【旧版】桃色恋華

美和優希

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第4章

電話(2)

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 午後からは拓人の家のリビングにNEVERのメンバーで集まって、次の新曲について話し合うことになっていた。


「みんな、昨日はお疲れさんでした! また次の新曲もええもん作ってこな!」


 カイトがいつものように元気な声を出し、それを合図として話し合いがスタートする。


 お互い自作の曲を持ち寄り、吟味する。


 今回はいろいろ意見が衝突して、一段落つく頃には、夜もだいぶ遅くなっていた。



「みんな、飯食ってくか?」

 拓人が台所に立つ。


「おう! じゃあ俺らは酒買って来るわ!」

 そう言ってヒロとカイトは家を出た。



 拓人がチャーハンを作ろうと、中華鍋に火をかけていた時だった。



 ──プルルルルルル


 家の電話が鳴り出した。


「……ハルキ? シンジ? 悪いけど手が離せないから代わりに電話出てもらえる? 勧誘なら断っておいてくれていいからさ」


「──もしもし?」


 声の雰囲気からハルキが出たようだ。


 炒める音で、ハルキが電話で何を話しているのかは、拓人のところまで全く聞こえてこなかった。


 拓人はそれを特に気に留めることなく調理を終えて、5人分の皿にチャーハンを分けはじめる。


 その時、拓人は初めてハルキに呼ばれていることに気づいた。



「拓人! 聞こえてる? 電話、桃華ちゃんから!」


 拓人は慌てて中華鍋を脇に置くと、ハルキから電話の受話器を奪い取る。


「もしもし? 桃華か?」


『あ! 拓人? 違う人が出たから番号間違ったかと思ったよ~』


「ごめんごめん、手が離せなくてさ、代わりに出てもらった」


『あ……もしかしてお客さん? 忙しい中ごめんね』


 桃華が申し訳なさそうに言うのが伝わってきた。


「そんなんじゃねぇから、心配するな。今日は新曲の打ち合わせでメンバーで集まってたんだよ」


『え? メンバーってまさか……』


 桃華がNEVERという単語を発しそうになったのを察して、拓人はそれを遮る。


「それ以上は言うな! 病院のロビーの公衆電話からかけてるんだろ?」


 桃華は口ごもり

『……ごめんなさい』

 と呟いた。


『でも、これだけは教えてー? さっきのどの人だったの!?』


「ギターのHARUって言ったら分かるか?」


『えっ!? ほんとに? すごいっ!!』


 桃華があまりに興奮気味だったことに、拓人は少し苛立った。


「用がないなら切るぞ!」


『わっ! 待って!!検査結果ね、大丈夫だった! とりあえず来週まで様子見て退院できるって!』


 嬉しい報告に、自然と拓人の顔もほころぶ。


「そうか、良かったな」


『私ね、水族館に行くのが夢なの! 連れて行ってくれる?』


「ああ、連れてってやるよ」


『やったぁ! 約束だよ! あ、もうすぐ就寝時間だからそろそろ切るね?』


「おう! 検査、疲れただろうし、ゆっくり休めよ! おやすみ」


『おやすみ~』


 拓人が受話器を置くと、いつの間にか帰って来ていたヒロとカイトが、ニヤニヤしながら拓人を見ていた。
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