【完結】誰に抱かれてもあなたへの愛は揺らがない

かじや みの

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月の舞

欲しいもの ※

「くくっ・・・くすぐったいって・・・。へたっぴだなあ」

 梅太郎が身を捩って笑い声を立てた。

 船宿に場所を移して、裸になり、抱き合う。

 男の胸に、舌を這わせているのだが、感じてくれているのかわからない。

 されていることを真似ているつもりなのに、下手だと言われっぱなしだ。
 でも、笑ってくれているだけましかもしれない。

「じゃあ、こっちにします」
 ぷっと頬を膨らまして、下に下がる。

 下腹に、裏向いて寝転んでいるものを、舌で舐め上げた。
 ぴくんと跳ねたそれはすぐに固くなる。
「気持ちいい?」
「まだまだ。もっともっと気持ち良くしてくれなきゃ」
「こお?」
 何度も舐め上げ、上目遣いに梅太郎を見る。

「かわいいなあ、雪也ちゃんは」
 と、全然感じてないような顔をする。

 今度は先端に舌を這わせ、ぱくっと口に入れた。
 舌で転がし、吸い付くように纏わせ、唇で扱く。

「おお、うまいうまい」
 とときどき腰を浮かせた。

 しゃぶっている口が疲れてきた。
 先走りは漏れてくるが、余裕の梅太郎が精を吐き出すまでは刻がかかりそうだ。

「もう終わり?」
 半身を起こして見下す梅太郎に、犬のように舌を出して、はあはあしてみせた。

「もう、かわいいんだから・・・」

 笑いながら脇の下に手を入れて、引き上げられ、今度は梅太郎が上になる。

「こうやるんだよ」

 口づけられる。
 やはり今夜は激しめだ。
 息が苦しくなるほどに、口の中をなぶられて舌を吸われ、離れてからも息を整える間もなく、次は乳首に吸いつかれて喘いだ。
 舌で弄ばれて、腰がはね、愛液が溢れ出す。
 もう一つの乳房も同時に揉まれて、指が弄んでいる。
「あっ、あっ!・・・やっ!・・・いっちゃう」
 体が敏感に反応して、これからやってくる快楽に勝手に期待してしまっている。

「まだ挿れてないよ。挿れなくてもいっちゃうの? 雪也ちゃん」
「意地悪っ」
「じゃあ舐めてあげる」

 梅太郎の顔が股間に埋まった。
「いやあ!・・・」
 ぷっくりと膨らんだ芽に吸いつかれて、痺れるような快感に貫かれた。
 なおも舌で転がされて、腰がそり、声にならない悲鳴をあげて、達してしまった。
「もういっちゃったの? いやらしい雪也ちゃん」
 震える体を、笑いながらぎゅっと抱きしめてくる。

「ほんとかわいい」
 言いながら、今度は指を入れて、くちゅくちゅと音をさせながら、膣の中を擦る。
 同時に胸への愛撫も怠りない。
「ああっ・・・は、ん、んん・・・」
 いったそばから喘ぎ声が止まらない。
 またいってしまいそうだ。

「なあに? 腰がひくひくしてるよ。欲しいの?」
「いやん」
「欲しいんでしょ?」
「あ、あ・・・」
 さらなる快感を求めて、腰が指を奥へ誘おうとしている。
「言ってごらん。欲しいんだろ? 誰のが欲しい?」
「意地悪はいや!」
「おれの? それとも殿様のもの?」
 今日の梅太郎は執拗だ。

「梅太郎さんの・・・欲しい・・・どうして優しくしてくれないの?・・・優しい梅太郎さんがいいのに・・・」
 喘ぎながら、涙がこぼれた。

「優しくして・・・優しくされたいの・・・ああっ」
 腰がガクガクと震えて、指でいかされた。

「雪也ちゃん」
 放心した雪也の上半身を抱き起こす。
「かわいいから、いじめたくなっちゃうんだよ。どうにかして惚れさせたくて力が入ってしまうだけだよ。・・・ごめん。悪かった。優しくするから」
 そう言いながら、手のひらで涙を拭った。
「私は、優しくする価値がないってこと?」
 梅太郎は、女によって抱き方を変える。
 雪也は優しくするほどの価値はないのかと思えてしまう。
 そうじゃないことはわかっているつもりなのに、確かめずにはいられなくなる。
 それは、梅太郎に惚れたということだろうか。

「そんなことないよ。雪也ちゃんこそ、おれのこと、好き? ほっといたら、誰かに取られちゃうんじゃないかって、そんな気になって・・・本当は、女房にしたいくらい好きだよ」
 梅太郎の言葉が嬉しくて沁みる。

「誰にでも言うんでしょ? 好きだって」
「雪也ちゃんも言うだろ? 殿様に抱かれて口走ったんじゃない?」
「それは・・・言ってません!」
「本当かなあ。じゃあ、言ってくれる?」
 おでこ同士をくっつけるようにしてくる。

「好き。梅太郎さんじゃなきゃ、だめなの」

 あの雪の日に言ったことに嘘はない。

「離れたくない」
「うん。わかった。離さない」

 言葉など、いくらでも繕えるのに、どうして欲しくなるのだろう。

 こんなやりとりが、何度も繰り返されるのかもしれない。

 でも、きっと何度でも言う。

 梅太郎は、雪也の腰を引き寄せ、己の腰に跨らせる。

「ほら。欲しかったものをあげる。どうぞ、ご存分に」

「はあ・・・」
 梅太郎を根元まで呑み込んで、吐息を漏らす。
「いやらしい顔だ」
「梅太郎さんだって・・・」
「幸せだね・・・」
「嬉しい」

 貪るように口づける。

 腰が無意識に動き出す。

 息づかいが激しくなる。

 愛液が溢れてきた。

「あ、あ、あ・・・」

 お尻を掴まれて、奥へ奥へと突いてくる。

 またいってしまう。
 見つめ合った。
 笑いあう。

「出すよ」
 梅太郎が囁く。
「もう?」
 梅太郎にしては早い。思わず訊いてしまった。
「雪也ちゃんの中に、何度でも出したいから」

「梅太郎さん、もう、だめっ」

 登り詰めると同時に梅太郎も達して、精が注がれる幸せに、身も心もとろけた。
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