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テスト期間は、悠人と一緒に帰った。
「れんの家で勉強していいかな。親さん帰ってくるまでには帰るからさ」
「いいよ」
「高校入った途端に難しくなるもんなー。教えてよ」
「何? 数学?」
「全部」
「全部ー?」
「嫌そうな顔するなよ」
悠人が家に来た時は、2階の部屋ではなく、ダイニングテーブルで勉強する。
「着替えてきていいよ」
悠人が、椅子に座って、カバンから勉強道具を出しながら言っている。
子供の頃から何度も来ているから、勝手は知っている。
悠人は制服のままだ。
「勝手にやってるからさ。そんなに長居はしねえし」
「うん」
部屋で着替えてから、向かい合わせで座り、黙って始める。
「邪魔にならない?」
しばらくして、悠人が聞いてくる。
「うん。悠人がいてくれた方が、はかどりそう」
「そうか。よかった」
嬉しそうに笑った。
「どうして、そんなこと聞くの? 受験勉強一緒にやってたじゃん」
そんな悠人に笑みを返して、れんは、首をかしげる。
いちいち確認する悠人を、少し変に思っただけだった。
「一応聞いてみただけだよ。俺、聞きまくるからさあ。鬱陶しいと思われたらいやだし。で、ここなんだけど・・・」
と、さっそく、シャーペンで、数学のワークの問題をつついている。
こんな調子で、テスト期間中だけ、学校の帰りに悠人が家に寄っていくようになった。
テストの日は、お昼過ぎに、悠人が家にやってくる。
休憩のおやつタイム。
今日は、悠人がポテチを持ってきてくれた。
「れん、助かるよ。あと一日だ」
「いい点取れよ」
「取れそうだ」
「明日から、部活始まるね。陸上部は楽しい?」
明日の午後から部活が始まり、一緒には帰らない。
「ああ。最初は続かないような気がしたけど、なんとかやれてる」
「悠人、賑やかなの好きだもんね。女子がわあわあ言ってそう」
「女子結構いるしな。成宮先輩がいると、特にうるさいけどな」
「女子が?」
「そうそう。明らかに、先輩がいる時といない時で、態度が違うんだ。あれって、どうなんだよ」
悠人が唇を尖らせた。
「速いの? 成宮先輩」
「あの人は速いし、走り方もかっこいい。わけて欲しいくらい」
「そうなんだ」
「なんで、掛け持ちしてんだろうな」
「さあ・・・」
悠人の視線を感じて、目を上げる。
「歴研では、どんな感じなの?」
「・・・」
言葉に詰まって、下を向いた。
「知らない」
とっさにつぶやいた口調が、固くなった。
「女子に騒がれているんだろうな」
悠人は気づかないふりをして、何気なく言う。
「そうでもないと思うけど」
「もう、行かないの? 歴研」
「・・・」
悠人が、容赦なく質問してきた。
思いがけず、真剣な眼差しにぶつかって、れんは戸惑った。
「わかんない」
そう言うのが精一杯だった。
「れんの家で勉強していいかな。親さん帰ってくるまでには帰るからさ」
「いいよ」
「高校入った途端に難しくなるもんなー。教えてよ」
「何? 数学?」
「全部」
「全部ー?」
「嫌そうな顔するなよ」
悠人が家に来た時は、2階の部屋ではなく、ダイニングテーブルで勉強する。
「着替えてきていいよ」
悠人が、椅子に座って、カバンから勉強道具を出しながら言っている。
子供の頃から何度も来ているから、勝手は知っている。
悠人は制服のままだ。
「勝手にやってるからさ。そんなに長居はしねえし」
「うん」
部屋で着替えてから、向かい合わせで座り、黙って始める。
「邪魔にならない?」
しばらくして、悠人が聞いてくる。
「うん。悠人がいてくれた方が、はかどりそう」
「そうか。よかった」
嬉しそうに笑った。
「どうして、そんなこと聞くの? 受験勉強一緒にやってたじゃん」
そんな悠人に笑みを返して、れんは、首をかしげる。
いちいち確認する悠人を、少し変に思っただけだった。
「一応聞いてみただけだよ。俺、聞きまくるからさあ。鬱陶しいと思われたらいやだし。で、ここなんだけど・・・」
と、さっそく、シャーペンで、数学のワークの問題をつついている。
こんな調子で、テスト期間中だけ、学校の帰りに悠人が家に寄っていくようになった。
テストの日は、お昼過ぎに、悠人が家にやってくる。
休憩のおやつタイム。
今日は、悠人がポテチを持ってきてくれた。
「れん、助かるよ。あと一日だ」
「いい点取れよ」
「取れそうだ」
「明日から、部活始まるね。陸上部は楽しい?」
明日の午後から部活が始まり、一緒には帰らない。
「ああ。最初は続かないような気がしたけど、なんとかやれてる」
「悠人、賑やかなの好きだもんね。女子がわあわあ言ってそう」
「女子結構いるしな。成宮先輩がいると、特にうるさいけどな」
「女子が?」
「そうそう。明らかに、先輩がいる時といない時で、態度が違うんだ。あれって、どうなんだよ」
悠人が唇を尖らせた。
「速いの? 成宮先輩」
「あの人は速いし、走り方もかっこいい。わけて欲しいくらい」
「そうなんだ」
「なんで、掛け持ちしてんだろうな」
「さあ・・・」
悠人の視線を感じて、目を上げる。
「歴研では、どんな感じなの?」
「・・・」
言葉に詰まって、下を向いた。
「知らない」
とっさにつぶやいた口調が、固くなった。
「女子に騒がれているんだろうな」
悠人は気づかないふりをして、何気なく言う。
「そうでもないと思うけど」
「もう、行かないの? 歴研」
「・・・」
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思いがけず、真剣な眼差しにぶつかって、れんは戸惑った。
「わかんない」
そう言うのが精一杯だった。
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