無人島転生 〜素材チートで開拓してたら、村どころか王国ができそうです〜

しゅがれっと

文字の大きさ
22 / 138

22 簡易的な橋

しおりを挟む
 異世界に来て以来、俺の行動範囲は限られていた。食料を確保し、住処を作り、畑を耕し、道具を作る。確かに充実している。だが、それはあくまでこの岸での話だ。

 対岸がある。

 向こう岸には、俺がまだ踏み入れていない未知の領域が広がっている。森があり、岩があり、見たことのない植物が茂っている。しかし、間に広がるのは川。渡る手段がない以上、対岸の探索は夢のまた夢だった。

 「橋を作るしかないな」

 渡れるなら、渡ればいい。それだけの話だ。俺は振動ノコギリを手に、川沿いの森で適当な木を切り倒し、丸太を作り始めた。

 「こんなもんか」

 十数本の丸太を削り、組み合わせる。綱代わりに異世界の強靭な蔓を巻きつけ、簡易的な橋を作る。もちろん、こんなものは仮設にすぎない。もっと頑丈な橋を作るためには、まず向こう岸に渡る必要があるのだ。

 数日後、橋は完成した。

 「よし、渡るぞ」

 試しに足を踏み入れる。木材はしっかりと固定されており、問題なく歩けそうだった。慎重に進み、ついに俺は対岸へと到達する。

 ……が。

 夜になって異変が起きた。

 川の水面に、突如として光る模様が浮かび上がったのだ。

 「なんだこれ……?」

 川の流れに沿って、青白い光がちらちらと揺らめいている。まるで見えない何かがそこに存在するかのように──いや、実際に何かがあるのかもしれない。

 さらに奇妙なことに、橋の上を歩くと、微妙な振動が足元に伝わってくる。いや、それどころか──

 ギシギシギシ……バキッ!

 「うおっ!?!?」

 橋が突然、崩れた。

 いや、崩れたというより、「何かに弾かれた」ように、一瞬でバラバラになったのだ。綱が千切れ、丸太が川に落ちて流されていく。

 「……どういうことだ?」

 俺は呆然としながら、残骸を眺めた。耐久性には問題なかったはずだ。強度も確認した。ではなぜ、橋が一瞬で崩壊したのか?

 答えは、おそらく──川に働く「見えない力」にある。

 この川には、何かしらの特殊な流れがある。それが夜になると活性化し、橋を弾くように作用したのではないか? ならば、材質を変えれば耐えられるのか? それとも、流れの影響を受けない方法を探すべきか?

 試行錯誤が始まった。

 俺は異世界のさまざまな木材を試した。硬い木、柔らかい木、蔓を巻いたもの、石と組み合わせたもの。しかし、結果はどれも同じだった。夜になると微振動が発生し、橋はことごとく崩壊する。

 「くそ……何かヒントはないのか……」

 俺は川の周囲を歩き回り、異常がないか調べた。すると、流木の中に妙な木材が混じっているのを見つけた。

 「これは……?」

 水に浮く木材。いや、それは普通のことだ。だが、こいつは明らかに違う。軽く持ち上げると、手を離しても宙に浮いたのだ。

 「……浮遊する木材?」

 そんな馬鹿な話があるか? しかし、目の前にあるのだから仕方ない。しかもよく見ると、この木材は微妙に光を帯びており、川の水面に浮かぶ模様と同じ色をしていた。

 俺は直感した。

 「こいつなら……耐えられるかもしれない」

 さっそく、この浮遊する木材を回収し、試作品を作ることにした。だが、加工は簡単ではない。こいつは普通の木材よりも軽く、しかも削ると元の形に戻ろうとする厄介な性質を持っていた。

 「やれやれ……またしても試行錯誤か」

 俺は振動ノコギリを使い、慎重に加工を進めた。そして、なんとか橋の形に組み上げる。通常の木材と組み合わせ、川の「見えない力」に適応するよう調整を施した。

 ついに、実験の時が来た。

 夜。再び光る模様が浮かぶ川の上に、新たな橋を架ける。そして、ゆっくりと足を踏み出した。

 ──振動は、ない。

 ──軋む音も、ない。

 崩れない。

 「やった……!」

 ついに、俺は成功した。

 この世界の「見えない力」に適応する橋。浮遊する木材を組み合わせたことで、川の流れと共鳴し、負荷を分散できる構造になったのだろう。

 これで、対岸へ自由に渡れる。探索の範囲が、一気に広がる。

 「異世界……やっぱり面白いな」

 俺は川の向こうに広がる未踏の地を見つめながら、新たな冒険への期待に胸を膨らませた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

処理中です...