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第4章
初デート(1)
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──朝10時に桃華の家の門の前で。
拓人との約束。
フワフワの白いロングコートに身を包み、コートの下は白いセーターに赤いチェックのミニスカート。
冷えないようにヒートテックの黒いタイツを履いて、頭には外出時にいつも着けている、お気に入りのピンクのフワフワのリボンのついたカチューシャ。
桃華なりに頑張っておしゃれした。
(拓人、喜んでくれるかな……?)
3月になったといっても外はひんやりとしていて、少し待ち合わせより早めに門の前に出た桃華は、日光が当たる所でひなたぼっこをするように拓人を待った。
10時2、3分前に赤いスポーツカーが桃華の家の前に止まる。
運転席の窓から顔を出したのは拓人だ。
「ごめん、待った? 寒かっただろ?」
「ううん、今出て来たとこ」
拓人の『乗って』という合図とともに、桃華は助手席に座った。
赤いスポーツカーは静かに走り出した。
「この車、拓人の?」
桃華は車に乗り込むなり、車内を見渡しながら言った。
「いや……借り物だよ。今日のために借りたんだ」
拓人は格好がつかず少し苦笑いした。
自分の車と言えれば良かったのだが、あいにく拓人は自分の車を持っておらず、ハルキに借りたのだ。
「そうだったんだ! でも、運転している拓人もかっこいい! 新鮮な感じする!」
「そ、そうか? 身体、しんどくなったらすぐ言えよ」
拓人は少し照れ臭そうに返事を返す。
しばらくして、信号が赤になり車が止まると、拓人がまじまじと桃華を見つめた。
「拓人? どうしたの? もしかして……私に何か付いてる?」
桃華は何で拓人が見てるのか分からずあたふたした。
拓人はそっと桃華の耳元に口を近づけ、囁いた。
「今日の桃華、いつもに増して可愛いから見とれてた……」
そのまま拓人は桃華の耳にキスをして、信号が青になるのを確認して車を発進させた。
「ひゃぁっ!? ……あ、りがと」
頑張っておしゃれして褒めてもらえて嬉しい桃華だが、拓人の唐突な行為に真っ赤になってうつむいた。
そんな桃華を横目で見て、拓人は嬉しそうに笑った。
──向かう先は水族館。
桃華は遠足や修学旅行はいつも入院がちだったため、ほとんど参加したことがなかった。
そんな桃華はその中でも自分が一番行きたいと感じた水族館を希望した。
あまり遠出になると、桃華の身体に負担になったり、もし急に体調が悪化したりすると不都合なのでと拓人は近場の水族館を選んだ。
地元の交通機関を利用しても行ける場所だったが、人混みをなるべく避けたかったため、拓人は車を出すことにした。
「わぁ~、すご~い!」
水族館の入り口を見るなり、桃華は歓声をあげた。
「まだ門しか見てねぇじゃん!」
そう拓人は桃華に突っ込みを入れたが、桃華には聞こえていないようだった。
拓人が駐車場に車を止めている間も、桃華はいろんなところを見ては興奮していた。
桃華のはしゃぐ様子は可愛いかったが、はしゃぎすぎて疲れてしまったらいけないと拓人は心配した。
「桃華、少しは落ち着けよ」
「だって、どこもすごいんだもん!!」
何が?と思いながらも拓人は桃華の可愛らしさにやられそうになる。
「ねぇ! 早く行こうよ!!」
桃華が拓人の腕にしがみつき、上目遣いで見つめてくる。
──チュッ。
拓人は不意に桃華の唇に唇を重ねた。
「……えっ!?」
桃華は驚いた瞳で拓人を見つめる。
「……桃華がそんな顔で俺を見るのが悪い。あまりはしゃぎすぎるな。倒れてもしらんぞ」
拓人は意地悪くそう言うと、少し照れた様子で
「行くぞ」
と言い、車から降りた。
桃華も続いて車から降りると、拓人は
「はぐれたらいけねぇから……」
と桃華の手を取り、指を絡ませた。
桃華は拓人のそんな様子に安心して微笑んだ。
拓人との約束。
フワフワの白いロングコートに身を包み、コートの下は白いセーターに赤いチェックのミニスカート。
冷えないようにヒートテックの黒いタイツを履いて、頭には外出時にいつも着けている、お気に入りのピンクのフワフワのリボンのついたカチューシャ。
桃華なりに頑張っておしゃれした。
(拓人、喜んでくれるかな……?)
3月になったといっても外はひんやりとしていて、少し待ち合わせより早めに門の前に出た桃華は、日光が当たる所でひなたぼっこをするように拓人を待った。
10時2、3分前に赤いスポーツカーが桃華の家の前に止まる。
運転席の窓から顔を出したのは拓人だ。
「ごめん、待った? 寒かっただろ?」
「ううん、今出て来たとこ」
拓人の『乗って』という合図とともに、桃華は助手席に座った。
赤いスポーツカーは静かに走り出した。
「この車、拓人の?」
桃華は車に乗り込むなり、車内を見渡しながら言った。
「いや……借り物だよ。今日のために借りたんだ」
拓人は格好がつかず少し苦笑いした。
自分の車と言えれば良かったのだが、あいにく拓人は自分の車を持っておらず、ハルキに借りたのだ。
「そうだったんだ! でも、運転している拓人もかっこいい! 新鮮な感じする!」
「そ、そうか? 身体、しんどくなったらすぐ言えよ」
拓人は少し照れ臭そうに返事を返す。
しばらくして、信号が赤になり車が止まると、拓人がまじまじと桃華を見つめた。
「拓人? どうしたの? もしかして……私に何か付いてる?」
桃華は何で拓人が見てるのか分からずあたふたした。
拓人はそっと桃華の耳元に口を近づけ、囁いた。
「今日の桃華、いつもに増して可愛いから見とれてた……」
そのまま拓人は桃華の耳にキスをして、信号が青になるのを確認して車を発進させた。
「ひゃぁっ!? ……あ、りがと」
頑張っておしゃれして褒めてもらえて嬉しい桃華だが、拓人の唐突な行為に真っ赤になってうつむいた。
そんな桃華を横目で見て、拓人は嬉しそうに笑った。
──向かう先は水族館。
桃華は遠足や修学旅行はいつも入院がちだったため、ほとんど参加したことがなかった。
そんな桃華はその中でも自分が一番行きたいと感じた水族館を希望した。
あまり遠出になると、桃華の身体に負担になったり、もし急に体調が悪化したりすると不都合なのでと拓人は近場の水族館を選んだ。
地元の交通機関を利用しても行ける場所だったが、人混みをなるべく避けたかったため、拓人は車を出すことにした。
「わぁ~、すご~い!」
水族館の入り口を見るなり、桃華は歓声をあげた。
「まだ門しか見てねぇじゃん!」
そう拓人は桃華に突っ込みを入れたが、桃華には聞こえていないようだった。
拓人が駐車場に車を止めている間も、桃華はいろんなところを見ては興奮していた。
桃華のはしゃぐ様子は可愛いかったが、はしゃぎすぎて疲れてしまったらいけないと拓人は心配した。
「桃華、少しは落ち着けよ」
「だって、どこもすごいんだもん!!」
何が?と思いながらも拓人は桃華の可愛らしさにやられそうになる。
「ねぇ! 早く行こうよ!!」
桃華が拓人の腕にしがみつき、上目遣いで見つめてくる。
──チュッ。
拓人は不意に桃華の唇に唇を重ねた。
「……えっ!?」
桃華は驚いた瞳で拓人を見つめる。
「……桃華がそんな顔で俺を見るのが悪い。あまりはしゃぎすぎるな。倒れてもしらんぞ」
拓人は意地悪くそう言うと、少し照れた様子で
「行くぞ」
と言い、車から降りた。
桃華も続いて車から降りると、拓人は
「はぐれたらいけねぇから……」
と桃華の手を取り、指を絡ませた。
桃華は拓人のそんな様子に安心して微笑んだ。
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