?」
明らかに不思議そうに私と次長とを見る本郷店長。
「いや、なんでもないですよ。どないしたんですか?」
次長は焦りながらも本郷店長に怪しまれないようにそう言って、本郷店長と二人、店長机の方へと行ってしまった。
び、びっくりした~……。
話の内容が内容だっただけに、今のは心臓に悪いですよ……。
事務室は休憩室も兼ねてるとはいえ、基本的にはここも業務で出入りしてるんだもんね。
私が、高倉奈緒として、本郷店長のことが気になってる、か……。
そして、本郷店長は梨緒の姿の私にゾッコン……。
そう思う度に、胸がきゅっと切なく苦しくなる。
だけど梨緒の姿で会えば、いけないってわかっていても幸せを感じてしまうし、元カノの紗枝子さんには不安を感じてしまう。
気づいてる。気づいてた。
だけど、気づきたくなんてなかった。
この気持ちはきっと、恋、なんだろうって。
本当のことなんて、言えやしないのにね……。
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