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31 人口生命体の開発
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魔素というものが、どうにもこうにも便利すぎる。
火を起こせば燃え広がり、水に触れれば波紋を描き、生命に染み込めば育み、過剰になれば分裂する。まるで、すべての「変化」の中心にあるような存在だった。
そして、そんな魔素を制御できる鉱石があるのなら。
俺は、ふと考えた。
魔素を体に溜めすぎたセリアのように、魔素というものは「ある程度蓄積すると、自律的に動き出す」性質があるのではないか? もし、魔素を集めて閉じ込める「器」を作り、そこに一定量の魔素を流し込めば、それ自体が生命のように動き始めるのではないか?
……いや、待てよ。
考えを巡らせながら、俺は腰にぶら下げた魔素吸収の鉱石を取り出し、まじまじと見つめた。ひんやりとした青い輝き。微かに脈打つような感触。まるで、この石そのものが生きているような……。
そこで、一つの仮説が生まれる。
もし、魔素を適切な形に「型取る」ことができたなら? 生命の進化がこの世界では極めて容易に起こるのなら、それを人工的に作り出すこともできるのでは?
俺はいてもたってもいられず、さっそく実験に取りかかった。
まずは素材の確保だ。森を歩き回り、魔素を吸収する鉱石のほかに、粘土質の土や発光する苔を集める。粘土は形を保持しやすく、苔は魔素を通しやすい。そして、それらを混ぜ合わせ、適当な人形の形に整えた。大きさはせいぜい腕ほど。二足歩行のゴーレム――いや、もっと単純な、「魔素の器」。
次に、魔素を流し込む。
セリアに手伝ってもらい、ゆっくりと魔素を注ぐと、青白い光が粘土の表面を這い、苔がじわりと発光し始める。……おお、これは、なんだかすごくそれっぽいぞ?
しばらくすると、人形の表面がわずかに震えた。
俺とセリアは息をのむ。
粘土の塊が、かすかに揺れたのだ。
試しに、俺はそっと指で突いてみる。
ぽす。
手応えはある。しかし、それだけだ。
「……動く?」
「まだ、魔素が足りないのかも」
セリアがそう言って、さらに魔素を流し込む。粘土の表面を光の筋が駆け巡り、淡い輝きを放ち始めた。
そして――
カクッ
それは、まるで生まれたばかりの赤ん坊のように、ぎこちなく片腕を持ち上げた。
「……動いた!」
俺は思わず歓声を上げた。セリアも目を輝かせている。俺たちは確かに、魔素を動力源とした、簡易的な人工生命を作り出したのだ。
「こいつ……意志はあるのか?」
俺はそう呟きながら、慎重にその小さなゴーレムの前に手をかざす。すると、まるで俺の手に反応するかのように、粘土の指がぎこちなくもピクリと動いた。まるで、俺の存在を「認識」しているかのように。
セリアが興奮した様子で口を開く。
「すごいわ……! たぶん、魔素に反応してるのね。この世界の生命が魔素を吸収して進化するのと同じように、こいつも魔素を動力として生きている……!」
「……つまり、こいつは魔素を供給し続ければ動き続けるってことか?」
俺は片手を顎に当てて考える。もし、この技術を発展させれば――たとえば、大型のゴーレムを作ることもできるのでは? 労働力として使うことができれば、文明の発展が一気に加速するかもしれない。
だが、一方で気になることもある。
こいつはあくまで「動く器」にすぎない。知性も、自我も、意思もない。たとえ動かすことができても、それは俺たちが制御できる範囲でしかないのだ。
「……もし、こいつに知性を持たせることができたら?」
俺の言葉に、セリアはハッとする。
「……まさか、それは……」
「この世界の生命は、魔素によって進化し、繁殖する。そして、一定の魔素を取り込むことで知性を持つこともある。だとしたら、こいつに適切な魔素を与えれば――」
それは、まるで神の領域に踏み込むような考えだった。
俺たちは、ただのサバイバルをしていたはずだった。だが、今や俺たちは、生命を生み出す段階にまで到達している。
セリアが、少し不安そうな顔をした。
「……この世界では、生命は簡単に生まれる。でも、それがいいことなのかどうか……」
俺もまた、その言葉に答えを出せないでいた。
だが、一つだけ確かなことがある。
俺たちは、この異世界のルールを、また一つ理解してしまったのだ。
人工生命は、確かに誕生した。
だが、それをどう使うかは、まだ決まっていない。
俺は、目の前でゆっくりと腕を持ち上げる小さなゴーレムを見つめながら、深く息を吐いた。
「……これは、慎重に研究する必要がありそうだな」
未知の可能性を前にして、俺の胸は期待と不安でいっぱいだった。
火を起こせば燃え広がり、水に触れれば波紋を描き、生命に染み込めば育み、過剰になれば分裂する。まるで、すべての「変化」の中心にあるような存在だった。
そして、そんな魔素を制御できる鉱石があるのなら。
俺は、ふと考えた。
魔素を体に溜めすぎたセリアのように、魔素というものは「ある程度蓄積すると、自律的に動き出す」性質があるのではないか? もし、魔素を集めて閉じ込める「器」を作り、そこに一定量の魔素を流し込めば、それ自体が生命のように動き始めるのではないか?
……いや、待てよ。
考えを巡らせながら、俺は腰にぶら下げた魔素吸収の鉱石を取り出し、まじまじと見つめた。ひんやりとした青い輝き。微かに脈打つような感触。まるで、この石そのものが生きているような……。
そこで、一つの仮説が生まれる。
もし、魔素を適切な形に「型取る」ことができたなら? 生命の進化がこの世界では極めて容易に起こるのなら、それを人工的に作り出すこともできるのでは?
俺はいてもたってもいられず、さっそく実験に取りかかった。
まずは素材の確保だ。森を歩き回り、魔素を吸収する鉱石のほかに、粘土質の土や発光する苔を集める。粘土は形を保持しやすく、苔は魔素を通しやすい。そして、それらを混ぜ合わせ、適当な人形の形に整えた。大きさはせいぜい腕ほど。二足歩行のゴーレム――いや、もっと単純な、「魔素の器」。
次に、魔素を流し込む。
セリアに手伝ってもらい、ゆっくりと魔素を注ぐと、青白い光が粘土の表面を這い、苔がじわりと発光し始める。……おお、これは、なんだかすごくそれっぽいぞ?
しばらくすると、人形の表面がわずかに震えた。
俺とセリアは息をのむ。
粘土の塊が、かすかに揺れたのだ。
試しに、俺はそっと指で突いてみる。
ぽす。
手応えはある。しかし、それだけだ。
「……動く?」
「まだ、魔素が足りないのかも」
セリアがそう言って、さらに魔素を流し込む。粘土の表面を光の筋が駆け巡り、淡い輝きを放ち始めた。
そして――
カクッ
それは、まるで生まれたばかりの赤ん坊のように、ぎこちなく片腕を持ち上げた。
「……動いた!」
俺は思わず歓声を上げた。セリアも目を輝かせている。俺たちは確かに、魔素を動力源とした、簡易的な人工生命を作り出したのだ。
「こいつ……意志はあるのか?」
俺はそう呟きながら、慎重にその小さなゴーレムの前に手をかざす。すると、まるで俺の手に反応するかのように、粘土の指がぎこちなくもピクリと動いた。まるで、俺の存在を「認識」しているかのように。
セリアが興奮した様子で口を開く。
「すごいわ……! たぶん、魔素に反応してるのね。この世界の生命が魔素を吸収して進化するのと同じように、こいつも魔素を動力として生きている……!」
「……つまり、こいつは魔素を供給し続ければ動き続けるってことか?」
俺は片手を顎に当てて考える。もし、この技術を発展させれば――たとえば、大型のゴーレムを作ることもできるのでは? 労働力として使うことができれば、文明の発展が一気に加速するかもしれない。
だが、一方で気になることもある。
こいつはあくまで「動く器」にすぎない。知性も、自我も、意思もない。たとえ動かすことができても、それは俺たちが制御できる範囲でしかないのだ。
「……もし、こいつに知性を持たせることができたら?」
俺の言葉に、セリアはハッとする。
「……まさか、それは……」
「この世界の生命は、魔素によって進化し、繁殖する。そして、一定の魔素を取り込むことで知性を持つこともある。だとしたら、こいつに適切な魔素を与えれば――」
それは、まるで神の領域に踏み込むような考えだった。
俺たちは、ただのサバイバルをしていたはずだった。だが、今や俺たちは、生命を生み出す段階にまで到達している。
セリアが、少し不安そうな顔をした。
「……この世界では、生命は簡単に生まれる。でも、それがいいことなのかどうか……」
俺もまた、その言葉に答えを出せないでいた。
だが、一つだけ確かなことがある。
俺たちは、この異世界のルールを、また一つ理解してしまったのだ。
人工生命は、確かに誕生した。
だが、それをどう使うかは、まだ決まっていない。
俺は、目の前でゆっくりと腕を持ち上げる小さなゴーレムを見つめながら、深く息を吐いた。
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