ジュエリー戦士Shining Guardians

岩下穂乃香

文字の大きさ
10 / 41

第10話 奪われた宝石の力、誘拐された戦士

しおりを挟む
「ジュエリー王国の4人目の戦士は、まだ復活していない。ということは、目覚める前なら抵抗力もほとんどないから、息の根を止めるのは簡単なはずだ。それを狙ってこい!」
大魔王の司令を受けて、フェアーは再び地球に出撃した。

 朝、愛華が学校に着くといつもよりも校門の辺りが騒がしかった。校門の前に多くの人が集まっている。愛華は、その中から希実を見つけて話しかける。
「何が起きているの?」
すると、希実は、
「知らないの? 村嶋夢ちゃんが松見中学校に転入してくるらしいよ」
と愛華に言う。
「ええー、本当に?」
愛華は目を輝かせて、希実の話に飛びつく。そのとき、1台の車が校門の前に止まった。車のドアが開き、本物の村嶋夢ちゃんが出てくる。愛華と希実はサインや握手を求めようとしたが、一斉に他の生徒たちが押しかけていて近づくことができなかった。その日1日、学校内は大騒ぎだった。

 昼休み、愛華は教室で希実とお弁当を食べる。早めに食べて、2人で夢ちゃんに会いに行く予定だった。お弁当を食べ終わり、夢ちゃんのいるという203の教室に向かうと教室内はやけに静かだった。愛華と希実が教室のドアの小さな隙間から覗くと、たくさんの生徒がフェアーによって心の輝きを奪われ、夢ちゃんがフェアーに捕らえられているのが見えた。
「希実、私は優美さんとクォーツを呼んでくるから先に変身してできる限り止めて」
愛華はひそひそ声で希実に言って、302の教室にまず向かった。教室で優美さんは遥花先輩と楽しそうに話していた。愛華が呼ぶと、優美さんは廊下に出てきてくれた。
「優美さん、大変なんです。すぐに203の教室に一緒に来てください」
優美さんは、愛華の言葉に何かを察して一緒に来てくれた。優美さんと一緒に203の教室に向かう途中、愛華は自分の教室に寄って鞄の中で眠っているクォーツを起こして一緒に連れていく。203の教室に着くと、変身した希実が必死にフェアーに抵抗していた。
「トパーズ、お待たせ!」
愛華は、トパーズに一声かけて優美さんと共に変身する。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
夢ちゃんを助けるための作戦をルビーは考えようとする。ルビーたちとクォーツに対し、フェアーは
「来たな。戦士たちよ。だが俺はまだ覚醒してない宝石の力を持っている奴を見つけたのだ。」
と言う。夢ちゃんは、フェアーに首を絞められて苦しそうにしている。
「やめて!」
ルビーは夢ちゃんを助けようとするが、夢ちゃんを傷つける訳にはいかない。ルビーは、技を発動できずにいた。
「どうした? 手が出せないか? なら、こっちから攻撃だ」
フェアーの攻撃で、ルビーたちは倒れた。再びルビーたちが立ち上がったとき、夢ちゃんとフェアーはいなくなっていた。
「サファイア・パワー」
とりあえず、サファイアの力で心の輝きを奪われた人々を目覚めさせることしか、ルビーたちにはできなかった。

 変身を解除し、愛華たちはクォーツに夢ちゃんについて聞く。
「村嶋夢は、Shining Guardiansのまだ覚醒していない最後に戦士、シャイニーアメジストクク。まだ戦士として覚醒するそぶりは見えなかったから、居所に注目していただけだったクク。とりあえず、アメジストにいつか変身するかもしれないから夢の命を守らなければならないクク」
クォーツは愛華たちにそう言った。
「夢ちゃんを助けるにはどうしたらいいの?」
愛華は、クォーツに聞いた。
「私にも分からないクク。ドンケル王国がどのようにアメジストを使うか分からないからそこが不安クク」
「とりあえず、私たちにできることを考えてみるよ」
愛華、希実、優美の3人は、夢ちゃんを助けるためにドンケル王国と戦うことを決意した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

【完結】キスの練習相手は幼馴染で好きな人【連載版】

猫都299
児童書・童話
沼田海里(17)は幼馴染でクラスメイトの一井柚佳に恋心を抱いていた。しかしある時、彼女は同じクラスの桜場篤の事が好きなのだと知る。桜場篤は学年一モテる文武両道で性格もいいイケメンだ。告白する予定だと言う柚佳に焦り、失言を重ねる海里。納得できないながらも彼女を応援しようと決めた。しかし自信のなさそうな柚佳に色々と間違ったアドバイスをしてしまう。己の経験のなさも棚に上げて。 「キス、練習すりゃいいだろ? 篤をイチコロにするやつ」 秘密や嘘で隠されたそれぞれの思惑。ずっと好きだった幼馴染に翻弄されながらも、その本心に近付いていく。 ※現在完結しています。ほかの小説が落ち着いた時等に何か書き足す事もあるかもしれません。(2024.12.2追記) ※「キスの練習相手は〜」「幼馴染に裏切られたので〜」「ダブルラヴァーズ〜」「やり直しの人生では〜」等は同じ地方都市が舞台です。(2024.12.2追記) ※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、ノベルアップ+、Nolaノベル、ツギクルに投稿しています。 ※【応募版】を2025年11月4日からNolaノベルに投稿しています。現在修正中です。元の小説は各話の文字数がバラバラだったので、【応募版】は各話3500~4500文字程になるよう調節しました。67話(番外編を含む)→23話(番外編を含まない)になりました。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい

藤永ゆいか
児童書・童話
過去のある出来事から、空手や合気道を習うようになった私。 そして、いつしか最強女子と言われるようになり、 男子が寄りつかなくなってしまった。 中学では恋がしたいと思い、自分を偽って 学校生活を送ることにしたのだけど。 ある日、ひったくり犯を撃退するところを クラスメイトの男子に見られてしまい……。 「お願い。このことは黙ってて」 「だったら、羽生さん。 俺のボディーガード兼カノジョになってよ」 「はい!?」 私に無茶な要求をしてきた、冴えないクラスメイトの 正体はなんと、大財閥のイケメン御曹司だった!? * * * 「ボディーガードなんて無理です!」 普通の学校生活を送りたい女子中学生 羽生 菜乃花 × 「君に拒否権なんてないと思うけど?」 訳あって自身を偽る隠れ御曹司 三池 彗 * * * 彗くんのボディーガード兼カノジョになった 私は、学校ではいつも彼と一緒。 彗くんは、私が彼のボディーガードだからそばにいるだけ。 そう思っていたのに。 「可愛いな」 「菜乃花は、俺だけを見てて」 彗くんは、時に甘くて。 「それ以上余計なこと言ったら、口塞ぐよ?」 私にだけ、少し意地悪で。 「俺の彼女を傷つける人は、 たとえ誰であろうと許さないから」 私を守ってくれようとする。 そんな彗くんと過ごすうちに私は、 彼とずっと一緒にいたいと思うようになっていた──。 「私、何があっても彗くんのことは絶対に守るから」 最強女子と隠れ御曹司の、秘密の初恋ストーリー。

処理中です...