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第3章
ありのままの自分(2)
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その夜、拓人は1人でいつものBARに寄った。
「今日はカウンターでいいんですか?」
マスターのその問いには答えず、拓人はマスターの前のカウンター席に腰を下ろす。
「……マスター、俺なんか変なんだよ……」
桃華のこと。
ジュンのこと。
NEVERのみんなの前で取り乱して揉めてしまったこと──。
拓人は不器用ながらにも、事情を説明した。
いつもはマスターとこんな風に話すことは少ないが、今日のことがあって今更他のメンバーには相談できないので、マスターに意見を求めることにした。
近すぎず、遠すぎず、程よい位置に存在する人。
マスターならそれなりの回答をもらえるかなという、根拠もない思いもあった。
幸い、この日はミカはお休みのようだった。
「拓人くん……それは恋じゃないですかね?」
「マスターまでそんなこと言うんだ……」
「不服でしたか?」
「分かんねぇ……俺、恋とかってしたことなかったから。自分で自分が分かんねぇんだよ……こんな気持ち初めてでさ」
「そうでしたか……拓人くんは桃華ちゃんとどうしたいのですか?」
「俺は……」
拓人は切なそうな顔をしてうつむいた。
「その感じだと、答えは拓人くんの中に出ているのではないでしょうか?」
「……え?」
「自分の気持ちをありのままに受け止めてみてはいかがでしょう? その方がきっと楽になれますよ」
「……」
「例えそれが恋だったとしても、人は恋をする生き物なんです。普通のことなんです。だから何も恥ずかしいことではないんですよ?」
拓人はカウンターの机に顔を伏せ、丸くうずくまった。
「皆さんもきっとそんな拓人くんのことが心配なんだと思います」
マスターは透き通るようなグラスを磨きながら続ける。
「不安定な心は何かの弾みでどうなるか分からない。拓人くんたちの世界では些細なことでも噂になってしまうかも知れないですし」
拓人はそのままの姿勢で頷きながらマスターの話に耳を傾けた。
「皆さん拓人くんが大好きなんです。気持ちを整理して、素直に自分の気持ちを話せばきっと分かってもらえますよ」
しばらくして拓人は顔を上げ、口を開いた。
「少し楽になった。ありがとう……」
そう言って、財布を取り出そうとした時
「今日はいいですよ。私のおごりです」
「え?」
「そのかわり、次来られる時には元気な笑顔を見せて下さい」
「ありがとう。また来させてもらうよ」
BARから出るなり、拓人の目からは自然と涙が溢れ出た。
これは嬉しい涙? 悲しい涙? 悔しい涙? 切ない涙?
拓人は1つの自分の思いを受け入れた。
──桃華が好き。
(でも俺はNEVERのボーカルのTAKUで、桃華ちゃんはそのTAKUのファンの病気の女の子)
様々な思いが涙となり止まらない。
外を歩く時にかけているサングラスでは涙を隠しきれなかった。
しかし拓人は不思議と涙がこぼれるにつれ、自分の心が少しずつ軽くなるのを感じた。
頭上では丸い月が拓人を照らしていた。
「今日はカウンターでいいんですか?」
マスターのその問いには答えず、拓人はマスターの前のカウンター席に腰を下ろす。
「……マスター、俺なんか変なんだよ……」
桃華のこと。
ジュンのこと。
NEVERのみんなの前で取り乱して揉めてしまったこと──。
拓人は不器用ながらにも、事情を説明した。
いつもはマスターとこんな風に話すことは少ないが、今日のことがあって今更他のメンバーには相談できないので、マスターに意見を求めることにした。
近すぎず、遠すぎず、程よい位置に存在する人。
マスターならそれなりの回答をもらえるかなという、根拠もない思いもあった。
幸い、この日はミカはお休みのようだった。
「拓人くん……それは恋じゃないですかね?」
「マスターまでそんなこと言うんだ……」
「不服でしたか?」
「分かんねぇ……俺、恋とかってしたことなかったから。自分で自分が分かんねぇんだよ……こんな気持ち初めてでさ」
「そうでしたか……拓人くんは桃華ちゃんとどうしたいのですか?」
「俺は……」
拓人は切なそうな顔をしてうつむいた。
「その感じだと、答えは拓人くんの中に出ているのではないでしょうか?」
「……え?」
「自分の気持ちをありのままに受け止めてみてはいかがでしょう? その方がきっと楽になれますよ」
「……」
「例えそれが恋だったとしても、人は恋をする生き物なんです。普通のことなんです。だから何も恥ずかしいことではないんですよ?」
拓人はカウンターの机に顔を伏せ、丸くうずくまった。
「皆さんもきっとそんな拓人くんのことが心配なんだと思います」
マスターは透き通るようなグラスを磨きながら続ける。
「不安定な心は何かの弾みでどうなるか分からない。拓人くんたちの世界では些細なことでも噂になってしまうかも知れないですし」
拓人はそのままの姿勢で頷きながらマスターの話に耳を傾けた。
「皆さん拓人くんが大好きなんです。気持ちを整理して、素直に自分の気持ちを話せばきっと分かってもらえますよ」
しばらくして拓人は顔を上げ、口を開いた。
「少し楽になった。ありがとう……」
そう言って、財布を取り出そうとした時
「今日はいいですよ。私のおごりです」
「え?」
「そのかわり、次来られる時には元気な笑顔を見せて下さい」
「ありがとう。また来させてもらうよ」
BARから出るなり、拓人の目からは自然と涙が溢れ出た。
これは嬉しい涙? 悲しい涙? 悔しい涙? 切ない涙?
拓人は1つの自分の思いを受け入れた。
──桃華が好き。
(でも俺はNEVERのボーカルのTAKUで、桃華ちゃんはそのTAKUのファンの病気の女の子)
様々な思いが涙となり止まらない。
外を歩く時にかけているサングラスでは涙を隠しきれなかった。
しかし拓人は不思議と涙がこぼれるにつれ、自分の心が少しずつ軽くなるのを感じた。
頭上では丸い月が拓人を照らしていた。
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