Я side The Assassin

文字の大きさ
31 / 68
少年隊入隊試験編

30.不意打ちと踊りと剣技

しおりを挟む
終了まで、、00:03:00

残り時間もわずかとなり、各地の戦闘も終わりを告げ、会場全体が静まっている

荒地では早々にしてキドウが倒されたことからここにとどまった試験者のほとんどは退場することはなかった

水辺ではアカカミが猛威を振るい、挑んできた試験者がプールに浮かび倒れている始末

工業地帯は元々、人数が少なく、脱落者はあまり出ていないが、逃げ役との接敵率も小さいため点を稼げていない試験者が多い

高層ビル地帯ではマチシタに狙われた試験者が漏れなく脱落しているか、ビル内に引きこもって得点を稼げていない人物が多い


各地で決着が着いている中、沼地の一角では未だ白熱とした戦闘が繰り広げられている
その様子をシジマは観ながら訓練生たちの勇姿を見届けんとしていた


沼地

「タキタツ!そこどけ!」

「……!」

居合いをさせまいと接近戦をしていたリュウマの背後からランマルが足裏の刃を出して飛び蹴りをする
その突然の攻撃をムラカミは冷静に木刀で足を受けることで対処する

「また不意打ちか…芸がないな」

「そりゃどーだろうか」

「なに…」

木刀を強く蹴って後ろに跳ぶ瞬間、シイナが交代で飛び込んだ

「だから無駄だと…」

木刀で突きを繰り出す
しかし、シイナは穂先が当たる瞬間にスライディングで足元を狙った

「……!」

今までにない動作で隙をつかれたムラカミの足はすくわれ、後ろに倒れる

「俺の邪魔!すんなや!」

仰向けに倒れたムラカミに飛び襲うリュウマの刀をムラカミは反射的に木刀を盾にして受ける

「ちっ…!」

シイナとランマルの思考が重なる

叩くなら!今!

全方向からムラカミを攻め倒すべく2人はリュウマと違う方向から襲おうとするが、彼はそれを容易に超えてくる

もう1ギア上げるか

リュウマを切り払い、足を沼に強く踏み込むと周囲が震動する

「「「……!」」」

攻撃を仕掛けた3人は危機を察知するが、時既に遅し

風切旋嵐かざきりせんらん

立ち上がり大きく刀を回し振ったムラカミを中心に上昇気流が鋭く吹き荒れる
ムラカミを囲んでいた3人は振り払われるような風を浴びると同時に素早く連続して風の斬撃を喰らう

「ナッ…!」「クッ…!」「ちっ…!」

全身が引き裂かれ、切り傷から血が吹き出る

風と斬撃の中心で昂った男は声を上げる

「こいガキ共!!まとめて切り伏せてやる!」

そこに冷酷な目はなく、子供の成長に歓喜しながら戦闘を楽しむ、あの時泣くことしかできなかった男の曇りない笑顔がそこにある

周囲の泥も巻き上がり、泥の竜巻のようになっている沼地の一角に戦闘を終えた者たちと観戦者の視線が集まる

シジマはその竜巻の中心に微かに見えるムラカミの姿を認識する

「楽しそうだなシンジ」



ムラカミに向かう3人はどう相手を攻め倒すか風と斬撃と泥が飛び散る中模索する

ニッタの野郎…俺の邪魔しよって…!まあええ…今はムラカミさんに集中や…しかし、こんなかにどうやって攻め入れっちゅうねん…泥で視認できひん!上手くハマれば勝てそうな場面やんに…!

この風…いつ止むの!もう全身ボロボロだし!バレエのリズムは乱されるし!

「……!」

いや、、これならもしかしたら…

「ランマル!!」

シイナの声が風の轟く音でかき消され、ランマルに届かない

なんだ…!ムラカミさんは中だ…こっからどう攻める…シイナはオレになにを伝えようと…泥で視界が塞がれてる……

そこで結論に至る

ちがう!これは好機だ

決着の時が近い 試験終了まで1分

一か八か…

ムラカミは過去にない声で叫んだ

「オレが突っ込む!!」

シイナとリュウマはそれを聴いてそれぞれ体勢をとる

ランマルは泥の竜巻の中に飛び込んだ

風に押され、斬撃を浴び、泥に汚れながら中心に向かって走る
耳鳴りがする 風の音で鼓膜はほぼ死んでいるも同然
だが、彼は走る 中心にいる高見に向かって

ムラカミは木刀をしっかりと握り、風が止んだ瞬間に3人を打ち払う体勢だ

もう数十秒すれば風が止む…一気に片をつける…!

その背後、怪盗ランマルは静かに刃を向けていた

「……!」

足裏の刃がムラカミの背を引き裂く瞬間、寸前で振り返って木刀で受ける

「お前…音もなく…!」

目の前にいる試験者は泥と傷で全身を埋めつくしていた

「捨て身か?」

「いや…明確な勝ち筋だ!」

これがオレの最後の…!

瞬奪しゅんだつ!」

木刀を両手で瞬時に掴み、ムラカミを押す

こいつ…!俺を竜巻の中に押してくつもりか…!

狙いに気づいたムラカミは足に力を入れて推されまいと抵抗する

あと10秒以内にこの人を竜巻に乗せる…!

「オ"ォ"ォ"ォ"ォ"オ"ォ!!」

全身の筋力を使って木刀ごとムラカミを押す
ジリジリと押されるムラカミは木刀でランマルを振り払おうとするが今までにない抑えで木刀が動かない

「イケェェェェエ!!」

ボォォォォオ!!

「ヌアッ…!」

ムラカミが泥の竜巻に巻き込まれ風で上空へ舞い上がっていく
そして上空で竜巻から弾き出される
同時に竜巻が止み、ムラカミが地面を落下していく

残り時間…30秒

「まずは着地を…!」

木刀を下方に振って風圧を起こし、着地の衝撃を緩和しようと木刀を強く握ったその時、眼前に風に舞う少女が目に入る

「……!」

どうやって…!

シイナの全身が泥にまみれていることに気づく

あの竜巻を足場にしてここまで上ってきたのか…!

舞姫シイナの強い思いが彼女をここまで連れてきた

私のをアイツに魅せる…!

風乗りの妖精ウィンドライディングフェアリー!」

空中でバレエを踊る彼女に妖精の羽が生えているように見える
ムラカミを踊りに巻き込むようにして連撃を入れ、かかと落としで地面に向かって蹴りつける

残り時間…20秒

仰向けに落ちていくムラカミは上方にいるシイナに木刀を振ろうとしていた

着地は二の次…まずはキッタカを…

「かざき……バコンッ!

その瞬間、木刀が何かに破壊され、刀身を半分にしてしまった

なんだ…!

視線を横にするとそこにはカッターブーメランがあった

竜巻の中心から離れた陸地、少女は勇気を振り絞ってそれを竜巻の中に投げ入れていた

「な、ナイスアシスト…なのでは…」

自信なさげなコスズにシイナは空からグッドサインを見せる

残り時間…10秒

破壊された木刀を投げ落とし、ムラカミは重力の向けられるままに落下しながら体制を反転した
自分が落ちようとしている陸地に刀を鞘に収めて握る少年がいる

この距離で居合切りを…アイツまさか…!

リュウマは感覚を研ぎ澄ませて呼吸を整える

できるか分からへんけど…試すに超したことはないやろ!俺のの才能を見いや!

居合・風切いあい・かざきり!」

抜かれた刀から飛び出した風の刃が落ちてくるムラカミに迫る

「ムナ…今回の訓練生は本当に優秀だったよ」

ジャバッ!

右肩から左腰を浅く切りつけた風の斬撃は少量の血しぶきを乗せて消えた

試験終了と同時にムラカミの手首に手錠を掛けたのは、、

リュウマ 特攻班班長 殺斬 さつじん 村上 信二ムラカミ シンジを確保し、30点獲得

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...