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退屈が吹き飛ぶ朝
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プロローグ
「くそ、また失敗か。」
どんなに趣向を変えてもいつもこの結末が訪れる。暁に燃える街、物質と電子が混ざり合い自己を失っていく。
男は瓦礫にうずくまり拳をぶつける。
「なんとか、何とか出来ないのか‼︎」
悔しさと慟哭を混ぜ涙に視界を濡らしながら、溶けていく街を見つめる。
「いや、手ならあるよ。兄さん」
男の背後から少年が現れ男の耳元でそっと囁く。
「まて!……それだけはだめだ。俺にはそんなこと……できない。」
少年は男の手を固く握りしめる。
「やるんだ。もうこれしかない。俺も|《パルプンテの渦》に呑まれて消える。今しかないんだ。」
男は掴まれた手をもう一度固く握るとそっと少年の手を離した。紅い渦が竜巻を巻いて聳え立つ摩天楼を薙ぎ払っていく。
「……俺は選ぶぞ。たとえ後で恨まれようと今度こそ世界を……未来を救ってみせる。」
男は積まれた瓦礫を退かし一つの|《機械》を取り出した。
「システム照合、利用者◾️◾️◾️。」
男がそういうと|《機械》は騒がしい音をあげやがて巨大な球体状に変わった。
「兄さんっ!早くしてくれ。」
渦の中心が広がりこちらに近づいてくる。
「分かってる!」
そういうと男は球体に手を入れ内側のボタンを押した。
瞬間眩いばかりの閃光が辺りを包む混む。男は光に飲まれながら祈るのだった。
「あとは……任せた。——。」
光はより一層強くなり、消えた。
第一話 退屈が吹き飛ぶ朝
「因幡ー。早く起きなさーい。」
十種因幡は枕に顔を埋めながら死んだふりを決め込んでいる。布団は勢いよく剥がされ惰眠の朝と共に現実に引き戻された。いつも同じカーテンから差し込む西陽。退屈な日常の始まりだ。
「なによ、起きてるなら返事くらいしなさい。」
「ッ、今起きたんだよ。頭いてぇ」
視線を時計に移す。時刻は午前の十二時を回っていた。
「ねえ因幡。昨日高校の入学式だったらしいじゃないの。どうして行かないの。」
学校へ行かない理由なら分かってる。未だに子供じみていると自分でも思うけど俺が間違っているとは思わない。
二年前の夏、父さんが死んだ。元々あまり家に帰らない人だったが何でも会社の責任を取らされその重圧に耐えきれなくなっての自殺だと警察は話していた。そんなに辛ければ辞めて仕舞えば良かったのに。
父さんのように自由を失い社会の駒としてその生涯を費やすくらいなら俺は一生を誰にも縛られたくなんか無い……。
「母さんは俺は〝自由の奴隷〟なんだよ。」
「馬鹿なこと言ってないで働け。そんなこと言っていいのはエレンイェーガーだけよ。」
「とにかく!母さんには悪りいけど学校にはいく気無いよ。それに俺がこうなのは今に始まったことじゃ無いだろ。」
母さんは一瞬ばつが悪そうな顔をした後何かいいたげな目をしながら一階に降りていった。
「因幡。今日父さんの遺品売りにいってくるわよ。」
母さんは吐き捨てるようにそういった。
母さんが出かけ家には俺一人。溢れんばかりの開放感。もう誰にも俺は止められないぜ。こうしちゃおれん。パンツを脱いでっと。変態仮面参上!こんなことも一人だからこそできるもんね。
鏡の前でポーズを決める。ふと我に帰るとパンツを被った情けない腹筋が目立っていた。何やってんだろ俺……
ピンポーン
インターホンが鳴り響く。何か頼んでたっけ俺。あっ、そういえば、『虎ブルダークマス』の金色のクロの等身大フィギュアを頼んでたの忘れてた。よりにもよってこんな時に届くなんて。どうしよう。パンツ被ったまんまだし。変態だと思われてしまうかもしれん。でも虎ブルダークマスのフィギュア買ってるやつだしそのくらいはするか、とも思われるかもしれん。いやいや、だめだ。俺の評価は落とせても作品の評価まで落とすわけにはいかん。昨日脱ぎ捨てた黒のスウェットを履きよれよれのジャージ姿で玄関の前に立つ。
ピンポーン
相変わらずインターホンは迷惑なくらい鳴らしている。ドアのぞき穴から外を確認する。そこには見たこともないような怪物が宅配業者の格好をしていた。
例えるならゴブリンとインスマスの影を足して二で割ったような怪しい瞳をしていながらどこか愛嬌を感じされる顔をしていた。
「……うわっ!」
俺は慌ててドアノブごと後ろに倒れてしまった。扉が開くと怪物ら目を合わせ丁寧な口調で語りかける。
「こんにちは、十種因幡様ですね。宅配便をお届けに上がりました。」
怪物はそういうとトラックから巨大な段ボール箱を取り出した。ちょうど女の子のフィギュアが入りそうなサイズ感だ。
最初こそ面食らったがどうやらこいつらはただの運送会社らしい。白犬ヤマトなんて聞いたこともないけど。
「それではこちらにサインをお願いします。おっと……」
怪物はひょいと庭をぶらついていたトカゲを長い舌で捕まえると目にも止まらぬ速さで口に放り投げた。
「失礼。私の名前は、アゴシ。十種一様よりこの荷物をお届けになりました。以後お見知り置きを。」
荷物の宛先を見ると確かに十種一と書いてあった。嫌な予感がf1カーのように走り抜けたのを感じた。兄、十種一は優秀な人だった。幼い頃から神童と呼ばれ、大学も首席。決まり付けはあの一流企業神縄カンパニーに入社するまでに至った。しかし嫌な予感を感じていたのは兄が天才だからではない。十種一は去年のクリスマスを期に生死不明の行方不明となっていたのだ。猛烈なほど面倒くさい気配がその箱からはじわじわと漏れ出していた。
俺は段ボールと格闘していた。等身大サイズでどう見てもただの箱なんだけど──開け口が、ない。まったく、どこからどう開けろと?
カッターナイフで強行突破しようかとも思ったが、中身が兄ちゃんの言ってた「フィギュア」だと思うと手が止まる。万が一でも傷つけたら後味が悪い。
「まずいな……あと一時間もしたら母さんが帰ってくる。」
急いで部屋に持って行かないと、「またくだらないもん買って」ってお叱り確定ルートに突入だ。
「よし……使おう。」
立ち止まってても始まらない。意を決してカッターの刃を滑らせる。ゆっくり、慎重に、まっすぐ。
ぴしり。段ボールの一面が開いた。中を覗き込むと──
そこには、少女が眠っていた。
真っ白な髪は、まるで仕立てたばかりのシルクみたいで。唇はまだあどけないのに、妙に目が離せなくて。……なんていうか、人間の「可愛い」の概念だけ抽出してAIが生成したような顔立ち。
まじか……やば、クオリティ高っ。
兄ちゃんのセンスなんて疑ってたけど、これは正直アリだわ。
そう思った矢先、少女の身体から青い閃光が広がった。
「システム照合。オールグリーン。座標への転送に成功しました。」
少女はすっくと立ち上がり、俺に視線を向けた。
「失礼ですが、今は西暦何年でしょうか?」
「え……西暦2036年だけど?」
思った以上に気の抜けた声が出た。
「どうやら、間に合ったようです。あなたが──十種因幡様でお間違いありませんか?」
「……は、はい。一応俺が十種因幡です。」
自然と敬語になってる自分が恥ずかしい。すると少女はにっこり微笑んで、ポーズを決めた。ピースまで添えて。
「申し遅れました。私は未来から来た、完璧で究極な美少女AIアンドロイド・クオリア。覚えにくければ、クーちゃんとお呼びください、十種様。そしてもうひとつ──」
ここまで漂ってた神秘的な雰囲気が、にわかに崩れ始めた。
「共に世界を救いませんかっ!」
……あ、コレ、絶対面倒くさいタイプだ。
退屈な日常が、壊れる音がした気がした。
⸻
「で、何度も聞くけど──世界がなんだって?」
「はい、十種様。もうすぐこの世界に終焉が訪れます。今から一年後、巨大な小惑星が地球に衝突し、すべてを焼き尽くします。有り体に言えば、隕石ドーンで人類チーンです。地球は居住不可能となります。」
「ふーん……あ、そう。……って、やばいじゃん。乾パンとか用意しなきゃじゃん。」
「そういうレベルの話ではありません。」
言ってることは滅茶苦茶だけど、声と顔が真剣なので無視しづらい。けど、信じるには荒唐無稽すぎる。
第一、そんな巨大な隕石が近づいてたら、世界中が大騒ぎになってるはずだろ。NASAとかJAXAとかが、とっくに対処してるだろうし。
「悪いけど、そう簡単には信じられねえよ。兄ちゃんのイタズラって線は?」
するとクーちゃんはジト目になって、俺を見据えた。
「……結構めんどくさいなこの人。マスターからは“扱いやすいバカ”って聞いてたのに。」
「おい聞こえてるぞー!? ますます信じたくなくなってきたぞ⭐︎」
「そうですか。では──最終手段を取ります。」
クーちゃんが手のひらを俺の目の前にかざす。青白い光が広がる。
「ちょ、暴力反対~!」
……しばらくして光が収まり、空中にモニターが現れた。そこに映ってたのは、見慣れた顔だった。
「兄ちゃん……?」
「あーあー、聞こえてるかなー。弟よ。ちなみにビデオメッセージなので、君の声は聞こえてませーん。あとこれうちのクーちゃんが説得に苦戦するって前提で用意されたやつだから。」
映像の兄ちゃんが、茶目っ気たっぷりに笑う。
「これから話すことは、冗談でもイタズラでもない。本当に起こる未来だ。しっかり聞いとけよ。兄ちゃんからの、最後のメッセージだ。」
モニターの向こうで、兄ちゃんの声が真面目になる。
「まず、なんで隕石が迫ってるのに誰も騒いでないのか。それに答えよう。今、世界中の宇宙関連組織や企業はこぞってこの問題に取り組んでる。だけど、情報は徹底的に秘匿されてる。理由は簡単だ。混乱を防ぐためだよ。社会が崩壊しかねないって判断された。英断だと思う。」
確かに、ネットの10ちゃん(※旧2ちゃん)で、「世界終わるらしいw」ってスレ立ってたの、見た気がする。都市伝説扱いだったけど。
兄ちゃんは続ける。
「さて、ここからが本題だ──“隕石を止める方法”について話そう。神縄カンパニーは知っているか?」
神縄カンパニー。今や世界を牽引する日本が誇る一大企業。ITから飲食まで幅広く手を出しているバケモンみたいな会社だったはず。兄ちゃんが勤めてたのも神縄だったはず。
「一応ね、でもそれが?」
「単刀直入に言おう。お前には神縄カンパニーに入り社長になって欲しい。」
「はあー!」
そもそも神縄に入ることすら難しいのに社長って……ああ、そうか。兄ちゃんだからそんなことが言えるんだな。
「悪いけど無理だよ。出来るできないは一旦置いといたとしても俺にはやるメリットがないね。話は終わりだ。さあ、もう消えてくれ。」
「分かった。……これからはお前が興味を持ちそうな話をしてやる。」
なんだ急に、正直何を言われてもやる気にならないと思うけど。
「二年前のことを覚えてるか。父さんが死んだ日だ。」
忘れるわけない。あの日から俺は自由に生きると決めたのだから。
「あの日父さんは自殺したとされているが、それは嘘だ。俺は神縄に入ってからずっと調べていた。何故、父さんが死ななければならなかったのか。」
「なんだよ、それ。意味わかんねえよ。」
空気がピンと張り詰めてゆく。
「父さんは殺されたんだ。神縄で計画されていたあるプロジェクトを止めるために。そのプロジェクトというのは……さに……」
プチン。モニターはここで止まってしまった。
「おいっ!なんだよ。もう。いいところなんだからさー。えっと、くーちゃん?だっけ。この続きはどうすればいいのさ。」
彼女は薄気味悪い笑いを浮かべながら言い放つ。
「この先の情報はどうやら転送時に摩耗し消失してしまったようです。完全に復元するには私のスペックを最大に活用できる量子コンピュータが必要です。」
嫌な予感は確信に変わる。
「それはどこにあるの?」
「現時代ですと神縄カンパニーの本社に置かれているBLACK BOX。|《アリアドネ》だけですね。」
彼女はどすんとベットに座り、一呼吸おいて俺を見つめる。
「アリアドネは本社の奥深く、社内でも選ばれた者しかその存在を知りません。少なくとも社長クラスにならない限りは、」
「大体なんで俺なんだ。俺じゃなくてもきっと。」
「一様、いえマスターは言っていました。因幡には俺にはない才能があると。そしてその才能が世界を救う鍵になると。」
俺を見つめる彼女の目は、およそ血の通っていない存在には見えない輝きを秘めていた。彼女は手を差し伸べる。
「もう一度聞きます。共に世界を救いませんか?」
どうやら俺の考えも悩みも全て兄ちゃんの手の平の上みたいだ。ここまでされたらしょうがない。
「ここで逃げたら、漢じゃないよな。」
俺は彼女の手を取った。これからきっとどうしようもないほどめんどくさいことになるかもしれない。それでも、鏡の前で変態仮面やってるよりは遥かにマシかもしれない。
第二話 勉強地獄
「ほら、手が止まってますよ。」
パンっと竹刀が背中を打つ。もう何度目だろう。数えてすらいない。このままでは確実に死ぬ!
「あ、ちょっとトイレ。」
「わかりました。十分だけ休憩を取ります。帰ってきたら再開で、」
「うんうん、ちょっくらうんぴーだしてくるから待っててね。」
くわばらくわばら。どうやらあのイかれた機械人形は人間の限界ってものを知らないらしい。かれこれぶっ通しで七時間は参考書と一対一だ。それに何より暴力で従わせてくるやり方が気に食わん。逃げるが勝ちだ。
数十分前
「でもさ、具体的にどこをどうやったらその神縄に入れるのさ。」
くーちゃんはおもむろにタブレットを取り出す。
「神縄、引いてはその社長にまで登り詰めるには二つほどルートがあります。一つは文字通りエリートコース。都内屈指の名門高校に入り、大学に進学。その後神縄に入社とまあこんな感じが一です。ですが残念ながらそのような時間は残されておりません。それに有名大学に入れるほどの頭脳を因幡さんは有しておりません。」
なら、最初から二つ目を教えてくれませんかね。わざわざ馬鹿にする必要ある?
「では、本題の二つ目です。」
くーちゃんは藍色の目を輝かせ、俺を指差して言った。
「ある高校に入学してもらいます!」
高校生。一度は諦めたというよりやりたく無かった選択肢だ。学校というだけでも反吐が出る。毎日決まった時間決まった授業。座っているだけだと思うと寒気がする。
「と、言っても普通の高校では有りません。何より神縄が直接運営している超私立です。その名も私立戴天学園。頭脳の優劣だけに収まらず真に優秀な人間を育てる為に神縄はある|《ゲーム》を取り入れました。|《セレスティアルコード》カードを使った特殊な決闘システムのようです。戴天学園ではカードによって学校内での自由が認められています。勝者は全てを手にし敗者は全てを失う。と、まあざっくりとした説明は以上です。何か質問はありますか?」
決闘、ゲーム、カード。嫌な予感がする。数年前父さんと兄さんが作ってたような。
「そのシステムってさ、いつからその学校に導入されたの?」
「正確には三年前ですね。現生徒会長であり学園の最高権力者である北上大蛇という人物によってこのゲームと学園のシステムが作られたと分かりました。」
三年前、兄が消えたのはもっと前からだ。なんにせよ、確かめる問題がまた一つ増えたみたいだ。
少し考え込んでいるとクオリアがパンっと手を叩いて言った。
「まずは何より勉強です。」
長い一日が始まる気がした。
冗談じゃない。あのイカれた機械人形。人をなんだと思ってやがる。かれこれもう十三時間は休みなしで勉強させられてる。やばい、数字の三がのび太の目にしか見えない。末期かもしれん。
「ほらほら、全然終わってませんよー。あと数時間でノルマ終了なんですから頑張ってください。」
自分はベットの上に座って漫画読んでるのに。
だめだ。これ以上こんなとこにいたら殺される。
「クーちゃん、ちょっとトイレ。」
「十分以内に済ませてくださいねー。」
「うーす。」
部屋を出るが早いか因幡は飛び出した。野を越え山を越え家から五百メートル離れたGAOにまで辿り着いた。
数十分後
「おかしい。」
ベットの上でウエハースを頬張りながらクオリアは呟く。かれこれ十分はとうにすぎている。
仕方なく部屋を出てトイレに向かう。
「因幡さーん。そろそろ始めますよー。」
返事はない。ただの無機物なようだ。勢いよくトイレの扉を蹴り破ったがトイレはもぬけの殻だった。
「なるほどなるほど。つまりはそう言うことですね。因幡さん。教えてあげますよ。超高性能アンドロイドを敵に回すと言うことを。」
クオリアは小さな肩を振るわせ、部屋に戻っていった。
「やべぇまじか。今週のジャンプはホント神回だろ。」
勉強から逃れて数十分。クオリアは追ってくる気はないらしい。晴れて自由の身だ。
「いや~素晴らしいね。自由ってのは。立ち読みもし放題だし。」
「それは感心しませんね。立ち読みは歴とした迷惑行為ですよ。」
「へっ、」
振り向くとそこには三十センチほどドローンがこちらを見つめていた。
「改めまして因幡さん。私から逃げ切れるとでも思いました?」
ドローンがそう言うと炸裂音と共に網が因幡の身体を捉えた。
「なっ⁉︎」
「暴れても無駄ですよ。網は暴れるほど複雑に絡みますから。さあ、大人しく帰って勉強です。」
「嫌だね。誰かにやらされる勉強なんて真っ平だ。何度だって逃げてやるさ。」
「なんでそんな強情なんですか。」
「はっ、そんなの俺の人生は俺だけのものだからに決まってんだろ。」
人に言う事を聞かせるのがこんなに難しいとは、どうすれば良いのでしょう。
クオリアはふと一の言葉を思い出した。
「あいつはやれって言われても絶対やらないんだよね。もし君がどうしてもやって欲しい時はこう言うといいよ。絶対乗ってくるから。」
仕方ありませんね。
「因幡さん。私とゲームしませんか?」
因幡の表情が変わる。
「ゲーム?」
「はい、ルールは簡単。かくれんぼです。現在時刻二時半ですが三時の時点で捕まえていたら因幡さんの負け。その逆なら因幡さんの勝ち。負けた方は勝った方の好きな事を一つ叶える。どうです。やりますか?」
「なるほどね。でもいいの?俺が勝ったら体操服でフランスパンを舐めて欲しいとか言うかもよ。」
「構いませんよ。どうせ私が勝ちますから。」
「へえ、言うねぇ。面白い!いいよ。その勝負乗った。」
「それでは今から五分後にスタートします。まずはその網から抜け出さないとですね。」
「もちろん‼︎」
言うが早いか因幡は取ってきた筆箱から剃刀の刃を取り出すと瞬く間に網を切って走り出した。
「くそ、また失敗か。」
どんなに趣向を変えてもいつもこの結末が訪れる。暁に燃える街、物質と電子が混ざり合い自己を失っていく。
男は瓦礫にうずくまり拳をぶつける。
「なんとか、何とか出来ないのか‼︎」
悔しさと慟哭を混ぜ涙に視界を濡らしながら、溶けていく街を見つめる。
「いや、手ならあるよ。兄さん」
男の背後から少年が現れ男の耳元でそっと囁く。
「まて!……それだけはだめだ。俺にはそんなこと……できない。」
少年は男の手を固く握りしめる。
「やるんだ。もうこれしかない。俺も|《パルプンテの渦》に呑まれて消える。今しかないんだ。」
男は掴まれた手をもう一度固く握るとそっと少年の手を離した。紅い渦が竜巻を巻いて聳え立つ摩天楼を薙ぎ払っていく。
「……俺は選ぶぞ。たとえ後で恨まれようと今度こそ世界を……未来を救ってみせる。」
男は積まれた瓦礫を退かし一つの|《機械》を取り出した。
「システム照合、利用者◾️◾️◾️。」
男がそういうと|《機械》は騒がしい音をあげやがて巨大な球体状に変わった。
「兄さんっ!早くしてくれ。」
渦の中心が広がりこちらに近づいてくる。
「分かってる!」
そういうと男は球体に手を入れ内側のボタンを押した。
瞬間眩いばかりの閃光が辺りを包む混む。男は光に飲まれながら祈るのだった。
「あとは……任せた。——。」
光はより一層強くなり、消えた。
第一話 退屈が吹き飛ぶ朝
「因幡ー。早く起きなさーい。」
十種因幡は枕に顔を埋めながら死んだふりを決め込んでいる。布団は勢いよく剥がされ惰眠の朝と共に現実に引き戻された。いつも同じカーテンから差し込む西陽。退屈な日常の始まりだ。
「なによ、起きてるなら返事くらいしなさい。」
「ッ、今起きたんだよ。頭いてぇ」
視線を時計に移す。時刻は午前の十二時を回っていた。
「ねえ因幡。昨日高校の入学式だったらしいじゃないの。どうして行かないの。」
学校へ行かない理由なら分かってる。未だに子供じみていると自分でも思うけど俺が間違っているとは思わない。
二年前の夏、父さんが死んだ。元々あまり家に帰らない人だったが何でも会社の責任を取らされその重圧に耐えきれなくなっての自殺だと警察は話していた。そんなに辛ければ辞めて仕舞えば良かったのに。
父さんのように自由を失い社会の駒としてその生涯を費やすくらいなら俺は一生を誰にも縛られたくなんか無い……。
「母さんは俺は〝自由の奴隷〟なんだよ。」
「馬鹿なこと言ってないで働け。そんなこと言っていいのはエレンイェーガーだけよ。」
「とにかく!母さんには悪りいけど学校にはいく気無いよ。それに俺がこうなのは今に始まったことじゃ無いだろ。」
母さんは一瞬ばつが悪そうな顔をした後何かいいたげな目をしながら一階に降りていった。
「因幡。今日父さんの遺品売りにいってくるわよ。」
母さんは吐き捨てるようにそういった。
母さんが出かけ家には俺一人。溢れんばかりの開放感。もう誰にも俺は止められないぜ。こうしちゃおれん。パンツを脱いでっと。変態仮面参上!こんなことも一人だからこそできるもんね。
鏡の前でポーズを決める。ふと我に帰るとパンツを被った情けない腹筋が目立っていた。何やってんだろ俺……
ピンポーン
インターホンが鳴り響く。何か頼んでたっけ俺。あっ、そういえば、『虎ブルダークマス』の金色のクロの等身大フィギュアを頼んでたの忘れてた。よりにもよってこんな時に届くなんて。どうしよう。パンツ被ったまんまだし。変態だと思われてしまうかもしれん。でも虎ブルダークマスのフィギュア買ってるやつだしそのくらいはするか、とも思われるかもしれん。いやいや、だめだ。俺の評価は落とせても作品の評価まで落とすわけにはいかん。昨日脱ぎ捨てた黒のスウェットを履きよれよれのジャージ姿で玄関の前に立つ。
ピンポーン
相変わらずインターホンは迷惑なくらい鳴らしている。ドアのぞき穴から外を確認する。そこには見たこともないような怪物が宅配業者の格好をしていた。
例えるならゴブリンとインスマスの影を足して二で割ったような怪しい瞳をしていながらどこか愛嬌を感じされる顔をしていた。
「……うわっ!」
俺は慌ててドアノブごと後ろに倒れてしまった。扉が開くと怪物ら目を合わせ丁寧な口調で語りかける。
「こんにちは、十種因幡様ですね。宅配便をお届けに上がりました。」
怪物はそういうとトラックから巨大な段ボール箱を取り出した。ちょうど女の子のフィギュアが入りそうなサイズ感だ。
最初こそ面食らったがどうやらこいつらはただの運送会社らしい。白犬ヤマトなんて聞いたこともないけど。
「それではこちらにサインをお願いします。おっと……」
怪物はひょいと庭をぶらついていたトカゲを長い舌で捕まえると目にも止まらぬ速さで口に放り投げた。
「失礼。私の名前は、アゴシ。十種一様よりこの荷物をお届けになりました。以後お見知り置きを。」
荷物の宛先を見ると確かに十種一と書いてあった。嫌な予感がf1カーのように走り抜けたのを感じた。兄、十種一は優秀な人だった。幼い頃から神童と呼ばれ、大学も首席。決まり付けはあの一流企業神縄カンパニーに入社するまでに至った。しかし嫌な予感を感じていたのは兄が天才だからではない。十種一は去年のクリスマスを期に生死不明の行方不明となっていたのだ。猛烈なほど面倒くさい気配がその箱からはじわじわと漏れ出していた。
俺は段ボールと格闘していた。等身大サイズでどう見てもただの箱なんだけど──開け口が、ない。まったく、どこからどう開けろと?
カッターナイフで強行突破しようかとも思ったが、中身が兄ちゃんの言ってた「フィギュア」だと思うと手が止まる。万が一でも傷つけたら後味が悪い。
「まずいな……あと一時間もしたら母さんが帰ってくる。」
急いで部屋に持って行かないと、「またくだらないもん買って」ってお叱り確定ルートに突入だ。
「よし……使おう。」
立ち止まってても始まらない。意を決してカッターの刃を滑らせる。ゆっくり、慎重に、まっすぐ。
ぴしり。段ボールの一面が開いた。中を覗き込むと──
そこには、少女が眠っていた。
真っ白な髪は、まるで仕立てたばかりのシルクみたいで。唇はまだあどけないのに、妙に目が離せなくて。……なんていうか、人間の「可愛い」の概念だけ抽出してAIが生成したような顔立ち。
まじか……やば、クオリティ高っ。
兄ちゃんのセンスなんて疑ってたけど、これは正直アリだわ。
そう思った矢先、少女の身体から青い閃光が広がった。
「システム照合。オールグリーン。座標への転送に成功しました。」
少女はすっくと立ち上がり、俺に視線を向けた。
「失礼ですが、今は西暦何年でしょうか?」
「え……西暦2036年だけど?」
思った以上に気の抜けた声が出た。
「どうやら、間に合ったようです。あなたが──十種因幡様でお間違いありませんか?」
「……は、はい。一応俺が十種因幡です。」
自然と敬語になってる自分が恥ずかしい。すると少女はにっこり微笑んで、ポーズを決めた。ピースまで添えて。
「申し遅れました。私は未来から来た、完璧で究極な美少女AIアンドロイド・クオリア。覚えにくければ、クーちゃんとお呼びください、十種様。そしてもうひとつ──」
ここまで漂ってた神秘的な雰囲気が、にわかに崩れ始めた。
「共に世界を救いませんかっ!」
……あ、コレ、絶対面倒くさいタイプだ。
退屈な日常が、壊れる音がした気がした。
⸻
「で、何度も聞くけど──世界がなんだって?」
「はい、十種様。もうすぐこの世界に終焉が訪れます。今から一年後、巨大な小惑星が地球に衝突し、すべてを焼き尽くします。有り体に言えば、隕石ドーンで人類チーンです。地球は居住不可能となります。」
「ふーん……あ、そう。……って、やばいじゃん。乾パンとか用意しなきゃじゃん。」
「そういうレベルの話ではありません。」
言ってることは滅茶苦茶だけど、声と顔が真剣なので無視しづらい。けど、信じるには荒唐無稽すぎる。
第一、そんな巨大な隕石が近づいてたら、世界中が大騒ぎになってるはずだろ。NASAとかJAXAとかが、とっくに対処してるだろうし。
「悪いけど、そう簡単には信じられねえよ。兄ちゃんのイタズラって線は?」
するとクーちゃんはジト目になって、俺を見据えた。
「……結構めんどくさいなこの人。マスターからは“扱いやすいバカ”って聞いてたのに。」
「おい聞こえてるぞー!? ますます信じたくなくなってきたぞ⭐︎」
「そうですか。では──最終手段を取ります。」
クーちゃんが手のひらを俺の目の前にかざす。青白い光が広がる。
「ちょ、暴力反対~!」
……しばらくして光が収まり、空中にモニターが現れた。そこに映ってたのは、見慣れた顔だった。
「兄ちゃん……?」
「あーあー、聞こえてるかなー。弟よ。ちなみにビデオメッセージなので、君の声は聞こえてませーん。あとこれうちのクーちゃんが説得に苦戦するって前提で用意されたやつだから。」
映像の兄ちゃんが、茶目っ気たっぷりに笑う。
「これから話すことは、冗談でもイタズラでもない。本当に起こる未来だ。しっかり聞いとけよ。兄ちゃんからの、最後のメッセージだ。」
モニターの向こうで、兄ちゃんの声が真面目になる。
「まず、なんで隕石が迫ってるのに誰も騒いでないのか。それに答えよう。今、世界中の宇宙関連組織や企業はこぞってこの問題に取り組んでる。だけど、情報は徹底的に秘匿されてる。理由は簡単だ。混乱を防ぐためだよ。社会が崩壊しかねないって判断された。英断だと思う。」
確かに、ネットの10ちゃん(※旧2ちゃん)で、「世界終わるらしいw」ってスレ立ってたの、見た気がする。都市伝説扱いだったけど。
兄ちゃんは続ける。
「さて、ここからが本題だ──“隕石を止める方法”について話そう。神縄カンパニーは知っているか?」
神縄カンパニー。今や世界を牽引する日本が誇る一大企業。ITから飲食まで幅広く手を出しているバケモンみたいな会社だったはず。兄ちゃんが勤めてたのも神縄だったはず。
「一応ね、でもそれが?」
「単刀直入に言おう。お前には神縄カンパニーに入り社長になって欲しい。」
「はあー!」
そもそも神縄に入ることすら難しいのに社長って……ああ、そうか。兄ちゃんだからそんなことが言えるんだな。
「悪いけど無理だよ。出来るできないは一旦置いといたとしても俺にはやるメリットがないね。話は終わりだ。さあ、もう消えてくれ。」
「分かった。……これからはお前が興味を持ちそうな話をしてやる。」
なんだ急に、正直何を言われてもやる気にならないと思うけど。
「二年前のことを覚えてるか。父さんが死んだ日だ。」
忘れるわけない。あの日から俺は自由に生きると決めたのだから。
「あの日父さんは自殺したとされているが、それは嘘だ。俺は神縄に入ってからずっと調べていた。何故、父さんが死ななければならなかったのか。」
「なんだよ、それ。意味わかんねえよ。」
空気がピンと張り詰めてゆく。
「父さんは殺されたんだ。神縄で計画されていたあるプロジェクトを止めるために。そのプロジェクトというのは……さに……」
プチン。モニターはここで止まってしまった。
「おいっ!なんだよ。もう。いいところなんだからさー。えっと、くーちゃん?だっけ。この続きはどうすればいいのさ。」
彼女は薄気味悪い笑いを浮かべながら言い放つ。
「この先の情報はどうやら転送時に摩耗し消失してしまったようです。完全に復元するには私のスペックを最大に活用できる量子コンピュータが必要です。」
嫌な予感は確信に変わる。
「それはどこにあるの?」
「現時代ですと神縄カンパニーの本社に置かれているBLACK BOX。|《アリアドネ》だけですね。」
彼女はどすんとベットに座り、一呼吸おいて俺を見つめる。
「アリアドネは本社の奥深く、社内でも選ばれた者しかその存在を知りません。少なくとも社長クラスにならない限りは、」
「大体なんで俺なんだ。俺じゃなくてもきっと。」
「一様、いえマスターは言っていました。因幡には俺にはない才能があると。そしてその才能が世界を救う鍵になると。」
俺を見つめる彼女の目は、およそ血の通っていない存在には見えない輝きを秘めていた。彼女は手を差し伸べる。
「もう一度聞きます。共に世界を救いませんか?」
どうやら俺の考えも悩みも全て兄ちゃんの手の平の上みたいだ。ここまでされたらしょうがない。
「ここで逃げたら、漢じゃないよな。」
俺は彼女の手を取った。これからきっとどうしようもないほどめんどくさいことになるかもしれない。それでも、鏡の前で変態仮面やってるよりは遥かにマシかもしれない。
第二話 勉強地獄
「ほら、手が止まってますよ。」
パンっと竹刀が背中を打つ。もう何度目だろう。数えてすらいない。このままでは確実に死ぬ!
「あ、ちょっとトイレ。」
「わかりました。十分だけ休憩を取ります。帰ってきたら再開で、」
「うんうん、ちょっくらうんぴーだしてくるから待っててね。」
くわばらくわばら。どうやらあのイかれた機械人形は人間の限界ってものを知らないらしい。かれこれぶっ通しで七時間は参考書と一対一だ。それに何より暴力で従わせてくるやり方が気に食わん。逃げるが勝ちだ。
数十分前
「でもさ、具体的にどこをどうやったらその神縄に入れるのさ。」
くーちゃんはおもむろにタブレットを取り出す。
「神縄、引いてはその社長にまで登り詰めるには二つほどルートがあります。一つは文字通りエリートコース。都内屈指の名門高校に入り、大学に進学。その後神縄に入社とまあこんな感じが一です。ですが残念ながらそのような時間は残されておりません。それに有名大学に入れるほどの頭脳を因幡さんは有しておりません。」
なら、最初から二つ目を教えてくれませんかね。わざわざ馬鹿にする必要ある?
「では、本題の二つ目です。」
くーちゃんは藍色の目を輝かせ、俺を指差して言った。
「ある高校に入学してもらいます!」
高校生。一度は諦めたというよりやりたく無かった選択肢だ。学校というだけでも反吐が出る。毎日決まった時間決まった授業。座っているだけだと思うと寒気がする。
「と、言っても普通の高校では有りません。何より神縄が直接運営している超私立です。その名も私立戴天学園。頭脳の優劣だけに収まらず真に優秀な人間を育てる為に神縄はある|《ゲーム》を取り入れました。|《セレスティアルコード》カードを使った特殊な決闘システムのようです。戴天学園ではカードによって学校内での自由が認められています。勝者は全てを手にし敗者は全てを失う。と、まあざっくりとした説明は以上です。何か質問はありますか?」
決闘、ゲーム、カード。嫌な予感がする。数年前父さんと兄さんが作ってたような。
「そのシステムってさ、いつからその学校に導入されたの?」
「正確には三年前ですね。現生徒会長であり学園の最高権力者である北上大蛇という人物によってこのゲームと学園のシステムが作られたと分かりました。」
三年前、兄が消えたのはもっと前からだ。なんにせよ、確かめる問題がまた一つ増えたみたいだ。
少し考え込んでいるとクオリアがパンっと手を叩いて言った。
「まずは何より勉強です。」
長い一日が始まる気がした。
冗談じゃない。あのイカれた機械人形。人をなんだと思ってやがる。かれこれもう十三時間は休みなしで勉強させられてる。やばい、数字の三がのび太の目にしか見えない。末期かもしれん。
「ほらほら、全然終わってませんよー。あと数時間でノルマ終了なんですから頑張ってください。」
自分はベットの上に座って漫画読んでるのに。
だめだ。これ以上こんなとこにいたら殺される。
「クーちゃん、ちょっとトイレ。」
「十分以内に済ませてくださいねー。」
「うーす。」
部屋を出るが早いか因幡は飛び出した。野を越え山を越え家から五百メートル離れたGAOにまで辿り着いた。
数十分後
「おかしい。」
ベットの上でウエハースを頬張りながらクオリアは呟く。かれこれ十分はとうにすぎている。
仕方なく部屋を出てトイレに向かう。
「因幡さーん。そろそろ始めますよー。」
返事はない。ただの無機物なようだ。勢いよくトイレの扉を蹴り破ったがトイレはもぬけの殻だった。
「なるほどなるほど。つまりはそう言うことですね。因幡さん。教えてあげますよ。超高性能アンドロイドを敵に回すと言うことを。」
クオリアは小さな肩を振るわせ、部屋に戻っていった。
「やべぇまじか。今週のジャンプはホント神回だろ。」
勉強から逃れて数十分。クオリアは追ってくる気はないらしい。晴れて自由の身だ。
「いや~素晴らしいね。自由ってのは。立ち読みもし放題だし。」
「それは感心しませんね。立ち読みは歴とした迷惑行為ですよ。」
「へっ、」
振り向くとそこには三十センチほどドローンがこちらを見つめていた。
「改めまして因幡さん。私から逃げ切れるとでも思いました?」
ドローンがそう言うと炸裂音と共に網が因幡の身体を捉えた。
「なっ⁉︎」
「暴れても無駄ですよ。網は暴れるほど複雑に絡みますから。さあ、大人しく帰って勉強です。」
「嫌だね。誰かにやらされる勉強なんて真っ平だ。何度だって逃げてやるさ。」
「なんでそんな強情なんですか。」
「はっ、そんなの俺の人生は俺だけのものだからに決まってんだろ。」
人に言う事を聞かせるのがこんなに難しいとは、どうすれば良いのでしょう。
クオリアはふと一の言葉を思い出した。
「あいつはやれって言われても絶対やらないんだよね。もし君がどうしてもやって欲しい時はこう言うといいよ。絶対乗ってくるから。」
仕方ありませんね。
「因幡さん。私とゲームしませんか?」
因幡の表情が変わる。
「ゲーム?」
「はい、ルールは簡単。かくれんぼです。現在時刻二時半ですが三時の時点で捕まえていたら因幡さんの負け。その逆なら因幡さんの勝ち。負けた方は勝った方の好きな事を一つ叶える。どうです。やりますか?」
「なるほどね。でもいいの?俺が勝ったら体操服でフランスパンを舐めて欲しいとか言うかもよ。」
「構いませんよ。どうせ私が勝ちますから。」
「へえ、言うねぇ。面白い!いいよ。その勝負乗った。」
「それでは今から五分後にスタートします。まずはその網から抜け出さないとですね。」
「もちろん‼︎」
言うが早いか因幡は取ってきた筆箱から剃刀の刃を取り出すと瞬く間に網を切って走り出した。
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