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追放
第1話 ゴミスキルの輝き
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「お前なんか、出ていけ!! この役立たずが!!」
僕は家を飛び出していた。
悔しかった。
今まで僕はたくさんの修行をしてきた。
たくさんの名剣を作る鍛冶師になることを夢見ていた。
なのに……神様から与えられたスキルは……『研磨』だった。
鍛冶師の数多ある工程の一つに過ぎない。
鍛冶師となる者は『鍛冶師』スキルがなければ、なることは出来ないのだ。
……
僕は街をトボトボと歩いていた。
代々鍛冶師を家業にしていた家を追い出され、行く宛もない。
持っているお金にも余裕はない。
手にしているのは……小さな砥石のみだった。
「どうにかして、食べていかないと……」
僕は考えていた。
研磨は決して悪いスキルではない。
たしかに剣を作ることは難しい。
だけど、刃こぼれした剣を『研磨』のスキルで修復することできる。
そうすれば……日銭くらいなら稼げるだろう……
……
僕は思いつくままに、武器屋に足を運んでいた。
「おう、いらっしゃ……なんだ、ライルの坊主じゃねぇか。おっと、貴族様に失礼だったな。で、どうしたんだい。そんな顔をして」
「……ああ、おじさん。……剣を譲ってくれないかな?」
「何、言ってやがる。家に帰れば、いくらでも手に入るだろ。ここの武器はみんな、お前さんの家から卸しているんだからよ」
「僕は家を追い出されたんだ。これからは一人で生きていかなくちゃならないんだ。ねぇ、頼むよ」
おじさんの渋面になっていた。
それもそうだろう。
こんな家族問題に関わって、面倒事が迷い込むのが嫌なんだろう。
「……好きに持っていけ。何があったか知らねぇが、男が決めたことだ。俺は応援するぜ」
「おじさん……」
優しさに涙が溢れそうになる。
だけど、泣いてばかりはいられない。
この武器探しがこれからの僕の命運を分けるんだから。
「たしか……」
あった……。
この武器屋は新品の武器以外にも中古も取り扱っている。
もっとも、誰も見向きもしないせいか、奥の方で埃をかぶっていることが多い。
「これを頂戴」
「これ……か? 刃こぼれが酷くて、使い物になるのか?」
これでいいんだ。
僕のスキルがあれば、これくらい……
「えっと……銀貨1枚だよね……ちょっと待って」
手持ちは銀貨が1枚……。
これで失敗したら……。
「まぁ、出ていくと決めた男の門出の日だ。タダでいいぜ」
「いいんですか! ありがとうございます! あの、もう一つ頼みが……」
武器屋の裏にある小屋を少しの時間だけ借りることにした。
何もない倉庫だけど、集中できる場所ってだけでありがたい。
『研磨』
スキルを発動する。
剣のあちこちに見られる傷やへこみが瞬時に理解できる。
そして、最適な研磨を導いてくれる。
……出来た。
数度の研磨だけではありえない、まるで新品のような輝きを放つ。
これが……
『研磨』スキルなんだ。
僕は新品然となった剣を再び武器屋のおじさんのところに持っていく。
「これを買い取ってくれないかな?」
「あん? なんだ、もういらなくなったのか? しょうがねぇ。銀貨一枚な?」
僕の剣を受け取った瞬間、おじさんの表情が一変する。
沈黙が流れ……
「坊主……何をしやがったんだ? これはさっきのあれか?」
「そうだよ。僕が研いだんだ」
「研いだ? 信じられねぇ。まるで新品……いや、そうじゃねぇ。武器屋30年の勘が告げているぜ。これは名品の予感だ」
何を言っているんだ?
僕はただ研いだだけだ。
切れ味が戻ったくらいなものだろ?
「金貨10枚……」
「え?」
ますます何を言っているのか分からない。
「この剣を金貨10枚で買い取る」
「おじさん……ほ、本当にいいの!!?」
剣を大切に抱えながら、裏に向かったおじさんが戻ってきた。
金貨10枚……それがテーブルに置かれた。
「代金だ……」
「ありが……どうしたの? おじさん」
なぜか、おじさんに手を掴まれていた。
あれ?
もしかして、これは何かの冗談だったのかな?
そうだよね……あんなボロい剣が研いだくらいで金貨10枚なんかに……
「坊主。他も研げるか? あそこにある武器を全部やってくれたら……金貨100枚出すぞ」
「ひゃ、100枚!? 本当に? 本当にいいの?」
「ああ、構わねぇよ。それだけの価値を見たぜ」
信じられない幸運だ。
僕は武器屋に眠るボロ武器を蘇らせる作業に没頭した。
数日後……疲れ果てた表情で武器屋を訪ねた。
「出来たか!!?」
「はい……なんとか」
いくら、簡単に研げるとは言え……百本以上はあったよな?
途中から数えるのを止めたくらいだ。
「やっぱり、凄い出来だな。おめぇ、行くとこないんだろ? ここにいてもいいんだぜ。これだけの事が出来たら、一生安泰だ」
僕は受け取った金貨100枚を小袋にしまい込んでいた。
おじさんの提案を考えていたんだ。
すごく嬉しい申し出だと思うよ。
行く宛もない僕にこんな優しい言葉を掛けてくれる人なんて……。
でも、考えは変わらないかな……
「おじさん、ごめん。僕はやっぱり、自分で剣を作りたいんだ」
鍛冶師の家に生まれた。
鍛冶師として育てられた。
僕は鍛冶師として生きていくことを選んだんだ。
たとえ、スキルが『研磨』だったとしても……。
僕はライル=ウォーカー。
『研磨』というゴミスキルを持つ15歳の少年。
このスキルで剣作りを極めるための旅を始める。
数カ月後……おじさんの武器屋は冒険者の間で有名になっていた。
国宝級の剣が格安で売られている店だと……。
僕は家を飛び出していた。
悔しかった。
今まで僕はたくさんの修行をしてきた。
たくさんの名剣を作る鍛冶師になることを夢見ていた。
なのに……神様から与えられたスキルは……『研磨』だった。
鍛冶師の数多ある工程の一つに過ぎない。
鍛冶師となる者は『鍛冶師』スキルがなければ、なることは出来ないのだ。
……
僕は街をトボトボと歩いていた。
代々鍛冶師を家業にしていた家を追い出され、行く宛もない。
持っているお金にも余裕はない。
手にしているのは……小さな砥石のみだった。
「どうにかして、食べていかないと……」
僕は考えていた。
研磨は決して悪いスキルではない。
たしかに剣を作ることは難しい。
だけど、刃こぼれした剣を『研磨』のスキルで修復することできる。
そうすれば……日銭くらいなら稼げるだろう……
……
僕は思いつくままに、武器屋に足を運んでいた。
「おう、いらっしゃ……なんだ、ライルの坊主じゃねぇか。おっと、貴族様に失礼だったな。で、どうしたんだい。そんな顔をして」
「……ああ、おじさん。……剣を譲ってくれないかな?」
「何、言ってやがる。家に帰れば、いくらでも手に入るだろ。ここの武器はみんな、お前さんの家から卸しているんだからよ」
「僕は家を追い出されたんだ。これからは一人で生きていかなくちゃならないんだ。ねぇ、頼むよ」
おじさんの渋面になっていた。
それもそうだろう。
こんな家族問題に関わって、面倒事が迷い込むのが嫌なんだろう。
「……好きに持っていけ。何があったか知らねぇが、男が決めたことだ。俺は応援するぜ」
「おじさん……」
優しさに涙が溢れそうになる。
だけど、泣いてばかりはいられない。
この武器探しがこれからの僕の命運を分けるんだから。
「たしか……」
あった……。
この武器屋は新品の武器以外にも中古も取り扱っている。
もっとも、誰も見向きもしないせいか、奥の方で埃をかぶっていることが多い。
「これを頂戴」
「これ……か? 刃こぼれが酷くて、使い物になるのか?」
これでいいんだ。
僕のスキルがあれば、これくらい……
「えっと……銀貨1枚だよね……ちょっと待って」
手持ちは銀貨が1枚……。
これで失敗したら……。
「まぁ、出ていくと決めた男の門出の日だ。タダでいいぜ」
「いいんですか! ありがとうございます! あの、もう一つ頼みが……」
武器屋の裏にある小屋を少しの時間だけ借りることにした。
何もない倉庫だけど、集中できる場所ってだけでありがたい。
『研磨』
スキルを発動する。
剣のあちこちに見られる傷やへこみが瞬時に理解できる。
そして、最適な研磨を導いてくれる。
……出来た。
数度の研磨だけではありえない、まるで新品のような輝きを放つ。
これが……
『研磨』スキルなんだ。
僕は新品然となった剣を再び武器屋のおじさんのところに持っていく。
「これを買い取ってくれないかな?」
「あん? なんだ、もういらなくなったのか? しょうがねぇ。銀貨一枚な?」
僕の剣を受け取った瞬間、おじさんの表情が一変する。
沈黙が流れ……
「坊主……何をしやがったんだ? これはさっきのあれか?」
「そうだよ。僕が研いだんだ」
「研いだ? 信じられねぇ。まるで新品……いや、そうじゃねぇ。武器屋30年の勘が告げているぜ。これは名品の予感だ」
何を言っているんだ?
僕はただ研いだだけだ。
切れ味が戻ったくらいなものだろ?
「金貨10枚……」
「え?」
ますます何を言っているのか分からない。
「この剣を金貨10枚で買い取る」
「おじさん……ほ、本当にいいの!!?」
剣を大切に抱えながら、裏に向かったおじさんが戻ってきた。
金貨10枚……それがテーブルに置かれた。
「代金だ……」
「ありが……どうしたの? おじさん」
なぜか、おじさんに手を掴まれていた。
あれ?
もしかして、これは何かの冗談だったのかな?
そうだよね……あんなボロい剣が研いだくらいで金貨10枚なんかに……
「坊主。他も研げるか? あそこにある武器を全部やってくれたら……金貨100枚出すぞ」
「ひゃ、100枚!? 本当に? 本当にいいの?」
「ああ、構わねぇよ。それだけの価値を見たぜ」
信じられない幸運だ。
僕は武器屋に眠るボロ武器を蘇らせる作業に没頭した。
数日後……疲れ果てた表情で武器屋を訪ねた。
「出来たか!!?」
「はい……なんとか」
いくら、簡単に研げるとは言え……百本以上はあったよな?
途中から数えるのを止めたくらいだ。
「やっぱり、凄い出来だな。おめぇ、行くとこないんだろ? ここにいてもいいんだぜ。これだけの事が出来たら、一生安泰だ」
僕は受け取った金貨100枚を小袋にしまい込んでいた。
おじさんの提案を考えていたんだ。
すごく嬉しい申し出だと思うよ。
行く宛もない僕にこんな優しい言葉を掛けてくれる人なんて……。
でも、考えは変わらないかな……
「おじさん、ごめん。僕はやっぱり、自分で剣を作りたいんだ」
鍛冶師の家に生まれた。
鍛冶師として育てられた。
僕は鍛冶師として生きていくことを選んだんだ。
たとえ、スキルが『研磨』だったとしても……。
僕はライル=ウォーカー。
『研磨』というゴミスキルを持つ15歳の少年。
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