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8.まさか気づいてないですよね?
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何でこんなに梨緒っぽくなっちゃったんだろう?
もしかして、つけまつ毛が原因だろうか。
みんなそうなのかもしれないけど、私や梨緒の場合、つけまつ毛をつけることで、より目がくっきりした二重になって、目力が増す。
目が似たから、梨緒っぽく見えてるの!?
梨緒の顔になるためには、もちろんつけまつ毛だけが必要になるわけではないから、それだけが理由じゃないと思う。
それに、つけまつ毛自体も梨緒の姿に変装するときにしか使ったことがないから、わからない。
「わかったわ! 司の今カノの顔に似てるのよ!」
ひえぇええぇええ~~!?
私が頭の中でパニックを起こしている間に、恐れていた事態が起こってしまった。
どうしよう……。
紗枝子さんに、バレちゃうよ……っ!
──カシャ。
だけど、内心ビクビクしている中聞こえたのは、スマホのカメラのシャッター音だった。
「高倉さん、写真嫌い? そんな怖がらないで、ちょっとだけこっち向いてよ」
「……え?」
思わず紗枝子さんの方を向いた瞬間にも、再びカシャと音がする。
「うん。上手く撮れた! えっと、新規作成、添付っと……」
「あ、あの、……っ?」
「うん、送れた。思った通り、メアドは昔のまま変わってなかった」
「もしかして、今の……」
「ええ。司に送ってやった。あいつ、驚くだろうな。まさか司と同じ店舗の子を、私の手で今カノ風に仕立てあげちゃったんだから」
今カノ風……。
その言葉に、一先ず紗枝子さんに私の正体がバレていないことが分かって、胸を撫で下ろす、が……。
ちょっと待って!
今、この姿の私の写真を本郷店長に送った、って……。
「えぇええっ!?」
それこそ、マズいから……っ!!
「大丈夫よ。ちょっと司をからかっただけだから。あいつのことだから、こんなことで高倉さんに手を出すなんてことは絶対にないから安心して」
いやいやいやいや。
安心なんて、できるわけないじゃないですか!
ど、どうしよう……。
本郷店長、この写真の私を見て、何も勘づかないといいけど……。
その日の夜、本郷店長から受信したメールには、特に変わった様子は見られなかった。
『今日もお疲れさま』とか『次はいつ会おう』といった、いつも通りの内容。
紗枝子さんも似てると思っただけで、私が本郷店長の今カノだと気づかなかったことを考えれば、別に不思議じゃないんだけれど……。
ヒヤヒヤしながら迎えた、次の日の出勤日。
その日は午後からのシフトの本郷店長は、私がちょうど事務室でお昼休憩を取っているときに出勤してきた。
「お疲れさまです」
「こ、こんにちは」
カバンを店長机の隣に置いて、パッと丈の短い白衣を着る本郷店長。
一瞬ドギマギしたけど、いつもと変わらないその姿に、再び朝作ってきたおにぎりを口に運ぶ。
「高倉さん」
「は、はい!?」
すると、突然本郷店長がこちらに来たので、思わずガタンと音を立てて立ち上がってしまった。
「あ、悪い。驚かせるつもりはなかったんだ」
私の不審な行動を、本郷店長は驚いたのだと感じてくれたらしい。
本郷店長はズホンのポケットからスマホを取り出すと、画面の上に指を滑らせて、こちらに画面を向けてきた。
「い……っ」
向けられたのは、やっぱり昨日の写真だった。
髪型は肩までの黒髪だけど、顔は梨緒に近いものにメイクされた私の姿が写っている。
いきなり撮られたから、少し間抜けな表情で写ってるし……。
「昨日、桜木店の原村から送られてきたんだ。ここに写ってるの、高倉さんだよな?」
もしかして、つけまつ毛が原因だろうか。
みんなそうなのかもしれないけど、私や梨緒の場合、つけまつ毛をつけることで、より目がくっきりした二重になって、目力が増す。
目が似たから、梨緒っぽく見えてるの!?
梨緒の顔になるためには、もちろんつけまつ毛だけが必要になるわけではないから、それだけが理由じゃないと思う。
それに、つけまつ毛自体も梨緒の姿に変装するときにしか使ったことがないから、わからない。
「わかったわ! 司の今カノの顔に似てるのよ!」
ひえぇええぇええ~~!?
私が頭の中でパニックを起こしている間に、恐れていた事態が起こってしまった。
どうしよう……。
紗枝子さんに、バレちゃうよ……っ!
──カシャ。
だけど、内心ビクビクしている中聞こえたのは、スマホのカメラのシャッター音だった。
「高倉さん、写真嫌い? そんな怖がらないで、ちょっとだけこっち向いてよ」
「……え?」
思わず紗枝子さんの方を向いた瞬間にも、再びカシャと音がする。
「うん。上手く撮れた! えっと、新規作成、添付っと……」
「あ、あの、……っ?」
「うん、送れた。思った通り、メアドは昔のまま変わってなかった」
「もしかして、今の……」
「ええ。司に送ってやった。あいつ、驚くだろうな。まさか司と同じ店舗の子を、私の手で今カノ風に仕立てあげちゃったんだから」
今カノ風……。
その言葉に、一先ず紗枝子さんに私の正体がバレていないことが分かって、胸を撫で下ろす、が……。
ちょっと待って!
今、この姿の私の写真を本郷店長に送った、って……。
「えぇええっ!?」
それこそ、マズいから……っ!!
「大丈夫よ。ちょっと司をからかっただけだから。あいつのことだから、こんなことで高倉さんに手を出すなんてことは絶対にないから安心して」
いやいやいやいや。
安心なんて、できるわけないじゃないですか!
ど、どうしよう……。
本郷店長、この写真の私を見て、何も勘づかないといいけど……。
その日の夜、本郷店長から受信したメールには、特に変わった様子は見られなかった。
『今日もお疲れさま』とか『次はいつ会おう』といった、いつも通りの内容。
紗枝子さんも似てると思っただけで、私が本郷店長の今カノだと気づかなかったことを考えれば、別に不思議じゃないんだけれど……。
ヒヤヒヤしながら迎えた、次の日の出勤日。
その日は午後からのシフトの本郷店長は、私がちょうど事務室でお昼休憩を取っているときに出勤してきた。
「お疲れさまです」
「こ、こんにちは」
カバンを店長机の隣に置いて、パッと丈の短い白衣を着る本郷店長。
一瞬ドギマギしたけど、いつもと変わらないその姿に、再び朝作ってきたおにぎりを口に運ぶ。
「高倉さん」
「は、はい!?」
すると、突然本郷店長がこちらに来たので、思わずガタンと音を立てて立ち上がってしまった。
「あ、悪い。驚かせるつもりはなかったんだ」
私の不審な行動を、本郷店長は驚いたのだと感じてくれたらしい。
本郷店長はズホンのポケットからスマホを取り出すと、画面の上に指を滑らせて、こちらに画面を向けてきた。
「い……っ」
向けられたのは、やっぱり昨日の写真だった。
髪型は肩までの黒髪だけど、顔は梨緒に近いものにメイクされた私の姿が写っている。
いきなり撮られたから、少し間抜けな表情で写ってるし……。
「昨日、桜木店の原村から送られてきたんだ。ここに写ってるの、高倉さんだよな?」
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