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3.星空と約束《梶原花穂》
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高原までは、バスで約三時間。
同じ県内とはいえ、山道を登ることもあって距離もあるから時間が結構かかるんだとリョウちゃんが教えてくれた。
目的地に着くと一旦宿泊施設に荷物を置いて、私たちは宿泊施設の敷地内にある小ぢんまりしたバーベキュー場の前に集まることになっていた。
「じゃあこれから、二つのグループに分かれてバーベキューをします!」
天文学部の部長の園田くんにより、二つのグループのメンバーが読み上げられる。
今回の合宿の参加者は私を含めても十人だったらしく、ちょうど五人ずつわかれることになった。
私は運良く、リョウちゃんと同じグループになれた。
去年も天文学部の合宿に参加していた私は、きっとこの天文学部のメンバーの人たちを知っているはずなのだろう。だけどそれがわからないから、リョウちゃんが同じグループにいてくれて心強い。
リョウちゃんの他は、この前リョウちゃんと話していた部長の園田くんも同じグループだった。
「涼太、それじゃあスカスカじゃん。もっと具材詰めて」
「す、すみません……」
園田くんにそう返すリョウちゃんに、園田くんがバシッとリョウちゃんの背中を叩く。
「何改まってんだよ~」
「あ、ごめん。つい……」
リョウちゃんと園田くんと私でバーベキューの具材を串に刺していき、残りの二人がバーベキューで使う火をおこしていた。
何だかいろいろ完璧にできそうな雰囲気を持ってるのに、意外とリョウちゃんは不器用みたいだ。
目の前の二人のやり取りが漫才みたいで、思わずふふっと笑ってしまう。
「お前がそんなだから、梶原さんに笑われてるぞ」
ハッと上げられたリョウちゃんの顔には焦りが出ている。リョウちゃんの持つイメージとは不釣り合いな姿が可愛い。
「リョウちゃん、貸して」
私はリョウちゃんが手こずっている串をもらうと、肉と野菜を交互に刺して渡す。
「こんな感じかな。スカスカだと物足りないし、刺しすぎると食べにくくなっちゃうから」
「ありがとう。なんかごめんな、格好悪いところ見せちゃって」
「ううん、そんなことないよ。リョウちゃんのことをもっと知ることができて嬉しい」
リョウちゃんは何を言うでもなく私から目をそらしてしまった。
でも、その頬が赤く染まっているのに気づいたから、余計にきゅんとする。
「ヒューヒュー。お熱いですね。じゃあお邪魔虫の俺は、火おこしの方が苦戦してるみたいだから、そっちの助っ人に行くかな」
「えっ!? あ……、なんかすみません」
そんなリョウちゃんに、園田くんは再びバシッとリョウちゃんの背中を叩いた。
火おこしをしている男子二人のところに向かう園田くんからこちらに視線を移して、リョウちゃんは困ったように笑う。
「ごめんな。僕、思ってた以上に上手くできなくて」
「いいよ、私もいるんだし、大丈夫だから」
むしろ、いつも私の方が支えてもらってばかりなのだから、私がリョウちゃんにできることがあるのなら力になりたい。
「……ありがとう」
リョウちゃんと二人三脚のように串に具材を通していく。
最初こそ不慣れな感じの手つきだったリョウちゃんだけど、何回もやっていくうちにコツをつかんできたみたいだった。
火おこしの方も、無事に火がついて火が安定したということで、できたものから順に網の上で焼いていく。
「これ、いけるんじゃないか?」
「ありがとうございます」
火おこしをしていた人たちから、いい色合いに焼けたバーベキュー串を紙皿に取ってもらう。
そして芝生の木陰になっているところに座ると、すぐに同じように紙皿にバーベキュー串を乗せたリョウちゃんが隣に座る。
「食べようか」
「うん、いただきます」
「いただきます」
バーベキューを口に運ぶと、思わず熱さではふはふとしてしまいそうになって口元を押さえる。
リョウちゃんの方を見ると、同じように口をはふはふとしていて、思わず頬が緩んだ。
高原までは、バスで約三時間。
同じ県内とはいえ、山道を登ることもあって距離もあるから時間が結構かかるんだとリョウちゃんが教えてくれた。
目的地に着くと一旦宿泊施設に荷物を置いて、私たちは宿泊施設の敷地内にある小ぢんまりしたバーベキュー場の前に集まることになっていた。
「じゃあこれから、二つのグループに分かれてバーベキューをします!」
天文学部の部長の園田くんにより、二つのグループのメンバーが読み上げられる。
今回の合宿の参加者は私を含めても十人だったらしく、ちょうど五人ずつわかれることになった。
私は運良く、リョウちゃんと同じグループになれた。
去年も天文学部の合宿に参加していた私は、きっとこの天文学部のメンバーの人たちを知っているはずなのだろう。だけどそれがわからないから、リョウちゃんが同じグループにいてくれて心強い。
リョウちゃんの他は、この前リョウちゃんと話していた部長の園田くんも同じグループだった。
「涼太、それじゃあスカスカじゃん。もっと具材詰めて」
「す、すみません……」
園田くんにそう返すリョウちゃんに、園田くんがバシッとリョウちゃんの背中を叩く。
「何改まってんだよ~」
「あ、ごめん。つい……」
リョウちゃんと園田くんと私でバーベキューの具材を串に刺していき、残りの二人がバーベキューで使う火をおこしていた。
何だかいろいろ完璧にできそうな雰囲気を持ってるのに、意外とリョウちゃんは不器用みたいだ。
目の前の二人のやり取りが漫才みたいで、思わずふふっと笑ってしまう。
「お前がそんなだから、梶原さんに笑われてるぞ」
ハッと上げられたリョウちゃんの顔には焦りが出ている。リョウちゃんの持つイメージとは不釣り合いな姿が可愛い。
「リョウちゃん、貸して」
私はリョウちゃんが手こずっている串をもらうと、肉と野菜を交互に刺して渡す。
「こんな感じかな。スカスカだと物足りないし、刺しすぎると食べにくくなっちゃうから」
「ありがとう。なんかごめんな、格好悪いところ見せちゃって」
「ううん、そんなことないよ。リョウちゃんのことをもっと知ることができて嬉しい」
リョウちゃんは何を言うでもなく私から目をそらしてしまった。
でも、その頬が赤く染まっているのに気づいたから、余計にきゅんとする。
「ヒューヒュー。お熱いですね。じゃあお邪魔虫の俺は、火おこしの方が苦戦してるみたいだから、そっちの助っ人に行くかな」
「えっ!? あ……、なんかすみません」
そんなリョウちゃんに、園田くんは再びバシッとリョウちゃんの背中を叩いた。
火おこしをしている男子二人のところに向かう園田くんからこちらに視線を移して、リョウちゃんは困ったように笑う。
「ごめんな。僕、思ってた以上に上手くできなくて」
「いいよ、私もいるんだし、大丈夫だから」
むしろ、いつも私の方が支えてもらってばかりなのだから、私がリョウちゃんにできることがあるのなら力になりたい。
「……ありがとう」
リョウちゃんと二人三脚のように串に具材を通していく。
最初こそ不慣れな感じの手つきだったリョウちゃんだけど、何回もやっていくうちにコツをつかんできたみたいだった。
火おこしの方も、無事に火がついて火が安定したということで、できたものから順に網の上で焼いていく。
「これ、いけるんじゃないか?」
「ありがとうございます」
火おこしをしていた人たちから、いい色合いに焼けたバーベキュー串を紙皿に取ってもらう。
そして芝生の木陰になっているところに座ると、すぐに同じように紙皿にバーベキュー串を乗せたリョウちゃんが隣に座る。
「食べようか」
「うん、いただきます」
「いただきます」
バーベキューを口に運ぶと、思わず熱さではふはふとしてしまいそうになって口元を押さえる。
リョウちゃんの方を見ると、同じように口をはふはふとしていて、思わず頬が緩んだ。
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